猫は便秘になりやすい?症状と対処法を知って環境を見直そう!

猫用トイレに入る猫

もともと猫は砂漠に住む生き物のため犬よりも水を飲まない傾向があり、便秘になりやすい動物です。

便秘が慢性化してしまうと、重篤な病気になってしまったり、実は病気が隠れていたということもあります。

愛猫が便秘になってしまったときに飼い主さんが落ち着いて対処できるよう、便秘になる原因を知り、愛猫を便秘にさせない環境作りや食事の改善を行いましょう。

猫の便秘の症状は?

飼い主のそばで眠る猫

どれくらい排便がないと便秘なのか、どんな症状があると便秘なのかを理解して、愛猫が便秘かどうか確認してみましょう。

2日以上、排便がない

猫によって個体差はありますが、2日以上排便がない場合、便秘の可能性があるといわれています。

5日以上排便がない場合は確実に便秘です。

そこまで排便がないと猫自身、排泄時の動きがいつもと違い、痛がる様子が見られることが多いです。

力んでいるのに便が出ない

便秘によって大量に便が腸内に溜まっている状態になり、普段より長く力んでいるのに排便が出ない様子が見られます。

力み過ぎてしまうと嘔吐することもあります。

排便回数が多い

排便はありますが、きれが悪く何回も猫がトイレを行き来する様子が見られます。

腸内に滞留する便の量が多いことで、一度に全部出すことできず、そのような行動が見られるのです。

排便しようとすると痛がる

排便をするとき、大量に滞留した便が腸内で動くことで痛がり鳴く様子が見られます。

さらに便の状態によっては、肛門が傷ついてしまい出血することがあります。

便に鮮血がついていた場合はその可能性を考えましょう。

便の形がいつもと違う

腸内で便が詰まることで便の水分が腸に吸収されて、乾燥したコロコロした便が出ます。

また細長い便が出ることもあります。

猫の下腹部を触ると硬くなってしまった便がコロコロと皮膚越しに分かり、触ると猫が痛がる様子があります。

猫が便秘になる原因

猫用トイレの前で座る猫

猫は便秘になりやすい体質ではありますが、さらに便秘を引き起こしてしまう原因があることで、便秘の慢性化を起こしてしまいます。

便秘になる代表的な原因を見てみましょう。

水分不足

猫はもともと水分摂取をしない動物です。

ですが、他の動物と同じで、ある程度、水分は摂取しないと便が固くなり、排泄するとき痛みを伴うことで便秘を引き起こします。

腸の動きの低下

便は腸の収縮運動により肛門に運ばれることで外へ出されます。

老化によって腸の収縮運動が低下してしまい、腸内に便が滞留して便秘を引き起こすのです。

老猫ではなくても、運動不足によって便秘になることもあります。

遺伝的に便秘になりやすい猫もいます。

生まれつき尻尾が短い、無尾、鉤状に曲がった尾など「マンクス」と呼ばれる猫です。

遺伝的な問題で、腰や尻尾を構成する骨の変形がある場合があり、それによって神経が圧迫されて便秘になりやすい傾向があります。

毛玉が詰まる

猫は自分で毛を舐めて体を清潔に保ちます。

ブラッシング不足の猫やグルーミング好きな猫、ストレスなどで執拗に毛を舐めてしまう猫は、体内に自分の毛を沢山取り込んでしまいます。

毛は消化されないので腸で詰まり便秘を引き起こしてしまいます。

ストレス

引越した、ペットホテルに預けた、新しく猫が来たなどの環境変化が猫にストレスを与え、便秘を引き起こします。

また、トイレの設置位置が気に入らない、トイレの砂が気に入らない、トレイが汚れていて使いたくないなど、トイレに関するストレスでも便秘を引き起こします。

病気やケガが隠れている

腸から肛門にかけて病気や怪我が隠れていることで便秘を引き起こすことがあります。

骨盤の骨折や会陰ヘルニア、腫瘍やポリープ、肛門腺破裂などがあり、痛みでうまく力めず排便できないことがあり、腎臓病や糖尿病、甲状腺亢進症などの症状の一つとして便秘があります。

