海・山・空への散骨 |ペットの自然葬について考えてみませんか?

草むらの中で振り返る犬
ウサギ

愛するペットが亡くなった際のお別れについて考えることは、とても大切なことです。

ペットは人と比べて寿命が短いため、飼い主はお見送りすることを避けては通れません。

亡くなった人やペットを火葬場や墓場へ送り出すことを「葬送」といいますが、その1つが「自然葬」です。

自然葬とは遺骨を山や川、海など自然に還す見送り方で、近年は人だけでなくペットにおいても認知されつつあります。

自然葬には「樹木葬」や「散骨」がありますが、今回は「散骨」について解説します。

愛するペットがいる全ての方にとって、「別れと向き合う」時間になれば幸いです。

ペットの散骨についての規制

散骨とは、遺骨を専用の機器で粉末状にした後、山や海などに撒くことをいいます。

粉末状にするのは、散骨のマナーです。骨の原形をとどめたまま山や海へ撒く行為はやめましょう。

ペットの場合、遺骨の埋葬・納骨方法についての法規制はありません。

飼い主の倫理道徳的な心がけが求められるため、散骨への理解を深めることが大切です。

散骨のメリット

土から出た芽

自然へ還すことができる

散骨の最大のメリットは、ペットの霊魂を遺骨と共に自然に還すことができる点にあります。

散骨をすることで目に見えるものはなくなり、自然と一体化するイメージが湧きやすいでしょう。

あくまでも考え方の1つなので、誰もが「散骨=自然への回帰」と考えるわけではない点は理解しておいてくださいね。

管理が不要

埋葬や納骨をした場合、基本的には墓所や納骨堂の管理が必要になります。

しかし散骨をすると遺骨は土や海などの自然の一部となるので、管理する必要性はありません。

その代わりに地球環境に配慮した自然を守る生活を意識することで、亡くなったペットの供養へとつながるでしょう。

手続きが不要

ペットの散骨に特別な手続きはありません。

最低限のモラルやマナーは必要ですが、気持ちの整理ができたタイミングで、各々の希望する場所に散骨ができるのがメリットです。

散骨のデメリット

頭を抱える女性

トラブルに注意が必要

ペットの散骨に関する法的な禁止事項はありません。

とはいえ、飼い主の思うままに散骨をしてよいわけではないため気をつけましょう。

散骨で最も大切なことは、「ペットの平穏な眠りと、モラルやマナーを守ること」です。

具体的には、以下のことを守ってください。

・遺骨を粉骨した上で行う
・私有地や自治体が管理する土地への散骨は必ず許可をとる
・海や山の他、公共の場での散骨は人目を考慮し、不快な思いをさせないようにする
・基本的には、散骨を行う専門業者に依頼をする

散骨は法的規制がないものの、モラルやマナーがあることを認識しておかなければいけません。

守れないと後々トラブルになる可能性があるため、不安であれば散骨を専門とする業者に依頼するのがよいでしょう。

専門業者を選ぶ際は、どこでどのように散骨しているかなどの具体的な過去の実績や、それまでの依頼者の評価をしっかり調べることが大切です。

明確なお参りする場所がない

散骨するということは、遺骨としての形をとどめず自然に還すことを意味します。

そのため、お墓のようにお参りできる特定の場所がありません。

昔からの慣習を大切にしてお参りがしたい方は、散骨への理解を深めた上で見送り方を決めましょう。

散骨した遺骨は戻らない

散骨をすると、遺骨を元に戻すことができません。

家族全員が後悔しないよう、散骨を理解し納得することが大切です。

ゆっくりと時間をかけて話し合いましょう。

ペットの散骨までの流れ

海を眺める女性と犬

実際に散骨することが決まったら、「誰が・どこへ」行うのかを考えましょう。

【誰が】業者へ依頼するか、自身で行うか

ペットの散骨を業者に依頼するのであれば、手続きは最小限で済みます。費用や日時を決めてしまえば、悩むことは少ないでしょう。

ただし、散骨を自分でする場合は、場所選びや許可取りなどの手続きをすべて行う必要があります。

【事前準備】粉骨をする

細かく砕かれた白い粉

遺骨を粉末状にする「粉骨」は、必ず行いましょう。

粉骨をするには専用の道具が必要なため、散骨をしてくれる業者やペット霊園にお願いしてください。

もし火葬の時点で散骨することを決めているのであれば、粉骨をその火葬業者にお願いしてもよいでしょう。

【どこへ】場所を決める

粉骨をしたら、次は散骨場所を決めましょう。

山や川など思い出の場所もあるかもしれませんが、トラブルになりにくく散骨するのに理想的なのは「海」です。

理由は後ほど詳しくお伝えします。

ペットの散骨の場所について

散骨の場所は慎重に決めましょう。

なぜなら、散骨した場所よってトラブルになる可能性があるためです。

トラブルにならないためには、どこにどのように散骨をすればいよいのかを理解することが大切です。

海への散骨

海とボート

散骨をする場所としてもっともトラブルが少ない場所は、海です。

海以外の場所は、私有地であれば散骨するには許可が必要です。山や川では人目につけば「不法投棄しているのではないか?」と疑われる可能性もあります。

もちろん海でも海水浴場のような人が多く集まる場所は避け、沖合の散骨可能な地点へ移動すべきでしょう。

船をチャーターするか、もしくは海へ散骨するための専門業者に依頼するのが一般的です。

費用は散骨に立ち会うか否かで差があり、5万~30万円ほどでしょう。

いずれの場合でも、信頼のおける業者にお願いすることが大切です。

山への散骨

山が好きな方、あるいは山にペットとの思い出がある方は、散骨する場所として検討してもよいでしょう。

ここで知っておかなければいけないことは、土地には所有者がいることです。

私有地の可能性もあれば、国や自治体が管理している土地かもしれません。

その場所を管理しているのが誰なのかを把握し、ペットの散骨をしてよいか確認しましょう。

許可が取れ、自分自身で散骨をすれば費用はかかりません。

空への散骨

空を飛ぶ紙飛行機

まだあまり認知されていませんが、空も散骨が可能な場所の1つです。

飛行機やヘリコプターからの散骨と、バルーンを使った散骨があります。

バルーンの場合、粉骨した遺骨を特殊なバルーンに乗せ空へ放ちます。飛行機が飛ぶ高度よりさらに上の成層圏まで達した後に、気圧の関係で破裂して散骨されます。

どちらの方法を選択するにしても、業者に依頼する必要があるでしょう。

飛行機などを利用した散骨の費用は20万~50万円ほど、バルーンを使った散骨は25万円ほどです。

空は世界中のどこにいても繋がっているため、大切なペットがいつでも見守ってくれる感覚を抱けるでしょう。

庭への散骨

自宅の庭、もしくはプランターへの散骨を考える方もいるでしょう。

費用や許可を取る必要がなく、いつも近くに存在を感じられる安心感もあります。

掘った穴へ直接散骨する方法もありますが、土中で分解され自然に還せる納骨袋に遺骨を移して埋葬するのもよいかもしれません。

散骨を行うときは、モラルやマナーを守り周りへ配慮することが何よりも大切です。

また、自然葬の1つである散骨は、まだ新しい葬送の考え方です。

葬送には様々な考え方と解釈があることを前提に、散骨する際は愛するペットとその家族が安心できる場所を探してみてください。