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犬が誤飲したときの対処法は?「まずやるべき事」や誤飲防止の方法も

紙で遊ぶ犬

大切な愛犬が異物を飲みこんでしまうと、不安と焦りで頭がいっぱいになるでしょう。ですが、飼い主が冷静でいなければ愛犬の健康も命も守れません。

まずは深呼吸をして平静を取りもどし、「今、何をするべきか」を考えて行動することが大切です。

今回は、犬が誤飲したときの対処法をご紹介します。

誤飲時の病院での処置や誤飲の危険性があるものも解説しますので、特に犬を初めて飼う方はぜひ参考にしてください。

犬が誤飲をしたときにするべきこと

食べようとしている犬

最初に、犬が誤飲をしたときに何をするべきかをご説明します。

もっとも重要なのは、「一刻も早く動物病院を受診すること」です。

かかりつけ医が休診日であれば他の獣医師を探し、夜間であれば動物用の救急病院を受診しましょう。いざというときに慌てないよう、普段から目につく場所に連絡先や住所を控えておくことをおすすめします。

絶対にしてはいけないのが、飼い主の「自己判断」です。

苦しそうにしていないから、元気にごはんを食べているからと楽観視してはいけません。無症状でも容態が急変するケースがあります。犬の誤飲は細心の注意を払うべき「事故」なのです。

病院に向かう前に、できる限りの範囲で準備をしましょう。

嘔吐物の写真を用意し、可能であれば採取も行ってください。誤飲したものがわかる場合は、類似品や成分表も持参しましょう。

急いで受診することが最優先ですが、情報が多ければ多いほど獣医師との連携がスムーズになります。

犬の誤飲時の病院での処置

病院で診察を受ける犬

診断方法

誤飲事故では、一刻も早い診察が求められます。

診断は症状や重症度により異なりますが、基本的には触診やレントゲン検査、エコー検査、内視鏡検査、血液検査、バリウム検査(造影検査)を用いて行われます。

治療方法

誤飲の治療は、異物の内容や臓器の場所によって異なります。

異物が胃にある場合
異物を吐かせるために、吐き気を催す注射や点滴(催吐処置)を使用します。
異物が腸にある場合
基本的には全身麻酔による開腹手術によって異物を取り出す処置を行います。腸が損傷・壊死している場合には、腸の一部を取り除く手術を行います。
中毒を起こしている場合
中毒の原因となっている成分を体から排出させるために、投薬治療を中心とした処置を行います。

大まかな費用

重症度や処置、病院によって異なりますが、誤飲の処置でかかる費用の一例をご紹介します。

・診察:約1,000円
・レントゲン:約5,000円
・全身麻酔:約19,000円
・手術:約140,000円
・点滴:約4,000円
・注射:約4,500円
・入院:1泊約4,500円

誤飲の場合は緊急性が高いケースも多く、診察をしたその日に開腹手術になる可能性があります。

高額の治療費が必要になるため、普段から貯蓄をしたりペット保険に加入したりして対応できるようにしておきましょう。

犬の誤飲で懸念すべき症状

横になっている犬

食道の閉塞

犬用のおもちゃや焼き鳥の串など、犬の体と比べて大きな物を誤飲した際は食道閉塞を起こす可能性があります。

食道から胃の手前までの浅い部分に引っかかり、誤飲をしてもすぐには症状が現れないことが多く注意が必要です。

部屋の中をグルグルと歩いていて落ち着きがない、吐こうとしているのに何も吐けない状態を繰りかえす、呼吸が苦しそう、大量のよだれをダラダラとこぼすなどが代表的な症状です。

胃の閉塞

小さな異物が胃に溜まっているときは無症状のケースが多く、発見が困難です。

特に丸いものは胃への刺激もほぼないため、胃から腸に異物が移動する時に閉塞を起こして突然苦しみ始めることがあります。

胃と腸の境目に蓋がされたような状態になり、激しい嘔吐が続きます。

重症の場合はショックや循環器系障害を起こして死亡することもあるため、早期の治療が必要です。

腸の閉塞

異物を誤飲してから腸に辿りつくまでは時間がかかるため、飲みこんでしばらく経ってから症状が現れます。

食欲がまったくなくなり、嘔吐を繰り返し、排便困難になります。腹痛にも苦しむでしょう。

特におなかが膨らんでいる場合は、腸管の壊死や敗血症、腹膜炎を発症している可能性があります。非常に危険な状態のため、一刻も早く受診しましょう。

中毒

食べ物や植物、薬品などで中毒を起こしている場合は、嘔吐や下痢を繰りかえします。

その他、よだれが止まらない、震える、痙攣する、泡を吹く、倒れる、意識を失うなどの症状が中毒の特徴です。

【室内】犬が誤飲すると危険なもの

ドッグフードと犬のおもちゃ

犬用のおもちゃ

ボールなどの犬用のおもちゃは、誤飲しづらい大きさ・形状のものを選びましょう。

犬の体の大きさに合わせて買い与えることが大切です。

特にぬいぐるみを与える際は、ボタンや紐など噛みちぎれるパーツは事前に切りとり、安全性を確保しましょう。

アクセサリー

バッグとアクセサリー

人間用のアクセサリーは必ず置き場所を決め、犬の届かない場所に保管することが大切です。

特に指輪やイヤリングなど飲みこめるサイズのものは要注意。蓋がしっかり締まるケースにしまい、タンスの上や引き出しの中にしまいましょう。

ボタン電池

ボタン電池を誤飲してしまったときは、電池の種類を確認してすぐに受診してください。

電池の大きさや形状によってはそのまま排泄されることもありますが、排泄されず食道や胃に長時間留まる可能性もあります。その場合、放電の影響で臓器に穴が開くリスクがあり危険です。

