その症状「花粉症」かも!犬の花粉症の特徴や飼い主ができる9つのこと
「犬の花粉症」と聞いて驚く飼い主さんも多いのではないでしょうか?
犬も人間と同じように、一年を通して花粉症に悩まされます。
しかし実際の症状は人間のものとは違い、対策も可能です。
今回は、犬の花粉症について詳しく解説します。
症状や対策を正しく知り、愛犬にとってストレスのない環境を整えてあげましょう。
犬も花粉症になるの?
犬の花粉症の症状
「花粉症」、つまり「花粉アレルギー」は、体内に入った花粉を追いだそうとして現れる免疫反応を指し、人間の場合は涙や鼻水が代表的な症状です。
しかし犬の花粉症では、涙や鼻水はほとんど症状として現れません。まったく出ないわけではありませんが、あくまで少数派といえます。
犬の花粉症で最も症状が表れるのは「皮膚」です。
花粉と接触することでアトピー性皮膚炎を発症し、湿疹ができたり痒みが生じたりします。
また、花粉によるアトピー性皮膚炎は「花粉皮膚炎」とも呼ばれており、獣医師はこれらの症状をまとめて「犬の花粉症」と呼ぶことが多いです。
犬の花粉症による皮膚炎は、主に顔面・脇の下・股・足先・肛門周辺の痒みが特徴です。
犬に影響のある花粉の例
犬は、一年を通して花粉の影響を受ける可能性があります。
特に影響を及ぼす花粉は、以下の通りです。
・春:スギ・ヒノキ・シラカバ
・夏:イネ科植物
・秋:ブタクサ・ヨモギ
花粉はそれぞれの季節にだけ舞うわけではなく、他の季節にも少量ながら空気中を漂っていることがあります。
花粉症を発症しやすい犬種
犬の花粉症における皮膚トラブルは、犬種によって発症しやすさが違います。
特に発症しやすいとされているのは、以下の犬種です。
柴犬
フレンチ・ブルドッグ
ジャック・ラッセル・テリア
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
ラブラドール・レトリーバー
上記の犬種が花粉症を発症しやすいのは、遺伝的な体質が関連していると考えられています。
また、特に3歳未満の犬が「アトピー性皮膚炎を初めて発症しやすい」といわれています。
犬の花粉症を疑うサイン
特定の季節のみ皮膚を痒がる
人間の花粉症と同じように、犬の花粉症にも「季節性」があります。
普段は皮膚が弱くないのに、毎年特定の季節にのみ皮膚を痒がる様子を見せる場合は、花粉症によるトラブルの可能性が高いでしょう。
皮膚が赤くなる
花粉症による皮膚炎では、痒みの他に肌の炎症が起こります。
皮膚が炎症を起こすと赤くなり、掻いたり舐めたりすることでさらに悪化してしまうこともあります。
フケが出る
犬の皮膚は人間よりも薄く、乾燥しやすいのが特徴です。
花粉症になると乾燥してフケが出やすくなり、特に柴犬やフレンチ・ブルドックなどの短毛種では目立つ症状といえます。
犬のフケが増加する原因は花粉症だけではなく 、ツメダニ症や脂漏症(しろうしょう)など他の病気の可能性も考えられるため、できるだけ早く獣医師に相談することが大切です。
目を痒がる・鼻水やくしゃみが出る
少数派ではありますが、花粉によって目の痒みや鼻水などの「人間の花粉症らしい症状」が現れる場合もあるでしょう。
花粉によるこれらの症状は、犬の場合も「アレルギー性鼻炎」や「アレルギー性結膜炎」と呼ばれます。
下痢や嘔吐をする
花粉症を含めた犬のアレルギー症状では、皮膚トラブルの他に「消化器症状」が現れやすいことも特徴です。
突然お腹を下したり吐いたりなど消化器症状が出た場合、花粉症を発症した可能性があります。
もちろん他の疾患の可能性もあるため、軽視は禁物です。
皮膚が黒ずむ
花粉症による皮膚炎が慢性化すると、色素沈着により皮膚が黒ずむ場合があります。
痒みが治まった後も、なかなか元に戻らないこともあるでしょう。
犬に花粉症の症状が出たときの対策
薬用シャンプーで洗う
花粉症によって肌に負荷がかかっている状態のため、炎症を抑える低刺激の薬用シャンプーで洗ってあげましょう。
体だけではなく、目や鼻周りの粘膜付近も念入りに洗ってあげてくださいね。
保湿効果や皮膚の保護効果のあるリンスで仕上げれば、より安心です。
ただし、シャンプーのしすぎは他の皮膚炎やストレスの原因にもなるため、月に1回程度にしておきましょう。
エリザベスカラーを着用する
花粉症は痒みを誘発するため、犬が掻いてしまい血が出たり悪化したりしてなかなか治らないケースも多いです。
とはいえ、愛犬に「掻かないで」といっても伝わりませんよね。
花粉症の対症療法をしつつ、対策としてエリザベスカラーを取り入れて皮膚を守りましょう。
留めるときの「パチン」という大きな音が苦手な子用に、フカフカな布でできた被るタイプのエリザベスカラーも展開されています。
保湿剤を使う
犬の皮膚には、花粉やハウスダストなどから肌を守るバリア機能があります。
しかし乾燥するとバリア機能が弱まり、花粉症の症状が起こりやすくなるのです。
また、乾燥は痒みも誘発します。犬用の保湿剤を使い、肌に潤いを与えてあげましょう。
