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【猫の花粉症】症状や対策は?勘違いしやすい「要注意の症状」も

マスクをして飼い主の膝にのる猫

一年を通して空気中を漂っている花粉。

特に量が多くなる春や秋は、花粉症の症状に苦しんでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか?

実は人間と同じように、猫も花粉症になります。

しかし症状は人間とは違い、根本的な治療はできないものの対処は可能です。

今回は、猫の花粉症について詳しく解説します。症状や対策を正しく知り、愛猫にとってストレスのない環境を整えてあげましょう。

猫も花粉症になる!飼い主が知っておきたいこと

外でマスクをつけている犬と猫

猫の花粉症の症状

人間の花粉症の症状は、涙や鼻水、目や耳の痒みであることが多いでしょう。猫にこれらの症状が出ないわけではありませんが、少数派です。

猫の花粉症の主な症状は「皮膚」に現れます。

そもそも「花粉症」とは「花粉アレルギー」のことを指し、体内に入った花粉を追い出すための免疫反応です。そのため、花粉が原因で発症するアレルギー性皮膚炎のことを「猫の花粉症」と呼ぶ獣医師も多いのです。

また少数ではありますが、花粉症が原因による猫の喘息も報告されており、この場合の診断名は「アレルギー性喘息」になります。

猫に影響のある花粉の種類

花のそばで寝る猫

猫のアレルギー発症の原因となる花粉は、以下の通りです。

・スギ:2〜4月
・ヒノキ:3〜5月
・カバノキ科(シラカバ、ハンノキ):4〜6月
・イネ:5〜10月
・ブタクサ:8〜11月

ご覧の通り、人間がアレルギー症状を起こす花粉の種類とほぼ変わりありません。つまり、生活の中でできる「人間用の花粉症対策」が猫にも有効といえるでしょう。

また、スギとヒノキは花粉の形が似ているため、スギの花粉症の人の多くはヒノキでもアレルギー反応が出るといわれています。「スギの花粉症だからヒノキは大丈夫」と油断せず、一種類の花粉と認識して避けるようにしましょう。

猫が花粉症になる原因

花の匂いを嗅ぐ猫

飼い主が花粉を持ち帰る

室内飼育をされている飼い猫は外出をしないため、犬と違って「お散歩先で花粉を持ちかえってくる」ことがありません。

猫が花粉症を発症する場合、その原因は飼い主さんにあるといえるでしょう。

飼い主さんが出勤や登校、買い物から帰宅したときに服に花粉が付着していた場合、しっかり落とさずに入室することで花粉が猫の生活空間に入り込みます。

その結果、猫が花粉に触れてしまいアレルギー反応が起こるのです。

また、洗濯物を外に干しているご家庭では、洗濯物に付着した花粉が花粉症の引き金になります。

高階層以外の部屋は、網戸や換気扇からも花粉が侵入することがあります。

お散歩で皮膚に付着する

ウイルス感染予防や野生動物保護などの観点から推奨はされていませんが、猫を外に出して自由にお散歩させている方もいるでしょう。

犬と同様に、猫も散歩をすると外出先から花粉を持ち帰ることがあります。特に猫は塀や木の上に登るため、高い位置から降りそそぐ花粉をダイレクトに浴びてしまう危険性もあります。

また、イネ科を始めとした背丈が低い植物からも花粉が出るため、地面を歩いていても花粉に触れてしまう可能性があるのです。

猫の花粉症の検査や治療

獣医師の診察を受ける猫

抗体検査によるアレルギー物質の特定

猫の花粉症で動物病院を受診した際に行われるのが、アレルギー物質の特定です。

抗体検査で「どの植物の花粉で症状が誘発されているのか」を調べると、予防や対策がしやすくなります。

たとえば「ブタクサにアレルギー反応があるから、秋の洗濯物はなるべく室内干しをしよう」「ヒノキに反応するから、春は網戸を開けないように過ごそう」などと対策できるでしょう。

痒み止めの薬の処方

人間の蕁麻疹や花粉症対策と同じように、猫にも痒み止めとしての「抗ヒスタミン剤」が適用されます。

花粉症は根本的な治療ができず、症状を抑える「対症療法」しか有効でないからです。

抗ヒスタミン剤は内服薬(飲み薬)や外用薬(塗り薬)があり、獣医師と相談をしながら猫の性格や体質によって決めることになります。

症状によっては、両方のタイプの薬を処方されることもあるでしょう。

エリザベスカラーの着用

猫の花粉症では皮膚の炎症が主な症状のため、痒くて舐めたり引っ掻いたりしてしまうことが多いです。

「掻かないで!」といっても猫には伝わらないため、飼い主さんは歯痒いことでしょう。

対策としては、エリザベスカラーの着用がおすすめです。猫にとっては「痒いところが掻けない」という大きなストレスを抱えることになるため、抗ヒスタミン剤やステロイド剤などの薬を使いながら装着させましょう。

