夏までに知っておきたい!長毛猫の暑さ対策。サマーカットはするべき?
夏は、長毛種の猫たちにとってつらい季節です。
暑さでストレスがたまるだけではなく、蒸れによる皮膚病や熱中症のリスクが高まります。
今回は、夏における長毛種の暑さ対策についてご紹介します。
サマーカットのメリット・デメリットもお伝えしますので、長毛種の飼い主さんはぜひ参考にしてくださいね。
長毛猫は夏の暑さに弱い!
猫は、もともと暑さには強い生き物です。
猫のルーツはリビアヤマネコというアフリカ・中近東に生息する野生種といわれており、砂漠やサバンナで暮らしていました。砂漠の暑さとともに生きてきた強さは、現在の猫にも受けつがれています。
しかし、現在ペットとして飼育されている猫は、ペット・家畜用として長い年月をかけ品種改良をされて生まれたものです。人と猫の歴史の中で「暑い地域で生息することを想定されていない描種」である長毛種が生まれ、高温多湿の日本でも飼育されています。
温度・湿度ともに高い日本の夏は、長毛種には過酷な環境です。特にサイベリアンやノルウェージャンフォレストキャットなどの寒い国で生まれた描種であれば、よりつらさを感じるでしょう。
猫は暑さに強い生き物とはいえ、暑さに耐えることが苦手な長毛種の場合は、飼い主が快適な環境を整える必要があるのです。
要注意!猫の熱中症のサイン
猫の熱中症は、人間と同様に命に関わる危険性があります。
以下のサインが現れたら熱中症を患っている可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。
・ソワソワと落ちつきがない
・目や口の粘膜が赤い
・体温が高い(猫の平熱は約38℃)
・ハアハアと口呼吸をしている
・食欲がない
・心拍数が増えている
・よだれを垂らしている
・疲れていて元気がない
また、熱中症の症状が進むと、嘔吐や下痢、震え、脱力、運動失調(まっすぐ歩けない・フラフラするなど)が現れます。重度になると意識がなくなったり痙攣を起こしたりと、一刻を争う状態になります。
熱中症を早期発見・早期対処することも重要ですが、猫の生命や健康を脅かさないためには普段からの熱中症予防を心がけましょう。
暑さに弱い長毛種であれば、短毛種よりも確実な対策が必要です。
長毛猫のための夏の暑さ対策
冷房による温度調節をする
長毛猫の暑さ対策の基本は、冷房による温度調節です。
個体差はありますが、長毛猫にとって快適な気温は20~28℃といわれています。夏は27℃前後を目安に設定し、お留守番のときにも暑さに苦しむことがないように配慮しましょう。
猫用の冷却アイテムを使う
空間全体の温度を整えつつ、猫がお気に入りの場所にペット用の冷却マットを置いてあげることをおすすめします。
電気を必要としないアイテムのため、コストパフォーマンスが高く、1度購入すれば長く活躍してくれます。
また、気温が高い日の移動時にはキャリーケースの中に敷いて活用することも可能です。
十分な量の飲み水を準備する
猫は水を飲むことで体を内側から冷やし、体温調節をします。
新鮮な飲み水がいつでも飲めるように、常に十分な量を用意してあげてください。
お留守番のときには、飲み水を何か所かに分けて設置すると安心です。
水を入れたペットボトルを凍らせる
猫は「流れている水」に興味を持つ習性があります。
器の上に凍ったペットボトルを立たせておくと、表面に浮かんだ結露を舐める子が多いです。
空間の冷却にも役立つため、冷凍庫に猫用の余分なペットボトルを用意してあげましょう。凍らせる中身は水道水で構いません。
凍らせたおやつを与える
凍らせた液状のおやつは、内側から猫の体温を下げられるため、熱中症・脱水防止に役立ちます。
また、夏の外出時のおやつにもおすすめです。
与えすぎはお腹を壊してしまう可能性があるため、猫の体調と相談をしながら少しずつあげてくださいね。
こまめにブラッシングする
体に熱をこもらせないためにも、毎日こまめにブラッシングをして抜け毛を取りのぞきましょう。
特に長毛種は抜けた毛がすぐに落ちずに、皮膚の近くで絡まっていることが多いです。
最低でも1日1回、できれば1日2回のブラッシングを心がけ、いつでも快適な状態にしてあげてください。
サマーカット
長毛種ならではの夏の暑さ対策といえば、サマーカットです。
豊かな被毛を刈ることで体感温度を下げ、熱中症のリスクを大幅に下げられます。
サマーカットでは首から上と尻尾の部分を除き短くカットするため、独特のキュートさとユニークさのある見た目になり、愛猫の新しい一面を見ることができますよ。
しかし、サマーカットにはメリットとデメリットがそれぞれあるため、獣医師さんと相談することをおすすめします。
次項から長毛種のサマーカットについて詳しく解説するため、ぜひ参考にしてくださいね。
サマーカットのメリット
通気性が格段に良くなる
長毛種の豊かな被毛は体温を維持しやすく、冬は寒さ対策に役立ちます。
しかし夏の暑い時期は、気温が体温よりも上がるとうまく体温調節ができず、熱中症の危険性が高まります。
サマーカットをすることで通気性が格段に改善され、熱がこもりづらくなり熱中症の予防が期待できるでしょう。
抜け毛の量が減り掃除が楽になる
サマーカットをしても被毛の本数はほぼ変わりませんが、長さが短くなることで抜け毛の量が激減します。
