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先住犬が子犬で成犬を迎える多頭飼い!保護犬を迎える場合の注意点も解説

二頭のダックスフンド

犬の多頭飼いでは「先住犬が成犬以降・新入り犬が子犬」であるケースが多く、気をつけるべきポイントを解説した記事も多くみられます。

では「先住犬が子犬・新入り犬が成犬以降」の場合は何に気をつければよいのでしょうか?

成犬をお迎えする場合は保護犬であるケースも多く、よりきめ細やかなケアが必要になることもあります。

今回は犬の多頭飼いについて、先住犬が子犬で新たに成犬をお迎えするときのポイントを解説いたします。

子犬は他の犬に慣れやすい?

追いかけっこをする犬

最も順応しやすい「社会化期」

犬の生後1〜3ヶ月頃は「社会化期」と呼ばれる、子犬が自分以外の物事に慣れ親しんでいく時期です。犬の社会化は生涯に渡って続くと言われますが、この社会化期が最も外の世界に順応しやすい時期と言えるでしょう。

その理由は「恐怖心の芽生え」と関係があります。

犬は生後1ヶ月を過ぎた頃まではまだ恐怖心が薄く、生後2ヶ月頃までは恐怖心よりも好奇心が勝ると言われています。生後2〜3ヶ月頃になると本格的に恐怖心が芽生え始め、知らない物事や人、犬などに対して抵抗を感じるようになります。

犬は恐怖心が薄い若齢の頃に見知らぬ犬と関わることで、成犬になってからも見知らぬ犬に対して過度な恐怖心を抱きにくくなると考えられます。

1歳程度までは急激な精神的成長をする

社会化期を過ぎても、子犬は生後1年ほどまでは心身ともに急激な成長を見せます。自立心も育ち、自己主張をするようになっていきます。犬種によって社会化期の時期が異なるという意見もあり、生後半年ほどで成犬らしい自主性を見せる場合もあるでしょう。

生後1年ほどまでの子犬の頃にどのような環境に身を置きどのような経験をしたのかが、その子の社会性に大きく関係します。

子犬は自立心の育った犬と比べて他の犬に慣れやすいため、多頭飼いで新たにお迎えする犬に対して抵抗を感じにくいでしょう。

一方で、心身ともに急成長を遂げる子犬の頃はしつけトレーニングを丁寧に行いたい重要な時間でもあります。多頭飼育によって1頭1頭のしつけトレーニングがおろそかにならないよう注意したいですね。

愛犬が子犬の頃に多頭飼いを始めるにあたって気をつけたいポイントは、後ほど解説します。

成犬を迎えるタイミングは?

獣医師の診察を受ける子犬

ワクチン接種が終了してから

生後1〜3ヶ月程度の子犬は母犬の初乳からもらった免疫が徐々に減っていき、感染症のリスクが高まる頃です。できるだけ早く多頭飼いを始めたいという場合は、先住犬となる子犬のワクチンプログラムが終了してからが望ましいでしょう。

成犬以降の場合は狂犬病ワクチンと混合ワクチンをそれぞれ年に1回接種するのが基本ですが、子犬は獣医師の指示する「ワクチンプログラム」のもとで混合ワクチンを2〜3回、狂犬病ワクチンを1回接種するのが一般的です。子犬をペットショップやブリーダーからお迎えした場合は、1回目の混合ワクチン接種が済んでいることが多いです。

また、新たにお迎えする成犬のワクチン接種も済んでからの方が安心でしょう。

避妊去勢手術が済んで落ち着いてから

先住犬となる子犬の避妊去勢手術が済み、傷口が落ち着いてから多頭飼いを始めるのもよいでしょう。手術の傷口が落ち着かない間に新たに犬をお迎えすると、新入り犬が傷口を舐めてあげようとして炎症の原因になることが懸念されます。また、術後1週間程度は激しい運動を避けることが望ましく、先住犬となる子犬が新入り犬に対して興奮してしまうことも心配です。

手術を受けた子は入院や手術によって心にもストレスがかかっている恐れもありますので、術後はゆっくり休む期間が必要でしょう。避妊去勢手術の前後を避けて、余裕を持って新入り犬をお迎えすると安心です。

しつけトレーニングの視点からも、避妊去勢手術が済んで落ち着いてから新たに犬をお迎えすることにはメリットがあります。手術が済んで落ち着く頃までに、先住犬となる子犬に対してある程度のトレーニングを行えるからです。

