読書の秋におすすめ!猫が主役の小説4選
皆さんにとって、秋はどんな季節ですか?
食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋…色々な秋がありますよね。
私は本が好きなので、読書の秋です!
秋は夜が長くなるので、ゆっくり読書を楽しみたくなります。
今回は、本好き&猫好きさんにおすすめしたい小説を感想と共にご紹介します。
ほっこりしたり泣けたり、ドキドキしたりとタイプの異なる本を選びました。
猫の時間 柄刀一
一冊で色々な感情が湧き上がってくるこちらの本。
全7編の短編集でそれぞれ独立した話なので、空いた時間に少しずつ読み進めたい方にぴったりです。
登場人物は子供の頃から猫を飼っている家族、一人暮らしの男性、小さな子供を育てるお母さんなど様々。
一人一人の人生に猫が関わり、良い変化が生まれていきます。
表題になっている「ネコの時間」という話は、少し内気な女の子「真子」とその家族のもとに子猫がやって来るところから始まります。
まるで人間のようにお喋りすることから、「みゃー」と名付けられた猫と家族の温かな時間が描かれています。
真子が成長して生活が変化する中で、みゃーの変わらぬ愛情と年齢ゆえに変わってしまう行動が、切なくも愛おしくなります。
話の中では猫は人の何倍ものスピードで年を取っていく、という現実が強調され、今目の前にいる我が子を大切にしよう、と感じますよ。
個人的に印象深い話は、「決壊と真珠貝」。シングルマザーとして生後間もない子供を育てる「光奈」と、野良としてたくましく生きる母猫の交流が描かれます。
懸命に子育てに励み子猫を守る母猫に、自分の姿を重ね合わせる様子に引き込まれ、先を急ぐように読み進めました。
前半は光奈の姉との不和によって不穏な空気が漂いますが、最後まで読んで印象が一変。思わずドキッとして最初から読み返したくなりました。
光奈が感情を爆発させるシーンではこちらも涙。
光奈と子供のこれからの幸せを願いたくなります。
著者の柄刀一さんはミステリー作家なので、その手腕が発揮されています。
この先どうなるんだろう?とドキドキさせられますよ。
旅猫リポート 有川浩
有名な作家さんで映画化もされているので、すでにご存知の方もいるかもしれませんね。
猫ばかと称される「サトル」と、額の八の字とカギ尻尾がトレードマークの「ナナ」の2人旅を記録した一冊です。
ナナ目線で語られる部分と、旅先で出会うサトルの友人や家族目線で語られる部分に分かれています。
旅の目的はナナの新たな飼い主を探すため。
銀色のワゴンに乗って美しい景色を眺めながらの旅は、気持ち良さそうで羨ましくなります。
サトルと友人の会話から、サトルの子供時代を垣間見ることができます。
個人的にはサトルの性格が魅力的だと思いました。
決して順風満帆とは言えない日々を過ごしてきたサトルですが、悲観的にならずに友人のため、弱っている動物のために奔走するのです。
サトルの思い出話にはくすっと笑えたりじんわり感動したり、色々な感情が入り混じると思いますよ。
ナナは人間の言葉が分かる賢い猫で、いつもサトルの側にいたいと思っています。
ナナの語りから猫の感じ方や本能がより分かりますよ。
旅が終わりに近づくにつれて、ずっとこの穏やかな時間が続くように願いたくなります。
ラストは温かな涙が流れ、サトルは本当に幸せ者だな、と感じました。
文章だけでも映像が頭の中に流れましたが、映画ではどんな風に描かれているのか興味が湧きました。
早速DVDを借りたいと思います (笑)
あたしの一生 猫のダルシーの贈り物 ディー・レディー
著者であるディー・レディーさんの愛猫であるダルシーの目線で、飼い主との暮らしを描いた一冊です。
ダルシーは子猫の時から自分をしっかり持っていて、観察眼があって、好奇心旺盛で猫らしい猫。
飼い主のことを最後まで「あたしの人間」と呼ぶ姿から、深い愛と共に人間の思い通りにはならない独立心が垣間見えます。
ダルシーが母猫から付けられた名前を飼い主に明かすシーン、飼い主とダルシーが本気でかくれんぼをして遊ぶシーン、一つ一つのシーンに互いへの愛が溢れています。
それでも猫生は嬉しいことばかりではありません。
事故や病気に遭ったり、新しい猫がやってきたり、ダルシーにとってストレスになる経験もたくさんあります。
ダルシーの喜び、悲しみ、怒りなどの感情が率直に綴られていて、心揺さぶられます。
人間は家族や友達がいて、どこへでも移動できて、将来の計画を立てることができます。
でも猫にとっては飼い主が全てであり、今が全て。先のことなんて分からない。
飼い主の都合に振り回されるダルシーを見ながら、心がぎゅっと潰れるような気持ちにもなりました。
しかしダルシーは辛い経験をしても、年齢と共に体力が衰えても、いつも飼い主のことを愛し、愛されたいと願うのです。
そのひたむきさに本当に感動させられました。
猫を飼っている方はダルシーと愛猫を重ね合わせて、より心が動かされると思います。
猫のハローワーク 新美敬子
くすりと笑える本をお探しの方におすすめなのがこちら。
写真集と小説を組み合わせたような一冊です。
毎日忙しく働く猫たちに仕事の苦労やモットーなどをインタビューし、仕事中の写真と共に載せたこの本。
自由気ままに生活しているように見える猫たちも、実は人間のために一生懸命働いてくれているのです!
職種別にまとめられており、本当にある仕事から猫たちが生み出したオリジナルの仕事まで多種多様。
なによりすごいのは、一瞬を切り取ったベストショットと仕事の内容がぴったり合っていること!
思わず笑ってしまいます。
新美さんのカメラ技術と想像力に拍手を送りたいです。
世界中色々な国の猫が出てきます。
もちろん日本もありますよ。
宅配ドライバー補助員、寺奉公、くノ一、御庭番…その国らしさが仕事に出ていて、文化の違いが垣間見えるのも面白いです。
猫たちのコメントからは、思いもよらない苦労や仕事の心構えを知ることができます。
真面目にコメントをしているのがかえって可笑しかったり、仕事に対する姿勢にハッとさせられたり。
個人的に好きなコメントは、乳母を務める若いママさんの一言。
「どこの子だって、大切な命です」
じんわりと心に染みて、納得した言葉でした。
この本を読んだ後に猫を見かけたら、この子はどんな仕事をしているんだろう?と考えてしまいますね。
猫を見る目が変わるかもしれません。
肩の力を抜いてリラックスしたい時にぜひ読んでみてください。
まとめ
今回ご紹介した本はどれも、猫を飼っている方なら「分かる、分かる!」と共感できる部分がありますし、飼っていない方も猫の習性や魅力を知る機会になると思います。
この秋はぜひ猫の可愛さや面白さが詰まった本を読んでみてください!