犬の視力はどれくらい?見え方の特徴や視力低下時の対処法も解説!
愛犬の視力や見え方について気になる飼い主さんは多いのではないでしょうか。
残念ながら、「犬は視力が悪い」というのは事実です。
しかし、犬の見え方の特徴について知り、適切な対策をすることで、愛犬が快適に生活するための手助けをしてあげることはできます。
今回は、犬の視力や見え方、視力低下時の対応について解説します。
犬を飼っていている人、愛犬の視力低下が気になる人はぜひ最後まで読んでみてください。
犬の視力はどれくらい?
犬の視力は0.3程度
犬の視力は、犬種によって多少の差はあるものの、一般的に0.3程度であるといわれています。
人間でいえば眼鏡やコンタクトによる視力矯正が必要な数値ですよね。
犬の低視力の原因は、ピントの調節機能が弱いことにあります。
視界全体がぼやけてみえ、わずか2~3m先のものであってもはっきりとは見えていないようです。
飼い主は、愛犬の視力が低いことを知っておく必要があります。
犬の視力の測り方
犬の視力は0.3程度であることは先述したとおりですが、犬種や目の状態、抱えている疾患などにより個人差があります。
愛犬がどの程度見えているのかを正確に知るためには、動物病院において見え方の検査をしてもらう必要があります。
当然ながら、犬は見え方を人間に伝えることはできませんので、眼圧や眼底検査、エコーなどさまざまな機器を使って精密に検査していきます。
すべての動物病院にこのような機器が整備されているわけではありませんので、愛犬の視力検査をしたい場合には、眼の検査に対応している動物病院を探しましょう。
しかしながら、まずは自宅で簡単に検査してみたいという飼い主さんもいることでしょう。
その場合には、自宅内の家具などの配置を変えたり床に障害物を置いたりして愛犬を歩かせてみましょう。
物をよけながら歩ければ、ある程度はみえているということがわかります。
また、丸めたティッシュペーパーや脱脂綿など、落としても音が出ない物を用いて愛犬の上から落とす方法もあります。
視力があれば、愛犬は落ちるものを追うはずです。
これらの方法は、正確性で動物病院での検査には劣りますが、自宅でできる簡単なチェック方法としておすすめです。
愛犬の視力が気になる人は、ぜひやってみてください。
犬の視力や見え方の特徴
犬は、視力だけでなく見え方にも特徴があります。
人間よりも劣っている機能もあれば、優れている機能もあります。
ここからは、犬の見え方について解説します。
色の識別が苦手
犬は、色の識別が苦手です。
色の識別をおこなう錐体細胞という細胞の種類が人間より少ないこと、網膜のつくりが異なることにより、人間と犬とでは色の見え方が大きく異なります。
具体的には、犬の目には、赤色は「暗めのグレー」、緑色・黄色・オレンジ色は「黄色っぽい色」、紫色・青色は「青色っぽい色」に写っています。
なかでも赤色や緑色は特に識別しにくく、黄色や青色の方が識別しやすいようです。
飼い主は、犬と人とでは見え方が異なることを知っておく必要がありますね。
近視である
犬は近視であるといわれています。
その理由は水晶体(レンズ)にあります。
犬の水晶体は人間の倍程度分厚いためピントの調節が難しく、さらにピントを合わせるために使う筋肉の筋力も弱いことから、必然的に近視のような状態となってしまいます。
動体視力が良い
犬の見え方には、人間より優れている点もあります。
その一つが、動体視力の良さです。
動体視力とは物を追うために必要な機能ですが、犬種によっては800m先の標的も見分けられるそうです。
標的から身を守ったり獲物を捉えたりするために、動体視力が発達したと考えられています。
視野が広い
視野の広さも、犬の視力の優れた点です。
人間の視野が180°であるのに対し、犬の視野は250°と広範囲。
広範囲を見渡せることから、標的を捉えたり危険から身を守ったりすることができます。
動体視力も視野の広さも、犬が自然界で生き残るために必須の機能であったことがうかがえます。
暗い場所では良く見える
犬の視力の特徴には、暗いところが見やすいことがあります。
人間が見えにくくてつまづいてしまうような暗いところであっても、何の問題もなくスタスタと歩く愛犬をみたことがある飼い主さんも多いことでしょう。
これには、犬がもともと夜行性の生き物であったことが関係しています。
犬の眼は少ない光の中でも物を認識できるようなしくみになっており、その能力はなんと人間の5倍程度。
