犬と猫の肉球の違いは?質感やカラーなど「似ているようで違う!」

芝生の上で一緒に眠る子犬と子猫

犬と猫に共通する魅力の一つが「肉球」!

プニプニした肉球を触っているだけで、心が温かくなり癒されます。

犬のザラザラした肉球も猫のツルツルした肉球も、どちらも可愛くてずっと触っていたい気持ちになりますよね。

今回は、犬と猫の肉球の違いや共通点をご紹介します。

「肉球は犬も猫も同じじゃないの?」と思うかもしれませんが、意外に違いがあるものです。両者の違いや魅力を学んで、今よりももっと肉球に詳しくなってくださいね!

犬と猫の肉球の共通点

ソファに隠れる犬と猫

クッション性能

犬と猫の肉球の共通点の一つが、クッション性能です。

肉球は脂肪と繊維組織から構成されており、フカフカとした弾力があります。

この弾力で地面からの衝撃を緩和させ、体へのダメージを軽減させています。

体温調整

犬や猫には、人間のように全身に汗腺があるわけではありません。

暑さを感じたときは、肉球にある僅かな汗腺から汗を出して体温を調整します。

犬は他にも、ハアハアと口を開けて呼吸をして体温を逃がす「パンティング」の習性がありますが、猫にはありません。肉球からの発汗は、とくに猫にとっては重要な体温調節機能といえます。

滑り止め

肉球からの発汗は滑り止めにも役立ちます。

走ったときや急ブレーキをかけるとき、カーブを曲がるとき、高い場所から飛び降りたときなどには、汗でしっとりした肉球のおかげでスリップや転倒をせずに済むのです。

ケアの方法

犬と猫の肉球にはいくつかの違いがありますが、家庭でのケアの方法はほとんど同じです。

肉球用の保湿クリームを塗ってあげたり、ペット用ウエットシートで簡単に汚れを拭いてあげたりしましょう。

すぐに異常に気付けるように、日頃からスキンシップをして距離を縮めておくことも大切です。

基本的な構造

犬も猫も、基本的な肉球の構造は同じです。

肉球は大きな一つの塊ではなく、以下のように小さな部位の集合体で構成されています。

前脚
・掌球(しょうきゅう):中心部分にある最も大きな肉球
・指球(しきゅう):掌球の外側にある5つの小さな肉球
・手根球(しゅこんきゅう):下の離れた部分(かかとに近い部分)にある肉球
後脚
・足底球(そくていきゅう):中心部分にある最も大きな肉球
・趾球(しきゅう):足底球の外側にある円形の4つの肉球

犬と猫の肉球の違い①用途

ジャンプする柴犬

犬の肉球

犬と猫の肉球の最も大きな違いといえるのが、肉球の用途です。

犬と猫は同じ哺乳類ですが、生活習慣には大きな違いがあります。

犬は猫と違い、日常的な散歩が必要です。犬種によっては1日2時間以上の運動が求められる場合もあります。

犬は猫よりもアスファルトや舗装されていないデコボコの道路、石畳など、硬くてゴツゴツした道を歩く機会が多いことになります。そのため、足裏を守る肉球が発達しているのです。

また犬の肉球は、猫以上に温度感知センサーとして活躍します。

真夏の直射日光を浴びた地面は熱く、足裏を火傷する可能性があり危険です。

散歩をコントロールするのは飼い主であるため、犬は肉球で感じた温度の異常を飼い主に伝えたり反応したりして危機を回避します。

猫の肉球

猫は犬とは大きく違う肉球の使い方をしています。

まず挙げられるのが「物を掴む」という動作です。

犬は猫と比べ、コミュニケーションの中で手や肉球を使う機会が少ない傾向にあります。攻撃手段も口(牙)であり、肉球で何かを掴むという習慣はありません。しかし猫は手で物を掴んだり獲物を引っ掻いたりすることによって、コミュニケーションや攻撃を行います。

