猫の下痢の原因と対処法とは?心配でも動じない飼い主になろう!

猫の病気の中でも、特に多いといわれる上位2つが何かご存じですか?
泌尿器疾患、つまりオシッコに関する病気を真っ先に上げる方は多いと思いますが、それと同じくらいに多いのが消化器疾患の一つである「下痢」です。
飼っている猫が下痢になった経験がある方も、そうでない方も、下痢の原因や対処法を理解しておくと安心ですよ。不安な気持ちが減り、猫の早期回復にもつながります。
下痢を甘く見ず、かといって過度に怖がらず、適切な対処ができる飼い主になりましょう!
猫が下痢をしたらどうする?
「あれ?下痢してる」
猫のトイレ掃除をしているときに下痢に気づいたら、どうすればよいのでしょうか?
まずは情報を集め、動物病院につれて行くべきか考えましょう。
動物病院に症状を伝えるときに必要な内容をお伝えします。
体調のチェック
最初に確認してもらいたいのが猫の体調です。
普段通りの元気はあるのか?食欲は変わらないのか?
この2つがとても重要です。
元気や食欲をチェックしていつもと違うと感じたら、黄色信号だと思ってください。
下痢の状態をチェック
下痢といっても、水っぽいものからちょっとユルイかな?と思われるものまで様々です。
下痢の状態をチェックするのは、原因を探るためのもっともシンプルな方法です。
猫の便が以下のどの状態に近いのか確認してみてください。
水様便 | 文字通り水分量が多く、固形物が確認できないような便 |
泥状便 | 泥のように形がなくベタッとしている便 |
軟便 | 通常の便と比べて柔らかく、猫砂やシーツにくっつくような便 |
粘液便 | 半透明の粘膜、ゼリーのようなものが付着した便 |
鮮血便 | 真っ赤な血液が付着した便 |
黒色便 | 色がコールタールのような真っ黒の便 |
下痢の原因を探る
猫が下痢をしたときに一番悩ましいのが、「獣医師でなければ原因を探り当てることが難しい」という点です。
なぜなら、下痢は様々な要因によって引き起こされるからです。
原因が思い当たらないときは、便の状態や排便回数、一回の排便量などをメモしておき、動物病院にかかる際に正確な情報を伝えられるようにしておきましょう。
以下の表は、「小腸性下痢」と「大腸性下痢」の特徴をまとめたものです。獣医師が下痢の原因を探るために必要な情報のため、病院に行く前に確認しておいてくださいね。
小腸性下痢 | 大腸性下痢 | |
一回の排便量 | 増加 | 減少または正常 |
排便回数 | 増加 | 著しく増加 |
しぶり* | なし | あり |
その他合併症状や特徴 | 嘔吐や体重減少、脱水 | 激しくない体重減少や脱水 |
*しぶり……何度も排便の姿勢になる、排便の姿勢をとるけれど便がなかなか出ない行動のこと
動物病院へ行こう
猫が下痢をしたときに真っ先に考えるのが、「病院に行ったほうがいいのかな?」ではないでしょうか?
判断に迷うときは、最初にチェックした元気・食欲を思い出してください。
いつもと変わらない元気と食欲があり、下痢が何日も続いているようでなければ、食事量を減らし、下痢が止まるかどうか様子を見るのも一つの方法です。
ただし、下痢の原因は動物病院へ連れていくまでわからないことが多いです。実は深刻な病気の前触れだった、というケースもあります。
元気で食欲があっても心配な場合は、動物病院に連れて行きましょう。
やってはいけないこと
まれに「人用の下痢止めを飲ませたら良くなりました」といった発信をネットで見かけますが、個人の判断で人間用の下痢止めや整腸剤を猫に与えるのはやめましょう。
動物病院で人間用の薬が処方されることもあり、その場合は飲ませてOKです。同じ薬でも人と猫とでは飲む量が違うため、必ず処方された通りに飲ませてあげてくださいね。
人間用の薬の中には、猫に飲ませると危険なものもあります。インターネットの情報に惑わされず、薬を飲ませるときは必ず獣医師の判断を仰ぎましょう。
下痢の主な原因5つ
下痢は猫に多い症状ですが、その原因は大きく5つに分かれます。
いつの間にか治っていて、「結局原因は何だったのだろう?」と疑問が残るケースも多いでしょう。
今後同じような症状が出たときのために、主な5つの原因を覚えておいてくださね。
食事
食事による下痢は、食べ過ぎたときと、食事を変更したときの2つの可能性が考えられます。
