猫にとうもろこしを与えてもいいの?メリットや注意点を解説
夏が近付くと、とうもろこしが恋しくなりますよね。焼きとうもろこしやコーンスープなど、さまざまな楽しみ方ができるのもとうもろこしの魅力です。
そんなとうもろこしですが、実は猫にとってさまざまなメリットがあります。
今回は、とうもろこしを猫に与えるメリットや注意点などをご紹介します。
とうもろこしの正しい知識を身に付け、愛猫の健康で安全な食生活を守りましょう。
猫にとうもろこしをあげるメリット
ビタミンEで健康な肉体づくり
とうもろこしに含まれるビタミンEは高い抗酸化作用を持つ栄養素で、激しい運動による酸化ダメージから細胞膜を保護します。
筋肉の損傷を軽減し、怪我が長引かない体づくりをサポートします。
ビタミンBで肥満防止
とうもろこしには、ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ナイアシン・葉酸・パントテン酸などの豊富な水溶性ビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群は神経の伝達や代謝機能の促進に欠かせない栄養素で、肥満防止になるだけでなく免疫機能を維持する役割もあります。
また、疲労回復にも役立つため、年齢を問わず必要量を摂取させたい栄養素です。
カリウムで体質改善
とうもろこしに含まれるカリウムは主要必須ミネラルのひとつで、体の中の塩分をコントロールし、体外へ排出する役目を持っています。
心臓や筋肉の機能を調節したり、血圧を下げたりする重要な栄養素です。
また、骨密度を増加させる役割もあるため、しっかりとした体づくりにも貢献します。
ミネラルで健康的な体づくりをサポート
とうもろこしにはカリウム以外にもさまざまなミネラルが含まれています。
代表的なものがマグネシウムで、便を柔らかくする働きがあるため便秘改善に効果的です。
とうもろこしには鉄分も豊富で、貧血防止にも役立ちます。
セルロースで便秘改善
セルロースは、消化管の運動や腸内の蠕動(ぜんどう)運動をサポートします。
過剰な摂取は便秘の悪化の原因になりますが、少量を守って与えることで腸内環境の改善に貢献します。
炭水化物はすぐにエネルギーになる
とうもろこしは、野菜の中でも炭水化物が多い食材です。
本来肉食である猫は炭水化物の消化は得意ではありませんが、適量を与えることで体を動かすためのエネルギーに変換されます。
また、炭水化物に含まれる食物繊維は、胃腸の働きを助けます。
甘味があるので喜びながらダイエットができる
とうもろこしはカロリーや糖質が多い食材ですが、量を守って与えることで痩せやすい体づくりをサポートしてくれます。
ダイエット用のローカロリーフードやおやつは、通常のフードと比べると嗜好性が低いものが多いです。
しかし、とうもろこしには甘味や香ばしさがあり好んで食べてくれる子が多いため、ポジティブにダイエットさせてあげられます。
猫にとうもろこしを与えるときに覚えておきたいこと
総合栄養食を与えている猫には本来必要ない
猫のメリットとなるさまざま栄養素が含まれているとうもろこしですが、普段から総合栄養食を食べている猫の場合は必ずしも必要な食材ではありません。
総合栄養食の表記があるフードには、「他に栄養素を摂取しなくても十分に健康に生活ができる」と判断された栄養量が配合されています。
そのため、猫が嫌がったり食べなかったりしたときは、無理にとうもろこしを与える必要はないと覚えておきましょう。
猫は穀物や植物性の食べ物を消化しづらい
猫と人間との長い共生の歴史の中で、猫は徐々に雑食化している傾向があります。
しかし猫はもともとライオンと同じ肉食動物であり、人間や犬と比べると穀物や植物の消化が苦手です。
とくに年齢を重ねた猫は消化器官が弱っていることもあり、とうもろこしの消化がうまくできない可能性があります。
年齢や健康状態を考慮した上で与えるよう心がけてくださいね。
猫にとうもろこしを与えるときの注意点
最初は少量を与える
猫にとうもろこしを与える際は、最初は少量を与えてアレルギー反応を確認しましょう。
体調に変化がないことを確認してから、徐々に増やしていくことをおすすめします。
他の穀物のアレルギーやでんぷんアレルギーがある猫の場合は、とうもろこしで症状が出る可能性があり注意が必要です。
猫の体調や体格によっては、普段から穀物を摂取していても突然アレルギーが発症する可能性があります。
病気を患っている猫には与えない
本来肉食動物である猫は、とうもろこしの消化が苦手です。
また、腎機能が低下している猫の場合は高カリウム血症という命に関わる病気が発症するリスクが高まります。
