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犬は母音しか聞こえない?犬が覚えやすい名前のつけ方と幸福度をあげる声のかけ方

飼い主の指示を聞く犬

待ちに待った愛犬との暮らし。まずは愛犬にぴったりの素敵な名前をプレゼントしてあげたいですよね。

ですが、ちょっと待ってください。実は、犬にとって聞き取りにくい名前があるのを知っていますか?

どんなに素敵な名前でも、聞き取れなかったり覚えにくかったりしては、犬に負担がかかってしまいます。

そこで今回は、犬が覚えやすく心地よく感じる名前のつけ方と、幸福度をあげる声のかけ方をご紹介します。

犬は母音しか聞こえない?

ギターを弾く女性と犬

犬は母音しか聞こえないという話を聞いたことがあるかもしれません。

では「モコ」と「ココ」どちらの名前も、犬には「オオ」と聞こえているのでしょうか?

犬は子音の区別が苦手

犬は母音の聞き取りはできますが、子音を聞き分けるのは苦手だとされています。そのため、子音が別でも母音が同じ言葉は、似たように聞こえてしまっている可能性があります。

例えば「モコ」と「ココ」のような母音が同じ名前は、犬にとっては聞き分けにくいでしょう。その理由は、犬の発声には母音と子音という概念がないためです。

一方、人間は母音と子音の組み合わせで言葉を発音します。日本語の発音は「アイウエオ」の母音と「カ行」「サ行」「タ行」といった子音の組み合わせです。

例えば「モコ」なら子音の「マ行」と母音の「オ」、子音の「カ行」と母音の「オ」がそれぞれ組み合わさって「モコ(MOKO)」と発音されます。「ココ」も同じように、子音の「カ行」と母音の「オ」の組み合わせです。

人間の耳には別の音に聞こえますが、子音の聞き分けが苦手な犬にとっては同じ母音の「オ」が続いているため、よく似た音に聞こえてしまうのです。

硬い子音+母音は犬が聞こえやすい

犬は子音の聞き取りは苦手ですが、まったく聞き分けられないことはありません。

これまでの研究から「d」「p」「k」などの硬い子音との組み合わせが、犬には比較的聞き取りやすいと言われています。(英語圏で行われた研究のため、日本語では同じ破裂音のカテゴリーの子音「t」「b」「g」も含む)

聞き取りやすい母音については、「ア」「イ」「エ」が聞き取りやすいという説や、反対に「イ」「エ」は聞き取りにくいという説があります。このどちらの研究でも聞き取りやすい母音にあげられているのが「ア」です。

犬の母音の聞き取りはまだ研究途中ですが、現時点では最も犬が聞き取りやすいのは、破裂音の子音と「ア」の組み合わせと言えるでしょう。

また、音の最後が伸びる言葉、つまり「ラッキー」「クッキー」のような名前も、犬が認識しやすいとも言われています。

犬がHAPPYになる名前のつけ方

チワワを抱える女性

多くの犬にとって、自分の名前は1日で最も多く聞く言葉です。

だからこそ、呼ばれる犬はもちろん、飼い主さんも呼びやすく楽しい気持ちになる名前がベストといえます。

飼い主さんの楽しい気分は、犬にもしっかり伝わりますよ。

犬が聞き取りやすい音を使おう

犬にとって聞き取りにくい名前だと、飼い主さんが何度も繰り返し名前を呼ばなければならない場面が出てきてしまうかもしれません。

お互いに小さなストレスを積もらせないように、犬が聞き取りやすい名前をつけてあげましょう。

とはいえ犬が聞き取りやすい音にこだわりすぎると、つけられる名前の候補がグッと少なくなってしまいますよね。

名前をつけるときは、聞き取りやすい母音「ア」を少し意識してあげる程度で大丈夫です。

また、呼びやすく聞き取りやすい愛称をつけてあげるのもよいですね。

犬の姓名判断?名前で性格が変わるかも

最近では、犬の名前を姓名判断でつける飼い主さんもいるようです。実際に効果があるかはわかりませんが、「みんなに愛されるように」「元気いっぱいに育って欲しい」などのさまざまな願いを込めて名付けているのでしょう。

