日本で登録頭数の多い大型犬の種類をご紹介!あなたのライフスタイルに合う犬種は?
「大型犬と暮らしてみたい!」
愛犬家なら一度は思い描く夢ですよね。
とはいえ大型犬も実に多種多様で、ライフスタイルに合う犬種を見つけることは簡単ではありません。
そこで今回は、日本で登録頭数の多い人気の大型犬種トップ10を、それぞれの性格や特徴、寿命などとともにご紹介します。
大型犬の飼育に必要な条件や心構え、注意点などについても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください!
大型犬とは?
実は「小型犬」「中型犬」「大型犬」の分類に厳密な定義はありません。
ジャパンケネルクラブ(JKC)やアメリカンケネルクラブなどの国際畜犬連盟加盟団体が定めているのは、犬種ごとのスタンダードな「体重」と「体高」のみです。
一般的には、「小型犬」は体重10kg未満、「中型犬」は10〜20kg、「大型犬」は20kg以上と分類されている場合が多いようです。
今回は平均体重20kg以上の犬種を「大型犬」として紹介します。
大型犬の種類|JKC登録頭数トップ10の人気犬種
JKCが発表した「2021(1月〜12月)年犬種別犬籍登録頭数」から、平均体重20kg以上の大型犬種トップ10をピックアップしました。
前年との違いは、ダルメシアンとドーベルマンに代わり、秋田犬とジャーマンシェパードドッグがランクインしていることです。
1位 ゴールデンレトリーバー
原産国:イギリス
体高:約51〜61cm
体重:約24〜36kg
寿命:約10〜12年
1位のゴールデンレトリーバーと2位のラブラドールレトリーバーは、大型犬の中で圧倒的な人気を誇る犬種です。
もともとハンターが撃ち落とした水鳥を泳いで回収(レトリーブ)する鳥猟犬として活躍していたため、泳ぎがとても得意でボールなどをくわえて持ってくる遊びが大好きです。
優しくフレンドリーな性格で、従順かつ学習能力が高いため、大型犬初心者にもしつけやすく、小さな子どものいる家庭でも飼いやすい犬種です。
アクティブで体を動かすことが大好きなので、一緒にアウトドアを楽しんだり、子どもの遊び相手になったりしてくれるでしょう。
お散歩は1日に最低でも2時間程度たっぷり行ってください。
被毛は長毛のダブルコートで毛玉ができやすいので、毎日のブラッシングが必須です。
春と秋の換毛期は1日2回はブラッシングしてあげましょう。
2位 ラブラドールレトリーバー
原産国:イギリス
体高:約54〜57cm
体重:約25〜36kg
寿命:約10〜15年
ラブラドールレトリーバーは、1位のゴールデンレトリーバーとともに3位以下を大きく引き離してトップの座を争う人気の大型犬です。
漁師を手伝う水中作業犬をルーツに持つ犬種で、ゴールデンレトリーバーと同じく鳥猟犬として働いていました。そのため、やはり泳ぎが得意で持ってこい遊びが大好きです。
ラブラドールとゴールデンを同時に飼った経験がありますが、優しくフレンドリーな性格や従順で学習能力が高いところは共通しているものの、ラブラドールの方が身体能力が高くアクティブでした。
運動不足は問題行動の原因となるため、たっぷりのお散歩に加えて頭と体を使う遊びの時間を設けてあげましょう。
短毛ですがダブルコートなので、春と秋の換毛期は2日に1回程度はブラッシングしてください。
3位 シベリアンハスキー
原産国:アメリカ
体高:約50.5〜60cm
体重:約15.5〜28kg
寿命:約12〜14年
オオカミを思わせる野生的な風貌のシベリアンハスキーは、外見とは裏腹に優しくて友好的な性格をしています。
パワーと持久力が必要なそり犬として働いていただけに、運動量がとても多い犬種です。
1日に最低でも2時間程度のお散歩にランニングやボール遊びなどをプラスすると、犬の満足度が高まるでしょう。
自分で状況を判断して行動するタイプの犬種なので、しつけには根気が必要です。
被毛は分厚いダブルコートで、春と秋の換毛期には驚くほど大量に毛が抜けます。
換毛期のブラッシング、お部屋の掃除、服に付着する毛……覚悟しておきましょう(笑)
かつてシベリアンハスキーを2頭飼っていましたが、彼らの陽気でお茶目な性格が大好きでした。
