猫の食欲低下、口内炎が原因かも?症状や治療法、予防法を紹介!
猫にも口内炎があることをご存じでしょうか?
猫の食欲が低下したとき、何らかの病気を疑う人が多いと思います。
でも、実は口の中に原因があるかもしれません。
今回は、愛猫が口内炎持ちで現在も治療中である私が、猫の口内炎について解説します。
口内炎の症状や治療法、おうちでできる口内炎予防など様々な角度から紹介しています。
正しい知識を得て口内炎の早期発見、早期治療に努めましょう!
猫の口内炎の原因
猫の口内炎の原因は、実はまだはっきりとわかっていません。
ウイルスや口腔内細菌、免疫異常、歯周病など様々な原因があるといわれ、複数の要因が重なっていることも珍しくないようです。
特に、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染している猫や、腎不全、糖尿病にかかっている猫は発症しやすい傾向にあります。
猫の口内炎の症状
猫の口内炎は「難治性口内炎」と呼ばれ、強い痛みを伴います。
症状が慢性化しやすく、一度発症したら生涯に渡り付き合っていかなければならない疾患です。
猫の口内炎は人間のものとは異なり、口の中全体(舌も含む)やのどの奥まで広範囲に及ぶこともあり、大変つらいものです。
人間の場合も、口内炎がひとつできただけで食事をするのも億劫になりますよね。
それが口の中全体に……と考えるとそのつらさがイメージできるかと思います。
猫が口内炎を発症するとどのような症状が出てくるのでしょうか。
代表的な5つの症状を見ていきましょう。
痛がるしぐさを見せる
口内炎の痛みに対して、猫はどのようなしぐさを見せるのでしょうか。
もっともわかりやすいのは食事の時です。
フードが炎症部に当たって痛いため、噛んだり飲み込んだりできず口からこぼしてしまったり、強い痛みから「ギャッ」と奇声を発したりします。
また、首を振りながら食べたり、口を気持ち悪そうにパクパクさせたりという動作もみられます。
食事以外では、あくびをするときに奇声を発したり、前足で口元を掻くような動作をしたりもします。
中には強い痛みが原因で攻撃的な性格に変わってしまう猫もいます。
よだれが増える
痛みが強いとよだれを飲み込めず、口から垂らしてしまうようになります。
それを気にして口元を触るので、前足もよだれで濡れている場合が多いです。
さらに症状の酷い猫では、よだれの量も多くなり、口から顎にかけてベトベトになってしまうこともあります。
口臭がきつくなる
口を痛がるしぐさをみせ、口臭がきつくなっている時は、歯周病が口内炎の原因のひとつになっている場合が多いです。
痛みがなくとも、食後でもないのに口臭があるようなら何かしら異常があるサインかもしれません。
普段から口臭をチェックして、痛みの症状が出る前に動物病院を受診できるようにしておきたいですね。
食欲が低下する
食事をすると口の中やのどの奥などの炎症部が痛むため、食べる量が減ったり、食べることをやめてしまったりします。
おなかを空かせて何度もお皿の前に行くのに見つめるだけで食べないといった様子が見られ、しだいに体重が減少していきます。
また、痛みで水を飲むことがつらい場合は徐々に脱水症状が進行するため、点滴で水分を補ってあげることが必要になります。
脱水症状は猫に多い泌尿器系や腎臓の病気にもつながるので特に注意してあげてください。
毛づやが悪くなる
口内炎が舌にまで広がっている時は、痛みから毛づくろいをしなくなってしまうことがあります。
そのため毛づやも悪くなってしまいます。
よだれが多くみられる場合は、口元を触って前足がよだれでカピカピになったり、顔周りが汚れてしまっていたりします。
猫の口内炎の治療方法
猫の口内炎は人間のそれとは違い一過性のものではありません。
食事も困難になるほどの痛みを緩和してあげられる方法はあるのでしょうか。
代表的な猫の口内炎の治療方法を見ていきましょう。
投薬治療
