犬が外でしかトイレをしない理由は?成犬から始めるトイレトレーニング!
雨の日も風の日も、雪の日も台風の日も……。「うちの愛犬が、外でしかトイレをしない!」とお悩みの方は多いのではないでしょうか?
今回は、犬が外でしかトイレをしない理由や、成犬になってからでも始められるトイレトレーニングの方法などをご紹介します。
犬の心理を知り、お互いにストレスのない生活を目指しましょう。
犬のトイレ事情について学ぼう
犬が外でしかトイレをしない理由を解説する前に、まずは犬のトイレの基本知識について学びましょう。
犬は排泄を我慢できる
犬は、人間と同じように「トイレを我慢できる生き物」であることはご存じでしょうか?
成犬は1日に平均2回、体重1kgあたり約25~40ml程度のおしっこをします。うんちは、1日平均2回程度です。
排泄を我慢できるのは12時間ほどが限界であり、極論をいえば成犬は「1日2~3回」のトイレで済ませられます。
しかし、排泄の我慢には相応のリスクがあるものです。さまざまな病気の原因にもなり、当然精神的にもストレスがたまります。
決して「我慢できるから行かなくてもいい」わけではないのです。
犬は元から外で排泄する生き物
現在ペットとして飼育されている犬のルーツは、狼だといわれています。
狼は外敵から狙われることを避けるため、排泄は「巣穴の外」で行う習性があります。この習性は、巣穴に自分の臭いを残さないための工夫です。
そのため、犬にも「巣穴外での排泄」の習性が残っており、トイレトレーニングを行わない限りは外でトイレをすることが自然なのです。
また、しつけを行っても「犬の生き物としての習性」の名残で、本来は外でのトイレを好みます。
犬が外でしかトイレをしない理由
外でトイレをしても怒られなかった
過去のお散歩中にトイレをしても怒られなかった場合、犬は「外でのトイレ=悪いことではない」と覚えます。
飼い主さんにとっては「少しくらいならいいか」という軽い気持ちだったかもしれませんが、犬は「ここでトイレをしてもいいと容認された」と認識してしまうのです。
元々外飼いだった
現在は大型犬でも室内飼育をしているケースが多いですが、中には家の外で犬を飼育しているご家庭もあるでしょう。
元々室外飼育されていた犬は、外(庭や軒先などを含む)でトイレをするのが当たり前です。
途中から室内飼育に切りかえてもトイレの習慣を変えられず、いつまでも「トイレの場所=外」と認識してしまいます。
室内のトイレにトラウマがある
過去のトイレトレーニングで失敗したときに、犬を激しく怒ってしまった経験はないでしょうか?
犬は何が間違っているのかもわからない状態で大好きな飼い主さんに怒られてしまい、ショックで「室内でトイレをすること=悪いこと」と覚えてしまっている可能性があります。
外でのトイレが習慣化している
普段から散歩中のトイレが当たり前の状態では、犬は「散歩=トイレタイム」と認識します。
つまり、私たちがお手洗いでしかトイレをしないことと同じように、「散歩はトイレをするタイミング」と思っているのです。
「トイレの場所やタイミング」が決まっているのに、わざわざ家の中でする必要はありませんよね。
そもそも室内でのトイレトレーニングを行っていない
犬は元々、室内よりも室外でトイレをすることを好む生き物です。
そのため、トイレトレーニングをしていない、もしくは途中で中断した場合は、外でのトイレが習慣化する傾向があります。
室内か室外、どちらか好きな方を選べると判断した結果、外を選んだというケースです。
犬が外でしかトイレをしないことによるトラブル
悪天候の日でも散歩をする必要がある
犬が外でしかトイレをしない場合、いくつもの不安が懸念されます。
まず一つ目は、悪天候の日でも散歩をする必要があることです。
雨の日はもちろん、記録的な台風の日でも、目を開けないほどの吹雪の日でも、犬のトイレのためだけに散歩をさせなくてはいけません。
安全面や衛生面での問題はもちろん、飼い主さんの精神的・肉体的負担も大きくなります。
災害時や緊急時に我慢をさせてしまう
外でしかトイレができないと、災害時に外出できなくなった際にトイレ自体を我慢することになってしまいます。