よく遠吠えしていたことも印象に残っています。
4位 バーニーズマウンテンドッグ
原産国:スイス
体高:約58〜70cm
体重:約36〜45kg
寿命:約7年
スイス原産のバーニーズマウンテンドッグは、牧羊犬や番犬、護衛犬として飼育されていました。
温和で従順、陽気な性格の持ち主で、飼いやすいタイプの犬種です。
学習能力が高く、力の強い大型犬に必要なしつけもそれほど難しくはありません。
食欲旺盛で太りやすいので、食事の量を調節し体重を管理しましょう。
特徴的なトライカラーの被毛はややウェーブした分厚いダブルコートで、春と秋の換毛期は大量に毛が抜けるため、毎日のブラッシングが欠かせません。
寿命は約7年と、大型犬の中でも短命な傾向にあります。
病気の予防・早期発見のために、動物病院で定期的に健康診断を受けると安心ですね。
5位 秋田犬
原産国:日本
体高:約58〜70cm
体重:約32〜45kg
寿命:約10〜15年
秋田犬は、天然記念物に指定されている日本犬6犬種(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬)の中で唯一の大型犬種です。
近年、国内外で人気が高まり、SNSなどで秋田犬の投稿を目にする機会が増えました。
私は現在2代目の秋田犬と暮らしていますが、1代目を飼い始めた2005年当時は街中やペットショップで秋田犬を見かけることがほぼなかったことを思うと、時代の移り変わりを感じます。
かつてマタギ犬(熊猟犬)として活躍していた秋田犬は、自分で判断して行動するタイプの独立心の強い犬種です。
飼い主の指示に従わず自分の考えを優先するなど、非常に頑固で気難しい面があるので、ぶれずに根気よくしつける必要があります。
頭がよく落ち着いた性格の犬が多いですが、一時期闘犬として飼育されていたことから闘争心が強く出る場合もあるので注意しましょう。
運動量はゴールデンやラブラドール、シベリアンハスキーなどに比べると少なめですが、気分転換やストレス発散のためにお散歩はたっぷりしてあげましょう。
被毛は分厚いダブルコートで、春と秋の換毛期は驚くほど毛が抜けます。
皮膚の弱い犬が多いので、換毛期はもちろん日頃からこまめなブラッシングが必須です。
6位 ジャーマンシェパードドッグ
原産国:ドイツ
体高:約55〜60cm
体重:約22〜40kg
寿命:約13年
日本では警察犬のイメージが強いジャーマンシェパードドッグは、原産国のドイツはもとより世界中で愛されている大型犬種です。
高い知性と訓練性能、忍耐力を誇り、状況判断にも優れているため、警察犬のほかに軍用犬、盲導犬、介助犬、災害救助犬などの使役犬として幅広く活躍しています。
生粋の使役犬だけに「仕事をしたい!」という作業欲求が高く、仕事がない退屈な生活が続くと、無駄吠えや破壊活動でストレスを発散しようとする傾向があります。
頭と体を使うトレーニングを継続して行うなどして、作業欲求を満たしてあげましょう。
たっぷりのお散歩とともに、持ってこい遊びをしたりドッグランで自由に走らせたり、楽しみのバリエーションを増やす工夫も必要です。
被毛はダブルコートで春と秋の換毛期にアンダーコートが抜けるので、1日2回程度のブラッシングで抜け毛を除去しましょう。
警察犬のイメージやいかつい風貌から「怖い」と思われがちですが、適切に飼育すれば穏やかで愛情深い犬種です。
ただし、非常に頭がよいがゆえに、初心者には少々難易度が高いかもしれません。
7位 ボルゾイ
原産国:ロシア
体高:約68〜85cm
体重:約25〜47kg
寿命:約7〜10年
気品ある外見と優雅な身のこなしが特徴的なボルゾイは、もともとは視覚と走力で獲物を追う猟犬=サイトハウンドです。
かつてロシアで貴族のみが飼育を許されていたそうですが、納得の外見ですよね。
穏やかな性格で、基本的におっとりと物静かなので、大型犬の中では飼いやすいといわれています。
ただし、サイトハウンドとしての本能を受け継いでいるため、目の前を猫が横切ったり小型犬が走り回ったりすると、追いかけようとして猛然と走り出すことがあるので注意しましょう。