エリザベスカラー着用時の「パチン」という大きな音が苦手な子のためには、頭から被せるだけの布タイプもあります。

猫用の洋服の着用

体を掻かないようにするためには、「猫用の洋服」を着せる方法もおすすめです。もちろん、サイズが合っていれば犬用のウェアでも構いません。

爪で引っ掻いても体に傷が付きにくく、炎症の悪化を防いでくれます。

また、花粉が付着しにくくなるため、花粉症の治療中だけでなく、花粉症予防のために着せるのもよいでしょう。

ナイロン製の洋服なら特に花粉を弾いてくれます。

猫が花粉症にならないために普段からできること

飼い主の足元にいる猫

外出をさせないようにする

猫を外に出していない場合は問題ありませんが、「半室内外飼育」をしている場合は、これを機に「完全室内飼育」へと移行させましょう。

「ずっと家の中に閉じ込めるのは可哀相」と思う方もいるかもしれませんが、室外は花粉だけではなくさまざまなウイルスが存在しています。

中には猫白血病ウイルスや猫エイズウイルスなど、生命にかかわる感染症もあります。

また、事故や心ない人に誘拐される可能性も否定できません。

花粉を落としてから入室する

猫の花粉症の原因となる花粉を持ち帰るのは、主に飼い主さんです。帰宅をしたら入室前に花粉を払い落とし、室内に持ち込まないようにしましょう。

また、猫が花粉に触れないように、帽子や上着は猫の生活空間ではなく自室のクローゼットにしまうことをおすすめします。

定期的なシャンプーとブラッシングをする

飼い主にブラッシングしてもらう猫

飼い主さんがどんなに気をつけていても、花粉の侵入を完全に遮断することはできません。

月に一回程度の定期的なシャワーと日々のブラッシングで、体に付着した花粉を落としてあげましょう。

ブラッシングを嫌がらないように、普段からブラシやコームに慣らせておくことをおすすめします。

どうしてもシャンプーを嫌がってしまう子の場合は、拭き取りタイプのペーパーシャンプーを使用しましょう。

こまめに掃除をして空気清浄機を活用する

人間の花粉症対策として、こまめに掃除をしつつ空気清浄機を使っている人もいるでしょう。

猫の花粉症でも同様の対策が有効です。ハウスダストや花粉のケアに特化した空気清浄機や加湿器を使い、衛生管理を行いましょう。

また、掃除の際に水で絞った雑巾で家全体を拭くようにすると、花粉が落ち快適な状態を保てます。

定期的に健康診断を受ける

定期的な健康診断は、花粉症を早期に発見するきっかけになります。

年に1回のワクチン接種の他に、半年に1回の健康診断を行うのが理想です。

花粉症のような症状が出たときは自己判断で様子見をせず、早めの受診を心がけてください。猫が体を掻いてしまう前に処置をしてもらうことで、怪我や新たな感染も防げるでしょう。

花粉症と勘違いしやすい猫の病気

聴診器をあてられる猫

ここでは、花粉症の症状と間違えやすい猫の病気・疾患をご紹介します。

「ただの風邪ですぐに治るだろう」と自己判断せず、できる限り早めの受診を心がけましょう。病気は「早期発見・早期治療」が原則です。

猫ヘルペスウイルス感染症

猫ヘルペスウイルス感染症は「猫ウイルス性鼻器官炎」とも呼ばれる感染症で、結膜炎や鼻炎を引き起こす病気です。

主に「猫風邪」と呼ばれる症状であり、一度でも感染するとウイルスが体内に滞在し、完治したと思っても体力や抵抗力が落ちたときに再発することがあります。

主な症状は、鼻水・くしゃみ・涙・目の充血・目やにの増加・発熱・食欲不振などです。

治療には、抗生剤や抗ウイルス薬の内服、点眼などが用いられます。

猫クラミジア感染症

猫クラミジア感染症は、主に子猫が感染する病気です。目の結膜への感染力が高く、結膜が腫れあがって充血して赤くなり、痛みを伴います。

目ヤニやくしゃみ、鼻水が出ることが多いため、花粉症と勘違いされることがあります。

感染した猫の目ヤニ・鼻水・糞便の中にウイルスが含まれているため、室外飼育や多頭飼いをしている方は特に注意しましょう。

副鼻腔炎(蓄膿症)

副鼻腔炎は、鼻の穴の奥にある副鼻腔に炎症が起こる病気です。

鼻腔内で起こった炎症が副鼻腔にまで及んで発症することがほとんどで、最初から副鼻腔に炎症が起きるケースは稀です。

副鼻腔炎の症状は鼻水とくしゃみが代表的で、放置すると嗅覚や味覚が鈍くなり食欲が低下することもあります。

治療には飲み薬や注射、吸引療法などが用いられます。

クリプトコッカス症

「クリプトコッカス」という種類の真菌に感染することで発症する病気が、クリプトコッカス症です。

鼻筋が大きく腫れて鼻炎に似た症状が出て、鼻水やくしゃみが増えるのが特徴です。

感染経路は主に「鳥の糞に含まれる菌を猫が吸うこと」による空気感染で、子猫や老描など免疫力が低い猫が感染しやすいといわれています。

放置すると失明のリスクがあるだけではなく、人畜共通感染症(猫も人間も感染する病気)を引き起こす可能性のもあるため、早めの受診と治療が求められます。

まとめ

こちらを見ているスコティッシュフォールド

今回は、猫の花粉症の症状や対処法などをご紹介しました。

散歩を必要としない猫は、犬と比べると花粉症を発症しにくい傾向にあります。

しかし油断をすると、痒みや鼻水などのつらい症状が出てストレスを感じさせてしまうでしょう。

他の感染症の可能性も踏まえ、異変を感じたらすぐに動物病院を受診することが大切です。

愛猫の健康を大切に考え、安心感のある生活を送りましょう。