犬の名前を呼ぶときに飼い主さんの気持ちがプラスに働くことを考えると、犬へもよい影響があると言えます。

呼びやすい名前は犬をHAPPYにする

呼びやすい名前を持つ犬は、名前を呼んでもらえる機会が増えます。

愛情を込めて名前を呼んでもらう経験は、犬にとってHAPPYな時間です。

名前を呼ばれることで、たくさんの笑顔と愛情を受け取れる=犬の嬉しい時間が増えることにつながります。

呼びやすい名前は、犬に充実した毎日をプレゼントするきっかけになるでしょう。

犬が自分の名前を覚えない理由

ペットの犬をかわいがる女性

一生懸命に考えてつけた名前を、犬がなかなか覚えてくれないこともあるかもしれません。

犬が自分の名前を覚えられない理由を考えてみましょう。

聞き取りにくい音を使っている

犬にとって聞き取りにくい音の名前を、会話の延長で平坦な発音で呼んでいる可能性があります。その場合、名前を覚えるまでは、犬は自分が呼ばれたとは気がつきません。

犬が覚えやすい呼び方のイメージは「〇〇ちゃん、お散歩いくよ」のような感じです。

名前を覚えるまでは、名前は単独で、ゆっくりハッキリと犬を見ながら呼ぶことが大切です。

名前が長すぎる

犬が聞き取りやすい音節は、1音節から3音節程度までと言われています。

つまり「チョビタロウ」のような長い名前よりも、「マロン」や「レオ」といった短い名前の方が犬は聞き取りやすく覚えやすいと言えるでしょう。

家族や同居犬の名前に似ている

例えば、先住犬の名前が「モコ」で、後からきた犬に「ココ」と名付けた場合、どちらの犬も名前を呼ばれて混乱する可能性があります。

また、子どもが母親を「ママ」と呼んでいる家庭では、音が似た「ナナ」「アナ」のような名前も犬が迷ってしまうでしょう。

犬を叱る時に名前を呼んでいる

「こら!○○(犬の名前)!」というように、叱る時に犬の名前を呼んではいませんか?

犬が自分の名前を覚えていても、名前を呼ばれる=嫌なことがあると記憶してしまっているかもしれません。

そのため、名前を呼ばれるとわざと聞こえていないフリをする、飼い主から逃げるという行動に出ている可能性もあります。

名前を呼んで褒める、名前を呼んでオヤツをあげるなど、名前=うれしいことがあると結びつけるようにしましょう。

犬は名前以外の言葉も理解している

大きな犬に話しかける女性

犬は子音の聞き取りは苦手ですが、人の話す言葉の抑揚などから、さまざまな単語を聞き分けています。

2021年の学術誌「応用動物行動科学」に掲載されたカナダのダルハウジー大学のキャサリン・リーブ氏のチームが発表した研究論文によると、165頭の犬を対象に実施した実験では最大で215単語、平均で89の単語を理解したそうです。

犬たちは自分の名前だけでなく、私たちが思うよりずっと多くの単語を理解し記憶しているのです。

赤ちゃんと同じ方法で言葉を学ぶ犬

人間の赤ちゃんは、大人たちがする会話の流れの中から単語を拾い上げて理解し、それを一つひとつ積み重ねて言葉を覚えていきます。

実は犬も同じ方法で人間の発する単語を記憶しているという研究結果が報告されています。

教えていない「オヤツ」や「散歩」といった言葉に、尻尾をブンブンと振って喜ぶ様子を思い出す飼い主さんも多いでしょう。

また、音声言語病理学者のクリスティーナ・ハンガー氏は、人間の子どもに教えるのと同じようにして犬に言語を教える訓練を行っています。

その結果、物の名前だけでなく「Want」「Go」などの意思表示の言葉も覚えることにも成功し、現在は簡単な文章で意思を伝えられるようになっています。

老犬は言葉をたくさん聞き分けられる

このように犬は人間と一緒に暮らす中で、自分の名前だけでなく理解できる単語が増えていきます。

つまり、一緒に過ごす時間が長ければ長いほど増え、老犬になる頃には子犬時代と比べて格段に多くの単語を理解できるということです。

犬との会話を増やして幸福度をあげよう

犬はこうして、私たちの会話を聞いて飼い主の言葉を理解しようと努めています。

その理由はきっと、大好きな飼い主さんとのコミュニケーションをとるためなのでしょう。そう考えると、犬たちへの感謝と愛しさが溢れてきますね。

飼い主からたくさん話しかけられている犬は、覚えている単語の数が多く言葉への理解度も高いと言われています。

また、犬は人間と同じく左脳で言葉の意味を、右脳で言葉を発する際のイントネーション(感情など)の情報を処理していることもわかっています。

つまり「いい子」という声かけも、流れの中で言うのと、感情を込めて伝えるのでは、犬にとって受け取り方が異なるのです。犬の幸福度を高めるためにも、気持ちを込めて話しかけることがとても重要だと言えます。

私たち飼い主がつい言ってしまう「かわいい!」や「大好き!」も、きっと犬にはしっかりと伝わっていることでしょう。

まとめ

公園で遊ぶ家族とペットの犬

犬と暮らしていると、自分の話を絶対に理解しているなと感じる瞬間がありますよね。それも、これまでは犬にはそこまでの能力はなく、飼い主の思い込みとして語られてきました。

しかし、犬は私たちの想像以上に人間の言葉を理解しようと努めています。だからこそ、今度は私たちが、犬たちが理解しやすい言葉で話しかけることが大切だと言えるでしょう。

まだ単語がわからない子犬には、より聞こえやすい音でゆっくりと。

長く共に暮らしてきた老犬には、穏やかで安らぐ話し方で。

犬たちが歩み寄ってくれているように、飼い主も犬の言葉に寄り添って暮らしていけるとよいですね。