避難所で愛犬と過ごすことになったら、周囲の人たちに迷惑をかけてしまうかもしれません。
また、飼い主が体調を崩したときも不安が募ります。高熱や咳などで体調が悪くても散歩に行かねばならず、特に一人暮らしで犬を飼育している人にとっては大きな問題です。
旅行先やペットホテルで不安が募る
現在は犬と一緒に宿泊できるホテルもありますが、外でしかトイレができない場合は長時間我慢をさせてしまう可能性があります。
また、ペットホテルでは散歩の時間が決まっているため、室内のシートにトイレができないと体調を崩したりストレスをためたりしてしまうでしょう。
トイレをするまで室内に戻れない場合は、ペットホテルスタッフの負担も増えることが予想されます。
トイレを我慢することによって病気になる可能性
飼い主さんのライフスタイルによっては、長時間お散歩に出られないケースもあるでしょう。
犬はある程度はトイレを我慢できる生き物ですが、我慢が常習化されると膀胱炎や尿路結石などのさまざまな病気を発症するリスクが高まります。
ご近所トラブルの原因になる
外でトイレをするということは、他所様の敷地内で排尿や排泄をする可能性があるということです。
もしも知らない犬が自宅の表札の前でトイレをしているのを見たら、たとえ犬好きの人であってもいい気持ちにはなりません。
外でのトイレは、ご近所トラブルを誘発する可能性もあるのです。
しつけを行わない限り自然には直らない
上記に挙げた問題点は、「正しいしつけを行わない限り、自然に直らないことはほぼ確実」だと覚えておきましょう。
犬はトイレをするとき、嗅覚や足裏の感覚などともリンクして尿意や便意を催します。
五感でも習慣化されている以上、直したい場合は意識的なトイレトレーニングが必要です。
外でしかトイレをしない犬をしつける方法
トイレを外から中に少しずつ移動させる
外でしかトイレをしない犬のトレーニングでは、まずは「疑似的な室外」にトイレを置くことから始めます。
ベランダや庭、玄関前など「完全な室外とはいえないが、限りなく外に近い場所」にトイレを設置しましょう。
うまくトイレができない子は、より遠めの場所から始めても構いません。
成功したら数日後に数cmほど近づけ、さらに数日後にまた少し近づけ……という方法を繰りかえします。
途中で失敗をしたらまた少し遠ざけ、長い目で見守りましょう。
トイレの上に草や土を被せる
犬が普段からトイレをしている場所に似せるために、トイレシートの上に草や土を被せましょう。
特に芝生や植木でトイレをしている犬には、シートへの抵抗が薄れ、自然な排泄が期待できます。
犬はトイレをする場所を嗅覚や足裏の感覚でも判断しているため、記憶と排泄場所を紐づける方法です。
横に寄りそって歩くしつけをする
外でトイレをするときに植木や道の端に寄るタイプの子は、トイレトレーニングとは別に「飼い主に寄りそって歩く訓練」をしましょう。
いつでもピタリと並んで歩くようにしつけることで、トイレを誘発する場所に近づく機会を減らします。
マーキング癖に困っている飼い主さんにもおすすめの方法です。ぜひお試しください。
トイレのときの「号令」を覚えさせる
外でトイレをするときに、「シーシー」「おしっこ」「うんち、うんち」などのように特定の号令での声かけを行いましょう。すると、犬の中で「トイレ=号令」が紐づき、室内でも号令をかけることで排泄を促せます。
号令のタイミングでトイレをしたときに褒め、「トイレ」「号令」「褒められる」をセットで印象づけるのがポイントです。
毎回のトイレの度に号令をかけ、根気よく続けましょう。
臭いつきのシートを利用する
犬は、自分のおしっこの臭いがする場所でトイレを行う習性があります。散歩のときにトイレシートを持ち歩き、犬がおしっこをしたら染み込ませて持ちかえりましょう。
帰宅後、室内のトイレに「臭いが染み込んだシート」を装着してトレーニングを行うと、より高い効果が期待できます。
成犬からのトイレトレーニングのポイント
時間にゆとりを持つ
成犬になってからトイレトレーニングを始める場合、犬自身に「トイレの癖やタイミング」が染みついてからのしつけになります。
