真夜中に猫の運動会が開催されるのはなぜ?予防法や騒音対策も紹介
愛猫が夜中に突然何かにとりつかれたように走り回り、驚いた経験がある飼い主さんは多いのではないでしょうか?
この行動は「猫の運動会」と呼ばれています。
毎晩猫の運動会に悩まされ、睡眠不足になっている飼い主さんもいるかもしれません。
集合住宅の場合、階下への騒音も気になるところですよね。
猫の運動会はなぜ開催されるのでしょうか?
今回は、猫の運動会が開催される理由から飼い主さんができる対策にいたるまで詳しくお話しします。
猫の運動会とは
猫の運動会の正式名称は「真空行動」といいます。
真空行動中の猫は突然猛スピードで走り回ったり、何もない空間に飛びついたりと制御不能になってしまいます。
15~30分程度ノンストップで走り回ったのち、落ち着く場合が多いでしょう。
猫が真空行動をするのは、溜まったエネルギーを発散させることや退屈であることが理由といわれています。
運動会をする猫の特徴
運動会をするのは、若い猫が多い傾向にあります。
年齢を重ねるにつれ減っていき、猫のシニア期といわれる7歳頃にはかなり収まっているでしょう。
しかし、個体差はあります。
我が家の故・愛猫は、15歳頃になっても月に一度くらいの頻度で猫の運動会を開催していました。
普段はシニア猫らしくゆったりと寝て過ごしていたため、元気に走り回る姿を見て「まだまだ元気だな」と安心したものです。
猫が運動会をする理由
猫が運動会を開催するのはなぜなのでしょうか。
ここでは3つの理由をご紹介します。
本能
猫の運動会が夜中に開催されることが多いのは、猫が薄明薄暮性の動物であるためです。
薄明薄暮性とは、明け方と夕方に行動が活発になる性質をいいます。
野生時代の猫は、獲物であるネズミなどの活動時間に合わせて狩りをしていました。
その名残で、明け方に最も活動的になるのです。
運動不足
運動不足も理由のひとつです。
野生時代に狩りをしながら動き回っていたことを考えると、室内飼いの猫は圧倒的に運動量が足りていません。
そのため、持て余したエネルギーを発散するために走り回ることが考えられます。
外猫よりも室内飼いの猫、多頭飼いよりも単体で飼育されている猫のほうが運動量が少ないため、運動会を開催する傾向が強いでしょう。
ストレス
ストレスが原因の可能性もあります。
思いもよらないことが猫のストレスとなっている場合もあるため、しっかり見極めることが必要です。
運動会をしない猫もいる
中には、若いころから運動会をしない猫もいます。
運動量が十分である場合や、飼い主の生活サイクルに合わせて夜は一緒に眠る場合などです。
個体差はありますが、性格がおっとりした猫のほうが運動会を開催しない傾向が強いようです。
猫の運動会はやめさせられる?
猫の運動会は本能からくる行動であるため、残念ながらやめさせることはできません。
一度始まってしまったら、飼い主さんは愛猫が落ち着くまで待つほかないでしょう。
寛大な気持ちで見守ってあげてくださいね。
猫の運動会への対策
猫の運動会をやめさせることはできません。
しかし猫の運動会は夜中に行われることが多いため、どうしても気になってしまう飼い主さんも多いでしょう。
対策をすることで頻度や激しさを抑えられる場合もあります。
ここでは、猫の運動会を軽減させるための対策をご紹介します。
たくさん遊んであげる
飼い主さんが遊んであげることで、愛猫のエネルギーを発散させられます。
うまくエネルギーを発散できた猫は、夜はぐっすり眠ってくれるでしょう。
猫は飽きっぽい性格なので、長時間遊ぶよりも10分程度の短い遊びを何度かに分けるほうがよろこんでくれます。
おもちゃなどでたくさん遊ぶことを日課にしてみてください。
運動量を増やす
日中にお留守番をしている猫は、飼い主さんが家を空けている間にも運動量を確保できるようにしましょう。
猫は野生時代に木の上にのぼって生活していた名残で上下運動を好みます。
キャットタワーを設置したり、一人遊びできるおもちゃを与えたりしましょう。
持ち家ならキャットウォークを設置すれば高いところを自由に動き回れるため、必然的に運動量が増えます。
賃貸などでキャットウォークの設置が難しい場合は、家具の上に板を渡してキャットウォーク風にする方法もあります。
この場合は板をしっかり固定して猫が落下やケガをしないように注意しましょう。
寝る前にご飯を与えてみる
猫によっては、おなかが空くことで狩りのスイッチが入ってしまうことがあります。
明け方は猫のハンティングタイムのため、この時間帯におなかが空いていると運動会が始まる確率が高くなります。
この場合は飼い主さんが寝る前に補助的にご飯を与えることで、朝までおとなしく過ごしてくれるようになる可能性があります。
一日の給餌量のうちの少量を寝る前に与えるようにするなど、工夫してみましょう。
ストレスの原因を取り除く
原因がストレスであれば、取り除いてあげる必要があります。
下記の内容に心当たりはありませんか?
