ソマリとアビシニアンは被毛以外ほぼ同じ?同じ点・違う点を徹底解説!
「優しくて穏やかな性格の猫を飼いたい!」という人に人気の描種であるソマリとアビシニアン。
2種とも猫らしい野生味と穏やかな性格のギャップが魅力的な猫ですが、被毛の長さ以外は共通点が多いことも特徴です。一目で見分けが付くものの、内面的には似ている部分がとても多いのです。
今回は、人気のソマリとアビシニアンの違いや共通点をご紹介します!
2種の違いとそれぞれの魅力を知ってくださいね!
ソマリとアビシニアンの違い~被毛編~
■アビシニアン
ソマリの見た目
ソマリは「ロング・アビシニアン」とも呼ばれており、アビシニアンの被毛をそのまま伸ばした見た目をしています。
柔らかで美しい被毛が特徴的な長毛猫で、自慢の被毛は豊かなダブルコートです。
毛色はルディ・レッド・ブルー・フォーンの4色で、図鑑やメディアで多く見られる濃い茶色はルディかレッドです。
ルディは赤土色がベースの黒に近いこげ茶になります。
レッドはルディと比べてやや薄めの茶色であり、温かさを感じさせるカラーです。
ブルーは体の部分ごとに青みがかった灰色が入り、全体に濃淡のある個性的な美しさがあります。
フォーンは淡いベージュにブラウン系統のティッキングが入っており、ダイリュートカラーとも呼ばれます。
ティッキングとは、1本の毛に2~3色のカラーが入る被毛のパターンです。ソマリの毛色はティッキングにより同じカラーでも濃淡のバランスによってイメージが変わるユニークさがあるのです。
アビシニアンの見た目
ソマリが「長毛版アビシニアン」なら、アビシニアンは「短毛版ソマリ」です。
ソマリと同じくティッキングが入っているのが特徴的で、触るとスベスベとした滑らかさを感じます。まるでシルクのような肌ざわりで柔らかく、ソマリのフワフワとした被毛とは違った魅力が感じられます。
カラーはソマリと同じく、赤茶色のルディ・赤色のレッド・青灰色のブルー・淡いベージュのフォーンの4種類です。体を動かしたときに被毛の色が変化して見え、とくにルディとレッドは光が当たると黄金のように輝くことから人気です。
ソマリとアビシニアンの違い~ルーツ編~
■ソマリ
ソマリのルーツ
ソマリの先祖ともいえる「被毛の長いアビシニアン」が生まれたのは、1940年代といわれています。正式に描種として認められたのは1978年であり、血統種としては歴史の浅い猫です。
アビシニアン自体は古い歴史を持つ猫であり、古くから繁殖されキャットショーにも出場していました。
長い繁殖の歴史の中で、偶然生まれた被毛の長いアビシニアンがソマリのルーツです。
とはいえ純血統であることを尊重するブリーダーの中では、いわゆる「イレギュラーな見た目」である長毛のアビシニアンは良いものとされていませんでした。多くの場合はペット用として譲渡され、長らく表舞台に立つことはないまま時間が流れます。
ソマリにスポットライトが当たったのは1963年。カナダのブリーダーが長毛のアビシニアンをキャットショーに出場させたことがきっかけです。ブリーダーにとっては冗談のつもりだったのかもしれませんが、審査員のケン・マックギル氏がその姿に惚れ込んで長毛のアビシニアンを譲り受け、本格的なソマリの繁殖が始まりました。
ソマリの名前のルーツは、エチオピアの隣国であるソマリア。エチオピアはアビシニアンの原産国として有力であり、「アビシニアンと近い存在」として隣国の名が取り入れられました。
アビシニアンのルーツ
アビシニアンの起源はインドやエジプトなどさまざまですが、エチオピアの説が有力とされています。
エチオピアの旧国名はアビシニアです。1868年に起きた戦争によりイギリス兵が連れ帰った猫が「アビシニアン」の由来とされています。
1871年にイギリスで行われた世界初の公式なキャットショーでは、堂々の3位を獲得しました。アビシニアンの魅力が多くの人に知れ渡るきっかけとなり、1900年初頭にはアメリカに渡り改良を経て現在の姿や性格になりました。
ソマリとアビシニアンの性格に違いはない
■アビシニアン
被毛の長さには明確な違いがあるソマリとアビシニアンですが、性格は共通点が多くほぼ同じといえます。
ソマリはもともとアビシニアンの変異として生まれたのがルーツであるため、先祖であるアビシニアンと同じ性格をしているのは当然かもしれませんね。
2種の性格の特徴としてまず挙げられるのが、社交的で人懐っこいことです。明るくてコミュニケーションを好み、誰とでも仲良くなれる傾向にあります。まるで犬のように甘えてくるため、猫にツンツンとしているイメージを持っている人は驚くかもしれません。
躾もしやすいため飼い主さんを困らせることがほとんどなく、一身に愛情を注いでくれます。その反面やきもちを焼いてしまう一面もあり、スキンシップ不足が原因となりストレスをためることもあるでしょう。
やや神経質な一面は日々のコミュニケーションでケアしつつ、一緒に遊んであげる時間を多めに取るのが飼育のポイントです。
ソマリとアビシニアンに被毛以外の見た目の違いはない
■ソマリ
性格と同じく、被毛以外の見た目においてもソマリとアビシニアンに大きな違いはありません。
2種ともに筋肉質で引き締まった体格をしており、体重は3~5kgほど。アーモンド型の大きな瞳に、目元を強調する黒いアイライン(クレオパトラライン)が引かれています。
