犬にとうもろこしを与えるときの注意点は?とうもろこしの特徴やメリットも
夏といえば、とうもろこしが美味しくなる季節ですよね。焼きとうもろこしやコーンスープ、コールスローなどさまざまな味を楽しめるのもとうもろこしの魅力です。
そんなとうもろこしですが、人間と同じように犬も食べてもよいのでしょうか?
今回は、犬にとうもろこしを与えるメリットや注意点、与える際のポイントなどをご紹介します。適切な量や方法を守り、愛犬の安全な食生活をサポートしましょう。
とうもろこしの主な成分と犬への影響
ビタミンB群
とうもろこしにはビタミンB1、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸などの豊富なビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群は炭水化物やたんぱく質の代謝を助け、犬に必要なエネルギーを生成します。
とくにビタミンB1は、脳や心臓、腎臓、肝臓などの重要な臓器の働きを正常化する役割があり、健康維持に役立ちます。
カリウム
カリウムは体内の余分な塩分を排出する役割を持ち、血圧を下げることで体をサポートします。
また、細胞を健康な状態に保つ作用もあり、体液の浸透圧を維持します。
神経刺激の伝達や筋肉のエネルギー代謝をスムーズにする役割もあり、細胞が正常に機能するためには欠かせないミネラルの一種です。
骨密度を増やす作用もあります。
ミネラル
カリウムの他にも、とうもろこしにはカルシウムやマグネシウムなどの豊富なミネラルが含まれています。
カルシウムは骨を強化する成分で、ごく一部はカルシウムイオンとして細胞同士の情報を伝達します。
マグネシウムはメンタルを安定させる作用があることから「抗ストレスミネラル」とも呼ばれる、体内のエネルギー代謝全般に関わる成分です。
食物繊維
食物繊維は、健康な腸内活動の維持に欠かせない成分です。
とうもろこしには、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の両方が含まれています。
水溶性食物繊維には糖質をゆるやかに吸収し、コレステロールを体外に排出する役割があります。
不溶性食物繊維は腸の中で膨らみ、スムーズな排便を促します。
とうもろこしの場合は不溶性食物繊維のほうが多く、便秘を解消する効果が期待できるでしょう。
炭水化物
とうもろこしに含まれている栄養の約7割が炭水化物です。可食部100gのうち炭水化物は16.8gで、水分(77.1g)の次に多い成分といえます。
犬にとって炭水化物は消化性が高く、効率のよいエネルギー源です。消化の過程でブドウ糖に変換され 、血糖値を正常に保ちます。
炭水化物が足りていない状態では、犬はたんぱく質など他の物質からブドウ糖を合成しなければなりません。
そのため、犬が十分な炭水化物を摂取することで、たんぱく質は筋肉や臓器を作ったり修復したりできるようになるのです。
犬の食事におけるとうもろこしの特徴
ドッグフードの原材料としても使われている
とうもろこしには犬の健康維持に必要とされる栄養素が豊富に含まれています。
主成分がエネルギー変換に特化した炭水化物ということもあり、とうもろこしは市販のドッグフードの原材料としてよく使われています。
ドッグフードの成分表を見ると、多くの商品に「とうもろこし」の表記があるはずです。
とうもろこし自体の安全性は高く、安心して犬に与えられる食材であることがわかります。
ダイエットの補助食として優秀
野菜全体の中で見ると、とうもろこし自体は比較的カロリーが高く糖質も多い食材です。
しかし、とうもろこしに含まれている成分は肥満防止が期待できるものが多く、ダイエットの補助食として優秀といえるでしょう。
例えば豊富なビタミンには新陳代謝を上げる作用があり、中でもビタミンB1は肥満防止効果に優れています。
普段のごはんへの「チョイ足し」として活用することで、健康を維持したまま痩せやすい体づくりをサポートしてくれるでしょう。
甘く嗜好性が高いためダイエット食品として取り入れやすい
基本的にダイエット食や低カロリーのおやつは、普段のごはんと比べると嗜好性が低い傾向にあります。
痩せてもらうためにフードを変えたくても、「口に合ってくれるだろうか」と不安に思う飼い主さんが多いでしょう。
とうもろこしには代謝を上げる成分が含まれているだけではなく、甘く嗜好性が高いこともダイエットに向いているといえます。
もちろん犬によって好みの違いはありますが、とうもろこしの味はダイエット食品の中では好まれやすく、ストレスを溜めずに健康な体づくりができるでしょう。
犬にとうもろこしを与えるときの注意点
与えすぎると肥満や糖尿病の原因になる
エネルギーに変わりやすいことが魅力のとうもろこしですが、糖質が多い食べ物のため過剰な摂取は糖尿病の原因になります。
