猫にトマトを与えて大丈夫?与えるメリットや注意点を解説

テーブルの上のトマトと猫

暑い季節になると、夏野菜の代表格としてみずみずしいトマトが並びますよね。

さまざまな栄養素が含まれ、美容にもアプローチしてくれる食品として知られているトマトですが、実は猫も食べられることをご存じでしょうか?

あげ方や量を守れば、トマトは猫にとって多くのメリットを与えてくれます。

今回は、猫にトマトを与える際の注意点などをご紹介します。

トマトが与えてくれる効果や危険性を学び、猫の健康を内側からサポートしてあげましょう。

猫はトマトを食べても大きな問題はない

トマトの匂いを嗅ぐ猫

基本的には、ペットに人間の食べ物を与えてはいけません。

しかし、トマトを含め一部の野菜や自然食品は、量や与え方を守ればペットの健康をサポートしてくれることもあります。

トマトには、一般的な野菜に含まれるビタミンAやビタミンCだけでなく、リコピンやβカロテン、食物繊維などさまざまな栄養素がバランスよく含まれています。

一つひとつの栄養素の効果を知り、適切な方法で与えることが大切です。

猫にトマトを与えるメリット

トマトを見て舌なめずりをする猫

リコピンで免疫力アップ

トマトの赤い色を作る成分であるリコピンは、強い抗酸化作用があることが特徴です。「トマトといえばリコピン」と連想する人も多いのではないでしょうか。

リコピンは体の免疫力を高め、慢性疾患のリスクを下げる働きがあるといわれています。

また、細胞を活性化させてアンチエイジングをしてくれる役割もあり、老化や成人病の予防にも期待できます。

カリウムで体の水分調整

カリウムは主要必須ミネラルのひとつで、細胞が正常に機能するためには欠かせません。神経の伝達や筋肉の動きをサポートし、心機能の働きにも関わる重要な栄養素です。

体内の水分をコントロールする機能があり、塩分を調整して血圧が上がらないように体外へ排出します。

ビタミンCで抗酸化作用

よく「トマトは美容によい」と言われますが、その理由のひとつが豊富なビタミンCです。コラーゲンを生成して皮膚を健康的に維持し、免疫力もアップさせてくれます。

リコピンと同様に高い抗酸化作用があり、体の中の活性酸素を取り除いてくれるためアンチエイジング効果に期待できます。

とくにシニア以降はビタミンCを体内で合成できる総量が減少するため、積極的に取り入れたい成分です。

水分で熱中症防止

夏野菜は水分量が豊富なものが多いですが、トマトも例に漏れません。

トマトの水分量は94%もあり、夏バテや熱中症予防に効果を発揮します。

冬の乾燥した季節の水分補給にもおすすめで、まさに1年を通して役立ってくれる野菜なのです。

食物繊維で健康な胃腸へ導く

食物繊維には整腸作用があり、便秘を改善する効果が期待されます。

水溶性食物繊維は胃から腸への移動を緩やかにし、不溶性食物繊維は腸の蠕動(ぜんどう)運動をサポートしてくれますが、トマトにはその両方が含まれています。

猫にトマトを与えるときのポイント

寝そべる猫とトマト

与えすぎないように気を付ける

どのような食材にも、1日に摂取してよい上限があるものです。

猫に与えてもよいトマトの量は、5kg程度の猫の場合1日あたりトマト16分の1程度です。

ミニトマトであれば、1日1個が目安になります。適切な量を守り、上限個数を超えないように与えてください。

猫は肉食動物だと理解する

人間と生活する中で雑食化している猫ですが、本来はライオンと同じ肉食動物です。

そのため猫は犬と比べ、トマトを含む野菜や植物の消化が苦手な傾向にあります。

栄養価の高いトマトでも与えすぎると消化不良を起こし、便秘や下痢、嘔吐、食欲不振などの原因になってしまうでしょう。

基本的にはトマトを与える必要性はない

フードを食べる子猫

トマトには猫の健康をサポートするさまざまな栄養素が含まれていますが、普段から総合栄養食のフードを食べている猫にとっては、必ずしも摂取しなくてはならない食材ではありません。

