【シチュエーション別】犬の散歩はいつから?ワクチン後・手術後などの適切な散歩時期

犬にとって、日々の散歩は重要な習慣です。
普段は問題なく連れていけても、ワクチンや手術の後などの特殊な環境下では「いつも通りに散歩に連れていっていいの?」と悩んでしまう飼い主さんは多いのではないでしょうか?
今回は、さまざまなシチュエーションにおける犬の散歩についてご紹介します。
また、子犬時期の散歩トレーニングについても解説しますので、初めて犬を飼う方や散歩にお悩みの飼い主さんはぜひ参考にしてくださいね。
犬の散歩の必要性
運動量の確保
犬には個体それぞれに必要とされる運動量があり、消費できずにいるとフラストレーションがたまり問題行動の原因になります。
一部の小型犬を除き、室内のみでは十分な運動量を確保することは難しいでしょう。
散歩や引き運動などの全身運動を促すことにより、必要な運動量が確保できます。
健康な体づくり
散歩により歩いたり走ったりすることで、全身の筋肉を使います。
すると新陳代謝が上がり全身が鍛えられ、健康な体が作られます。
犬も人間と同じように、使っていない筋肉は減るものです。
子犬の頃から散歩を通して運動の習慣を作ることで、いつまでも若々しい健康体をサポートしてあげましょう。
気分転換
散歩をするのは運動のためだけではありません。
家とは違う空気の香りや足裏の感触、街中の雑踏や車の音、温度や湿度などに触れることにより、気持ちをリフレッシュさせます。
散歩により外の世界に触れることで、ストレス発散や気分転換ができるでしょう。
社交性を養う
子犬の頃から家族以外の人たちと触れあわせることで、社交性を養うことが可能です。
社交性やコミュニケーション能力が高まると、無駄吠えが減ったり情緒が安定したりなど、飼育しやすい性質に成長してくれます。
人見知りや犬見知りが減ると、動物病院の受診やペットサロン・ホテルの利用時、非常時などでもストレスが少なくなるでしょう。
ワクチン後の散歩はいつからできる?
飼育する犬には、混合ワクチンを接種させる必要があります。
混合ワクチンはさまざまな感染症から愛犬を守り、安心して生活を送れるようになりますが、接種後の散歩に関しては注意が必要です。
当日は歩いて帰ってOK
混合ワクチンを打つ回数は、生後8週以降・11週以降・14週以降の3回です。
また、生後110日前後を目途に狂犬病ワクチンを接種する必要もあります。
以後は、1年に1回を目安に混合ワクチンと狂犬病ワクチンを別々に接種していきます。
ワクチンを接種した当日は、無理なく歩いて帰れる距離であれば歩かせて問題ありません。
しかし、長い距離の散歩や息切れするような激しい運動はNGです。
ワクチン接種後の犬は体力的に疲れているため、基本的にはゆっくりと家で休ませてあげるようにしましょう。
帰宅後も犬が興奮するようなシチュエーションは避け、穏やかに過ごさせてあげることが大切です。
本格的な散歩は2週間後から
初めての混合ワクチン接種後に散歩ができるタイミングは、最終接種日から約2週間後です。
ワクチンによる抗体が作られるまではタイムラグがあるため、しっかりと待ってからデビューさせてあげてください。
4回目以降の混合ワクチンや狂犬病のワクチンの場合は、接種後は24時間外出を控えて安静にさせましょう。体調が良好であることが確認できれば、散歩が可能になります。
ただし、この期間は厳密に定められているものではなく動物病院によって見解が違うため、不安な場合は獣医師さんに相談してくださいね。
避妊・去勢手術後の散歩はいつからできる?
抜糸までは激しい運動は避ける
避妊・去勢手術は全身麻酔で行われます。
そのため、手術後は普段より元気がない状態が想定されます。
少しずつ水やフードを与え、むせたり吐いたりなどの異常がなければ翌日から通常通りの食事を与えても構いません。
しかし、抜糸までの約6日間は散歩を控えるようにしましょう。
激しい運動は傷口が開いてしまう可能性があるため、処方された薬を与えながら運動量を調整することが大切です。
散歩は抜糸後3日目から少しずつ
抜糸後もすぐに散歩を再開させてはいけません。傷はふさがっていますが、赤みがなくなるまでの約3日間は散歩を控えましょう。
特に中・大型犬や肥満体型の犬は、傷口への負担が大きいため注意が必要です。
術後に元気がない原因
全身麻酔の影響や精神的疲労から、手術後の犬は元気がないことがほとんどです。
術後の傷を舐めさせないためにエリザベスカラーを装着している場合、ストレスによりさらに不快感を抱いているでしょう。
術後しばらくは運動量に気を配りながらも積極的にスキンシップを取り、愛犬を安心させてあげてください。
散歩に連れ出せない期間は、抱っこをしてベランダや家の前まで出て気分転換をさせてあげるとよいでしょう。
ただし、手術翌日になっても元気や食欲が戻らない場合は、動物病院を受診してください。
ヒート(生理)中の散歩はいつからできる?