また肉球を使ったグルーミングも猫ならではの習慣です。猫は顔のグルーミングを行う際、舐めて湿らせた肉球を使います。

さらに単独で狩りをする肉食動物の猫は、獲物との距離をギリギリまで詰めて攻撃するために忍び足を使います。音を立てずに歩くときにも、肉球は役立っているのです。

犬と猫の肉球の違い②質感

両手で猫を抱える女性

犬の肉球

犬と猫の肉球を触り比べると、その質感の違いに驚かされます。

犬特有のザラザラ、ゴツゴツとした質感は、祖先である狼が関係しているといわれています。

かつて狼は、雪山を中心とした降雪地帯に住んでいました。雪が積もった場所でも転ばず滑らずに走れるように、肉球には滑り止めの役割があったのです。

また現在も固い地面を歩くことが多いため、小さな段差や摩擦にも負けないゴツゴツした肉球へと変化しました。

猫の肉球

犬の祖先は雪山の狼ですが、猫の祖先は砂漠に住むリビアヤマネコといわれています。祖先が住む環境に大きな違いがありますよね。

砂漠では雪原のように滑り止めが必要ないため、猫の肉球は柔らかい質感をしています。

さらに肉食動物である猫は、瞬発力は強いものの持久力はあまりありません。できるだけ近くまで忍び寄り確実に獲物を仕留めるためには、足音を消すツルツルな肉球が必要なのです。

犬と猫の肉球の違い③品種改良の過程

ベッドで過ごす犬と猫

犬の肉球

長い歴史の中で、人は犬の力を借りて生きてきました。

猟犬や闘犬、牧羊犬、救助犬、警察犬、番犬など、人は犬を使役犬として扱い改良してきた歴史があります。

現在も、使役犬の役割に沿った体の特徴を持つ犬種がいます。海難救助犬として活躍する犬種では、水かき部分が大きく作られているのがよい例でしょう。

猫の肉球

猫も犬と同様に人間と暮らしてきた歴史は長いですが、肉球部分の品種改良はほぼされていません。

理由は、群れを作らずに生きる猫には主従関係がなく、人間が使役することが困難だからです。

猫における品種改良は、あくまで愛玩やキャットショーなどが主な目的です。容姿の変化の過程では肉球の役割は重要視されないため、現在もすべての描種がほぼ同じ肉球の特徴を持っています。

犬と猫の肉球の違い④皮膚の厚さ

飼い主に「お手」をする犬

犬の肉球

犬の肉球は硬さだけでなく、しっかりした厚みがあります。

人間も、自分の体を支えるためにかかと部分の皮膚が厚くなっていますよね。

さらに犬は靴を履かず常に裸足で生活しているため、肉球の皮膚が厚いのも頷けます。

表面の角質層は成長とともに厚くなり、地面からの刺激や熱、冷たさから体を守ります。肉球の厚みがあるからこそ、冷たい地面の上でも凍えずに歩けるのです。

猫の肉球

犬とは対照的に、猫の肉球の皮膚は薄めです。

猫の皮膚は全体的に薄く、人の5分の1程度しかありません。平均して0.02~0.04mm程度だといわれています。

薄くよく伸びる皮膚だからこそ、猫特有のダイナミックでしなやかな動きが実現できるのです。

しかし肉球は1mmほどあり、皮膚全体と比べると厚めです。

犬と猫の肉球の違い⑤カラーの入り方

猫の前脚をてのひらにのせる女性

犬の肉球

犬の肉球は、子犬時代はピンクで成長すると黒になる子が多い傾向にあります。

遺伝的な要素も影響するため、子犬の頃から黒い子も珍しくありません。

成長とともに色が変わる理由は、散歩や日常生活での摩擦による色素沈着です。摩擦によりメラニン色素が生成され、年齢を重ねる(=歩行の回数を重ねる)ごとに黒ずんでいくのが自然です。

