【ペットショップ店員が解説】文鳥を手乗りに育てよう!
小鳥さんを指にのせ、仲良くしているシーンをアニメや漫画でよく見ますよね!
そんなシーンに憧れている方は、文鳥をお迎えしてみてはいかがでしょうか?
文鳥はとても愛情深い動物で、飼い主によく甘えてくれます。
育て方次第では、手に乗ってくれる「手乗り文鳥」になります。
今回は、手乗り文鳥の育て方についてまとめました。
飼っている文鳥を手乗りにしたい方や、今から文鳥をお迎えしたい方はぜひ参考にしてくださいね。
文鳥の基礎知識
文鳥の歴史
文鳥はインドネシアのジャワ島原産の鳥で、江戸時代から日本で飼育されるようになりました。
このときの文鳥は全て、ノーマル種(原種)です。
明治時代になると、全身が白い白文鳥(はくぶんちょう)が流通するようになりました。
明治時代の夏目漱石の書の中に、「文鳥」というタイトルがありますが、この文鳥も白文鳥を指していたと言われています。
そして長い時代を経て、1980〜1990年代あたりにはじめてシナモン文鳥やシルバー文鳥が流通するようになりました。
現在では、文鳥といえば「桜文鳥」「白文鳥」「シナモン文鳥」「シルバー文鳥」の4つのカラーが確立され、ペットショップや小鳥専門店などで販売されています。
2022年現在、総合ペットショップで勤めている私の感覚では、桜文鳥4割、白文鳥4割、シナモン文鳥・シルバー文鳥がそれぞれ1割ずつ、といった割合で入荷しているように思います。
文鳥の寿命、性格、特徴
文鳥は、飼育下では8〜10年程度の寿命の子が多いです。
ちなみに、原種に近いカラーの桜文鳥や白文鳥などには体が丈夫な子が多く、新しいカラーのシナモン文鳥やシルバー文鳥には比較的体が弱い子が多いと言われています。
性格は、活発で甘えん坊な子が多いです。
特にオスは甘えん坊な子が多く、メスは大人しめの子が多い傾向にあります。
とはいっても、オス・メスによる性格傾向よりも個体差の方が大きいため、お迎えするときは性別よりもその子の性格を見てあげてくださいね。
また、文鳥は活発な反面、縄張り意識が強いため、お迎えしてしばらくは警戒心が強いです。
しかし警戒心がとけたら飼い主にべったりな子に育ってくれるので、地道にコミュニケーションをとりましょう。
文鳥の飼い方~ヒナ編~
ヒナのうちは、25℃を目安としてしっかり保温をしてあげましょう。
また、鳥かごではなく、プラスチックケースにおがくずを敷いたものを使いましょう。
ヒナは1人ではご飯を食べることができないため、生後1〜2ヶ月の間は1日数回、親鳥の代わりに給餌する挿し餌が必要です。
お迎えしたペットショップで使っていたものと同じものを使い、規定の時間にヒナ餌をあげてください。
仕事や学校などで日中のお世話ができない方は、ヒナ餌を1日に0〜2回与えれば大丈夫なくらい育った子をお迎えするようにしましょう。
文鳥の飼い方~成鳥編~
成鳥の文鳥は鳥かごで飼います。
基本的に餌と水は置きっぱなしにして、1日に1〜2回取り替えてあげます。
そして、1日に最低でも1時間は放鳥させてあげましょう。
その時間に飼い主とスキンシップをとったり、運動をしたりします。
放鳥をしてあげないと寂しがってしまい、ストレスで羽を抜くなどの異常行動を始めてしまいます。
飼い主を大好きになってくれる動物だからこそ、しっかりコミュニケーションをとってあげてくださいね。
ペットショップでの文鳥の選び方
生年月日をチェック
まず、生年月日と必要なヒナ餌の回数を確認しましょう。
一日中お世話ができる方は、小さい子をお迎えしても大丈夫です。
日中お世話ができなかったりスケジュールが変わりやすかったりする方は、ヒナ餌が1〜2回までに減った子か、ヒナ餌を卒業した子を選ぶようにしましょう。
ヒナ餌の回数は、店員に聞くのが一番です。
生年月日にかかわらず、すぐに自分で食べられるようになる子もいれば、卒業の目安をすぎてもヒナ餌を欲しがる子もいます。
店員は一羽一羽の状態を把握しているので、自分のお世話できる時間帯を伝え、相談してみましょう。
また、一日中お世話ができる方でも、体の弱いヒナの飼育に不安を抱えている方は、少し育った子をお迎えする方がよいかもしれません。
お迎え前に触らせてもらう
どの子にするか決める前に、一度触らせてもらいましょう。
触るだけでその子の性格が把握できるわけではありませんが、直感で「この子だ」とビビッとくるかもしれませんよ。
ペットショップでのヒナ餌やりの様子を見る
時間が合えば、店員が文鳥たちにヒナ餌をやっている様子を見るのもおすすめです。
(店によってはバックヤードでヒナ餌やりをしているところもあり、全ての店で見られるわけではありません)
ヒナ餌の様子を見ることで、餌食いの良さや、人の手を嫌がるかどうかがわかります。
また、食べるときに手に乗っているかどうか、どの種類のヒナ餌を食べているかも観察できます。
ヒナ餌をもらう際に、手に乗ってしっかりご飯を食べている文鳥を選ぶとよいでしょう。
多頭飼いはよくない?