体力がありとても活発な犬種なので、一緒にアウトドアを楽しみたい方や、毎日お散歩で長距離を歩きたい方におすすめです。
細く長い被毛は絡まりやすく汚れもつきやすいため、毎日のブラッシングが欠かせません。
ダブルコートで春と秋の換毛期は毛が抜けるので、普段よりもこまめなブラッシングが必要です。
ボルゾイは手足が細長く、それでいて非常な俊足なので、勢いあまって障害物にぶつかり骨折してしまうケースがときどき見受けられます。
8位 フラットコーテッドレトリーバー
原産国:イギリス
体高:約56.5〜61.5cm
体重:約25〜36kg
寿命:約10年
フラットコーテッドレトリーバーはもともとは鳥猟犬で、水中での鴨の運搬や陸地での獲物の回収に能力を発揮してきました。
ゴールデンやラブラドールと同じく明るく楽天的、人にも犬にもいたってフレンドリーです。
学習能力・訓練性能に優れ、人との共同作業を好むので、積極的にトレーニングしながら、隠れんぼや宝探しなど五感を使う遊びを取り入れるとよいですね。
3種のレトリーバーの中でも運動量が多いため、長時間お散歩をするのはもちろん、ボール遊びを取り入れたりドッグランに立ち寄ったりして、さまざまな楽しみを用意してあげましょう。
キャンプやトレッキングなど一緒にアウトドアを楽しむのもよいですし、海や川に連れて行けば大喜びで泳ぐ姿を見ることができるはずです。
基本的には飼いやすい犬種ですが、成犬になってもとにかくエネルギッシュなので、一緒に遊ぶ時間や体力がない方には不向きといえます。
被毛はダブルコートで、春と秋の換毛期は毎日のブラッシングが欠かせません。
9位 ワイマラナー
原産国:ドイツ
体高:約57〜70cm
体重:約25〜40kg
寿命:約12〜13年
艶やかなグレーの被毛と淡い色の美しい瞳、筋肉質ですらりとした体型が印象的なワイマラナーは、オールマイティーな猟犬として活躍してきました。
運動量が多く活発な犬種なので、アウトドアのパートナーにぴったりです。
毎日のたっぷりのお散歩に加え、ドッグランで自由に走り回れる時間やボール遊びの時間を設けるなどして、アクティブな犬の本能も満たしてあげてください。
万能な猟犬として重宝されてきただけに学習能力が高く、しつけは難しくはないでしょう。
家族には忠実で愛情深いですが、他人を警戒する神経質な面と、関心がないことにはそっけない態度を示すようなクールな面があります。
小さな子どもの遊び相手には向かないかもしれません。
短毛のほかに長毛のワイマラナーもいますが、ともにシングルコートです。一年を通して少しずつ毛は抜けますが、換毛期に毎日大量の毛が抜けることはありません。
今回ご紹介している大型犬種の中では、圧倒的にお手入れがしやすい犬種です。
10位 グレートピレニーズ
原産国:フランス
体高:約65〜80cm
体重:約39〜57kg
寿命:約10〜12年
白くて巨大で堂々としたグレートピレニーズは、はるか昔からピレネー山脈に生息し、家畜の群れをオオカミなどから守る護衛犬として、また中世には城館の番犬として活躍していました。
護衛犬・番犬としての防衛能力と運動能力を求められ繁殖されていたため、警戒心が強く番犬向きの一面があります。
また独立心が強く、飼い主の指示を待たずに自分で判断して行動する傾向があります。
どのような状況でもしっかりとコントロールできるように根気よくトレーニングし、コミュニケーションを十分に取るように心がけましょう。
家畜の護衛を担っていたため牧羊犬ほど活発ではありませんが、運動不足は肥満やストレスの原因となります。
毎日のお散歩でしっかり歩かせることが大切ですが、体重がある大型犬なので関節に負担がかからないようなコースを選び、ジャンプなどの動作をさせないように気を付けましょう。
寒冷地原産なので暑さに弱く、日本の高温多湿の気候は元来不向きです。
夏は熱中症に要注意で、お散歩も暑い場所や時間帯は避けてください。
被毛は分厚いダブルコートで、春と秋の換毛期は驚くほど大量に毛が抜けます。
毛が白く汚れが目立ちやすいため、日々のブラッシングだけでなく頻繁なシャンプーが必要など、お手入れが大変な犬種です。
大型犬を実際に飼うために知っておきたいこと
室内/室外どちらで飼育すべき?
