ラガマフィン猫ってどんな猫?知っておきたいラガマフィンの基本情報
現在、世界には100種類を超える描種が存在します。
どの描種もそれぞれの個性や魅力があり、比べられるものではありません。しかし、その中でも「まるでぬいぐるみみたいに可愛い!」と人気が高い描種のひとつがラガマフィンです。
今回は、ラガマフィンの性格や特徴、飼育のポイントなどをご紹介します。
フワフワの被毛に穏やかな性格と、多くの魅力を持つラガマフィン。この記事を通して、ラガマフィンの愛らしさをより深く知ってくださいね!
歴史
ラガマフィンの誕生にはユニークな歴史があります。
もともとラガマフィンは、ラグドールという長毛猫がベースとなっています。
ラグドールはアメリカのブリーダーであるアン・ベイカーが誕生させましたが、アンはIRCA(International Ragdoll Cat Association)という組織を作り「IRCAに登録したブリーダーしかラグドールという名前を使えない」という厳しい規律を作りました。
つまり、ラグドール自体を商標登録したのです。
そのため、IRCA登録ブリーダー以外がラグドールの名前を使う際にはIRCAに金銭を支払わなくてはなりませんでした。
この規律に反発したブリーダーたちが作ったのがRFCI(Ragdoll Fanciers Club International)です。RFCIはラグドール愛好会のような団体で、自分たちの猫に「ラガマフィン」と名付けて品種登録を行い、独自の繁殖を始めました。
しかしRFCIには不安がありました。それは、ラグドール同士を近親交配させることで健康上のリスクが高まることです。
この不安を払拭するため、RFCIのブリーダーたちはラグドールにペルシャやヒマラヤンなどの別の描種をかけ合わせ、先天性の病気のリスクを低下させました。この方策が功を奏し、ラガマフィンはラグドールとは違った特性を持つ描種として確立しました。
「ラガマフィン」という名前はRFCIのメンバーが冗談のつもりで仮登録をしたのですが、後から変更を要請しても却下されてしまったため、今でもこの名前で通っているという逸話も面白いですよね。
大きさ
猫の体型のタイプは、オリエンタル・コビー・セミコビー・フォーリン・セミフォーリン・ロング&サブスタンシャルの6種類です。ラガマフィンは、この中でも最も大きいロング&サブスタンシャルに属します。
ロング&サブスタンシャルは長くがっしりとした胴体が特徴で、太い手足を持つ大型の猫のタイプです。ラガマフィンもフワフワとした見た目とは裏腹に筋肉質な体格をしています。
成猫の大きさはオスは6.9~9kg、メスは4.5~7kgが標準です。一般的にはメスよりもオスのほうが大きく、中には10kgを超えるサイズの子もいます。
毛色
ラガマフィンの被毛は、別名を「カラフルラグドール」と呼ばれるほどカラーバリエーションに富んでいます。
クリームやグレーなどの単色から複数色が混ざったカラーまで、さまざまな色があることもラガマフィンの魅力のひとつです。
多くの描種の血を継ぐラガマフィンならではといえるでしょう。
ただし、ポインテッド(白色系の体毛に顔・耳・尻尾・足などの先に濃い色が入った毛色)はラガマフィンの色とは認められていません。
体の特徴
ラガマフィンの被毛はフワフワとしていて触り心地がよく、ずっと触れていたくなる気持ちよさがあります。まるでぬいぐるみのように豊かな被毛で、テディ・ベアに例えられることもあるそうです。
体の成長に時間がかかる描種であり、1歳を超えても体が大きくなります。完全な成猫のサイズになるまでには約4年の歳月がかかります。
頭はやや幅が広く、丸みのあるくさび型です。
やや吊り上がった目は丸く大きく、瞳の色もバリエーション豊かです。被毛と併せてカラーリングの個性が幅広い描種といえるでしょう。
マズル(鼻から口先にかけての部分)は低めで全体的に丸さが目立ち、家庭猫としての愛らしさに拍車をかけています。
寿命
猫全体の平均寿命は15歳といわれていますが、ラガマフィンの平均寿命は10~13歳と比較的短命です。人間の年齢で換算すると、56~68歳に相当する年齢で寿命を迎えることになります。
もちろん人間と同様に猫にも個体差があるため、平均寿命を超えて長生きすることもあります。
寿命の短さに不安を感じるよりも健康的な生活を過ごさせることが大切です。
性格・気質
ラガマフィンは、とても温厚で優しい性格をした猫として知られています。人懐こいため飼い主さんとのコミュニケーションを好み、愛情深く接してくれるでしょう。
小さな子どもとも比較的仲良くできるため安心して飼育できますが、当の本人も甘えん坊です。
いつも飼い主さんと一緒にいたいと思っており、抱っこやブラッシングなどのスキンシップを好みます。まるで犬のように「抱っこして!」「構って!」と甘えてくるため、猫にツンデレのイメージを持っている人は驚くかもしれません。
「自分が一番可愛がられたい!」と求める猫らしさがありますが、のんびり屋であることもあり闘争心は高くありません。甘えん坊なのにやきもちはあまり焼かない、という家庭猫としては理想的ともいえる性格をしています。
穏やかでありながらも好奇心旺盛な一面も持っており、ときにはいたずらをしてしまうこともあります。とはいえ、普段の温厚さと小悪魔的な性格のギャップで、飼い主さんはさらに心を掴まれてしまうでしょう。
飼育のポイント
環境
ラガマフィンは飼い主さんからの愛情を求める傾向にありますが、他の動物へも友好的に接するため多頭飼育にも向いています。
