高齢猫がご飯を食べない!食欲不振の原因は?病院に連れていくべき?
「最近うちの猫の食欲が落ちてきた気がする……」
「急に食欲が落ちたけど、様子見でいいの?」
愛猫の食欲がいまいちだと、飼い主さんは心配になってしまいますよね。
高齢ではなおさらです。
今回は推定年齢17歳の愛猫と暮らす私が、高齢猫の食欲不振の原因や対策についてお話します。
愛猫の食欲不振に悩む飼い主さんのお力になれたら光栄です。
高齢猫の食欲不振の原因
高齢猫の食欲不振の原因の中から、代表的なものを7つご紹介します。
年齢的な要因
高齢猫の場合、加齢によって基礎代謝(生命の維持に必要な最低限のエネルギー)が下がり必要とするカロリーが減るため、必然的に食べる量も減っていきます。
若いころと比べて運動量が減り、眠っている時間が増えるので、エネルギーの消費が抑えられることも要因のひとつです。
口腔疾患
高齢猫は口腔疾患を発症しやすいといわれています。
よだれが出る、口臭がきつくなるなどの症状と併せて食欲不振がみられたら、口腔疾患の可能性を疑ってみてください。
口腔疾患があると、口の痛みから食べる量が減ってしまいます。
内臓疾患
慢性腎不全は、内臓疾患の中でも高齢猫の罹患率が高い病気です。
以下のような症状がみられる場合は、慢性腎不全の可能性があります。
・水をたくさん飲む
・色の薄いおしっこをたくさんする
・よく吐く
下痢や嘔吐などの症状がある場合は、胃腸炎や感染症が疑われます。
鼻づまり
猫の食欲と匂いが密接に関係していることをご存じでしょうか?
猫はフードのおいしさや鮮度、安全性などを匂いで判断しています。
鼻がつまり匂いがわからなくなると、判断が鈍って食欲が減退してしまうのです。
鼻づまりの原因には、呼吸器系の疾患や感染症が考えられます。
ストレス
ストレスから食欲不振に陥る猫もいます。
以下は、猫がストレスを感じる原因の一例です。
・フードの変化
・環境の変化
・かまってもらえなくなった
・通院した
・来客があった
思い当たることがあれば、一刻も早く改善してあげましょう。
認知症
認知症になると、粗相が増える、夜中に大声で鳴くなどの症状のほか、味の好みが変わり今まで食べていたフードを急に食べなくなることもあります。
今までとは違う行動が増えてきたら、認知症の可能性も視野に入れたほうがよいかもしれません。
フードに飽きてしまった
人間もずっと同じ食事が続くと、飽きてしまいますよね。
猫においては、「ネオフィリア」と呼ばれる新しいものを好む習性が関係しています。
猫は自分に最適な栄養素の食べ物を見分ける能力があること、ネオフィリアにより自分の好きなフード(食感、形状など)を求めることなどから、今までお気に入りだったフードを急に食べなくなることがあるのです。
食欲不振が続くとどうなる?
高齢猫の食欲不振が続くとどうなるのでしょうか。
様子見でよい食欲不振と病院へ連れていくべき食欲不振に分けて解説します。
様子見でよい食欲不振
猫に元気があり、うんちやおしっこも正常で嘔吐などもみられない場合は、基本的には様子見で大丈夫でしょう。
ただし、様子見でよいのは24時間までと考えてください。
病院へ連れていくべき食欲不振
高齢猫が24時間何も食べないときは、病気の可能性が高いので動物病院を受診しましょう。
以下のような症状があるときは、一刻も早く受診してください。
・下痢をしている
・嘔吐している
・よだれが出る
・咳をしている
・血尿が出る
・おしっこが出ない
・水を飲まない
・苦しそうにしている
・ぐったりしている
肥満気味の猫の食欲不振
年齢に関わらず、肥満気味の猫の場合は絶食状態が24~36時間ほど続くと「肝リピドーシス(脂肪肝)」 のリスクが高まります。
肝リピドーシスとは、分解されなかった脂肪が肝臓に溜まり肝機能障害を起こした状態です。
症状が悪化すると肝硬変を起こし死に至るケースもあります。
肥満気味の猫が食欲不振を起こしているときは、早めに動物病院を受診しましょう。
高齢猫の食欲不振対策
ここからは、食欲が減っている猫の興味を引く食事の工夫や、高齢猫用フードへの切り替えについてお伝えします。
食事の工夫(ドライフード)
猫の食欲と匂いは密接に関係しているため、開封してから時間が経ち香りが落ちたドライフードでは食いつきが悪くなることがあります。
少量ずつ個包装になっているフードなら、毎回よい香りがたつので興味を示す猫も多いでしょう。
