猫の静電気の予防策は?的確な生活改善で静電気ストレスを卒業しよう!
いつものように可愛い愛猫を撫でようとして、突然「バチッ!」と静電気に襲われたことはありませんか?
モフモフの猫と暮らす限り、静電気から完全に逃れることは困難です。とくに長毛猫の場合は静電気がたまりやすく、飼い主さんも猫もお互いにびっくりしてしまいますよね。
今回は、猫との生活における静電気の原因や予防策をご紹介します。静電気の仕組みを学ぶことで、正しく予防しましょう!
バチッ!静電気はなぜ起こる?
静電気が起こる仕組み
予防策を考えるためには、静電気が起こる仕組みを学ぶ必要があります。
静電気が起こる原因は、物と物の「接触」や「剥離」、擦り合わさったときに生まれる「摩擦」です。
人間や猫の体は常に微弱な電気を帯びているため、金属や布製品などと触れ合うことによってプラスやマイナスの電気を帯電します。
お互いに一定量の電気をため込んだ状態で触れることで放電し、バチッ!という音や痛みが生じるのです。
そのため、電気をため込まなければ一気に放電することもありません。
冬に静電気が起こりやすい理由
1年を通して見ると、冬が最も静電気が発生しやすい季節とされています。
理由は大きく2つあり、1つは「冬は重ね着をすることが多い」からです。
寒い季節は、暖かい家の中でも何枚か服を着込むことが多いですよね。衣服同士に摩擦が起こると体の表面に電気をためやすくなり、静電気の原因となります。
もう1つの理由は、「冬は空気が乾燥しやすい」からです。
「乾燥する季節は静電気が起こりやすい」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
静電気は、十分な湿度があれば空気中に含まれている水分を伝って自然と放電されます。湿度の高い夏や雨の日でも静電気が生まれないわけではなく、絶えず放電しているからこそ「一気に放電される」現象が起こりづらいのです。
しかし冬は慢性的に空気が乾燥しているため、蓄積した電気は留まる一方となり、接触や摩擦によって一気に放電されます。
「あの痛み」には3000Vもの電圧が!
静電気は痛みや驚きでストレスを感じさせるものの、私たちの生活にとっては比較的身近な現象です。しかし、実際の静電気の電圧は非常に大きいことをご存知でしょうか?
一般家庭のコンセントの電圧は、平均100~110V程度です。しかし静電気の電圧は、なんとコンセントをはるかに超える3,000Vもあるのです!数値だけ見ると、体が耐えられる電圧ではないように感じられますよね。
しかし私たちが静電気に小さなストレスを感じる程度で済んでいるのは、皮膚による抵抗が電圧を下げてくれるから、そして電流が微弱で瞬間的だからです。連続的に電気が流れるコンセントと違い、致命傷にはなりません。
猫の皮膚も同じように電圧を下げますが、「この痛みは静電気だ」と理解できないため突発的な痛みに敏感になってしまいます。
猫が静電気をため込む原因
化学繊維を含む素材に猫が触れる
猫は、生活の中で布製品と触れ合う機会が多いものです。そして布製品の一部は、静電気を発生しやすい特徴があります。
基本的に石油や石炭などから作られる化学繊維は静電気が起きやすく、素材の違う物同士で摩擦が生じると帯電してしまいます。
例えばアクリルやポリエステルはマイナスの電気を帯電しやすく、ナイロンはプラスの電気を帯電しやすいという特徴があります。どの素材も、タオルや洋服、家具、ラグなどの身近な布製品に使われていますよね。
お互いに違う電気を帯びた布同士が触れ合うと静電気が発生しやすくなり、それらに猫が触れると体が電気を帯びやすくなるのです。
飼い主さんに寄り添うことが多い
飼い主さんとのスキンシップが多い猫は、それだけ布製品と触れ合う機会も増えるため静電気をため込みやすくなります。
とくに冬は飼い主さんも複数の種類の布製品を着込むため、お互いに帯電しやすい状態になってしまうでしょう。
静電気をため込みやすくなる生活とは?
暖房や除湿を利用することが多い
暖房や除湿を利用する機会が多いと、空気中の水分が減るため静電気をため込みやすくなります。
冬の暖房やヒーターなどによる乾燥はもちろん、夏場でも除湿をしてカビ対策をしているご家庭は多いのではないでしょうか。
化学繊維で作られたタオル・ラグなどが多い
アクリルやポリエステルを始めとした化学繊維は、私たちにとってとても身近な素材です。タオル・ラグ・ブランケット・洋服・寝具・ソファー・絨毯など、触れる機会が多い物のほとんどに化学繊維が使われています。
化学繊維は静電気をため込みやすく、放電の原因となってしまうでしょう。
部屋の中で重ね着をすることが多い
静電気は違う素材同士間で摩擦が起こることで発生します。そのため、部屋の中で重ね着をする機会が多い人は帯電しやすい傾向にあります。
例えばナイロンの肌着の上からポリエステルのトップスを着てアクリルのカーディガンを羽織る、というスタイルは寒い時期の部屋着としては珍しいスタイルではありませんが、非常に静電気をため込みやすい組み合わせだといえるでしょう。
静電気が猫に与える影響は?