手乗り文鳥に育てるなら、単頭飼いがおすすめと言われています。
理由は、単頭飼いのほうが飼い主と文鳥の一対一のコミュニケーションをとれるからです。
文鳥は寂しがり屋の動物なので、他の文鳥が飼い主に甘えていると嫉妬してしまったり、文鳥同士で仲良くして飼い主への関心が減ってしまったりすることもあります。
しっかりコミュニケーションをとりたい方は、一羽でのお迎えにしましょう。
文鳥を手乗りにしよう~ヒナ編~
ヒナ餌は必ず手に乗せて与えよう
ヒナ文鳥を手乗りに育てる際の第一歩は、飼い主の手を好きになってもらうことです。
ヒナ文鳥にとって一番嬉しい時間であるヒナ餌の時間を、手の上で過ごしてもらうようにしましょう。
手に乗ったらご飯がもらえる、と覚えてもらえれば、大きな前進です。
私の勤めるペットショップでは、ヒナ文鳥にヒナ餌を与えるときは、必ず手のひらに乗せるようにしています。
そのためか、ヒナたちのケージを開けると、みんな我先にと手に飛び乗ってきてくれますよ!
手に乗せるときは怖がられないように
手乗りになってもらうには、手を怖がらせてはいけません。
文鳥が手の上にいるときに、嫌がることをするのはやめましょう。
例えば、大きな声を出す、急に手を揺らす、文鳥を握るなどの行為が挙げられます。
手の上は安全であると覚えてもらうために、手に乗せているときは細心の注意を払ってくださいね。
文鳥を手乗りにしよう~成鳥編~
とにかく根気強さが大事
手乗りでない成鳥の文鳥を手乗りにするには、ヒナ以上に時間がかかります。
長い時間をかけて、根気強くスキンシップをとり続けましょう。
ちなみに、今からご紹介する方法は、手乗りにならない文鳥にとっても嬉しいスキンシップになります。
手乗りにならなくても、それはその子の個性だと捉えて、引き続きスキンシップを楽しんでくださいね。
いつか手に乗ってくれるようになったらラッキー!くらいの気持ちで続けていきましょう(笑)
触るときは手を温めてから
文鳥に触るときは、手が冷えていないかチェックしましょう。
冷たい手で触ると文鳥をびっくりさせてしまう上に、手の上は安心できない場所と認識されてしまいます。
文鳥が安心できるのは、体温が奪われない温かい場所です。
手を温めてから触るようにしてもよいですね。
おやつを手から与えよう
放鳥中に、手からおやつを与えてみましょう。
与えるおやつは、フルーツやエン麦など、嗜好性の高いものにすると効果的です。
その特別なおやつを手の上以外では与えないようにすると、より効果が高まります。
手の上は美味しいおやつがもらえる場所、と認識してもらいましょう。
そのうち、おやつがなくても手の上に乗ってきてくれるようになりますよ!
この方法を試す場合は一日1~2回に留め、おやつの与えすぎに注意してくださいね。
ケージから出すときは手を経由しよう
放鳥するときは、ケージから手、手から部屋へ、というように、手を経由する習慣をつけましょう。
放鳥が好きな文鳥に特に効果的です。
文鳥は、「手=放鳥」と覚え、手に乗りたがるようになります。
手に乗ってくれてもすぐに部屋に飛んで行ってしまうかもしれませんが、「手に乗ると何かいいことがある」と覚えてもらえるため、ぜひ試してみてくださいね。
普段から声をたくさんかけてあげよう
文鳥には毎日たくさん声をかけてあげてください。
文鳥は人間でいうと1~2歳程度と、高い知能を持っています。
実際、言葉の内容は理解できなくても、飼い主の声のトーンでニュアンスを聞き分けられると言われています。
普段から声をかけ続け、手に乗ったときは高いトーンで思い切り褒めてあげてください。
文鳥も飼い主の感情がわかり、喜んでくれるでしょう。
カキカキができるようになれば完璧!
■写真はセキセイインコですが、カキカキの様子です。
やっぱり手乗りの最終形態はカキカキでしょうか……(笑)
カキカキとは、鳥の頭まわりを撫でる動作を指す言葉です。
文鳥に限らず、鳥は自分で羽繕いのできない頭まわりを撫でられることを好みます。
しかし、それは触る人を信頼している場合に限られます。
カキカキするためには、まず文鳥に信頼してもらい、それから手に乗ってもらいましょう。
そのあとにゆっくり指を近づけ、頭まわりをそっと撫でてみてください。
文鳥が目を細め、気持ちよさそうにしてくれたら成功です!
そのうち、文鳥の方からカキカキの催促がくるはずです。
ちなみに、カキカキする場所はほっぺの斜め下あたりです。
■写真はセキセイインコですが、文鳥も同じ場所です。
まとめ
いかがでしたか?
文鳥に手に乗ってもらうには、飼い主との信頼関係が何よりも大切です。
文鳥に飼い主を、そして飼い主の手の上を好きになってもらえるように頑張ってくださいね。