猫を保護したらどうしたらよい?野良猫・子猫・迷子猫別のやるべきことを解説!

ブランケットにくるまれて眠る子猫

「捨て猫を拾ったけれど、何をしたらいいのかわからない」「近所に迷子猫がいるけれど、どうすればいいの?」

突然の見知らぬ猫との出会いは誰でも戸惑いを感じるものですが、正しい知識を身に付けることで、後悔のない選択が可能になります。

今回は、猫を保護したときにやるべきことをまとめました。

野良猫や子猫、迷子猫の場合などシチュエーションごとに解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。

【共通事項】猫を保護したらまずするべきこと

膝の上に乗る子猫たち

最優先で動物病院へ!

子猫でも成猫でも、猫を保護した後に最優先で行うべきことは動物病院の受診です。

外で生活していた猫は、一見元気そうに見えても目に見えない感染病を持っている可能性があります。

特に猫エイズや白血病は検査結果が出るまでに1ヵ月程必要なため、当日か翌日に受診をしましょう。

また、病気の検査だけではなく、ノミやダニなどの早期発見・治療にもつながります。

併せて、今後の診察に必要な金額の目安も聞いておくと安心です。

最寄りの保健所へ連絡する

保護した猫が、脱走した飼い猫や迷子猫の可能性もあります。

飼い主が探していることが考えられるため、最寄りの保健所へ連絡をしましょう。

特に保護した猫がマイクロチップを装着している場合は、飼い主がスムーズに見つかる可能性があります。

最寄りの警察へ連絡する

保健所だけではなく、警察への連絡も必要です。

特に首輪が付いている猫は、飼い主が遺失物として届け出を提出している可能性があるでしょう。

動物愛護センターへ連絡する

動物愛護センターは、保健所の特定の業務を担っている、各都道府県にある動物保護施設です。

自宅で一時保護をする場合も、動物愛護センターへ連絡をしてください。

保健所や警察と同様に、飼い主からの連絡があるかもしれません。

【野良猫編】猫を保護したらどうするべき?

縁側で顔を洗う猫

首輪をしていない・痩せている・怪我をしている・毛並みが悪いなどの特徴を持つ猫は、外で生活をする野良猫の可能性が高いでしょう。

基本は団体に頼らず「自分で面倒を見る」

「動物を保護したら愛護団体に連絡をすれば世話をしてもらえる」と思っている人は少なくありません。

しかし実際はどの団体も予算が厳しく、人手も足りていないのが現状です。

猫を保護したら、里親募集も含め、基本的には自分がすべての面倒を見るという認識を持ちましょう。

団体がケアをしてくれるのは、あくまで拾得者のサポートです。

また、飼育の意思を伝えれば快くアドバイスをしてもらえます。

自治体に相談をして不妊手術をする

動物病院で健康状態が良好であるとわかったら、不妊手術を行いましょう。

不妊手術は生後半年が経過した2kg以上の猫であれば、いつでも可能です。

手術により発情やマーキングを防ぐだけではなく、特定の病気や疾患を予防できます。

また、自治体によっては助成金が出るケースもあります。

飼えない場合は里親募集へ

保護猫を自分で飼育することが困難な場合は、一時飼育をしながら里親募集を行います。

顔と全身がわかる写真を撮影し、連絡先を記載した上で最寄りの動物病院に張り紙をしてもらえるか相談しましょう。

インターネットの里親募集サイトやSNSも活用し、飼育を希望する人からの連絡を待ちます。

掲載の際に、疾患・月齢・性別・ワクチン状況・性格・保護した経緯など詳細を記入することで興味を持ってもらえる確率が上がります。

「さくら猫」ではないか確認する

保護した猫の耳がカットされている場合は「さくら猫」の可能性があります。

さくら猫とは、地域の人たちによって保護され避妊手術を受け、手術の証として耳の先端をV字にカットされた猫です。

さくら猫は一代限りの命として、地域に愛され複数人から世話をされています。さくら猫がいなくなると近所の人が心配して、トラブルの原因になってしまうかもしれません。保護の際は耳をチェックしましょう。

保護をした後に耳のカットに気づいた際は、近所の人や団体に相談してみてください。

【子猫編】猫を保護したらどうするべき?

