シニア犬と子犬の多頭飼いは大丈夫?仲良く家族になるためのポイント5つ

見つめ合うボストンテリアの親子

犬の多頭飼いでは、「先住犬がシニア犬で新たに子犬を迎える」という状況が多いと思います。

シニア犬にとって若い犬をお迎えすることはメリットも多い反面、デメリットもあります。

シニアの愛犬にとって幸せな多頭飼い生活となるよう、今回は「先住犬がシニア犬で新たにお迎えするのが子犬」という場合のポイントをまとめました。

シニア犬と子犬を多頭飼いするメリット

大人のチワワと子犬のチワワ

メリット1. シニア犬に活気がつく可能性がある

「子犬を迎えたらシニアの愛犬が活気付いた」と喜ぶ飼い主さんは少なくありません。元気いっぱいの子犬と過ごすことで遊びへの気力が蘇ったり、子犬の世話を焼くことが日常によい刺激となったりすることがあるのです。

成犬の平均睡眠時間は12〜15時間で、1日の半分以上眠っていることになります。シニア犬以降になるとさらに睡眠時間は長くなる傾向があり「うちの子はずっと眠っている」と感じる飼い主さんも多いのではないでしょうか。

シニア犬以降は体力が衰えてきますので、体力回復のために睡眠時間が多くなることが考えられます。しかしそれだけでなく、遊びへの気力や物事への興味が薄れているために眠っているという可能性も考えられます。

メリット2. 子犬がシニア犬から学習できる

新たにお迎えする子犬にとっても、シニア犬との暮らしにはメリットがあります。

子犬の頃はまだ他の犬や人との接し方が未熟であり、さまざまな経験を通じて学習していきます。飼い主さんやご家族への接し方、犬同士の接し方、トイレの方法など、子犬は生活のルールをシニア犬からべます。シニア犬はよきお手本となってくれるでしょう。

犬は集団の中で生きる習性があり、他の犬との関わり合いの中で社会性を身につけます。特に生後1〜3ヶ月頃は「社会化期」と呼ばれ、社会性をしっかり身につける大切な期間です。生後5週頃まではまだ恐怖心が薄く、生後6週〜2ヶ月頃までは恐怖心よりも好奇心が勝ります。生後2〜3ヶ月頃になると本格的に恐怖心が出始めると言われており、知らない物事や人、犬などに対して抵抗を感じるようになります。

恐怖心が薄い頃に他の犬と過ごせる環境は、子犬の社会化の助けとなるでしょう。

メリット3. 飼い主さんの心の支えになる

大切な愛犬が衰えていく姿を見守ることは、飼い主さんの心の負担となることがあります。新たに子犬を迎えることでその負担が軽減できることや、シニアの愛犬が虹の橋を渡った後の「ペットロス」を軽減できるというメリットもあります。

これについては賛否両論あるかと思います。飼い主さんの手間と愛情を1頭の愛犬に与えてあげることも素晴らしい選択です。

しかし、深刻なペットロスに苦しむ方も少なくありません。多頭飼いをしても愛犬1頭1頭の代わりはいませんが、悲しい時にそばにいてくれる愛犬がいることは大きな心の支えになるでしょう。

シニア犬と子犬を多頭飼いするデメリット

デメリット1. 先住犬がストレスを感じやすい

子犬は老犬と同じく睡眠時間が長い傾向にありますが、起きている時間はとにかく元気いっぱいな子が多いですよね。

子犬の頃は目に映るものすべてが面白く感じるお年頃なので、シニアの愛犬にちょっかいをかけることも多々あります。これはメリット1の反対面と言えるデメリットで、シニアの愛犬によい刺激となる反面、子犬の「かまってかまって」に疲れてしまう心配もあります。

デメリット2. 相性が合わないとトラブルを起こす恐れがある

子犬は他の犬や人などに対して抵抗を感じにくいため、心配なのは先住犬となるシニアの愛犬が他の犬を受け入れられるかどうかではないでしょうか。

先住犬となる愛犬が他の犬との暮らしを望んでいない可能性もあるでしょう。

先住犬の性格を踏まえて多頭飼いを検討する必要があります。

デメリット3. お世話も費用も倍になる

飼い主さんにとってのデメリットです。

愛犬が増えるということは、お世話にかかる時間、お散歩や遊びの労力、ごはん代や医療費などの費用など、愛犬にかかる時間と費用が倍になることがデメリットとして挙げられます。これは新入り犬が子犬である場合だけでなく、すべての多頭飼いに共通することです。