もし食事が原因であれば、量とフードをこれまでと同じものに戻してあげるだけで治ることが多いです。
ストレス
猫も人と同じくストレスを感じます。
ストレスを感じれば体調を崩すことがあり、その結果下痢になることもあります。
下痢の原因がストレスだった場合、猫が感じているストレスを取り除いてあげましょう。猫は話せないため、思い当たるものがあれば対策を考えてあげてくださいね。
猫は、新しい環境になった、外がうるさい、家族が増えた、芳香剤を使い始めた、家具の配置を変えたなど、人が思いもよらないものでストレスを感じることがあります。
できる限り、一つ一つもとの環境に戻してみるといいでしょう。
寄生虫
寄生虫が原因の下痢は、子猫や外への出入りが自由な猫に多く見られます。
なぜなら寄生虫は母親の乳汁や、外で口にする可能性のある鳥、昆虫、ネズミなどから感染するからです。
時には便の中から寄生虫が出てきて驚くこともあるかもしれません。念のためにスマホのカメラで撮っておきましょう。
動物病院で「これが便に混じっていました」と見せると、治療がスムーズになりますよ。
病気
下痢の原因を特定するのが難しいのは、多くの病気の症状の一つに下痢が含まれるからです。
肝臓の病気、ホルモン性の病気、腫瘍など様々な病気で下痢の症状が現れます。下痢の陰には大きな病気が潜んでいる可能性があると覚えておいてください。
重篤な病気による下痢だった場合は、同時に他の症状も出ることが多いです。すぐに動物病院に向かいましょう。
誤食、誤飲
下痢の原因として考えられる誤食、誤飲とは、食べ物ではないものを口にしてしまうことを指します。
紐、袋、布、食用油、乾燥剤などの誤飲はよく起こり、場合によっては命に関わる危険なものです。
食べてしまったものがわかっている場合は、実物を持って動物病院に行きましょう。
食べてしまった成分と量がわかるため、素早い治療と診断につながります。
下痢の治療について
動物病院では飼い主に治療方針を説明し、納得してもらった上で治療を始めます。ペットの治療は、飼い主の協力がなければ上手くいかないからです。
治療の意図と重要性を理解した上で、獣医師との連携をしっかりとりましょう!
食事療法
食事による治療の場合、普段のフードの一回量や頻度を調整する場合と、動物病院で「療法食」を出される場合の2つのケースがあります。
療法食とは、消化の良いもの、あるいは栄養成分や原料を特別調整されたペットフードのことです。
普段のフードと違うと食べてくれないことも多いですが、自己判断でいつものフードと混ぜてしまったり他のフードを与えてしまったりすると適切な治療になりません。
食べてくれないときは1人で悩まず、動物病院にその旨を説明し、別の方法を考えてもらいましょう。
対症療法
対症療法とは、今ある症状を抑える治療のことです。
原因がはっきりしない場合に下痢止めや整腸薬で症状を抑え、様子を見ることになります。
消極的な治療法と感じる方もいるかもしれませんが、対症療法は獣医師が様々な情報から導いた診断による治療法です。
この対症療法で改善がみられなければ、検査を検討することになります。
検査
下痢がなぜか治らない、もしくは重篤な病気が疑わしいと判断された場合は検査をすることになります。下痢の原因を特定し、適切な治療をするためです。
場合によっては多額の検査費用がかかるため、見積もりも含めて獣医師としっかり相談してください。
下痢を予防するためには?
大切な猫が下痢になると、心配ですよね。
下痢を予防するための対策についてお伝えします。
ワクチン
予防といえば、ワクチン接種ですよね。
ワクチン接種には感染力の強い病気を防ぐ効果があり、病気由来の下痢を減らせます。
多くのワクチンは、一年に一回(獣医師の判断によっては三年に一回) 、5千円程度です。病気に対する不安が減ることを考えれば、検討する価値はあるでしょう。
室内飼い
猫は室内飼いがおすすめです。
外を自由に出入りできる猫には、様々な病気の感染リスクがあります。
飼い主の目の届かない外では誤食や誤飲のリスクも高まり、何を口にしたのかさえわかりません。
室内飼いをすることで飼い主の余計な心配が減り、猫が下痢を起こす要因も減らせます。
まとめ
下痢は様々な要因で起こる症状の一つです。
正しく理解することで早く下痢の対処ができ、リスクを減らすこともできます。
下痢から猫を守れる飼い主になってくれたらうれしいです。