犬にトマトを与えてもいいの?与えるメリットや注意点を知ろう
夏の野菜の代名詞と言われて、トマトを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?そのまま食べるのはもちろん、ケチャップやソースなど加工しても美味しいのがトマトの魅力ですよね。
そんなトマトですが、実は犬も食べられる野菜のひとつです。
しかし、与える際にはいくつかの注意点があります。
今回は、犬にトマトを与える際のメリットや気を付けるポイントをご紹介します。適量や適切な方法を守り、犬と一緒に安全にトマトを楽しみましょう。
犬にトマトを与えるメリット
リコピンで老化を防止
トマトに含まれる代表的な栄養素であるリコピンは、βカロテンの2倍、ビタミンEの100倍以上もの抗酸化作用がある成分です。
慢性疾患のリスクを減少させ、病気予防や老化防止に役立ちます。
リコピンはカロテノイドの一種であり、植物の赤い色のもとになっている色素です。トマトの真っ赤な色を見ると、いかにリコピンが豊富かがわかりますよね。
βカロテンで健康維持
βカロテンは、犬の体内でビタミンAに変換されることにより、皮膚や被毛の健康状態を保ちます。
また、丈夫な歯や粘膜を作ってくれる効果もあり、アンチエイジングが期待できるでしょう。
リコピンと同じく抗酸化作用を持っており、免疫力アップにも役立ってくれます。
カリウムで高血圧予防
カリウムはミネラルの一種で、余分な塩分を体外に排出することにより体内水分量を調節する役割があります。
高血圧を防ぎ、神経の伝達や筋肉の働きもサポートしてくれる重要な栄養素です。
健康な体の働きのために、カリウムは欠かせません。
ビタミンCでアンチエイジング
トマトにはビタミンCもたっぷり含まれており、鉄分の吸収促進やホルモン代謝を行う酵素のサポートもしてくれます。
人間の場合も「美肌にはトマトがよい」と言われますが、これはビタミンCがコラーゲンの生成を助けるからです。
犬を病気から守るだけではなく、いつまでも若々しい体づくりをサポートします。
水分たっぷりで熱中症予防にも
トマトに含まれている水分は、全体の約94%です。
水分量が多い夏野菜の中でも、トマトはとくに水分量が豊富といえます。
熱中症・夏バテ防止にはもちろん、冬場の乾燥した季節にもおすすめできる食材です。
普段のおやつの代わりに与えれば、美味しく水分を摂取できるでしょう。
犬にトマトを与えるときの適量
犬にとってメリットが多いトマトですが、どの食材にも1日分の限度量はあるものです。水分量が多いため、与えすぎると水分過多となり下痢の原因になってしまいます。
以下に、犬のサイズごとにトマトの適切な給餌量の目安をご紹介します。
・超小型犬(チワワ・小柄なトイプードルなど):約5g~10g
・小型犬(ダックスフンド・トイプードルなど):約7g~15g
・中型犬(柴犬・ビーグルなど):約13g~39g
・大型犬(ゴールデンレトリバー・シベリアンハスキーなど):36g~78g
(*トマト1個分の重さ150g~200g)
上記の目安を参考にしつつ、体格や年齢、体調によって量をコントロールすることが大切です。
基本的には、1日の食事量の10%がトマトの限度量と覚えておきましょう。
「トマチン」が重篤な中毒症状を引き起こす
トマチンと症状
トマトには、トマチンという天然毒素が含まれています。
トマチンは犬の体に悪影響を及ぼす成分であり、さまざまな中毒症状を引き起こします。
犬の健康を守るためにも、飼い主が量やあげ方を正しく学びコントロールすることが大切です。
中毒症状のサイン
犬がトマチンを多量に摂取することで、中毒症状を起こし赤血球が破壊されます。
中毒症状は消化器症状に現れやすく、下痢や嘔吐などが代表的です。また、歯茎が白っぽくなる・元気がなくなりぐったりするなどもあります。
トマチン中毒は重症化すると命に関わります。体調に変化を感じたら自己判断をせず、迅速に動物病院を受診しましょう。その際は、食べたトマトの現物やパッケージ、嘔吐物(もしくは写真)も持参すると診察がスムーズになります。
中毒症状が起こったら食べたものを吐き出させる必要がありますが、家庭で無理に吐かせることはやめましょう。最善の方法は、できる限り早く動物病院に行き、適切な処置として嘔吐をさせることです。
もしものときにパニックにならないよう、普段から目に入りやすい場所に最寄りの動物病院の住所や電話番号を控えておくことをおすすめします。
犬にトマトを与えるときのポイント
皮を剥いてから与える
トマトは生のままで与えても問題がない食材ですが、皮を剥いてあげることでよりスムーズな消化吸収が期待できます。
ヘタを取り除いて数分茹でるだけでツルリと簡単に剥けるため、ぜひ湯剥きを試してくださいね。
