犬がマカデミアナッツを食べたらどうなる?症状・対処法を解説!
数あるナッツの種類の中でも、マカデミアナッツは少しゴージャスなイメージがありますよね。香ばしい味わいが特徴的で、スイーツのトッピングにもよく使われます。
そんなマカデミアナッツですが、実は犬に与えると中毒を起こしてしまうことをご存知でしょうか。
今回は、犬のマカデミアナッツ中毒の症状や対処法についてご紹介します。マカデミアナッツの危険性を学び、愛犬の健康を守りましょう。
犬がマカデミアナッツを食べたときに現れる症状
嘔吐・下痢
犬はマカデミアナッツを食べると、中毒症状を起こしてしまいます。
代表的な症状が嘔吐や下痢です。体にとって異物であるマカデミアナッツを吐き出そうと嘔吐したり、消化しきれなかったマカデミアナッツが下痢として排出されたりします。
脱力・歩行困難
マカデミアナッツ中毒では、体の力が抜けてグッタリしてしまう症状が特徴的です。しっかりと立てず、真っ直ぐ歩けなくなります。症状が重い場合は、横になったまま立ち上がれなかったり動けなかったりすることもあります。
発熱
犬の平均体温は約37.8~39.3℃程度ですが、マカデミアナッツを食べることで体温が上がります。
発熱の症状だけではマカデミアナッツ中毒だとは気付きづらいため、他の症状が併発して初めて中毒を疑う場合も多いでしょう。
震え・痙攣
マカデミアナッツ中毒では、体の震えや痙攣などの明らかな異常が見受けられます。
マカデミアナッツ中毒における痙攣は神経障害ではなく、筋肉障害によって引き起こされるものだといわれています。
喉に詰まらせる
マカデミアナッツを勢いで飲み込んでしまうと喉に詰まらせる可能性があります。
犬は食べ物を咀嚼する習慣がほぼないため、大きなサイズでも丸飲みしてしまうのです。
マカデミアナッツが犬に影響を与える理由
犬の体に明らかな悪影響を与えるマカデミアナッツですが、実は中毒を引き起こす原因はいまだによくわかっていません。
過去の症例から共通して導き出される症状はあるものの、マカデミアナッツのどの成分がどのようなプロセスで中毒を引き起こすかは解明されていないのです。
マカデミアナッツ中毒の時間・量は?
マカデミアナッツ中毒が起こる時間
マカデミアナッツ中毒は、食べてから平均6~24時間の間に症状が現れます。
しかし症状が現れるまでの時間には個体差があり、1時間以内に現れる子もいれば数日後に現れた例もあります。多くの場合、食べてから12時間以内に現れます。
マカデミアナッツ中毒が起こる量
マカデミアナッツ中毒はまだ解明されていない部分が多いですが、少し舐めてしまった程度では中毒症状は現れないことが多い傾向にあります。
症状が現れる量は、体重1kgあたり0.7~4.9gといわれており、平均3.5gの量を食べると現れるといわれています。これは、体重3kgの犬がマカデミアナッツ1~8粒を食べてしまったときの量に相当します。
発症量にかなり差があると思うかもしれませんが、それだけ個体差が大きく、解明されていることが少ない中毒なのです。
マカデミアナッツ中毒が収まるまでにかかる時間
マカデミアナッツ中毒は、症状が現れてから平均24~48時間以内に治まることがわかっています。
しかし多くの場合は症状が治まるまで放置するわけではなく、催吐処置を始めとする対症療法が行われます。
開腹手術や胃洗浄などの大きな処置はされないことが一般的ですが、食べたマカデミアナッツの大きさや量によって腸閉塞が疑われる場合はこの限りではありません。
マカデミアナッツの致死量
過去にマカデミアナッツ中毒で死亡した例はありません。そのため明確な致死量もわかっていないのが現状です。
しかし摂取量によっては当然命が危険に晒される危険性があり、嘔吐や下痢から深刻な脱水症状を起こすことも考えられます。
後遺症についてもわかっていないため、死亡例がないとはいえ無闇に与えるべきではありません。
犬がマカデミアナッツを食べたときに取るべき行動
すぐに動物病院に連れて行く
犬がマカデミアナッツを食べてしまったときは、目に見える症状が出ていないからと楽観視せずすぐに動物病院を受診しましょう。
マカデミアナッツ中毒は症状が現れるまでにタイムラグがあり、翌日に容態が急変することもあります。パニックにならないためにも、普段から緊急時に連絡が取れる動物病院を把握し、目に見える場所にメモをしておくことをおすすめします。
食べた量や時間、経過をメモする
動物病院を受診する際には、細かな情報があるほど診察がスムーズになります。食べたマカデミアナッツの量や時間、食べてから今までの犬の変化・経過をメモしておきましょう。
マカデミアナッツの成分表示がわかるパッケージがあればよりよいでしょう。
症状が出ていなくても数日間観察をする
マカデミアナッツを舐めた程度であれば、中毒症状が起こらないケースが多い傾向にあります。数日間観察した上で違和感がないかをチェックしてください。
発症まで平均最長24時間、中毒状態の緩和まで平均最長48時間かかるため、72時間経過後も様子に変化がなければ安心と思って差しつかえないでしょう。
マカデミアナッツを食べたときの病院の対応
問診・検査
マカデミアナッツを食べて動物病院を受診した際には、緊急性が高くなければ問診から始まります。
飼い主さんから提供される情報と犬の状態を元に、摂取量や中毒症状の進行状態などを推定します。
全身状態を詳しく知るために、血液検査や血液化学検査、尿検査、超音波検査などを行うこともあるでしょう。
催吐処置
マカデミアナッツを食べてからあまり時間が経過していなければ、吐き出させることによって消化・吸収される量を減らせます。
催吐処置や医療用活性炭の投与を行い、少しでも吐かせて容態を軽くする処置が取られます。
輸液療法
既に体にマカデミアナッツが吸収されている場合、成分を可能な限り早く体外に出すために輸液療法を行うことがあります。
対症療法
マカデミアナッツ中毒は命に重大な危険を及ぼすことが少ないため、個体それぞれの症状に合わせた対症療法が行われます。
例えば高熱には解熱剤、下痢には整腸剤、痛みがあれば鎮痛剤などが代表的です。
マカデミア以外のナッツ系の食べ物は大丈夫?
