【ペットショップ店員が解説!】うさぎの牧草の正しい選び方は?牧草でうさぎを健康に保とう

うさぎの主食は、牧草です。しかし、うさぎ用の牧草と言っても、種類や刈り取り時期、圧縮方法まで様々な商品があります。
うさぎの健康を守るためにも、その子にあった牧草を選び、組み合わせることが大切です。
そこで今回は、牧草の種類や、うさぎの状態に合った牧草をご紹介します!
うさぎが牧草を食べる理由
うさぎの食性
ペットとして飼われているうさぎは、完全な草食動物です。
そのため、基本的に牧草をご飯にします。
しかし牧草だけでは十分に栄養をとれないため、牧草の他にベレットフードや野菜、果物などのおやつも食べます。
草食動物なら牧草だけでいいんじゃないの?と思われた方いらっしゃいますよね?
実は、野生のうさぎは雑食と言われています。
草だけでは十分に栄養をとれないため、セミの死骸などの昆虫も食べてしまうそうです。
そのため、飼育下のうさぎも、牧草以外からも栄養分を補給する必要があるのです。
とはいっても、基本的には草食動物なので、牧草は欠かせません。
牧草以外のものばかり食べていると、健康な体作りができないので注意しましょう。
不正咬合を防ぐため
うさぎは、歯が一生伸び続ける動物です。
そこで、繊維が豊富な牧草を咀嚼することで歯をすり減らしています。
特にイネ科のチモシーはケイ素を多く含んでいるため、噛み応えがあり効果的です。
もし牧草を食べなくなり、十分に歯をすり減らせなくなった場合、伸びすぎた歯が原因で不正咬合と言われる病気になってしまいます。
不正咬合になると、伸びすぎた歯で口内が傷つき、食欲減退や雑菌の侵入など様々な悪影響が及ぼされます。
また、顎のかみ合わせが悪くなってしまう子もいます。
不正咬合にならないためにも、牧草をしっかり噛んで食べてもらうことが必要ですね。
おなかの調子を整える
うさぎは草食動物のため、繊維の多い食べ物から栄養を吸収できるような胃腸のつくりになっています。
また、うさぎの胃腸は常に食べ物を食べて動かし続ける必要があり、繊維質の食べ物は欠かせません。
特にイネ科のチモシーには粗繊維が多く含まれているため、胃腸の動きを活発にする働きがあります。
胃腸の動きが悪くなると胃腸うっ滞という病気になり、命に関わることもあります。
おなかの調子を整えるためにも、牧草はよい役割を果たしてくれているのです。
牧草の種類
牧草は、イネ科とマメ科に大きく分けることができます。
イネ科は繊維質が豊富で、カロリーが低いという特徴があります。
マメ科は繊維質は少ないですが、たんぱく質・カルシウムが豊富であり、栄養価が高いです。
チモシー
一番メジャーなイネ科の牧草です。牧草=チモシーを指すことも多いほどです。
チモシーは、繊維質が豊富でたんぱく質が少なめなので、たくさん食べても太る心配はありません。
好きな時に好きなだけ食べられるように、常に牧草入れにたくさん入った状態にしてあげましょう。
国内だと北海道産、海外だとアメリカ産とカナダ産があります。
うさぎによって産地の好みが変わることもあるので、お気に入りの産地を見つけてあげましょう。
アルファルファ
マメ科で一番メジャーな牧草です。
栄養満点で「牧草の女王」と呼ばれるほどです。
与えすぎると肥満を招いてしまうこともあります。
大人のうさぎにあげる際にはおやつ程度の量にしましょう。
オーツヘイ
イネ科のエンバクを、青刈りして乾燥させたものがオーツヘイです。
甘味が強く嗜好性が高い牧草となっており、カロリーが高めです。
特に、穂先の部分がカロリーが高くなっているので、あげすぎに注意です。
バミューダヘイ
イネ科の牧草で、葉が柔らかいのが特徴です。
栄養価が低く、水分を吸いにくいので床材に向いています。
おしっこが牧草を通り抜けて下に落ちていくので、牧草ベッドが汚れにくいという特徴があります。
イタリアンライグラス
チモシーと同じイネ科の牧草です。
チモシーと比べると甘みがあるため、食の細い子でも食べてくれやすいという特徴があります。
また、カルシウムが少ないため、尿路結石の心配のある子にもおすすめです。
牧草の加工の種類
シングルプレスとダブルプレス
牧草にはシングルプレス、ダブルプレスがありますが、これは牧草を袋詰めにするときの圧縮度の違いを指します。
シングルプレスは圧縮度合いが緩く、葉や茎が自然に近い状態のまま購入することができるため、好むうさぎが多いです。ダブルプレスに比べて硬く繊維質が豊富です。