まずは少量与えてアレルギーをチェックする
食物アレルギーは、食材に含まれるたんぱく質に反応して起こることが多いです。
トマトには100g中1gのたんぱく質が含まれているため、アレルギー症状が起こる可能性があるでしょう。
初めて与える際は、まずは少量にとどめ体調の変化を観察してください。問題がなければ徐々に量を増やしていきます。
とくに、今までにブタクサ・シラカバ・スギが原因でアレルギー反応を起こしたことがある犬は、体が抗原だと勘違いしてアレルギー症状が出る「交差反応」が現れる可能性があるため注意してください。
犬の花粉アレルギーは主に皮膚の痒みとして現れるため、花粉の季節に痒がっている子にトマトを与えるときも慎重になるべきでしょう。
与えるときは生より加熱後がおすすめ
トマトは、そのまま与えるよりも加熱をしたほうがリコピンの吸収率が高まるといわれています。
皮を取り除くために湯剥きをしてそのまま与えても構いません。
また、皮を剥いたトマトを油や調味料などを使わずに炒めてもよいでしょう。
子犬やシニア犬はとくに配慮をする
子犬は消化器官が未熟な場合が多く、シニア犬は弱っている可能性があります。
ごく少量であれば問題なくても、多量を摂取することで消化器官の負担が増すことが考えられます。
総合栄養食を食べている犬にとって、トマトは必ず与えなければならない食材ではありません。
無理に食べさせようとせず、愛犬の体調と相談してくださいね。
犬にトマトを与えるときの注意点
赤いトマト以外は与えない
未成熟なトマトには、赤いトマトよりも多くのトマチンが含まれています。
犬に与える際は、赤く熟しているトマトを選びましょう。参考までに、トマトの致死量は、体重5kgの犬なら未熟なトマト3個分と推測されています。
また、昨今では黄色や緑色、黒色などオシャレな見た目のトマトも多く展開されていますが、成分が異なるため与えないほうがベターです。
赤色以外のトマトで「これはあげてもいいのかな?」と迷ったら「与えない」を徹底しましょう。
与えるときは果実のみ
トマトはヘタや茎の部分を取り除き、実の部分のみを与えるようにしましょう。
ヘタや茎にはトマチンが非常に多く含まれており、その量は未成熟な緑色のトマトの約2倍といわれています。
とくに無農薬で新鮮な状態で買ったものや家庭栽培で収穫したものは、ミニトマトではなくてもヘタや茎がまだ付いている場合があります。
与える前にしっかりと確認してくださいね。
細かく切って与える
トマトをそのままの大きさで与えると、丸飲みして喉に詰まらせてしまう可能性があります。場合によっては呼吸困難や腸閉塞などの重篤な症状を引き起こす危険性もあるでしょう。
普段与えているおやつ程度の大きさまで細かくカットし、安全な状態で与えてください。
とくに丸飲みしやすいミニトマトは要注意です。
糖度の高いトマトは避ける
昨今では、まるで果物のような甘さのフルーツトマトが人気ですよね。
スーパーでもよく展開されているフルーツトマトですが、犬に与えるには糖度が高く糖尿病の原因になりかねません。
とくに肥満の犬や糖尿病の診断を受けている犬には与えないように気を付けてください。
普通のトマトよりも特別高い栄養価があるわけではないので、健康な犬にもあえて与える必要はありません。
犬にトマトの加工品を与えるときのポイント
基本的には与えないほうがベター
トマトの果実そのものはメリットが多いですが、トマトの加工品は与えるべきではありません。
例えばトマトピューレやトマトペーストは、香辛料や保存料が入っていることがあります。また、トマトの成分が凝縮されているため、少量でも体調に変化を及ぼす可能性があります。
ジュースも他の野菜や犬に与えてはいけない成分が入っていることが多く、自己判断は危険です。どうしても与えたい場合は、病院に現物を持っていき獣医師に成分表を確認してもらった上で判断しましょう。
ケチャップは絶対にNG
数ある加工品の中でも、決して与えてはいけないのがケチャップです。
どのご家庭の冷蔵庫にも入っている確率が高いケチャップですが、原材料に玉ねぎやにんにくが含まれているのが一般的です。
玉ねぎやにんにくを摂取すると溶血性貧血を起こし、場合によって命に関わる症状を引き起こします。
たとえ一口だけでも絶対に食べさせないように心がけてくださいね。
まとめ
今回は、犬にトマトを与えるメリットや注意点などをご紹介しました。
栄養価が高く、人間にとっても犬にとっても嬉しい効果が多いトマトですが、与える際は飼い主さんの正しい知識が必要です。
とくにトマチン中毒や丸飲みの危険性には配慮しつつ、適切な量を消化しやすい状態で与えてあげましょう。
これからの暑い季節、トマトでしっかりと水分補給をしながら元気いっぱいの毎日を過ごしてくださいね。