前述の通り、口内炎の原因は様々であるため、症状に合った内服薬が用いられます。
抗生剤やステロイド剤が代表的ですが、これらの効果は一時的なものにすぎません。
再発を繰り返し、根治をさせるのは難しいです。
また、徐々に効きが悪くなること、肝臓に負担がかかることから糖尿病を発症するなどのリスクもあります。
レーザー治療
レーザー治療が口内炎の改善に用いられることもあります。
レーザーの照射に痛みはなく、無麻酔で行えることがメリットです。
こちらは完治目的というよりは口内環境を整え減薬を目指したり、高齢で麻酔下での処置を行えない猫に対して症状の軽減を目的として行われる場合が多いようです。
歯石取り
口内炎の原因が歯周病である場合は、歯石取りも選択肢のひとつです。
全身麻酔下で処置を行いますが、一度取りきったとしても、ふたたび同じ場所に歯石がたまってしまうことが多いです。
その場合は繰り返しの処置となるため、身体の負担を考慮し、次項の抜歯も視野に入れることになるでしょう。
抜歯
猫の口内炎に最も効果的と言われているのが抜歯です。
口内炎の範囲により全臼歯抜歯(すべての奥歯を抜く)と全顎抜歯(すべての歯を抜く)から選択します。
治療効果は、全臼歯抜歯で60~80%程度、全顎抜歯で70~95%程度と言われています。
特に全顎抜歯では高い治療効果がみとめられていますが、全く改善が見られないことも5%~10%の割合であるようです。
また全身麻酔下での処置となるため、これらのリスクをふまえ、慎重に検討することが重要となります。
猫の口内炎の予防
前述の通り、猫の口内炎の治療にはリスクがあるものも多いです。
口内炎発症のリスクを軽減するため、飼い主が猫にしてあげられる予防策を4つご紹介します。
口腔ケア
日常的に口腔ケアを行うことで、歯石がたまることを防いだり、口内環境を整えたりと口内炎発症のリスクを軽減することができます。
口腔ケアのうち、もっとも効果があるものは歯磨きです。
猫用の歯ブラシには人間用と同型のものやシリコン素材の指サック型、シートタイプなど様々な種類があるので、猫に合ったものを見つけてあげてください。
しかし、子猫のうちから口元に触れることを習慣づけていないと歯磨きを嫌がる場合が多いです。
どうしても嫌がる猫には、口内に入れてあげるだけのリキッドタイプや、鼻先につけて舐めさせるジェルタイプの口腔ケアアイテムなどもあります。
猫に無理をさせない範囲で選択してあげてくださいね。
フード
歯周病が口内炎の原因のひとつであるため、フードで対策を取ることもおすすめです。
一般的にウェットフードよりもドライフードの方が歯石がたまりにくいといわれています。
口腔ケア用フードも各メーカーから販売されており、ドライフードやウェットフード、歯磨き効果のあるおやつまで様々な種類から猫に合ったものを選択可能です。
サプリメント
口内炎の予防としてサプリメントを使用する場合もあります。
口腔環境を整えたり、免疫力を高めたりとサプリメントの種類によって効果は異なるため、かかりけの動物病院で猫に合ったものはどれか相談してみてください。
口内炎が軽症のうちに用いると重症化を抑えられることもあるようです。
動物病院での定期健診
食欲低下などの症状が現れたときには、すでに口内炎は重症化していることが多いです。
そうなってからでは治療が困難になるため、早期発見が重要です。
半年に一回、年に一回など期間を定めて動物病院で検診を受けるようにすると、口内炎だけでなくその他の病気の早期発見にもつながるので是非とも検討してみてください。
まとめ
猫の口内炎は難治性と言われ、生涯付き合っていかなければいけない疾患です。
ご飯を目の前にしても食べられず、見つめているだけの愛猫の姿は見ていてつらいものです。
日常的な口腔ケアやフードでの対策、動物病院での定期健診で早期発見に努めるなど、飼い主としてできる対策は多岐にわたります。
愛猫が痛みのない毎日を送れるよう、ぜひともサポートしてあげてくださいね!