元気がないとき以外は散歩可能
犬の生理中でも、元気がないとき以外は普段通り散歩に連れていっても構いません。
とはいえ生理中は散歩に行きたがらない犬もいるため、無理をさせないようにしましょう。
また、生理中はホルモンの影響により、雄の犬を引きよせやすい状態です。トラブルや怪我の防止のため、他の犬に遭遇しづらい時間帯や場所に出かけるようにしてください。
生理中の散歩の注意点
生理中に散歩をするときは、犬の生理用パンツを装着させることで出血による汚れを防げます。
血液以外の排泄物もキャッチしてくれますが、陰部周辺がかぶれる可能性もあるため、注意を払いながら使いましょう。
生理が終わっても他の犬が多い時間帯の散歩は避ける
ヒート中に最も注意が必要なタイミングは、出血量が少なくなった数日後です。
発情期に入るため2~3日後に排卵が起こり、その前後5日間は妊娠が可能な期間です。この時期は、望まない妊娠を避けるためにも散歩を控えるべきでしょう。
また、生理が終わっても発情期が終わったとは限りません。妊娠可能期間が終了したと判断できるまでは、他の犬が多い時間帯の散歩は避けてください。
子犬の散歩はいつからできる?
子犬の散歩にはワクチンが必要
子犬の初めての散歩は、混合ワクチンと狂犬病ワクチンの接種が終わった2週間後から可能です。このうち狂犬病ワクチンの接種は法律で義務づけられています。
混合ワクチンは法律の観点からは自由接種ではありますが、死の恐れがある病気への感染を防ぐために「すべての犬が接種すべき」と考えられているワクチンです。
混合ワクチンには、犬ジステンバーや犬パルボウイルスなど命に関わる病気を防ぐ5種類の「コアワクチン」と、感染リスクのある病気に対する8種類の「ノンコアワクチン」があります。最低でもコアワクチンを接種することが推奨されています。
ワクチン接種3回目の20日後〜100日後から可能
ワクチンを打ちおわり約20日が経過したら、いよいよ散歩デビューです。
この期間よりも前に外に連れだしてしまうと、まだ免疫が安定していないため感染の危険が高まります。
ただし、ワクチンの接種時期によっては2回目の接種後から散歩の許可が出る場合もあります。
子犬の社会性を育むために外に出すこと自体は構いませんが、厳密なタイミングは獣医師と相談しながら決めましょう。
生後3ヵ月のうちに散歩デビューをしよう
子犬の散歩は、生後4ヵ月になる前にデビューをさせておくことをおすすめします。4ヵ月を過ぎると「恐怖期(反抗期)」と呼ばれる時期になり、社会化が難しくなる傾向があるからです。
恐怖期には物事へのこだわりが強くなり、犬のルールや先入観が構築されます。
また、独占欲や自己主張も強まり、他の犬とのコミュニケーションが取りづらくなるといわれています。警戒心も強まり、散歩中に他の犬に吠えることもあるでしょう。
思考や感受性が柔軟な生後3ヵ月のうちに外の世界に馴染ませ、スムーズな散歩を促してくださいね。
犬の散歩のしつけで気をつけること
リードを少したゆませる
犬の散歩をする際は必ずリードと首輪を装着させますが、リードは少したゆんでいる状態で持ちましょう。
リードがピンと張っていると、気管虚脱という気管支の病気や交通事故のリスクが高まります。
リーダーウォークをしつける
リーダーウォークとは、犬を足元に寄りそわせながら歩く、飼い主が散歩を主導するためのしつけです。
犬が飼い主よりも前に行きそうな場合は必ず立ちどまり、「先に進んだらいけないんだ」と覚えさせます。
犬が止まったらたくさん褒めてから再び歩き始め、また前に出そうになったら止まる行為を繰りかえしましょう。
ストップのサインを覚えさせる
事故や誤飲防止のために、ストップのサインを覚えさせましょう。
言葉は「ストップ」でも「待て」でも構いません。
「飼い主が号令をかけたら犬が止まる」という基本のしつけを覚えさせることで、他の犬とのトラブルも防止できます。
特に子犬の時期は好奇心が旺盛で、見るものすべてに近づきたくなるものです。
子犬や飼い主自身の安全のためにも、早い段階で身につけさせてくださいね。
拾い食いには細心の注意を払う
散歩中の誤飲は、飲みこんだものによっては命に関わります。
煙草の吸殻や小石、フィルム素材、電池など、道端には愛犬の生命を脅かすものが落ちています。
消化されずに出てくることもあれば、切開手術が必要にする場合もあり、腸閉塞を始め重篤な症状を誘発することもあるでしょう。
ストップのしつけを徹底しつつ、誤飲の可能性があれば楽観視せずすぐに動物病院を受診してください。
飼い主としてマナーを徹底しよう
上記の他に、犬の飼い主としてマナーを徹底することも大切です。
排泄物を必ず持ちかえるためにティッシュやビニール袋を常備し、しつけが終わるまでは道行く人に飛びかからないように気を配りましょう。
まとめ
今回は、さまざまなシチュエーションごとの犬の散歩についてご紹介しました。
犬の飼い主にとっては当たり前の散歩の習慣ですが、犬の月齢や体調によっては控えるべきタイミングもあります。
犬の体や散歩への正しい理解を深め、安全で適切な散歩を楽しみましょう。