猫の肉球

猫の肉球も犬と同じく遺伝の要素が大きいですが、猫の場合は被毛のカラーリングも影響しています。

猫の肉球は主に「ピンク・黒・ぶち」の3種類で、被毛の遺伝子は「白・黒・茶」の3種類です。

被毛が何色の遺伝子を持っているのかによって、肉球の色が決まります。基本的に黒い被毛の猫は肉球も黒くなり、白い被毛の猫は肉球はピンクになります。

犬と猫の肉球の違い⑥日常で注意するポイント

前脚を上げて立ち上がる猫

犬の肉球

犬と猫はライフスタイルが違うため、日常における注意点も変わります。

犬の肉球で気を付けたいのは、散歩時のダメージです。とくに夏の散歩は「日中じゃないから大丈夫」「曇りだから地面も熱くないだろう」と楽観視せず、必ず一度触って温度を確認しましょう。

また犬が散歩中に異物を踏んでケガをしてしまったり、散歩先から細菌を持ち帰ったりしてしまう可能性もあります。

少しでも違和感を抱いたら、目に見える異常がなくても動物病院を受診してくださいね。

猫の肉球

猫は犬と違い散歩の必要がないため、室内でケガをしないように注意してあげましょう。

高い場所から飛び降りる運動が多い猫にとって、肉球のケガは日常的なストレスに直結します。

安全ピンや画鋲のような鋭利な物を放置せず、定期的な掃除を心がけてあげてくださいね。

犬と猫の肉球の違い⑦注意するべきトラブル

床で眠る柴犬の子犬

犬の肉球

犬の肉球でとくに注意したいのは、散歩中の火傷や外傷です。

散歩の後は、赤く腫れたり出血したりしていないかの確認を習慣化しましょう。

指の間にできた傷を犬が舐めることで発症する指間炎にも注意が必要です。

また、命に関わる犬ジステンパーに感染した場合は、肉球の硬質化が認められます。

猫の肉球

猫ならではの肉球トラブルとして注意したいのが、形質細胞性足底皮膚炎という病気です。

形質細胞性足底皮膚炎の原因は不明ですが、肉球の異常角化や出血、潰瘍などを引き起こします。

悪化した場合は、腫瘤(炎症性のこぶや塊)を切除しなくてはならない場合もあります。

おまけ:犬と猫では足跡も違う!

砂浜に残る犬の足跡

肉球の基本的な構造は犬も猫も同じですが、爪の根本にある指球同士の隙間は犬のほうが狭いという特徴があります。

また、中央部分の掌球と指球の間も犬のほうが狭く、猫のほうが広いです。

そのため犬の足跡は猫と比べると、全体的にキュッと内側に寄っている印象を受けます。

さらに猫は、犬と違って爪の出し入れが可能です。普段歩いているときは爪を引っ込めていることがほとんどであるため、爪の跡まで付く犬の足跡と違い、猫の足跡はほとんど肉球のみであることがわかります。

猫のような肉球を持っている犬種

グレーの毛色の子猫と子犬

最後に、犬であるのにもかかわらずまるで他の動物のような肉球を持っている犬種をご紹介します。

代表的な犬種は、秋田犬やドーベルマン、ブルテリアなどです。彼らは犬なのに「猫足」と呼ばれる肉球を持っており、猫のように丸くて小さいことが特徴です。持久力が高く、素早く動ける犬種ならではの肉球といえるでしょう。

サモエドやボルゾイなどの犬種には、「うさぎ足」と呼ばれる特徴があります。まるでうさぎの足のように真ん中の二本の指が長めで、肉球の形も指に沿っています。

「水かき足」は名前の通り、指と指の間にある水かきの部分が大きい足を指します。ニューファンドランドやチェサビークベイレトリバーなど、海難救助や水場の狩りなどに使役される犬種の特徴です。

まとめ

落ち葉で遊ぶ子犬と子猫

今回は、犬と猫の肉球の違いについてご紹介しました。

一見すると同じように見える肉球ですが、ルーツや細かな特徴などさまざまな要素で違いがあるのがわかります。とくに犬と猫の生活習慣の違いがそのまま肉球の特徴に出ているのが興味深いですよね。

もちろん、どちらの肉球も可愛らしいことには変わりありません。

キュートな肉球を愛でつつ、すぐに違和感に気付けるように普段からスキンシップを行いましょう。