また、カロリーも高いため、「ダイエットのつもりで食べさせていたらむしろ肥満に近づいてしまった……」ということもあるでしょう。
飼い主さんが量をしっかりとコントロールすることが大切です。
食物アレルギーを引き起こす可能性がある
食物アレルギーは、食材の中に含まれるたんぱく質に反応して発症することが多いです。
とうもろこしは野菜の中でも多くのたんぱく質を含んでいる食材であるため、比較的アレルギーを起こしやすいとされています。
与えすぎると便秘になりやすい
とうもろこしには便秘解消に効果的な不溶性食物繊維が豊富に含まれていますが、与えすぎると便秘を悪化させてしまいます。
理由は、不溶性食物繊維はお腹の中で膨らむことで排便を促進するためです。
過剰に摂取すると便が肥大しすぎて、スムーズな排便が困難になってしまいます。
腎臓病の犬には与えない
とうもろこしに含まれているカリウムを過剰に摂取すると、高カリウム血症という重篤な病気の発症リスクが上がります。
適量を与えていれば問題ありませんが、腎臓に病気を抱えている場合はカリウムを排出しきれずに血中に残ってしまいます。
血中のカリウム濃度を上げないために、腎臓に不安がある犬には与えないよう心がけてください。
加工品は与えない
犬にはとうもろこしの加工品を与えないようにしましょう。
ドレッシングはもちろん、缶詰めやピクルスなどもNGです。とくにドレッシングには犬にとって有毒なたまねぎの成分が配合されている可能性もあり、健康被害をもたらします。
成分によっては、とうもろこし茶(コーン茶)やコーンスターチならOKの場合もあるため、不安であれば獣医師に相談してみましょう。とくにコーンスターチはとうもろこしから作られたでんぷんで、ふやかしたフードにとろみを付けたいときに有用です。
また、大型のペットショップには、安心して与えられる犬用のポップコーンやサラダが展開されています。
犬にとうもろこしを与えるときのポイント
総合栄養食のトッピングとして与える
とうもろこしを与えるときは、少量を総合栄養食のトッピングとして活用しましょう。
ふりかけのように上からかけたり、全体に混ぜ込んだりするのもおすすめです。
また、普段のおやつをとうもろこしに変えて与えてもよいでしょう。
実の部分のみを加熱して与える
とうもろこしを与える際は、必ず加熱しましょう。とうもろこしの可食部である実は、生のままでは皮が固く消化不良の原因となります。
電子レンジでの加熱でも構わないので、柔らかくした状態で与えてくださいね。
また、犬がとうもろこしの中で食べられるのは実の部分のみです。芯は消化されず、呼吸困難や腸閉塞などの大きなトラブルの原因になります。場合によっては、開腹手術の必要に迫られることもあるでしょう。
インターネットではとうもろこしを芯ごと与えている写真や動画を見かけますが、犬の安全面からは推奨されません。
体重ごとの適量を守って与える
与えすぎは肥満の原因となってしまうとうもろこしですが、どのくらいが適量なのかわかりづらいですよね。
以下に、犬の大きさ別のとうもろこしの1日分摂取可能量(可食部のみ)の目安を記載します。
・小型犬(~5kg程度):10分の1~4分の1本
・中型犬(6~15kg程度):4分の1~2分の1本
・大型犬(20kg~程度):3分の2~1+3分の1本
上記を参考に、年齢や健康状態を加味した上で調整して与えてください。
先に少量与えてアレルギー反応を確認する
アレルギーの有無を確認するために、まずは少量を与えて様子を見ましょう。
体調に変化がないことを確認してから、少しずつ量を増やすことをおすすめします。
とうもろこしによるアレルギー反応は、嘔吐・下痢・皮膚の痒み・湿疹・目の充血などの症状が代表的です。
違和感を抱いたら自己判断せずに、すぐに動物病院を受診しましょう。
子犬やシニア犬には細かくして与える
子犬は消化器官が未熟で、シニア犬は弱っている可能性があります。
とうもろこしを与える際は粒のままではなく、ペースト状になるまで潰してあげると安心です。
小皿に盛り、ペロペロと舐めさせるようにして与えると負担が少なくなります。
不安を感じたら動物病院を受診しよう
もしも愛犬がとうもろこしを食べていいのかわからなかったり、食べた後に吐き出したりした場合は、動物病院で相談をすることをおすすめします。
とくに腎臓の状態は見た目ではわかりません。違和感を抱いたら病院に行くことももちろん大切ですが、普段から定期的に検査をすることで、与えてもよい食材・注意をするべき食材のアドバイスがもらえます。
まとめ
今回は、犬にとうもろこしを与える際のメリットや注意点などをご紹介しました。
とうもろこしは与えすぎると肥満や病気のリスクが高まりますが、少量であれば健康な体づくりをサポートしてくれます。
飼い主さんが量や与え方をコントロールしつつ、末長く健康を維持するためにもとうもろこしを取り入れてみてくださいね。
もしも犬が嫌がったら無理に与えず、ストレスのない食生活を用意してあげましょう。