他の猫に自分から近づいていくほどのコミュニケーション能力があるため、攻撃を受けないように気を付けてあげましょう。
また、一人きりでお留守番をするのがあまり得意ではありません。お留守番の際には、おもちゃを用意したり飼い主さんの匂いがするものを置いたりなど、孤独を感じづらい環境づくりが大切です。
運動量
体格がよく筋肉質ですが、あまり運動を好まない描種です。
運動不足は肥満につながりやすく、さまざまな病気を誘発します。
飼い主さんから遊びに誘い、1日10~15分程度は体を動かす時間を確保しましょう。
可能であればキャットタワーを設置し、一匹でも上下運動ができる機会を増やすことをおすすめします。
しつけ
ラガマフィンは気性が穏やかでイライラすることが少なく、しつけがしやすいのも魅力です。
温和な猫であるため、大声で叱るようなしつけは避けましょう。
のんびり屋ですが賢く環境適応能力が高いため、飼い主さんの意思を組み取ろうとします。
いたずらをされたら「ダメ」と伝え、無視をするように心がけてください。少しかわいそうな気持ちになりますが、スキンシップが大好きなラガマフィンにとって無視は罰と同義です。「これをしたら無視をされる」と認識できれば、学びにつながります。
お手入れ
ラガマフィンのフワフワの被毛を維持するためには、1日1~2回のブラッシングは必須です。
目の細かいスリッカーブラシやピンブラシを使って内側からとかした後に、目の粗いコームブラシを使って表面を整え、毛艶を出してあげましょう。
定期的なブラッシングはスキンシップになるだけでなく、皮膚病やさまざまな疾患の早期発見にもつながります。
スキンシップ
飼い主さんとの濃厚なスキンシップを望む描種です。抱っこやナデナデなど、直接肌が触れるスキンシップを多く取り入れてあげましょう。
とくに飼い主さんがテレビやパソコンを見ているときに膝に乗りたがる子が多いです。
できる限り要望に沿い、安心と安らぎの時間を与えてあげてくださいね。
フードの選び方
ラガマフィンは成猫の大きさになるまでに約4年の歳月を必要とします。
健康な身体を作るために、栄養のバランスが取れたフードを与えることが大切です。良質な動物性たんぱく質と食物繊維が含まれた、総合栄養食を与えましょう。良質な動物性たんぱく質とは、肉や魚などの動物性食材が主原料のたんぱく質を指します。
どのような肉や魚が配合されているかをチェックし、肉副産物やミートミールなどが含まれているフードは避けることをおすすめします。
子猫を迎えた場合、生後2ヵ月頃から食べる量がグングン増えます。肥満にならないように与える量に注意しつつ、不安であれば獣医師に相談しましょう。
飼育に向いている人
鳴き声が小さい猫のため、集合住宅でも安心して飼育できます。
猫と距離感の近い関係性でいたい人にもぴったりな描種です。
反対に、猫のツンツンとした部分に魅力を感じる人や適切な距離感を保ちつつ愛でたい人には不向きかもしれません。
小さい子供や先住猫、先住犬がいる家庭でも受け入れられやすい性格の猫です。
ただし猫としての本能はあり、好奇心も強いため、鳥やハムスターなどを飼育している家庭では小動物を放し飼いにしないように注意してください。
気をつけたい病気
肥大型心筋症
肥大型心筋症は、左心室の心筋全体が肥大する病気です。
初期にはほとんど症状がありませんが、肥大が進行するにつれ少しずつ疲れやすくなったり咳が増えたり、食欲不振が現れたりします。
突然死や後躯麻痺などの大きな症状が現れることもあり、血栓が詰まると麻痺や感覚消失などの神経症状や冷感が生じます。
治療は対症療法となり、早期発見をして進行を遅らせることが重要です。
尿結石
尿結石の正式名称は尿路結石症であり、腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に血症や結石ができる病気です。
結石が膀胱や尿道を傷つけたり尿道に詰まったりすることで痛みや排尿困難が現れます。
尿道に結石が詰まると尿道閉塞が起こり、命に関わる尿毒症を引き起こす可能性があります。
治療は軽度の場合は食事療法、重度の場合は外科手術で取り除くことがほとんどです。
猫がいつでもおしっこができるように、トイレを清潔にしておくことも大切です。
毛球症
毛球症は、猫が飲み込んだ毛がお腹の中で塊になり、胃や腸のさまざまな不調を引き起こす病気です。
猫の毛は消化されないため、本来はうんちか嘔吐で排出されます。しかしラガマフィンのような長毛種は飲み込む量が増えやすく、毛球症のリスクが高まります。
重症化すると開腹手術で毛玉を取り出すことになるため、普段からの定期的なブラッシングで予防してあげましょう。
多発性のう胞腎
多発性のう胞腎は、両側の腎臓にのう胞ができる病気です。
のう胞とは中に液体が入った袋状のものであり、猫の代表的な遺伝性疾患として知られています。
腎臓の正常な細胞や組織がのう胞と置き換わってしまい、腎臓の機能が徐々に低下します。
治療は療法食や抗生剤、輸液療法などさまざまですが、早期発見により早めの対処をすることが可能です。
まとめ
今回は、ラガマフィンの魅力や特徴についてご紹介しました。
どんな相手とも仲良くできるコミュニケーション能力や、闘争を好まない穏やかさ、そしてぬいぐるみのような愛らしい見た目。しかも甘えん坊でよく懐いてくれる性格のラガマフィンは、男女問わず高い人気を誇ります。
単体飼育でも多頭飼いでも飼いやすいことが魅力です。
猫の飼育を検討している人はぜひ家族に迎え、幸せなラガマフィンライフを過ごしてはいかがでしょうか?