特にバリア機能をケアする「セラミド」が配合されているローションがおすすめです。
痒み止めの薬を使う
人間の花粉症に根本的な治療がないように、犬の花粉症も「完全に治す」ことはできません。
そのため、基本的には対症療法が主な治療法になります。
犬の花粉症において最もつらい症状である「痒み」を抑えたいときには、抗ヒスタミン剤が用いられます。
内服薬と塗り薬があるため、犬の性格や症状と相談しながら処方してもらいましょう。
ステロイド剤を使う
ステロイド剤は痒み対策に効果が期待できますが、長期間の治療が必要な場合は副作用について獣医師との密な連携が必要です。
花粉症は、季節性のアレルギー症状です。短期間・低用量の使用であれば「期待される作用」が「副作用」を上回る可能性が高いため、選択肢の一つになるでしょう。
犬が花粉症で苦しまないためにできる9つのこと
洋服を着せて散歩に行く
犬が最も花粉と触れあう機会があるのは、散歩の時間です。
花粉による皮膚への影響を最小限に抑えるには、ドッグウェア(犬用の洋服)がピッタリです。
特にナイロン生地は、花粉が通りづらいためおすすめです。
チワワやパグなど寒さに弱い犬種の場合、春先など冷える時期は厚手のセーターを着せてあげてもよいでしょう。
散歩コースを変更する
普段歩いている散歩のコースを変更することで、花粉の付着から犬を守ることができます。
公園や街路樹など「自然や木々が多い道」を歩いている場合は、ルートを変更してみましょう。
特にイネ科は背丈が低いものが多いため、犬が花粉を吸い込んでしまう可能性が高いです。
散歩の時間を変更する
花粉の量は、1日の中で2回ピークを迎えます。
・1回目のピーク:午前10時から正午にかけて
・2回目のピーク:日没前後(夕方)
この時間帯を避けて散歩を行うことで、花粉による被害を最小限に抑えられます。
特に午後8時以降は花粉量が減る傾向にあるため、お散歩タイムにおすすめです。
保護パウダーを塗布する
保湿剤と併用して犬用の保護パウダーを塗布しましょう。
保護パウダーは、抗炎症作用にも期待できます。
皮膚病や痒みを防ぐ効果が高いものもあるため、犬の体質に合わせて選んでくださいね。
散歩の後はブラッシングをする
花粉の季節にお散歩から帰宅したら、普段より念入りなブラッシングをしてあげてください。ブラッシングには毛並みを整えるだけではなく、花粉や塵などの細かい異物を落とす役割もあります。
ブラッシングをスムーズに行うためにも、普段からブラシやコームに慣れさせておくことをおすすめします。
また、ブラッシングの後に濡れたタオルで体全体を拭いてあげると、さらに花粉被害を抑えられるでしょう。
掃除や空気清浄機を活用する
家の中に持ち込んでしまった花粉を除去するために、こまめな掃除を心がけましょう。
また、花粉・ハウスダストの除去に特化した空気清浄機を導入するのもおすすめです。エアコンの掃除も定期的に行いましょう。
人間の服の花粉もケアする
一歩家の外に出ると、犬だけではなく飼い主さんにも花粉が付着します。
飼い主さんに影響はなくても、愛犬がつらい痒みを感じる原因になってしまうかもしれません。
お散歩後に限らず、外から帰宅したら入室前に洋服や髪を払い、花粉を落としておきましょう。
花粉が舞わないように、払った後の洋服に花粉の飛散を抑制する効果のある消臭スプレーをかけておくことも大切です。
帽子や上着は犬の生活空間に持ち込まず、クローゼットにすぐにしまうよう心がけてくださいね。
また、花粉付着の防止のため、洗濯物はできるだけ室内に干すようにしましょう。
日常的に保湿をしてあげる
乾燥は肌のバリア機能を低下させ花粉を侵入させやすくなるため、皮膚トラブルの原因になります。
花粉症対策の基本は「定期的な保湿」です。犬用の保湿剤を使い、普段から肌が潤っている状態を維持してあげましょう。
特に暖房器具を使う時期は、加湿器も併用して愛犬の皮膚を守ってください。濡れたタオルを部屋にかけておく方法もおすすめです。
花粉ニュースを活用する
気象サービスの中には「花粉予報」が表示されているものもあります。
時間ごとの花粉量もわかるため、サービスを活用して散歩の時間を決めてくださいね。
日中の花粉量が把握できると「明日は明け方まで雨が降っているから、散歩は花粉が出る前の早朝にしよう」「日中はずっと花粉が飛んでいるから、仕事から帰宅後の夜に連れて行ってあげよう」など、予定が組みやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、犬の花粉症の症状や対策についてご紹介しました。
犬の花粉症は、お散歩の工夫や保湿によってある程度は予防できるものです。
掃除や空気清浄などの衛生管理も効果があります。部屋を綺麗にすることで、犬にとっても飼い主さんにとっても心地よい空間ができるはずです。
花粉が気になるこれからの季節は、犬も人もお互いにストレスのない生活を作りましょう。
公開日:2019/3/16 最終更新日:2022/3/16