総合栄養食は「健康に必要な十分な栄養素が配合されている」と審査を受けた製品です。

そのため、トマトを与える際はあくまで+αとして考え、嫌がる猫に無理に食べさせないようにしましょう。

まずは少量与えてアレルギーをチェック

食品アレルギーは、含まれているたんぱく質に体が反応し発症することが多いです。

トマトにも少なからずたんぱく質が含まれているため、アレルギー発症のリスクがあります。

最初は少量を与え、体調に変化がないことを確認した上で少しずつ量を増やしていくようにしましょう。

また、嘔吐や下痢などの症状が現れたらすぐに中止し、動物病院を受診してくださいね。

生よりも加熱がおすすめ

トマトは生のままでも与えられますが、加熱をすることでリコピンの吸収率が高まるといわれています。

消化もしやすくなり、酸味も和らぐため嗜好性が高まるでしょう。

油や調味料などは使わず、茹でたり蒸したりして簡単に調理し、火傷しないように冷ましてから与えてくださいね。

細かく切って皮を剥いて与える

猫はもともと野菜の消化が苦手ですが、トマトの皮のような固い部分はより消化しづらく、お腹を壊してしまう原因になります。

おすすめの調理法は、加熱も同時にできる湯剥きです。

お湯を沸かしたお鍋にお玉に乗せたままトマトを沈ませ、数分茹でて冷ますだけでツルンと皮が剥けます。

また、消化をよくするためだけではなく、丸飲み防止のためにも細かく切って与えてください。みじん切りにして、フードの上からかけてあげたり小皿に盛ってあげたりすると食べやすいでしょう。

猫にトマトを与えるときの注意点

サラダを食べる猫

「トマチン」は猫にとって危険な成分

トマトの中には、微量ながらトマチンというアルカロイド系の自然毒が含まれています。

トマチンは有害物質で、中毒を起こすと下痢や嘔吐などの症状が現れます。

赤血球が破壊されることにより、最悪の場合は命を落としてしまうこともあるのです。

トマトは熟してから与える

恐ろしいトマチンですが、すべてのトマトに含まれているわけではありません。

トマチンが含まれているかどうかを見分ける基準は、トマトの「赤さ」にあります。

トマチンは緑色の未成熟なトマトに多く含まれていますが、赤く成熟することで減っていきます。

猫に与えるトマトは、赤く熟したものだけにしましょう。

トマトの果実以外は絶対に与えない

真っ赤に熟したトマトでも、ヘタや茎の部分には未成熟なトマトの約2倍のトマチンが含まれています。

与える際は必ずヘタを取り、果実の部分だけを与えてください。とくにミニトマトは取り忘れやすいため、気を付けてくださいね。

高カリウム血症に要注意

トマトに含まれるカリウムを多量に摂取すると、高カリウム血症という命に関わる病気のリスクが上がります。

初期はほとんど症状がありませんが、進行すると四肢が痺れたり吐き気を催したり、不整脈などの症状が現れたりします。

とくに心機能の異常は死亡リスクが高く、早期発見と治療が重要です。

予防のためにはトマトの適量を守ることと、定期的な健康診断を受けることです。

とくに腎臓に病気を抱えている子は血中にカリウムが残りやすいため、トマトを与えないようにしましょう。

フルーツトマトは避ける

たくさんのミニトマト

甘くて嗜好性が高いフルーツトマトは、糖度が高いため与えないようにしてください。とくに糖尿病や肥満の診断を受けている子は、症状が悪化する可能性があります。

不安であれば獣医師に相談することをおすすめします。

シニアにはあまり与えない

健康な猫には問題のない与え方でも、消化機能が弱っているシニア猫には負荷が大きくなります。

とくに普段からしっかりとシニア用フードを食べている猫は、トマトを食べる必要はありません。

猫が欲しがれば少量与えるのは問題ありませんが、積極的に食べさせるのは控えたほうがベターです。

異常が出たらすぐに病院へ

嘔吐・下痢・便秘・震え・痒み・呼吸困難など、トマトを与えた後に少しでも異常が現れたらすぐに動物病院を受診しましょう。

例えばヘタや茎ごと食べてしまった場合は、できるだけ早く医師による吐き出しの処置を受ける必要があります。場合によっては入院や手術が必要になるケースもあるでしょう。

決して自己判断や楽観視はせず、常に最善の対応を心がけてくださいね。

猫にトマトの加工品を与えるときの注意点

トマトと新鮮なトマトジュース

トマトジュース

基本的には、猫にトマトの加工品を与えてはいけません。

トマトジュースも同様ですが、100%トマトの無塩タイプであれば構いません。加塩タイプや、他の食材や香料が混ざっているものは与えないでください。

ドライトマト

ドライトマトは人間用に嗜好性を高めたものが多く、濃い味付けがされているため与えてはいけません。

とくに多くのドライトマトは加工過程で塩を用いており、塩分過多となってしまいます。

トマト缶

食塩やクエン酸などが配合されていない、100%のホールトマト・ダイストマトであれば与えても構いません。

しかしピューレ状になっている場合は、トマトの成分が何倍にも凝縮されていることが考えられます。

成分の過剰摂取の恐れがあるため与えるのは避けましょう。

ケチャップやソースなど

ケチャップやソースは、トマト以外にも玉ねぎやニンニクなど猫にとって有害な食材が配合されている場合がほとんどであるため、決して与えてはいけません。

まとめ

トマトに手を伸ばす猫

今回は、猫にトマトを与える際のメリットや注意点などをご紹介しました。

トマトは体によい成分が多いですが、野菜の消化が苦手な猫に与える場合はひと手間の気遣いが必要です。

また、飼い主さんが量をコントロールすることで初めて安心して食べさせられる食材です。

適切な与え方を学び、正しい方法で猫の健康をサポートしてあげてくださいね。