路上に佇む子猫

自分で餌を探せないほどの幼い猫や、まだ目が開いていないような赤ちゃん猫を拾った場合の行動をご紹介します。

周囲に親や兄弟がいないか確認する

明らかに人間の手によって捨てられている子猫(キャリーや段ボールなどに入れられている)であればすぐに保護をしたいところですが、成猫のように1匹でいる子猫を見つけたときは周囲を観察しましょう。

親猫や兄弟猫とはぐれてしまっただけかもしれず、引き離すことで社会化の妨げになってしまう可能性があります。

保温をして適温に保つ


子猫は成猫と比べて体温調節能力が未発達で、体が冷えやすい状態です。

子猫に最適な室温は約30℃とされているため、暖房やヒーター、毛布などで体を温めてあげましょう。

使い捨てのカイロやお湯を入れたペットボトルを用意し、火傷をしないように布に包んであげると移動時にも便利です。

離乳食を与えて様子を見る

生後4週間を過ぎていると思われる場合は離乳食を与えます。

子猫用のドライフードをお湯でふやかし、人肌の温度まで冷ましてから与えましょう。
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なかなか食べてくれない場合は、シリンジで与える方法がおすすめです。

猫用ミルクを与えて排泄をサポート

離乳食が食べられないほど若い個体の場合は、子猫用のミルクを与えます。

また、若い月齢の猫は自分で排泄をすることができず、人間がタオルやティッシュを使って陰部を刺激することで促します。

最初に診察を受けるときに、獣医師にやり方を教わりましょう。

【迷子猫編】猫を保護したらどうするべき?

首輪をつけた黒猫

首輪を付けている・明らかに毛並みがいいなどの特徴がある場合は、人間に飼育されている猫が迷子になってしまった可能性が高いでしょう。

連絡先を残しておく

迷子猫を保護したら、飼い主さんがその場所を訪れたときのために、特徴や習得場所などを記載したポスターや連絡先を貼りましょう。とはいえ、公共物や私有地の建造物に勝手に貼ることはできません。

最寄りの動物病院やペットショップにお願いすると、張り紙の許可が出る可能性が高いでしょう。

また、コンビニやスーパーなど人の出入りが多い場所でも効果が見込まれるため、ぜひお願いをしてみましょう。

近所の人に保護の情報を共有しておくと、さらに連携が取りやすくなります。

拾得者の連絡先も忘れずに記載してくださいね。

里親募集と同様に、SNSを使うことでも多くの人の目に止まる可能性があります。「#迷子猫 #拡散希望」などのハッシュタグを付けるとより効果的です。

他には、迷子猫用のwebサイトに情報を記載する手段もあります。迷子猫を探している飼い主さんはオンライン上の情報も細かくチェックしている可能性があるため、ぜひ積極的に活用しましょう。