網膜にある「タペタム層」とよばれる光の反射板が、この能力に影響を及ぼしています。
犬が低視力でも平気な理由
犬の視力が悪いことは先述したとおりですが、眼に疾患がある場合や老化による視力低下がある犬以外は生活において特に困ることはありませんよね。
犬が低視力でも問題なく生活できるのは、嗅覚や聴覚の良さが視力の悪さをカバーできてしまうからです。
人は外から得る情報の80%程を視力に依存していますが、犬は聴覚が人間の約4倍、嗅覚が約1,000~1億倍も優れていることがわかっており、それらの感覚をフルに使うことで物や距離感をうまく認識できています。
犬は聴覚と嗅覚を頼りに十分生活できてしまうのです。
犬の視力が低下する理由
犬はもともと低視力ですが、さまざまな原因によりさらに視力が低下してしまうことがあります。
視力が低下する原因や理由について解説します。
加齢に伴うもの
ひとつは、加齢による視力低下です。
人間と同じように、犬も加齢に伴いピントを調節するための筋肉や水晶体のピント調節機能が衰えていきます。
もともと苦手なピント調節がますますしにくくなり、視力が低下する原因となってしまいます。
白内障や緑内障などの疾患
白内障や緑内障など眼の疾患によっても視力は低下します。
白内障は、水晶体が白く濁ることによって物が見えにくくなる疾患です。
犬種や体質によっては、老犬だけでなく若い犬でも発症することがあります。
「眼の中に白い濁りがある」「瞳が常に開いている」「物にぶつかる」などの症状がある場合白内障を発症している可能性がありますので、動物病院の受診をおすすめします。
また、緑内障は眼圧が高まり眼が大きくなってしまう疾患で、「物にぶつかる」「音に敏感になる」などの症状が現れます。
白内障や緑内障以外にも、眼をケガした場合や角膜炎などでは眼の症状が急速に進行し視力が低下することがありますので、症状に気付いたらできるだけ早く受診しましょう。
犬の視力が低下したときの対処法
愛犬の視力が低下しもともと見えていないように見えないときには、愛犬が安全に、そして安心して生活できるよう工夫が必要です。
視力が低下した愛犬と暮らすうえでの注意点についていくつか解説します。
犬の生活エリア内の動線や配置を変えない
愛犬にとって、生活スペースの環境整備は大変重要です。
愛犬の生活エリアであるハウスやクレート、トイレ、食器や水飲み場などの位置や動線は極力変えないようにしましょう。
それぞれの場所に、触覚でわかりやすいマットなどを敷くのもおすすめの方法です。
愛犬の動線上に障害物がないように整えることも重要です。
犬はそれらの配置を感覚で記憶しているため、急に配置が変わってしまったり障害物が置かれてしまうと、どこになにがあるのかわからず困ってしまいます。
散歩コースに関しては、慣れているコースであれば以前のように歩くことができます。
いつもと同じコースで散歩してあげるようにしましょう。
階段や段差など危険な場所には保護材や柵を付ける
階段や段差などでは、転倒やぶつかってしまうリスクがより一層高まります。
段差の上り下りは抱っこでおこなうこと、テーブルや段差の角など愛犬がぶつかりやすい場所にはあらかじめ保護材を付けること、柵を使って入れないようにすることが大切です。
治療を受ける
視力の低下が疾患によるものである場合、適切な治療を受けることで視力の回復が見込める場合があります。
治療には、点眼や内服薬を使った内科的治療、手術をする外科的治療がありますので、状態や症状、そして愛犬への負担を考え、獣医師とともに適切な治療法を考えましょう。
触るときは声をかけてから
急に視力が低下した犬の場合、突然触られるとビックリしてしまい飼い主を噛んでしまうことがあります。
触る時は近くで物音を立てたり名前を呼んだりしてから優しく触りましょう。
愛犬が安心できるような関わりや声かけを忘れないことが大切ですね。
まとめ
今回は、犬の視力や見え方の特徴、視力低下が起こる原因や対処法について解説しました。
犬はもともと低視力ですが、動体視力や視野の広さ、嗅覚や聴覚をフル活用することにより日常生活を難なく過ごすことができています。
しかし、老化や疾患によりさらなる視力の低下は免れません。
必要に応じて受診したり自宅の愛犬スペースの環境整備をおこなったりすることで、視力低下によるケガなどのトラブルを未然に防ぎ、愛犬が安心して生活できるようにサポートしてあげましょう。