猫が狭いところに入りたがるのはなぜ?意外な理由や気をつけたいこと
愛猫の姿が見当たらず探していたら、「どうやって入ったの!?」と言いたくなるような狭いところで発見。
「こんなに狭いところに入って苦しくないのかな?」と顔を覗くと、何とも心地よさそうな表情をしている……。
猫が狭いところに入りたがるのは、どのような心理なのでしょうか?
今回は、その理由についてお話しします。
猫が狭いところに入りたがる理由(本能編)
猫が狭いところに入りたがるのは、祖先であるリビアヤマネコの習性が関係しているといわれています。
ここでは祖先から受け継いだ本能的な理由をご紹介します。
外敵から身を守るため
猫の祖先であるリビアヤマネコは、砂漠などで単独で狩りをしながら生活しています。
リビアヤマネコも他の肉食動物から捕食される立場なので、身を守るために狭いところに身を隠す必要があります。
家で暮らしている猫たちも、この習性の名残りで「狭いところ=安全な場所」だと本能的に感じているのでしょうね。
狩猟のため
リビアヤマネコは獲物を待ち構えるスタイルで狩りをします。
自身も外敵から身を守る必要があるため、狭い穴に身を隠しながら獲物が来るのをじっと待つのです。
狭い穴は、捕らえた獲物を他の動物から守るための安全な場所でもあります。
穴の外へ顔を向け、まわりに注意を払いながら、いつでも逃げられる体勢で食事をします。
また、獲物であるネズミなどの小動物が狭いところに隠れている場合もあるので、狩猟本能から中に入って確認したくなるようです。
猫が狭いところに入りたがる理由(習性編)
前項では、先祖のリビアヤマネコから受け継いだ本能的な部分に触れました。
ここでは、いわゆる「家猫」の習性の面から、狭いところに入りたがる理由をお話しします。
安心感を得るため
猫は体が何かに囲まれているような狭い場所に安心感を抱きます。
これには子猫時代の体験が関係していて、母猫のおっぱいを飲むときなど常に他の兄弟たちと身を寄せ合って過ごしていたことから、体の一部が何かに触れていると安心するためです。
好奇心を満たすため
猫は警戒心が強いだけでなく、好奇心も強い動物です。
自分が入れるか入れないかというサイズ感のすきまを見つけたときは、「このすきまに入れるだろうか」「すきまの向こうに何かあるかもしれない」と警戒心よりも好奇心の方が勝ってしまうようです。
寒さや暑さ対策のため
猫は暑い、もしくは寒いとき、体温調節のために狭いところに入ることがあります。
夏場、外猫がコンクリートブロックの陰など、ひんやりとした狭いところで暑さをしのいでいる姿を見たことはありませんか?
家猫も同じで、夏場は涼しい場所を探して入り、冬場は体温を奪われないように狭くて暖かい場所に潜り込みます。
我が家の猫は、夏場はフローリングの上で寝るのが気持ちいいらしく、テレビボードの下の狭くて薄暗いところでよく寝ています。
冬場は毛布と掛布団のすきまに潜り込んで暖を取っているので、人間はなかなか布団に入ることができません(笑)
避難のため
来客など、いつもと違う状況にストレスを感じている場合、安心できる狭いところに逃げ込む猫もいます。
原因が取り除かれるまでは、無理に引っ張り出したりせず、そっとしておいてあげましょう。
病気の養生のため
猫は病気の養生のために身を隠す習性があります。
狭いところに入ってずっと出てこない、元気がないというときは、体調を崩しているかもしれません。
いつもと様子が違うと感じたら、動物病院で診てもらいましょう。
猫の体は狭いところに入りやすい構造になっている
猫の体は柔軟性に富んでおり、顔さえ通れば全身通り抜けられるといわれています。
人間の体と違い、鎖骨が小さく退化して肩の関節とつながっていないため、柔軟な動きが可能です。
肩甲骨が首の後ろにあるため、足の動きと連動させしなやかに動かすこともできます。
しばしば「液体」と表現される猫の柔軟性は、独自の骨格によって作られたものなのですね。
狭いところを好む習性を利用してみよう
猫が狭いところを好む習性を上手に利用すれば、猫にとっても飼い主さんにとってもいいことずくめです。
どのようなことに利用できるのか、見ていきましょう。
キャリーバッグに慣れてもらう
猫を動物病院へ連れて行くとき、なかなかキャリーバッグに入ってくれず苦労する飼い主さんも多いのではないでしょうか?