先住犬が子犬の場合の注意点

散歩する二頭の犬

基礎的なトレーニングの時間を確保しよう

犬は子犬の頃にたくさんの物事を学びます。トイレのトレーニング、やってよいことと悪いことの学習、お散歩のトレーニングなど、今後の生活に欠かせない学習を行う大切な時期です。子犬の頃に多頭飼いを始める場合は、基礎的なしつけトレーニングがおろそかにならないように意識しましょう。

しつけは1日や2日では完了せず、心身に定着するまである程度の時間が必要です。根気強く愛犬と向き合う時間が必要なので、頭数が増えても1頭1頭のトレーニングの時間を確保しましょう。

やんちゃさが新入り犬のストレスにならないよう配慮しよう

子犬は元気いっぱい遊び盛りなので、そのやんちゃさが新たにお迎えした子のストレスにならないよう注意して見守ってあげましょう。

新入り犬は新しいおうちに慣れるまで緊張していることが多いです。新入り犬が子犬とのふれあいにストレスを感じていそうな様子を見せたら、2頭の距離を取り新入り犬がゆっくり休めるようにしてあげるとよいでしょう。

新入り犬が保護犬である場合の注意点

お手をする犬

新たに成犬を迎える場合、その子が保護犬であることも多いかと思います。特殊な環境に身を置いていたことも想像されますので、保護犬を迎えるときの注意点を含め3つのポイントを解説いたします。

1. 保護犬には「苦手」が多い傾向があることを理解しよう

保護犬それぞれに保護されるまでの経緯があり、中には過酷な環境で生きてきた子もいるでしょう。怒りっぽい・臆病・興奮しやすいなどの気質が極端に出てしまう子や、これまで十分なしつけトレーニングをしてもらえなかった子も多くいます。

もちろん保護犬の中にも穏やかでフレンドリーな子もいますが、苦手なことが多い傾向があると理解しておきましょう。

保護犬によっては、意外な物事に恐怖したり怒ったりすることもあります。その子の苦手なことを理解し、接し方や住環境を考えてあげることが重要です。

2. 保護団体に性格や癖を聞いておこう

保護団体のもとで保護されていた子の場合、その子の性格や癖、好きなこと、苦手なことなどをスタッフに聞いておきましょう。子犬との多頭飼いが大丈夫そうかどうか相談してみるのもよいですね。

突発的に攻撃的になってしまう癖がある子の場合、身体がまだ未熟な子犬に重大なケガを負わせる心配があるため、先住犬とのトラブルを避ける対策が必要です。

お迎えを検討している保護犬は多頭飼いで幸せになれるのか、それとも1頭のみで飼育された方が幸せになれるのか、じっくりと検討してあげることが大切です。

3. トライアル期間で丁寧に見極めよう

保護犬を迎える際、正式譲渡の前に「トライアル期間」が設けられていることがほとんどです。これは実際に新しいおうちで暮らしてみるお試し期間のようなもので、飼い主さんご家族が本当に保護犬と適切に暮らしていけるかどうかを検討するために設けられています。犬たちの幸せを願う保護団体にとっても、トライアル期間は飼育放棄という不幸を断ち切るための大切な期間なのです。

このトライアル期間に先住犬となる子犬と保護犬の様子をよく観察し、多頭飼いが愛犬たちにとって幸せかどうかをよく検討しましょう。

多頭飼いの状況を実際に体験しながら、飼い主さんやご家族が先住犬と新入り犬の両方に時間と愛情をかけられるかどうかを見極めることも大切です。

まとめ

車に乗る二頭の犬

子犬の頃は社会に順応しやすく、これからの犬生に欠かせないことを学ぶ大切な時期です。

一方、成犬は子犬と比べて新しい物事に慣れるまで時間がかかります。苦手なことを克服することや、新しいしつけトレーニングには根気強く向き合う必要があるでしょう。

子犬と成犬の多頭飼いには、それぞれに十分な時間と愛情を与えることが重要です。新たにお迎えする成犬が保護犬である場合は特に、その子の特徴によってきめ細やかなケアが必要な場合もあります。

愛犬たちと飼い主さんにとって多頭飼いが幸せなものとなるように、お迎えする前によく検討してあげてくださいね。