外猫にトイレを!猫も人も地域も幸せになるための「トイレボランティア」
最近では飼い主がいない猫に避妊去勢手術をした後、再び元の場所に戻し「地域猫」として“一代限りの命”を見守っていくという活動もよく目にするようになりました。
地域と猫が共存してくために重要なことは「衛生面」です。
ごはんを食べれば、オシッコやウンチが出るのは自然の摂理。
ごはんやお水を与えることはすぐに思い付きますが、トイレの管理をしてあげることも同じく重要なことです。
今回は外猫用のトイレについて、「なぜ外猫用のトイレが必要なのか」「外猫用トイレの設置方法」などをまとめました。
外猫用トイレの必要性
不衛生なイメージをなくすために
私の母は昔、猫が大嫌いでした。しかし現在では愛猫家となっています。
なぜ母は猫が嫌いだったのかというと「猫は臭くて汚い、そして怖い」という悪いイメージによるものでした。
私が子供の頃は野良猫が外を闊歩しているのもごく普通でした。
自宅には小さな庭があったので、猫たちがそこでウンチやオシッコをしてしまうことも頻繁にありました。
外で生きる猫は危険と隣り合わせなので、家の中で一生を過ごす猫よりも警戒心が強いです。
そのため怒りんぼの子は威嚇してきやすいので、まず母親の中で「猫は怖い」という認識が生まれました。
家の中で適切なケアをして飼育されていれば、猫の身体はほとんど臭くありません。
しかし外で暮らしていると汚れも付きやすく、ニオイは強くなりやすいです。
そして猫の排泄物はとても臭いが強いため、母親は自宅の敷地内に勝手に入ってきて庭で排泄をする猫たちに「臭い、汚い」という悪い印象を抱いていたのです。
このように、猫に「不衛生なイメージ」を持っている方も多くおられます。
そんな母の猫嫌いをコロッと一変させたのは、なんと私の愛猫でした。
室内飼いであった私の愛猫に恐る恐る触れ合った途端、母親の「猫の不衛生で怖いイメージ」は一変しました。
「猫ってほぼ無臭だし、カワイイんだね…」
あんなに毛嫌いしていた猫を膝に乗せて、そうつぶやいた母の背中は印象的でした。
猫も人も、地域みんなが幸せになるために
猫は何も悪くありませんが、やはり自宅の敷地内にウンチやオシッコをされて気持ちの良い人はいないでしょう。
小さなお子様がいらっしゃるご家庭は特に衛生面は気になりますよね。
猫の排泄物はニオイも強いので、自宅に排泄されていなくても近隣に悪臭が漂ってしまうことも。
もし地域猫の悪い印象を少しでも減らすことができれば、地域猫はその一代限りの命をもっと温かく全うすることができるでしょう。
地域がクリーンになることで、猫が好きな人も苦手な人もできるだけ快適に暮らすことができます。
猫が好きな人だけでなく、猫が苦手な人も、そして猫自身もみんなで幸せに暮らしていくための1つの方法が「外猫へトイレを用意して管理するボランティア」なのです。
外猫用トイレの設置方法
設置する場所
外猫用トイレを設置する場所のポイントは
・自宅の敷地内
・頻繁に排泄されている場所
・雨に濡れにくい場所
などです。
トイレを設置するのは責任が取れる自宅の敷地内とし、もし自宅以外の場合は必ず所有者の了承を得るようにしましょう。
頻繁に排泄していると思われる場所をトイレにするとスムーズです。
猫は「柔らかくて乾いた土や砂」に排泄したがるため、雨に濡れにくい場所に設置してあげるのもおすすめです。
プランターと園芸用土で代用する方法
市販されている猫のトイレや猫砂を購入しなくても、外猫用のトイレはプランターと土で代用することができます。
【用意するもの】
・プランター(猫が入れる大きめサイズ)
・園芸用土または川砂(水はけが良い素材)
・底網シート
・スコップ
底網シートをプランターの底に敷き、土を入れて完成です。
毎日の掃除の際に、スコップで土を柔らかくほぐしてあげると良いでしょう。
プランターがなくても、外猫ちゃんが頻繁に排泄している地面をただ掘り起こしてあげるだけでも大丈夫です。
直接地面を柔らかく掘り起こし、コンクリートブロックやレンガなどで囲いを作ってあげるのも良いですね。
外猫にトイレの場所を知らせるには?
設置したトイレにわざと排泄物をしばらく置いておくと、外猫が「ここがトイレ」と認識しやすくなります。
排泄物がない場合、よく排泄している場所の土を混ぜておいてあげる方法でも大丈夫です。
とはいえ外猫たちは警戒心が強いので、用意したトイレをなかなか使用してくれないことがあるかもしれません。
その際は「粉末タイプのまたたび」をトイレの土や砂に混ぜておくと外猫の興味を引きやすくなります。
外猫用トイレの管理方法
外猫ちゃんがトイレを使ってくれるようになったら、悪臭が漂わないように毎日トイレを清潔に保ってあげましょう。
園芸用土を使用している場合は湿気や雨で固くなりやすいため、こまめに掘り起こして柔らかさをキープしてあげましょう。
猫の排泄物はニオイが強いので、近隣住民に不快感を与えないために「清潔さとニオイのケア」が大切です。
そのため「EM菌」の消臭剤を土にスプレーする方法も効果的です。
【EM菌とは?】
EM菌とは、乳酸菌や酵母、光合成細菌など「自然界に存在する良い働きをしてくれる微生物」の総称です。
微生物の働きによってニオイの元となる菌の繁殖を抑制し、排泄物の消臭効果が期待できます。
EM菌は動物が舐めてしまっても安全性が高いところもメリットです。
排泄物を分解する土も!
「アースラブ」という土を使うと排泄物が自然に分解されますので、少なくなれば足していくだけで半永久的に土を使うことができます。
この「アースラブ」という土は生ゴミ処理用の土で、微生物や腐葉土の働きによって生ゴミを自然に優しく処理するためのアイテムです。
これを地域猫のトイレや、愛猫のトイレに活用されている方もいらっしゃいました。
・排泄物を取り除く手間がかからない
・微生物の力なので安全性も高い
・捨てるものが出ず環境にやさしい
というところがメリットです。
まとめ
私が子供の頃とは違って、猫の保護活動は「ただごはんを与えるだけ」ではなくなっていることに感動しました。
最近ではもはや「野良猫」という言葉も使わず、「外猫」「地域猫」という呼び名が浸透してきています。
なぜなら、人に守られない「野良猫」をゼロにしようと日々活動している方々がとても増えてきているためです。
猫のボランティア活動と聞くと大規模な活動をイメージしますが、地域猫として見守られている猫にトイレを1つ用意してあげることも、個人で簡単にできる重要なボランティアの1つです。
もしみなさんのご自宅の敷地内に外猫がよく来るという場合には、猫も人も地域も共に幸せにするトイレを設置してみてはいかがでしょうか。