・家具の配置を変えた
・お気に入りの猫ベッドを洗濯している
・近所で工事が始まった(騒音)
・最近お留守番の時間が長くなった
人間にとって些細な変化でも、猫にとっては大きなストレスとなり得ます。
ここで知人の話をご紹介します。
ずっと首輪をつけずに過ごしてきた愛猫に首輪をつけたところ、何もない空間に向かって威嚇を繰り返すようになりました。
知人は、なぜ愛猫が急にそのような行動をとるようになったのかわからず、大きなストレスを感じている様子に心を痛めていたそうです。猫に詳しい方からのアドバイスで首輪を外してみたところ、見事に威嚇が治まったとのことでした。
知人の猫は急に首輪をつけられたことに大きなストレスを感じていたのですね。
このように、急に猫の運動会が始まった場合は、最近猫の身の回りで起きた変化をよく思い返してみてください。
元通りにできることであれば、元に戻して様子をみる、お留守番でストレスを感じているようであれば、いつも以上に遊んであげるようにするなど、猫の気持ちに寄り添ってあげましょう。
運動会中の猫にしてはいけないこと
飼い主さんの睡眠不足やご近所からのクレームなど、猫の運動会はときに悩みの種となってしまいます。
ここでは運動会開催中の猫に対して、飼い主さんがついやってしまうNG行動をご紹介します。
叱る
夜中に猫が騒ぎ始めると、飼い主さんはつい「コラ!」と叱ってしまいがちですが、それでは逆効果です。
猫が興奮してさらに激しく駆け回ることが考えられるため、叱るのは控えましょう。
一度猫の運動会が始まると飼い主さんになすすべはありません。
しずかに嵐が去るのを待ちましょう。
閉じ込める
最も避けたいのが、うるさいからといって猫をケージや部屋など狭い空間に閉じ込めてしまうことです。
猫が運動会を開催するのは、あり余るエネルギーを発散させるためです。
狭いところに閉じ込められてしまっては発散させられず、余計にストレスをため込むことになりかねません。
また、ケージに閉じ込めてしまった場合、大運動会のテンションのまま中で大暴れしてしまうことも考えられます。猫が大けがをしてしまう可能性があり、大変危険です。
興奮状態の猫を狭いところに閉じ込めるのは絶対にやめましょう。
階下への騒音対策
集合住宅の場合、猫の運動会で気になるのが階下への騒音ですよね。いつクレームが来るかと気が気でない飼い主さんも多いのではないでしょうか。
特にフローリングは猫の足音が響きやすいため、マットを敷いて軽減することをおすすめします。
取り入れやすいのは吸着式のタイルカーペットやジョイントマットです。汚れた部分だけ洗ったり買い替えたりできるので、管理も容易です。100円均一やホームセンターで手に入るのも嬉しいポイントですね。
ジョイントマットはコルク素材のものにすれば、より音を吸収してくれます。
我が家では、キャットタワーから飛び降りた際の着地点や爪とぎの下に防音のためのコルクマットを敷いています。響いていた音がこもった音に変わり、軽減効果を実感しています。
猫が走り回るルート上に敷いてみてはいかがでしょうか?
まとめ
夜中に突如開催される猫の運動会は、室内飼育によって有り余ったエネルギーを発散させるためのものです。
愛猫の元気な様子が嬉しい反面、睡眠不足や階下への騒音に頭を抱える飼い主さんがいるのも現実です。
猫の運動会は本能からくる行動であるためやめさせることはできませんが、たくさん遊んでエネルギーを消費させたり寝る前に空腹を満たしてあげたりすることで軽減できる可能性があります。
頻繁に開催される場合はマットを敷くなど防音対策をとって、階下への配慮を忘れないようにしましょう。
しっかり対策をとりつつ、猫の運動会とうまく付き合っていってくださいね。