ダブルプレスは、圧縮度合いが高く、葉や茎がつぶれていることが多いです。輸送コストが低いため、価格が安かったりかさばらずに運ぶことができます。シングルプレスより柔らかいため、硬い牧草が苦手なうさぎに選んであげると良いでしょう。
1番刈り、2番刈り、3番刈り
牧草は、刈り取り時期によって1番刈り、2番刈り、3番刈りの3種類があります。
1番、2番、という番号は年間で収穫した順番のことです。
牧草は、種をまいてから1年間で3回程度刈り取ることができます。
つまり、1番刈りは種をまいてから初めて刈り取った牧草、2番刈りはその後、2回目に刈り取った牧草です。
さらにその後に刈り取る3番刈りは栄養価が非常に低いため、あまり流通していません。
1番刈りの牧草は、栄養に富んでいる土壌で育つため、茎が太く、繊維質が多いです。
とても硬く体にも良いですが、硬すぎて苦手なうさぎもいます。
2番刈りの牧草は、1番刈りに比べて栄養価も低く、繊維質も少し劣ります。
茎が細くなり、全体的に1番刈りよりも柔らかいため、食べやすいのが特徴です。
グレード
牧草自体の品質の違いを指します。グレードが高いほど価格も高くなります。
商品名に「スーパープレミアムホース」「プレミアムホース」「ナンバーワン」などの記載があれば、それはグレードを指しています。
あなたのうさぎに合った牧草は?
赤ちゃんうさぎ
うさぎの健康な体づくりのために最も重要な時期です。
基本的にはチモシーを与えますが、その他に高たんぱくのアルファルファもたくさん与えるようにしてください。
チモシーの選び方ですが、食べられそうであればシングルプレスの一番刈りがおすすめです。
しかしベビーは硬い牧草が苦手な子が多いので、ダブルプレスや二番刈りも様子をみて組み合わせてあげてください。
ダブルプレスは柔らかさの割に栄養価は高いため、柔らかさだけを求めるのであれば、二番刈りよりもダブルプレスをおすすめします。
また生後半年程度までは、成長期用のペレットと牧草を常に食べ放題の状態にしておきましょう。
成長期、妊娠中のうさぎ
体を成長させるために、たくさんの栄養を必要とします。
成長期であれば、1歳くらいまではチモシーとアルファルファを組み合わせながらどちらもあげるようにしましょう。
チモシーは、しっかり繊維質をとるために一番刈りのシングルプレスを与えてください。
牧草から栄養をとれるようになるために、ペレットは一日にあげる量に気を付けましょう。
一日を通して、牧草は食べ放題の状態にしておきます。
大人のうさぎ
大人のうさぎは、体の維持が大切です。チモシーなどのイネ科の牧草を中心に与えましょう。
マメ科の牧草(アルファルファなど)はすぐに太ってしまうため、おやつ程度にとどめましょう。
また、歯やお腹の調子を維持するために繊維質は大切です。
チモシーは常に食べられる状態(食べ放題の状態)にしておきましょう。
ペレットは、成長期用から大人用に切り替えてあげてください。
高齢のうさぎ
高齢のうさぎは体の代謝量も落ちてくるため、摂取する栄養価を見直さなければなりません。
また、顎の力も落ちてくるので硬い牧草を食べられなくなります。
うさぎがしっかり食べることができているかを確認しながら、チモシーを与えてください。
もし噛むことに苦戦していたら、二番刈りやダブルプレスに切り替えてみてください。
マメ科の牧草を与えてもよいですが、肥満に気を付けましょう。
ペレットはシニア向けのものに切り替え、おやつも栄養価が高いものは避けましょう。
食が細いうさぎ
食が細いうさぎには、少量で栄養がとれるように、マメ科の牧草を多めに与えてあげてください。
硬い牧草が苦手なのであれば、ダブルプレスのチモシーを選んであげてみてください。
しかし、マメ科や柔らかい牧草は繊維質が少ないため、どうしても不正咬合やお腹を壊すリスクが高くなります。
繊維質の多くとれるペレットなどを使ってあげてみてください。
まとめ
うさぎの健康には、牧草は欠かせません。うさぎに合った牧草を選び、上手に組み合わせてみてください。
難しかったら、ペットショップの店員や獣医師さんにうさぎの状態を説明し、おすすめを教えてもらうのもよいでしょう。
うさぎの健康状態をチェックしながら、ご飯を変えてあげられるのは飼い主さんだけです。
うさぎとのコミュニケーションをしっかりとり、うさぎの健康を守ってあげてくださいね。