我が家はこれまでゴールデン、ラブラドール、シベリアンハスキー、秋田犬を飼いましたが、いずれも室内で飼育してきました。
現在は2頭目の秋田犬と柴犬と猫を室内で飼っています。
換毛期に床やソファが毛まみれになる、床に爪跡がつく、家具が傷むなどのデメリットはあります。
一方、愛犬の異変に早く気づく、気温や風雨の影響を受けない、脱走の危険が低いなどメリットをあげればキリがなく、また室内飼育の犬の方が寿命が長いともいわれています。
室外で飼育する場合は、飼い主への依存心が強い洋犬よりも自立心の強い日本犬(秋田犬)が適しているでしょう。
日本犬は日本の気候風土に合っているため、室外飼育にも馴染みやすいと思われます。
ダブルコートの犬種は毛量を調節して気温の変動に対応しますが、シングルコートの犬種(ワイマラナー)は寒さに弱く、寒冷地での室外飼育には向きません。
大型犬を飼育するための経済力
フード、医療費、首輪やリードなどの犬用品……大型犬にかかる費用は、小型や中型犬と比べて高額になります。
特に怖いのが医療費で、怪我や病気による入院・手術費用は非常に高額です。
フードや予防接種などの固定費とともに、突然の怪我や病気の際の医療費を支払えるかどうか、事前にシミュレーションしておきましょう。
ペット保険への加入を検討してもよいですね。
我が家の先代の秋田犬は14歳で亡くなるまでの約2年間、医療費とペット保険料だけで毎月5万円前後支払っていました。
十分な散歩を行える時間と体力
大型犬の多くは、かつて猟犬やそり犬などの使役犬として働いていました。
そのため運動量がとても多く、1日に2〜4時間のお散歩が必要です。
休日はドッグランなどにも連れて行ってあげたいですよね。
大型犬の飼育には、とにかく時間と体力が求められます。
大型犬の飼育にふさわしい環境
近年はペット飼育可のマンションが増えていますが、大型犬を飼育できるマンションは少ないです。
一戸建ての場合、塀やフェンスなど庭にしっかりとした囲いがないと脱走してしまう危険があります。
室内飼育の場合、大型犬1頭は人間1人と同じくらいのスペースを取ります。トイレやケージ、ベッドなどすべてが大型になるので、ある程度の広さが必要です。
幅の狭い急な階段の上り下りが苦手な大型犬も多く、股関節に負担もかかるので避けたいものです。
大型犬に多い病気①胃捻転
胃がなんらかの原因でねじれてしまう急性の病気で、突然発症し、死に至ることもある病気です。
大型で胸の深い犬種に起こりやすく、食後の激しい運動や早食いなどが原因といわれています。
食後数時間は散歩や激しい運動を避けてください。
食後に吐こうとしているのに吐けない、お腹がふくらむ、呼吸が苦しそうなどの症状がみられたら、すぐに動物病院へ連れていきましょう。
大型犬に多い病気②股関節形成不全
股関節が正常に形成されなかったり変形するで歩行に異常が現れる病気です。
遺伝的素因や成長期の偏った栄養、肥満や激しい運動などが原因と考えられます。
発症すると腰を振って歩く、後ろ足を同時に動かして走るなどの症状がみられます。
フローリングに滑り止めのマットを敷く、滑らないように足の裏の毛をカットする、ジャンプや激しい運動を避けるなど、日常生活での配慮も大切です。
大型犬に多い病気③前十字靱帯断裂
怪我や激しい運動により太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)をつなぐ靱帯が切れてしまう病気です。
発症すると後ろ足を上げたままケンケンして歩くなどの症状がみられます。
後ろ足を引きずったり痛がったりする様子が見られたら、動物病院で診察を受けましょう。
まとめ
■我が家の秋田犬
一度大型犬と暮らしてしまうと、小型犬では満足できなくなってしまうかもしれません。
我が家では先代の秋田犬が亡くなって柴犬1匹になってしまった際、非常な寂しさを感じて2代目の秋田犬を迎えることにしました。
大型犬の飼育には大変な面もありますが、それを上回る楽しさがあります。
大型犬を飼うかどうか、どの犬種にするかなどは、慎重に検討してくださいね。