迷子ペット.NET

遺失物として警察やセンターに連絡する

飼い主がいる迷子猫の場合は、警察や動物愛護センターに連絡が届いている可能性が高いでしょう。

動物病院で検査の後に安全を確保してからで構いませんので、各所に連絡をしてください。

3ヵ月経過後は自分の所有物になるため準備をする

迷子猫を警察に遺失物として届け、飼い主が現れない状態で3ヵ月が経過した場合は、遺失物法により拾得者が猫の所有権を取得できます。

反対に3ヵ月以内に飼い主が現れた場合には、どんなに情が移っていても法的には返却をしなければならないと覚えておきましょう。

猫を保護したらまず用意するもの

窓辺で眠る猫

食器 ・ケージ などの生活用品


猫を保護したら、安心して生活をするための食器やケージを用意しましょう。

食器は猫の大きさに合わせるため、月齢の若い子猫であれば使っていない小皿でも構いません。

ケージは、猫用の高さがあるものを選びましょう。


また、ひっくり返してしまったときのためにお水入れは複数ヵ所に用意しておくと安心です。

猫用ベッドは安価なものでも問題ありません。

夏は冷却マット 、冬はペット用ヒーターなど温度調整ができるアイテムも用意します。

月齢に合ったフード

猫の状態は、与える食事で変わるといっても過言ではありません。月齢に合ったフードを与え、決して人間の食べ物を与えないように配慮しましょう。

フードを選ぶときは、猫の成長に十分な栄養素が配合されている証である「総合栄養食」と記載があるかどうかを確認します。

嗜好性が高い副食は、動物病院での検査で健康と安心が保証されてからにしましょう。

トイレ ・猫砂


猫は犬と比べ、トイレのしつけが容易です。

自分で排泄できる月齢になった猫には、専用のトイレと砂を用意してあげましょう。

ほとんどの場合は、多くても数回以内の失敗でトイレの場所を覚えてくれます。

まだ慣れていない間は、トイレに行きたそうにソワソワし始めたら誘導してあげましょう。

落ち着いて休める隔離場所

猫は縄張りを重要視する生き物であるため、外の世界から室内に連れてこられると大きなストレスを感じます。

心身ともに落ち着いて休める環境を整えてあげましょう。

具体的には、「人通りが少ない・暗い・静かな場所」が必要です。

また、キャットタワーや猫用ケージなど高さのある居場所を作ってあげると喜びます。

お気に入りの場所が見つかるまで、複数ヵ所にベッドやクッションを用意してあげるとよいでしょう。

猫を保護したときにやってはいけないこと

背中を向けている野良猫

先住猫との接触

もしも先住猫がいる状態で他の猫を保護した場合は、お互いを接触させないように心がけましょう。

保護されたばかりの猫は、さまざまなウイルスやノミ・ダニを持っている可能性があります。

居場所だけではなく、食器も別のものを用意してあげてください。

一度に多くのフードを与える

保護されたばかりの猫は、胃腸が弱っている可能性があります。獣医師がOKと判断するまでは、一度に多くのフードを与えず小分けにしてあげましょう。

また月齢の判断が難しい子猫の場合は、まずは少量のミルクから始め、様子を見ながら子猫用フードに切りかえてください。

不適切な食事をさせる

特に猫の飼育経験がない人が注意したいポイントは、月齢に沿ったフードを与えることです。

「猫用のフードなら何でもいい」というわけではありません。

ホームセンターやペットショップには、月齢や健康状態に合ったフードが販売されているため、保護した猫に合うものを選んであげてください。

また、人間用の牛乳に含まれる栄養素は、猫に必要なものとは違います。

栄養不足になったりお腹を壊してしまったりする可能性があるため、必ず猫用のものを用意してあげましょう。

無理やり触る・抱き上げようとする

外で生活をしていた猫は、人間への警戒心や攻撃性が高い傾向にあります。

可愛いからといって、無理やり触ろうとしたり抱っこしようとしたりするのはやめましょう。

猫のストレスになるだけではなく、引っ掻かれて腫れてしまうこともあります。

場合によっては猫ひっかき病や破傷風などの重篤な感染症にかかる危険性もあります。

一見人慣れしていそうな猫でも人間から無闇に触ることは控え、猫のペースに合わせましょう。

まとめ

猫用トイレの前に座る猫

今回は、猫を保護したときの行動をご紹介しました。

特に猫の飼育に慣れていない人は、保護した後に何をすればいいのかわからずにパニックになってしまうものです。

正しい知識を学び、冷静さを失わず、人も猫も幸福になれる行動につなげていきましょう。

公開日:2019/2/27 最終更新日:2022/5/10