丸みのある顔とは対照的に体全体はすらっとしており、スレンダーな四肢が美しさを際立たせます。また、まるでつま先立ちをしているようなエレガントな姿は「バレエキャッツ」と呼ばれるほどです。
ソマリとアビシニアンの飼育で気を付けること
■アビシニアン
ソマリの飼育で気を付けること
ソマリの飼育で必要になるのは、定期的なブラッシングです。豊かな被毛を持っているため、1日1~2回のケアを忘れずに行いましょう。
ブラッシングの際は目の細かいスリッカーブラシで根本からとかしてあげた後に、目の粗いコームブラシで表面の艶出しをします。
ブラッシングは被毛のケアだけではなく、飼い主さんとのスキンシップの時間にもなります。また皮膚病の早期発見にもつながります。
生涯に渡り被毛のケアが必要になるため、嫌がらないように子猫の頃からブラシに慣れさせるのが大切です。
アビシニアンの飼育で気を付けること
短毛種であるアビシニアンの被毛ケアは、ラバーブラシで十分です。
食いしん坊な子が多いといわれているため、おやつを与えすぎないようにして肥満防止を心がけましょう。
また水遊びが好きな子も多いため、子猫の頃から水に慣れさせておくと他の描種以上にシャンプーへの恐怖心をケアできるでしょう。
ソマリとアビシニアン両方の飼育で気を付けること
ソマリとアビシニアンは、快活さと賢さを兼ね備えた描種です。
飼い主さんによく懐く反面、お留守番の時間が増えると寂しさでストレスがためてしまうこともあるでしょう。
やきもち焼きの性格の子も多いため、最初から多頭飼育を目的としている人にはあまり向きません。
一緒にいる時間はしっかりとスキンシップを取ってあげつつ、一匹でも遊べるおもちゃやキャットタワーを準備してあげましょう。
またソマリとアビシニアンは筋肉質な体格をしているため、たんぱく質が多めの食事を与えることで体づくりをサポートできます。
アビシニアンがかかりやすい病気
■アビシニアン
ピルビン酸キナーゼ欠乏症
アビシニアンがかかりやすい病気として最も注意すべきもののひとつが、ピルビン酸キナーゼ欠乏症です。
ピルビン酸キナーゼという酵素が欠乏することで赤血球の寿命が短くなり、重篤な貧血を引き起こす病気です。
異常を起こした赤血球は脾臓で分解されるため負担がかかり、脾臓の腫大も見られます。
アミロイドーシス
アミロイドーシスは、アミロイドというたんぱく質が細胞の隙間にたまってしまい、周辺の臓器や組織に機能障害をもたらす病気です。
食欲がなくなったり痩せたりする症状が特徴的で、多飲多尿や嘔吐なども現れます。
アミロイドーシス自体への予防策はありませんが、原因となる疾患を治療することで症状の改善が見込めます。
拡張型心筋症
拡張型心筋症は、心室の内腔の広がりと収縮機能の低下が見られる心筋症のひとつです。
血液の循環が悪くなることで体に障害が生じます。
初期の症状では食欲低下や無気力などが見られ、突然死を引き起こすこともあります。
早期発見が重要な病気であるため、日頃から猫をよく観察することが望まれます。
後天性重症筋無力症
後天性重症筋無力症は、神経と筋肉の接合部で免疫異常が起こり、筋肉をしっかりと動かせなくなる病気です。
発症すると自分で筋肉をコントロールしづらくなるため、疲れやすく痩せる傾向にあります。
ソマリとアビシニアン以外の猫ではほぼ見られず、3歳以降の症例が多い病気です。
ソマリがかかりやすい病気
■ソマリ
ピルビン酸キナーゼ欠乏症
アビシニアンと同じく、ソマリもピルビン酸キナーゼ欠乏症になる可能性が高い描種です。
遺伝性の疾患のため、定期的な健康診断が必要になります。
毛球症
毛球症は、自分で飲み込んだ毛がお腹の中で大きくなり、消化器にさまざまな影響を与える症状です。
ソマリは長毛種であるためグルーミングで飲み込む毛量が多く、毛球症のリスクが高まります。
定期的なブラッシングで予防できますが、重症化した際は開腹手術によって毛球を取り出す必要があります。
進行性網膜委縮
進行性網膜委縮は眼の奥にある網膜が変性・委縮してしまい、視力が低下する病気です。
猫は夜間でも視界を維持できる生き物ですが、進行性網膜委縮を発症すると夕方や夜に暗くて見えづらくなり、症状が進行すると最終的には失明してしまいます。
猫の中ではアビシニアンとペルシャで発症が確認されています。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は慢性腎不全とも呼ばれます。
腎臓がダメージを受けて十分に機能しなくなることを腎不全と呼び、腎不全の状態が長期間に渡り続くものを慢性腎臓病と呼びます。
慢性腎臓病の原因は、免疫疾患による腎炎や外傷、心筋症による腎血流量の低下などさまざまです。
症状の重さによってステージが1~4まであり、ステージ4になると積極的な治療なしでは生命維持が困難になります。
まとめ
■アビシニアン
今回は、ソマリとアビシニアンの違いや共通点をご紹介しました。
ゴージャスな被毛を持つソマリとスベスベの手触りが魅力のアビシニアン。2種には被毛やルーツの違いはあるものの、性格は共通しており明るく飼いやすいことが魅力です。
長毛と短毛にはそれぞれのリスクと愛らしさがあります。自分のライフスタイルと照らし合わせながら、幸せなペットライフを送ってくださいね。