「キャリーバッグに入る=怖いところ(動物病院)へ連れて行かれる」と猫が覚えてしまうと、当然ながら逃げ回ったり、どこかへ隠れたりしてしまいますよね。
猫が狭いところを好む習性を利用して、普段からキャリーバッグに出入りできるようにしておくのはいかがでしょうか?
猫の目につく場所にキャリーバッグを置いて扉を開放しておけば、猫が自ら中に入って安全な場所であると理解してくれます。
キャリーバッグの中が安全な場所と認識できれば、動物病院へ行く際のストレス軽減にもつながるでしょう。
遊びに応用する
猫が狭いところを好む習性を遊びに応用してみましょう。
多くの猫は「猫じゃらし」が好きですよね。
そのままじゃらすだけでもよいですが、トンネル状のものと組み合わせるとさらに楽しく遊ぶことができます。
猫がトンネルに近づいてきたら、猫がいる反対側の入り口から猫じゃらしを覗かせて、猫に見えるように動かしてみましょう。
覗かせたり隠したりを繰り返しているうちに、我慢できなくなった猫がトンネルの中をスライディングするように飛びついてくるかもしれませんよ。
猫は狭いところに潜んでいる小動物にも興味を示すため、箱型のおもちゃを使って狩りを疑似体験させてあげることもできます。
我が家では下記商品を使用していますが、箱に空いた小さな穴から猫じゃらしを出し入れするだけで、愛猫は大興奮です。
前足で獲物(猫じゃらし)をチョイチョイとつついたり、両手で挟んでひっぱったりとかわいい姿を見せてくれます。
箱型のおもちゃは、段ボールなどで自作できるのでおすすめです。
こちらは、箱にネズミのおもちゃがセットされているおもちゃです。
猫の手型のレバーを下げると穴からネズミが出てくるという、モグラ叩きのような遊びができます。
以下2点は、電動おもちゃです。
獲物に見立てたパーツが狭いところを動き回るので、猫も大喜びで遊んでくれるでしょう。
飼い主さんがかまってあげられないときにも便利ですね。
狭いすきまからの脱走に気をつけよう
猫は自分が入れる場所かどうかをヒゲの幅で察知しているといわれています。
自分のヒゲの幅より狭い場所には入ろうとしないので、この習性を利用して脱走対策をしてみましょう。
猫は、玄関やベランダのドアを開けたときにすきまからするりと出て行ってしまうことがあります。
帰宅の際は、まず猫のヒゲの幅より狭くドアを開けて、猫が玄関にいないことを確認してから入るようにしましょう。
我が家では、玄関のドアの前に脱走防止用の柵を設置しています。
設置した際、猫のヒゲの幅より狭い格子だからと安心していたら、なんと柵と壁の間の狭いすきまをすり抜けられそうになり、ヒヤッとしたことを覚えています。
すきまをふさいで事なきを得ましたが、猫は私たちが思う以上に狭いすきまをすり抜けられるのだと痛感した出来事でした。
脱走や侵入の対策をするときは、猫がすり抜けることがないかしばらく観察するようにしてくださいね。
まとめ
猫が狭いところに入りたがるのは、祖先から受け継いだ本能が関係していました。
基本的には問題のない行動ですが、場合によっては体調が悪いことも考えられます。
愛猫の様子をよく観察するようにしましょう。
また、狭いすきまからの脱走にも注意するようにしてください。
習性を利用し、愛猫と一緒に遊ぶこともできます。
たくさん遊んで仲を深めてくださいね。