おもちゃのリボンや紐を飲み込んでしまったことによる誤飲でも便秘を引き起こすことがあります。

便秘以外に、嘔吐や食欲不振、痛がるなど症状が見られる場合は、他の病気やケガがある可能性が高いです。

必ず、飼い主さんだけの判断で対処せず、動物病院に行って相談しましょう。

薬の副作用

薬には副作用があるものがあります。

副作用によって排泄のサイクルが乱れてしまい便秘を引き起こします。

何か治療をしていて抗生剤や鎮痛剤、利尿剤や抗がん剤などを服用している場合、それが原因で便秘になっていることがあります。

薬を飲み始めてから便秘になったなど思い当たることがある場合、薬を処方した動物病院へ相談しましょう。

便秘が慢性化すると命に関わる

点滴を受ける猫

便秘を慢性化させてしまうと巨大結腸症になる危険性があります。

腸はゴムのように伸縮性があります。

ですが、便秘が慢性化することで、滞留した便によって腸が伸びきってしまい、伸縮力が低下して自力で便を排泄できなくなってしまいます。

巨大結腸症になった場合、飼主さんの指でかき出して排泄を促したり、最悪の場合、伸びてしまった腸を切除する手術が必要となります。

巨大結腸症は命に関わる病気で、便秘が慢性化した猫に多く見られます。

この病気を防ぐためにも、愛猫が便秘にならないよう生活を心掛け、万が一、便秘になってしまっても冷静に対処して慢性化させないようにしましょう。

便秘の猫への対処方法

猫をなでる男性

便秘以外に他の症状が見られ、明らかに元気がない場合は動物病院に行って相談しましょう。

便秘が軽度で家で様子を見てもよい状態であれば、飼い主さんのほうで対処してもよいでしょう。

どのような対処方法があるのか見ていきましょう。

サプリメントを与える

ペット用のサプリメントを与えるのがおすすめです。

乳酸菌やオリゴ糖など胃腸の働きを良くする効果のあるサプリメントがあります。

サプリメントはすぐに効果が現れないため、便秘になってから使用するよりも、便秘になる前に使用して予防することをおすすめします。

便秘になって症状が酷い場合は病院で薬を処方してもらいましょう。

オリーブオイルを与える

オリーブオイルをフードに混ぜて与える、オリーブオイル浣腸をするなど、オリーブオイルを使用する便秘改善方法があります。

オリーブオイルをフードに混ぜて与えることで油分が便を柔らかくする効果があります。

ただし、与える量や猫の体質によって下痢を引き起こしてしまうことがあります。

オリーブオイル浣腸は、触られるのが苦手な猫や便秘によって肛門付近に怪我をしている猫だと嫌がってしまい、最悪の場合、排便を我慢してしまうことがあります。

便秘を悪化させてしまうこともあるので、あまりおすすめはしません。

オリーブオイルを与える場合は少量から始めて様子を見ましょう。

マッサージをする

マッサージをして排便促進させましょう。

明らかに痛がる場合は、マッサージは行わず病院に相談しましょう。

猫をリラックスさせるために、撫でられるのが好きな箇所から撫でていきます。

リラックスしてきたら、脇腹からお腹にかけて揉んでいき、腸を優しく刺激しましょう。

猫がさらにリラックスできたら、横向きや仰向けにして、お腹を指先で「の」の字を書くように撫でます。

触られるのが得意ではない猫の場合、無理に触らず、食事や環境などを優先して見直しましょう。

持病がある猫もマッサージは行わず、まず病院に相談してください。

便秘をさせない環境作り

猫用トイレとスコップ

便秘になってしまうと猫も飼い主さんも辛いですよね。

便秘にならない環境作りを意識することで、便秘を防止していきましょう。

水場を増やす

特に冬場になると、猫は水分をとりづらくなります。

猫が飲みやすいように湯冷ましを与えたり、こまめに水場の水を新鮮なものに取り換えましょう。

水道の蛇口から直接水を飲むことが好きな猫や、お皿ではなくコップで水を飲むのが好きな猫など、こだわりがある猫は多いようです。

猫が積極的に水を飲んでくれるように、水分補給方法を模索しましょう。

水分補給をこまめにすることで、便秘の他に腎臓の病気を防止することにも繋がります。

食事の改善

フードが体質に合っていないと便秘になる猫もいます。

与えているフードを見直しましょう。

猫の水分補給場所を増やすことも大切ですが、猫によってはそれでも水分補給しない猫もいます。

缶詰などウェットフードなど水分が多いフードを食べさせて水分補給させてもよいでしょう。

猫草など食物繊維を与え腸の動きを活発化させることもおすすめです。

猫草を食べることで、飲み込んだ毛玉の排泄もしやすくなるので、毛球症の予防に繋がります。

こまめなブラッシング

こまめにブラッシングをすることで、猫が飲み込む毛を減らすことできます。

特に長毛種の猫は毛を飲み込む量が多く毛玉にもなりやすいので、ブラッシングはしっかり行いましょう。

トイレの改善

猫は綺麗好きな動物なので、一度使ったトイレは使いたがりません。

飼い主さんは猫がトイレで排泄したら、できるだけ早く片付けることを意識してあげましょう。

そしてトイレの場所は静かで落ち着く場所に設置してください。

また、トイレの砂の種類やトイレの大きさが猫に合っていないとトイレで排泄をしたがらないことがあります。

猫に合ったトイレを設置しましょう。

また多頭飼いの場合は、他の猫が排泄したトイレでは排泄したがらない猫は多いです。

それぞれの猫がスムーズにトイレを使えるように、トイレは複数設置しましょう。

猫の数プラス1つ多くトイレを設置が理想といわれています。

誤飲させない環境作り

猫が誤飲しないように、猫が好んで齧る素材の物は片づけるように心がけましょう。

誤飲しやすい壊れやすいおもちゃは飼い主さんと猫が一緒に遊ぶときのみ使うようにして、それ以外の時間は片づけておくようにしましょう。

一緒に遊ぶことで、猫の誤飲を防止し運動不足を解消しながらコミュニケーションを深めることができます。

まとめ

飼い主に抱かれ眠る猫

猫は周りに病気やケガを気づかれないように隠す習性があるといわれていて、飼い主さんが便秘に気付いたときには重症化していることもあります。

そのような事態を防ぐためにも、日頃から便秘にならないような環境作りを行い、毎日、愛猫の健康チェックをするように意識しましょう。

便秘以外に症状がある、明らかに猫の元気がない、痛がったり苦しんでいる場合は、飼い主さんだけの判断で対処せず、必ず動物病院に相談してください。