犬の平均寿命を15年としたとき、愛犬の生涯にかかる費用は200万~450万円ほどといわれています。大型犬の場合、約3倍で計算するのが目安ともいわれます。トリミングの頻度や選ぶフード、ペット保険料などによって金額に幅があるでしょう。現実的に、愛犬との暮らしにはお金がかかるものです。

新しい犬をお迎えする前には、以下の点についてご家族も含めて検討する必要があります。

・1頭1頭に時間と愛情を十分に注げるか
・お散歩や遊びの時間を確保できるか
・フード代やトイレシーツなど消耗品費に余裕があるか
・医療費やペット保険料などの支払いに余裕があるか

多頭飼いに不向きなシニア先住犬の特徴

犬用ベッドで休む犬

他の犬に抵抗がある

先住犬となる愛犬が他の犬とのふれあいに抵抗がある場合、多頭飼いがストレスになる恐れがあります。

「相手がシニア犬なら威嚇しない」「相手が子犬なら優しくできる」といったように、対面する犬の年齢・性別・身体の大きさなどによって異なる場合もあります。

気性が荒い傾向がある

愛犬が他の犬に対し、突発的に攻撃する性質がある場合には注意が必要です。相手が子犬ともなると、重大な怪我を負わせる危険があるためです。

気性の荒さが強く出る犬種もありますので、多頭飼いについて十分に検討した方がよいでしょう。

病気や介護の必要がある

先住犬となる愛犬に持病や介護の必要がある場合、新たに子犬を迎えると十分なお世話の時間を確保できなくなる恐れがあります。

子犬の頃は覚えるべきトレーニングが多く、またさまざまな刺激と親しむ社会化も積極的に行いたい頃ということもあり、飼い主さんが愛犬それぞれに時間を割く必要があります。

体力がとても衰えている

老化に伴い体力がとても衰えてきている子の場合は、元気いっぱいの子犬とのふれあいがストレスになる心配があります。

「シニア犬」「高齢犬」などライフステージに応じた呼び方がありますが、老化の進行には個体差があります。先住犬となるシニアの愛犬に多頭飼いが負担にならないかどうかをよく検討しましょう。

所有欲や独占欲が強い

人であれば自分の持ち物に自分の名前を書いて管理できますが、犬の場合はそうもいきません。自分のお気に入りのおもちゃや居場所などに対して所有欲が強い子の場合は、他の犬に取られるとトラブルに発展する心配があります。

物に対してだけでなく、飼い主さんへの独占欲が強い場合にも注意が必要です。

精神的に不安定になる

犬にも繊細な気質の子がいます。分離不安とまではいかなくとも、愛犬が不安感や警戒心などによって精神的に不安定になりやすい場合は、多頭飼いを始める前に愛犬のメンタルケアを優先した方がよいかもしれません。不安定な状態で新たに犬をお迎えすると、先住犬となる愛犬に強いストレスがかかる恐れがあるためです。

接し方と住環境の両面から、愛犬が安心して過ごせる工夫をすることが大切です。

先住犬がシニア犬の場合に気をつけたいポイント5つ

ベッドで眠る犬

1. 子犬にご飯を横取りされないようにする

気の弱い子や食べることへの興味が薄い子の場合、他の犬に自分のごはんを横取りされても諦めてしまうことがあります。

シニア犬と子犬ではフードの種類や量が異なる場合も多いため、お互いに横取りしないよう工夫してあげましょう。

2. 先住犬を優先させる

新入りの子ももちろん大切なのですが、やはり先住犬となる愛犬の「これまでの生活と安心感を保つこと」を優先してあげる方がよいです。

「飼い主さんが自分に注目してくれなくなってしまうのではないか」という不安は、犬にとって大きなストレスとなります。先住犬となる愛犬の生活を極力変えずに、新たにお迎えした子犬との生活を両立することが重要です。