基本的には命に別状なし
マカデミアナッツ以外のナッツ食品は、犬に与えても重篤な症状を起こす危険性は低いでしょう。
マカデミアナッツ中毒で現れる歩行困難や痙攣などは見受けられません。
消化不足に注意
命に別状はないとはいえ、ナッツ食品は軽度な体調不良を引き起こす可能性があります。
とくにピーナッツは消化が悪いため、食べ過ぎると嘔吐や下痢の原因になります。
またカシューナッツやヘーゼルナッツ、ブラジルナッツなどは犬が食べた例が少ないため与えるべきではありません。
高脂質・高カロリーで肥満の原因に
犬に比較的与えやすいナッツ食品は、アーモンドです。素焼きを少量であれば与えても構いませんが、アーモンドは高脂肪・高カロリーで肥満の原因になります。またピーナッツと同様に消化吸収が悪いため、与えすぎは肥満や嘔吐、下痢などの原因にもなるでしょう。
与える際は特別な日のご褒美として、犬の様子をチェックしながらごく少量ずつ与えることをおすすめします。
高カロリー食としては総合栄養食や犬用おやつもあるため、日常的にアーモンドを与える必要はありません。
ピーナッツ・くるみ
ピーナッツやくるみには、リンやマグネシウムが多く含まれています。食べ過ぎることで尿路結石を引き起こすリスクが上がるため、積極的に与える必要はないでしょう。
ナッツの加工品
犬にナッツの加工品を与えるのは基本的にNGです。ピーナッツバターやナッツ味のお菓子には多くの脂質や糖質が含まれており肥満の原因になります。
とくにマカデミアナッツの場合は、チョコレートがコーティングされたお菓子に注意しましょう。ナッツと一緒にチョコレートを摂取してしまった場合は、中毒により命に関わる症状が現れます。
マカデミアナッツ中毒防止のために飼い主さんができること
ここでは、マカデミアナッツ中毒を防止するためにできることをご紹介します。マカデミアナッツ以外の食べてはいけない食べ物にも使えるため、ぜひ参考にしてくださいね。
犬の手の届く場所にお菓子を置かない
マカデミアナッツ中毒を防止するためには、犬の手の届く場所にお菓子を置かないことが大切です。
しっかりと引き出しの中に入れたと思っていても、飼い主さんが目を離した隙に引き出しを開けてしまう子もいます。またビニール袋に入れていても、袋ごと食い破られてしまうこともあるでしょう。
立ち上がっても届かない高さの場所にしまうか、蓋が硬く閉まるような入れ物を利用しましょう。
食べるときはこぼさない量を少しずつ
飼い主さんがマカデミアナッツを食べるときは、こぼさないように少しずつ食べることをおすすめします。こぼれたものを犬が食べてしまうと少量でも体に支障をきたす場合があるため、小さな欠片も落とさないような食べ方を心がけてください。
食べる際は食べかけをテーブルに置きっぱなしにせず、常に手に持つようにしてくださいね。犬と離れ別室で食べるのもよいでしょう。
ゴミはすぐに捨てる
愛犬の誤飲・誤食防止のためには「食べ終わったゴミはすぐに捨てる」ことを徹底してください。
お菓子の袋だけではなく、お皿に残った食べカスも同様です。目を離した隙に犬がペロペロと舐めてしまわないように、「食べる」と「片付ける」はセットで行う習慣を付けましょう。
普段から人間の食べ物を与えない
犬がマカデミアナッツを食べてしまう可能性を減らすためには、普段から人間の食べ物を与えない努力が必要です。
犬は、どの食べ物が危険かを判断できません。日常的に人間の食べ物を食べていると、マカデミアナッツのように中毒性がある食べ物でも気にせずに欲しがってしまいます。
人間と犬の食事は分け、同じ食べ物を食べる習慣を作らないように心がけましょう!
まとめ
今回は、犬のマカデミアナッツ中毒の症状や対処法をご紹介しました。
マカデミアナッツを始め、ナッツ食品は犬によい影響をほとんど与えません。脂質やカロリーが高いためエネルギーになりやすく香ばしさから犬に好まれやすいことがメリットですが、内臓の不調を中心にデメリットが目立ちます。
基本的に人間の食べ物は与えないことを前提とし、もし犬がマカデミアナッツを食べてしまったときには速やかに動物病院を受診しましょう。
飼い主さんが最も心がけたいのは、楽観視をしないことです。愛犬の体を最優先に考え、ベストな選択をしてあげてくださいね。
公開日:2020/10/14 最終更新日:2022/8/23