また、電池自体が崩壊する可能性もあり、粘膜の損傷や潰瘍の原因になることもあります。

観葉植物

観葉植物の中には犬が誤飲すると危険な種類もあるため、慎重に選びましょう。

犬に危険な植物は、アイビーやポトス、デフェンパキア、アロエ、ドラセナ、カラジウム、スパティフィラムなどです。

誤飲した場合は、下痢や嘔吐、呼吸困難などの症状が現れます。

布・綿・紐

小さめの布類も、犬が誤飲する可能性があります。

特に飼い主の匂いが付いた靴下や下着は、犬が咥えやすく誤飲に繋がるため注意しましょう。

ハンカチやリボン、ヘアゴム、眼鏡吹き、雑巾なども手の届かない場所に片付けておいてくださいね。

その他の危険なもの

その他、室内で誤飲すると危険なものは、以下の通りです。

・画鋲
・ヘアピン
・釘
・針
・人間用の薬
・シリカゲル(乾燥剤)
・クリップやホチキスの芯などの文房具
・粉洗剤や入浴剤
・ラップやアルミホイル
・爪楊枝
など

迷うときは、「犬の口に入るかどうか」で判断しましょう。

【室外】犬が誤飲すると危険なもの

公園の犬

煙草の吸殻

煙草を誤飲すると、煙草に含まれるニコチンが中毒症状を誘発します。

発症までの時間は短く、数分後には嘔吐や下痢、よだれなどの症状が現れます。

摂取量によっては昏睡状態に陥り死亡する可能性があるため、早急な受診が必要です。

小石

特に月齢の若い犬にとって、口の中に入れやすい小石は恰好の遊び道具です。

口の中でコロコロと転がしているうちに飲みこんでしまうケースは珍しくありません。

砂利道は、しつけが完了するまで近寄らないようにしましょう。

花・草

自然の中には、観葉植物のように中毒を起こすものが生息しています。

身近な植物では、チューリップやアサガオ、キキョウ、シクラメン、アジサイ、ユリ、パンジー、スイセンなどが危険です。

他にも危険な植物は数多くあるため、花壇や植木には近づけないようにしましょう。

その他の危険なもの

人通りの多い場所では、硬貨の誤飲に注意してください。

ティッシュやガム、お菓子の包み紙にも気をつけましょう。

特に草が多く生えている公園や広場は何が落ちているか見えづらいため、しつけが終わるまで近寄らないのも誤飲予防の一つです。

【食べ物】犬が誤飲すると危険なもの

調理する人と犬

玉ねぎ

玉ねぎは、犬に与えてはいけない食べ物の一つです。

玉ねぎに含まれる有価チオ硫酸化合物が赤血球に含まれるヘモグロビンを酸化させ、貧血の症状を引き起こします。

小さな欠片を食べただけで重症化するケースもあるため、玉ねぎを使うときは台所に近づけないようにしてください。

チョコレート

チョコレートに含まれるテオブロミンという成分が中毒を引き起こし、神経や心臓に異常をきたします。

通常2~6時間で異変が起こりますが、数日後に症状が現れることもあります。無症状でもすぐに病院を受診しましょう。

イカ・タコ

犬は基本的に食べ物を丸のみするため、消化しづらいイカやタコは胃腸を壊す原因になります。

また、イカやタコに含まれているチアミナーゼはビタミンB1の吸収を阻害するとされています。

犬はもともとビタミンB1を貯蓄しにくい動物なため、少量でも与えないようにしましょう。

骨のある魚

骨のある魚は、喉や食道に骨が刺さる危険性があります。

普段から犬用煮干しのようなおやつを与えている場合、魚の味を覚えている可能性があり、欲しがる犬もいるでしょう。

食卓に並べる際は犬がこっそり食べてしまわないよう、注意してくださいね。

犬が誤飲しない環境づくりのヒント

公園にいる家族と犬

犬にストレスを与えない

犬はストレスがたまると破壊行動を起こしやすいといわれています。

イライラや寂しさが募ると、普段は問題行動を起こさない子でも破壊的な行為に走ったり、シートやペーパーをビリビリに破いてしまったりすることもあります。細かくなった部品は誤飲の可能性があるため、ストレス行動を減らしてあげることが大切です。

散歩ができないときは、家の中で十分な運動をさせたりスキンシップをとったりしてストレス発散をさせてあげましょう。

留守番が続くときは、気晴らしになるよう知的玩具や新しいおもちゃを与えることもおすすめです。

普段から正しいしつけを行う

犬が誤飲をしようとしても「ダメ!」「離して!」と言えばすぐに口から離すようしつけることが大切です。

家の中はもちろん、散歩中の誤飲防止にも効果があります。

安全なおもちゃを咥えさせ、指示通りに離させるしつけがおすすめです。

遊びの中でご褒美をあげながら楽しく覚えさせることで、緊急時に対応しやすくなります。

定期的に家の掃除をする

誤飲の最大の防止策は、「誤飲する可能性があるものをなくすこと」です。

外出先では難しいですが、室内であれば掃除と片付けを徹底すれば不可能ではありません。

こまめに掃除や片づけをするのはもちろん、床や机に物を置きっぱなしにしないよう心がけましょう。清潔な家づくりは、愛犬の健康を守るための有効な手段です。

まとめ

大型犬と小型犬

今回は、犬が誤飲したときの対処法や病院の診察、誤飲すると危険なものについてご紹介しました。

誤飲時に最優先するべき行動は「動物病院での診察」、そして最もしてはいけないことは「自己判断」です。

腸閉塞を代表に、誤飲をしてもすぐに症状が現れない場合もあります。

愛犬の命を守れるのは、他でもない飼い主です。少しでも部屋や愛犬に変化・異常を感じたら、楽観視せずに病院に駆け込みましょう。