3. シニア犬が疲れすぎないように注意する

犬同士の関係に干渉しすぎるのはよくありませんが、先住犬となる愛犬が疲れた様子やイライラする様子を見せた際には子犬との距離を離してあげるとよいでしょう。

ゆっくり休みたいシニアの愛犬が疲れ果ててしまわないよう、飼い主さんが見守ってあげることが大切です。

4. お互いのプライベートスペースを確保する

ソファーの上や廊下など、犬は自分のお気に入りの場所で休みます。愛犬が休む場所があるなら「ハウス」は必要ないのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし理想的な住環境は、家の中に愛犬のハウスとなる居場所があることです。

「ハウス」とは、愛犬のプライベートスペースを指します。誰にも干渉されずひとりで休める場所として、そして恐怖を感じた際の逃げ場としてもハウスは重要です。犬は「巣穴」を彷彿とさせる区切られた空間や、身体が柔らかなものに触れている感覚に安心感を覚えやすいです。これは私たちが電車に乗ったときの「車内が空いていても端っこの席に座ると安心する」感覚と似ています。愛犬の身体の大きさに合わせたケージやサークルを用いてハウスとするほか、工務店などにオーダーメイドしたりDIYで作ったりしている飼い主さんもいますね。

ハウスは来客時や「窓ガラスが割れてしまった」というような愛犬を安全に隔離したい緊急時にも役立ちます。

多頭飼いの場合、愛犬それぞれにハウスを用意してあげるのが理想的です。最初はお互いのハウスを離して設置してあげましょう。柵で仕切られていたとしても、物理的に近いと愛犬たちが緊張しやすいためです。ハウス同士を近づけるのは、お互いに慣れてきてからの方がよいでしょう。

5. 最初はトイレを別々に用意する

トイレを共有させている多頭飼いのご家庭も多いのですが、共有を嫌がる子もいます。念のため、最初はトイレも別々に用意してあげる方がよりよいでしょう。愛犬の頭数が増えれば排泄の量も増えるため、トイレが複数あることで清潔な範囲が保たれやすいというメリットもあります。

こまめなトイレ掃除を心がけるとともに、吸収力や消臭力が高いトイレシートを選ぶのもおすすめです。

シニア犬×子犬の多頭飼いにおすすめのアイテム

おもちゃで遊ぶ子犬

子犬の遊び場に:FEANDREA ペットサークル

8つのパネルで長方型・正方型・八角型・L字型など好きな形状に設置できるサークルです。角が丸いのでぶつかっても痛くなさそうです。

プライベート空間に:citydog シンプルモダンケージ

くすみカラーがおしゃれなサークルです。愛犬たちのハウスにいかがでしょうか?

子犬のイタズラを防ぐ:Skip Dog! トイレトレー クリアメッシュ Sサイズ

トイレトレーニング中の子犬におすすめの、メッシュタイプのトイレトレーです。スケルトンなカラーは珍しくておしゃれですね。

一緒に遊べる:Sarlisi ノーズワーク にんじん畑 2代

ニンジンを収穫しているような姿にキュン!ニンジン部分におやつやフードを忍ばせられるノーズワークのおもちゃです。

ノーズワークならシニア犬も子犬も一緒に遊べますね。

一緒のお散歩に安全対策:すず首輪製作工房 ショルダーリード

多頭同時にお散歩するなら、より脱走防止ができる「首輪とハーネスの両方に装着できるダブルリード」がおすすめです。こちらは日本製でしっかりとした縫製がなされており、肩掛けできるショルダーリードであるのも魅力です。

まとめ

散歩中の二匹の犬

長らく1頭のみで過ごしてきたシニアの愛犬は、突然見知らぬ子犬が現れるとびっくりしてしまうかもしれません。その一方で、元気いっぱいな子犬との暮らしがシニアの愛犬によい刺激を与えることも期待されます。

愛犬がシニア犬で新たに子犬を迎えたいという方は、先住犬の性格や状態を考慮して多頭飼いを検討してあげることが大切です。つい新入りの子犬をかまいがちになりますが、まずは先住犬となる愛犬の今までのライフスタイルと安心感を保つことを意識してみてくださいね。