また、あごの力が衰えた高齢猫には、ぬるま湯や猫用のスープなどでドライフードをふやかしてあげることも効果的です。
食事の工夫(ウェットフード)
ウェットフードの中には、高齢猫用に柔らかく作られているものもあります。
「一般食」や「総合栄養食」などの種類がありますが、メインで与える場合は総合栄養食を選ぶようにしましょう。
総合栄養食とは、猫が必要とする栄養素を満たし、水と一緒に与えれば健康を維持できるフードのことです。
与える際、レンジなどで少し温めるとよい匂いがたつため食欲増進につながります。
嗅覚の衰えた高齢猫にぜひ試してみてください。
食事の工夫(与え方)
高齢猫の場合、実は「一度に食べられる量が減っただけ」という場合もあります。
少量ずつ複数回に分けて与えると1日の必要量を完食してくれる可能性があるので、試してみてください。
また、手から与えると食べてくれる猫もいます。
我が家の高齢猫もこのタイプで、ウェットフードを小さなお団子状にして手のひらに乗せると、あっという間に一袋完食してしまいます。
なかなか愛猫の食欲が上がらないときに、挑戦してみてはいかがでしょうか。
フードの切り替え
高齢猫用のフードに切り替えることも効果的です。
小粒で柔らかめに作られているものもあり、咀嚼力が衰えていたり口腔疾患があったりする高齢猫に向いています。
フードの切り替えは、通常7日間程度をかけておこないます。
新しいフードを、初日は7分の1、2日目は7分の2というように、毎日7分の1ずつ割合を増やしながら現在のフードへ混ぜて与え、7日目で完全に切り替えるという流れです。
一度に切り替えるとおなかを壊すことがあるので、7日間かけてしっかりと慣らしていきましょう。
食器の工夫
食器の高さにも工夫が必要です。
床に直置きだと頭を下げて食べる必要があり、高齢猫にはつらい姿勢となります。
高さがある食器を使用したり、食器を台にのせて食べやすくしてあげたりと工夫してみてください。
また、寝床から食事場所までが遠いと、移動が億劫で食べる回数が減ってしまうこともあります。
なるべく寝床から近い場所で食事ができるようにしてあげましょう。
運動量を増やす
運動量を増やすことも食欲増進に効果的です。
飼い主さんがおもちゃなどで遊んであげることで運動不足の解消になり、コミュニケーションにもなります。
「もう歳だから」と思わず、若いころのように一緒に遊んであげてくださいね。
どうしても食べないときは強制給餌も考えよう
高齢猫が自力で食べようとしない場合は、必要な栄養素を摂ってもらうために強制給餌も考えましょう。
強制給餌の方法や注意点を解説します。
強制給餌の注意点
高齢猫に強制給餌をするときは、必ずかかりつけの獣医師に相談してからにしましょう。
食欲不振の原因が病気や脱水症状によるものなら、治療すれば食欲が戻ることがあるためです。
強制給餌の方法
自宅でおこなう強制給餌の手順を紹介します。
用意するもの
・流動食
・シリンジ(10ml、一回分)
・バスタオル(保定用)
・濡れタオル、乾いたタオル(ともに複数枚)
・洗濯ばさみやクリップなど
手順
(1)流動食は人肌程度に温めてからシリンジに入れておいてください。
(2)猫の体にバスタオルを巻きます。
首だけ出してきつめに巻き、洗濯ばさみなどで留めましょう。(手足が自由だと暴れます。)
(3)猫を抱き、下あごに片手を添え、口先を上に向けます。
(4)シリンジの先端を口角側の上顎と下顎の隙間に差し込み、ゆっくりと流動食を流しこみましょう。
一回で流しこまず、必ず少量ずつ複数回に分けるようにしてください。
猫が舌をぺちゃぺちゃと出しながら徐々に飲み込むので、「ゴクン」と完全に飲み込み終わるまで待ち、流動食がなくなるまで繰り返します。
吐きだそうとする場合は、猫の両顎を抑えて口先を上へ向けておくと飲み込んでくれます。
口からあふれてきた場合は、一回の量が多い可能性があります。猫の様子を見ながら調整しましょう。(用意したタオルで口元をふきながら進めてあげてくださいね)
量が多すぎたり勢いよく入れすぎたりすると、猫がむせてしまい誤嚥性肺炎をおこす危険性があります。細心の注意を払って行ってください。
終わったら「頑張ったね」とたくさん褒めてあげましょう!
まとめ
高齢猫の食欲不振は心配ですが、原因がわかれば改善も見込めます。
普段から愛猫の様子をよく見て、そのときどきで最善の選択ができるようにしたいですね!