さらに普段のブラッシングで多くの抜け毛をケアすることでカーペットや服に付着する抜け毛が減り、掃除も楽になるでしょう。
毛玉ができにくくなる
長毛種特有の悩みのひとつが、一年を通してできる毛玉です。
サマーカットにより被毛が短くなることで毛玉ができづらくなるため、皮膚がつれて痛むこともなくなります。
また、グルーミングにより飲みこむ被毛の量も減るため、毛玉の吐き戻しや毛玉症(もうきゅうしょう)のリスクも減ります。
たまった毛玉をケアできる
長毛種の毛玉は、毎日ブラッシングをしていてもなかなか完璧にはケアできないものです。
特に脇の下やお腹など猫が触られるのが苦手な部分は、毛玉や絡まりが発生しやすいでしょう。
サマーカットを行うことで、現在生じている毛玉や絡まりを一斉にケアできます。
毛が短いうちからまたブラッシングを続ければ、生えそろう頃には今よりも美しい被毛が見られるでしょう。
皮膚病の予防・早期発見につながる
日本の夏は湿度が高いため、雑菌やウイルスが繁殖しやすい季節です。
サマーカットにより毛を短くすることで蒸れを防ぎ、皮膚病の予防につながります。
また、皮膚の状態を観察しやすくなるため、早期発見にも役立ちます。
サマーカットのデメリット
日光性皮膚炎の可能性が上がる
猫の被毛は暑さ・寒さからだけではなく、日光による紫外線からも皮膚を守っています。
サマーカットをすることで皮膚に直接紫外線が当たってしまい、日光性皮膚炎になるリスクが上がるのがデメリットです。
日光性皮膚炎になると、軽度ではフケや赤みが現れます。
日光性皮膚炎になった部位が紫外線を浴び続けると扁平上皮(へんぺいじょうひ)がんという皮膚がんに進行する可能性があり、注意が必要です。
グルーミングの感覚が変わりストレスになる
猫にとって、自分の被毛を舐めるグルーミングは日常的な行為です。
サマーカットをすると毛の長さや舌の当たり具合が変わるため、猫がストレスを感じる可能性があります。
サマーカットの施術自体が大きなストレスになる
猫は犬と違い、普段からトリミングに通っている子は少ない傾向にあります。
そのため、サマーカットのための長時間の拘束が大きなストレスになってしまうでしょう。
また、サロンでサマーカットを行う場合は主にバリカンを使用しますが、大きな音を怖がる子も少なくありません。
猫によっては全身麻酔が必要になる
サマーカットの施術時に暴れてしまう子は、猫やトリマーの安全のために全身麻酔をする可能性があります。
全身麻酔の際には、事前の血液検査が必要です。猫への身体的なストレスが増えるのはもちろん、費用も高くなってしまいます。
毛が綺麗に生えそろわない可能性がある
猫は、サマーカット後の被毛の感覚に違和感を抱くものです。
普段よりも多めにグルーミングをしたり、同じ場所を何度も舐めたりすると、伸びかけの毛が途中で切れることがあります。
被毛の長さが戻ったときに、全体のバランスが崩れてしまう可能性があるでしょう。
舌で傷つけてしまう可能性がある
グルーミングのしすぎは、被毛だけではなく皮膚自体にもダメージを与えます。
猫のザラザラの舌で舐められつづけた皮膚は傷つき、炎症の原因になる可能性があります。
体温管理が困難になる可能性がある
猫は本来、呼吸や飲水、被毛を保つことで体温管理を行う生き物です。
飼い主がよかれと思って行ったサマーカットにより、被毛の体温管理能力が下がり、体調を崩してしまう可能性があるでしょう。
夏対策!長毛猫のサマーカットのコツ
期間をかけて少しずつカットする
サマーカットを行う際は、グルーミングの違和感を減らすために数週間~数ヵ月かけて少しずつ短くしていくことをおすすめします。
特にサロンに頼まず自分で行う場合は、皮膚から遠い場所から少しずつハサミで切り、ストレスを緩和させましょう。
カット前に獣医師に相談する
サマーカットが猫にとって快適か否かは、猫の性格や体質によって変わります。
不安であれば事前に獣医師に相談し、猫にとって最もストレスの少ない選択をしましょう。
個体によっては、サマーカットにせずとも快適に過ごせる方法が見つかるかもしれません。
毛玉ができやすい部分のみカットする
体全体のサマーカットが難しい場合は、特に毛玉ができやすい部分・蒸れやすい部分のみをカットするのもよいでしょう。
特にバリカンの音が苦手な子や人見知りが激しい子の場合は、慣れ親しんだ飼い主さんがハサミでケアできる部分のみのカットでも十分です。
怪我をしないようにインテリアを変更する
猫の被毛は、外的刺激から守るためにも役立っています。
サマーカット後は皮膚までの距離が短く怪我をしやすい状態になっているため、角のある家具をどけて安全な環境を作ってあげてください。家具の周りに布を巻く・貼りつけるなども怪我防止に有効です。
多頭飼いの際は体感温度の差が出ないように配慮する
複数匹の猫を飼育している場合は、サマーカットをした猫としていない猫で体感温度に差が出ます。
どちらかに合わせてもう片方が体調を崩すことのないように、すべての猫が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
まとめ
今回は、長毛猫の夏の暑さ対策についてご紹介しました。
サマーカットは熱中症予防に有効な方法ですが、猫によっては大きなストレスの原因になる可能性があります。
獣医師やトリマーさんと相談しつつ、猫にとって心身の負担が少ない方法で暑さをケアしてあげてくださいね。