痛みによるストレス・不安
人間は静電気で痛みを感じても、「これは静電気だ」と理解できるため不安は抱きません。
しかし猫は静電気の存在を認識していないため「突然、謎の痛みや音に襲われた」という不安が残ってしまいます。安心して寛げるはずの家がストレスの対象になってしまいかねません。
飼い主さんへの不信感
飼い主さんと触れ合ったときに静電気が起こると、猫は「飼い主さんに攻撃された」と思ってしまうことがあります。
とくに飼い主さんから触れられた際に起こると不信感が募り、信頼関係に亀裂が入る可能性があるでしょう。
「痛い思いをしたくないから、飼い主さんに近付きたくない」と思われてしまうかもしれません。
アレルギーの原因になる
静電気が発生すると、空気中のハウスダストを引き寄せてしまいます。
ハウスダストの中には花粉やダニなどが含まれており、猫に付着したり猫が吸いこんだりすることでアレルギーを発症する原因になります。
毛玉の原因になる
静電気が発生している状態では、猫の抜けた毛が床に落ちずに皮膚の近くで絡まりやすくなります。この状態で摩擦が生じるとまだ抜けていない毛と絡まり、毛玉の原因になります。
さらにほこりも引き寄せることで、放置しておくと不快な毛玉がどんどん増えてしまうでしょう。
飼い主さんができる静電気対策
湿度を20%以上に維持する
一般的に、静電気は湿度が20%以上保たれていれば発生しづらくなるといわれています。乾燥する環境下では加湿器を取り入れ、適切な湿度を目指しましょう。
加湿器を使う以外にも、濡れタオルをハンガーにかけたり洗濯物を室内干しにしたりする方法もおすすめです。猫が過ごす部屋に定期的に霧吹きで水を撒くのもよいでしょう。
観葉植物を置く
観葉植物には、静電気の原因のひとつとなるプラスイオン(プラスの電気を持った原子)を吸収する力があります。
また水を与えることで湿度保持にもなるため、猫の手の届かない場所に設置してみましょう。
もちろん猫草でも構いません。
もし猫が観葉植物で遊んでしまいそうな場合は、プランターカバーを取り入れることをおすすめします。
猫に触る前に放電する
体に蓄えられた電気は、壁や木製の家具などに触れることで放電できます。
とくに静電気が発生しやすい時期は、猫に触れる前に壁や家具に一度タッチして電気を放出する習慣を付けましょう。
静電気防止スプレーを活用する
静電気防止スプレーを使うことで、日常の中で発生する静電気を抑えられます。髪用や衣類用など幅広い種類が展開されているため、ニーズに合った物を選びましょう。
敏感肌の人は、肌に優しい成分であるかもチェックしてくださいね。
静電気防止ブレスレットや首輪をお互いに装着する
人間用にも猫用にも、静電気防止アクセサリーが展開されています。帯電しにくくなるシリコン素材を使ったブレスレットや、猫の体にたまった静電気を空気中に放電する首輪などが代表的です。
お互いに身に付けることで、静電気発生のリスクを下げられます。
服や生活アイテムを天然繊維に変える
普段身に付けている服や生活用品を、アクリルやポリエステルなどの化学繊維から天然繊維に変えてみましょう。
天然繊維は主原料が天然素材のものを指し、コットンやリネン、シルク、ウールなどが代表的です。
静電気がゼロになるわけではありませんが、適度に水分を含んでいる繊維が多いため静電気抑制に役立ちます。
手を保湿する
日常的に手を保湿することで、静電気の発生を抑えられます。
猫に悪影響のある臭いや成分が含まれていないことを確認しつつ、ハンドクリームや馬油などを活用しましょう。
猫を湿らせてからブラッシングする
ブラッシングは摩擦が多く、猫に静電気のストレスを与えやすい行為です。
とはいえ、ブラッシングをしないわけにはいきませんよね。
とくに乾燥する時期では、ブラッシングの前に霧吹きやペット用シートで猫を湿らせてから梳かしてあげましょう。
お湯を絞ったタオルで猫の体を拭いてあげるだけでも十分です。
静電気防止機能の付いたブラシを使う
ペット用品の中には、静電気防止機能のあるブラシやスリッカーが展開されています。
とくに長毛猫の場合は短毛猫よりも静電気のリスクが上がるため、不安であれば用意してあげましょう。
猫の快適な温度・湿度=静電気が起こりづらい環境
一般的に、猫が快適に過ごせる環境下では静電気が起こりにくいとされています。
その環境とは「室温22~24℃、湿度50~60%」です。部屋同士の温度差を4℃以内に抑えられると、より快適に過ごせるでしょう。
静電気の起こりづらい環境づくりに迷ったら、まずはこの数値を目指してくださいね。
まとめ
今回は、猫の静電気の原因や対策についてご紹介しました。
静電気が起こりやすい要因となる「乾燥・化学繊維・摩擦」などは、一般的なライフスタイルの中で自然と取り入れられるものです。そのため静電気が起こる可能性を完全にゼロにすることは難しいでしょう。
だからこそ飼い主さんができる限りの努力をして、猫のストレスを最小限にしてあげたいですよね。
無理なくできる範囲から生活環境を変え、猫も人もお互いに安心して暮らせる状態を目指しましょう。