そのため、室内でトイレをさせようとしても人と犬の根気勝負になることもしばしば。時間にゆとりがある時期にしつけを始めることをおすすめします。
「1回のトレーニングは1時間まで」のように時間を決めることで、愛犬の体の負担も最小限にできるでしょう。
精神的にもゆとりを持つ
成犬になってからのしつけは、性格や年齢によっては長い期間が必要になります。
すんなりと覚えてくれなかったり、一度は成功してもまた失敗してしまったりするケースも考えられます。
飼い主さんにとっては焦りやストレスを感じるかもしれません。
しかし、最も不安や違和感を抱いているのは、今までのトイレの習慣を変更させられる愛犬です。
人のためにも犬のためにも、飼い主さんが精神的に余裕のあるタイミングでしつけを行いましょう。
「叱らず褒めるしつけ」を行う
トイレトレーニングの最中に失敗をすると、ついイライラして叱りたくなるかもしれません。飼い主さんも感情のある人間ですから、いつでも優しくニコニコ対応するのは難しいですよね。
しかし、犬はトレーニング中に叱られると「自分がなぜ叱られているのか」がわからなくなってしまうことがあります。
場所を間違えたからなのか、時間を間違えたからなのか……。場合によっては「おしっこやうんちをしたこと自体を怒られた」と間違った認識を持ってしまう可能性もあります。
排泄行為そのものに不安感を抱いてしまうかもしれないため、基本は「叱らず褒める」を心がけてくださいね。うまくできたときには、目いっぱい褒めてあげましょう。
犬だけでなく飼い主さんの心の負担を減らすためにも、「時間的・精神的に余裕のあるタイミングで行うこと」が大切なのです。
散歩の回数は減らさない
散歩中にしかトイレをしない犬のしつけとして、「散歩を我慢させれば家の中でトイレをしてくれるかも」と思う飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、散歩の回数を減らすことは犬にとって非常に大きなストレスになります。
散歩の役割は、トイレや運動不足解消のみではありません。散歩は犬と世界をつなぐもので、社交性を養うための手段でもあります。
気分転換にもなるため、適切な量の散歩を行うことで精神的にも安定します。
室内のトイレトレーニングを行っている最中でも、散歩は今まで通り行いましょう。
事前に動物病院で検査をしておくと安心
もしも1日のトイレの回数が多い場合は、病気や老化によって膀胱周りの筋肉が衰えている可能性も考えられます。
特に腎不全や糖尿病などの病気では、水を多く飲んだり残尿感を覚えたりすることが特徴です。
本格的なトイレトレーニングを行う前に、動物病院で健康診断を受けておくと安心でしょう。
外に出られない日の過ごし方
室内でのトレーニングが完了していないのに、急な病気や怪我などで「どうしても外に出られない日」もあるでしょう。
「緊急事態だから犬には我慢してもらって……」というのは、残念ながら人間側の都合です。もしもの場合を考えて、いくつかの対処法を準備しておく必要があります。
以下の例をご参考にしてくださいね。
・臭いの付いたシートを準備しておく
・「疑似室外」用の土や草を準備しておく
・緊急時に散歩に連れていってくれる家族・友人を確保する
・平常時にペットシッターさんを調べておく
・ベランダや庭など手頃な場所でのトイレに慣れさせておく
・どうしてもトイレをしないときのために動物病院の連絡先を調べておく
・緊急時用のペットホテルを連絡先に入れておく
もしものときに備え、普段から「室内トイトレ」をしておくに越したことはありません。人と犬の心身の負担をケアするためにも、今日からでもトレーニングを開始してみてはいかがでしょうか?
まとめ
今回は、犬が外でしかトイレをしない理由や、トイレトレーニングの方法などをご紹介しました。
成犬からのトイレトレーニングは、子犬時代以上に飼い主さんの根気が必要になる場合もあるでしょう。
諦めない気持ちも大切ですが、最優先に考えるべきは愛犬の精神状態です。
無理のないペースで少しずつ覚えてもらいながら、人も犬もストレスのないトイレスタイルを目指しましょう。