高カリウム血症は軽度ではほとんど症状が現れませんが、進行することで筋力低下の発作が起こったり麻痺の症状が現れたりすることがあります。重症化すると不整脈が起こり、心臓が止まってしまうこともある恐ろしい病気です。
とくに胃腸や内臓の病気を患っている猫や、腎臓に疾患を抱えている猫には与えないようにしましょう。
最大でも1日スプーン1杯程度までにする
猫にとうもろこしを与える場合、1日の適量はスプーン1杯までになります。
まずは1日2~3粒から始めて、徐々に量を増やした上で上限を超えないように気を付けてください。
健康な猫でも、一度に多く与えすぎると塩分過多となってしまう可能性があります。
加工品は与えない
適切な量や方法であればとうもろこしは猫にとって大きな害はありませんが、加工品は基本的に与えないようにしましょう。
ポップコーンやスープを始めとする加工品には、塩分や油が余分に含まれており体に悪影響を及ぼします。
また、サラダやコールスローは猫の命に関わるたまねぎの成分が入っている可能性があり、絶対に与えてはいけません。
最初はグルテン配合フードで様子を見るのもおすすめ
とうもろこしは、多くのキャットフードに配合されている食材です。成分表を見ると、「とうもろこし」や「コーングルテン」と記載されていることが多いでしょう。
普段からとうもろこしを食べている猫であればアレルギー発症の可能性は低いと考えられますが、グルテンフリーのフードを主食としている子はとうもろこしを与える前にグルテン配合フードを与え、様子を見てからにすると安心です。
猫にとうもろこしを与えるときに注意するべき症状
便秘・下痢
とうもろこしに含まれているセルロースは、与えすぎると便秘を促進させてしまう可能性があります。
毎日の排便に支障が出たら、与えるのをやめて様子を見ましょう。
また、穀物アレルギーやでんぷんアレルギーを持つ猫がとうもろこしを食べると下痢の症状が出ることもあるため、決して無理して与えないようにしてください。
皮膚トラブル
アレルギー症状の中には、皮膚トラブルも含まれます。
猫がしきりに体を掻いていたりグルーミングの回数が増えたりした場合も、とうもろこしを与えるのは中止しましょう。
皮膚を掻き壊してしまう前に、動物病院を受診することをおすすめします。
血糖値の上昇
とうもろこしには、猫の血糖値を上げる作用があります。健康診断で血糖値に異常が見られる子や、獣医師から食事の指導を受けている子には与えないようにしてください。
猫の健康状態で不明点があれば、とうもろこしを与える前に検査を受けることが望ましいでしょう。
猫にとうもろこしを与えるときのポイント
生で与えず加熱する
生のとうもろこしは表面の薄皮が固く消化に悪いため、猫に与える際は必ず加熱をして与えましょう。
最も手軽な方法だと、電子レンジで加熱するだけでも構いません。
薄皮を刻んで細かくする
薄皮は喉に詰まらせる可能性があるため、刻んで細かくすることで安心して与えることができます。
一粒ずつ刻む必要があるため時間と労力がかかりますが、多くてもスプーン1杯分ですので、愛猫の安全のためにがんばってくださいね。
消化に不安があれば、加熱したとうもろこしをさらにスプーンで潰し、ペースト状にして与えるとよいでしょう。
芯や髭は与えない
猫にとって、とうもろこしの可食部分は実(薄皮含む)のみです。
外側の硬い皮や髭の部分は決して与えないようにしましょう。
もしも誤って食べてしまった場合は、消化不良を起こすだけではなく喉に詰まらせてしまう可能性もあります。できる限り早く動物病院を受診しましょう。
胚芽部分も残さず取る
とうもろこしの実の中で、最も栄養価が高いとされているのは胚芽の部分です。
胚芽は実の中心にあり、雑に取ると芯に残ってしまう場合があります。
与える際は丁寧にもぎ、胚芽も残さず与えてあげましょう。
違和感を抱いたら動物病院を受診する
猫にとうもろこしを与える過程で、少しでも違和感を抱いたらすぐに動物病院を受診するよう心がけてください。体質・年齢・体調により、今までとうもろこしを食べていた子でも体調が悪化するケースがあります。
とうもろこしは無理をさせてまで食べさせる食材ではありません。健康な状態の猫に、普段の食事+αで与えてあげるものです。
食べたがらない猫や体調を崩した猫には無理やり与えず、本人の食事のペースやスタイルを尊重してあげてくださいね。
まとめ
今回は、猫にとうもろこしを与えるメリットや注意点などをご紹介しました。
普段から食べているフードにも配合されているとうもろこしですが、食材として与える際には特有の注意が必要です。
とうもろこしに含まれる栄養素を活かすためにも、量や与え方に気を付けて猫の健康を守りましょう。