猫の離乳食はいつから?時期やレシピ、与えるときのポイント
猫は、生まれたての状態から「子猫」に至る過程で離乳食を必要とします。
しかし、猫を赤ん坊から育てる予定の人や、知識が豊富ではない状態で子猫の世話をすることになった人は、離乳食をあげる時期や内容に不安を感じているのではないでしょうか?
今回は、猫の離乳食について幅広くご紹介します。与えるタイミングや選ぶときのポイント、自作レシピなども解説していきますので、ぜひご参考にしてください。
正しい知識を身につけ、子猫の健康を守りましょう。
子猫に離乳食を与えはじめるタイミング
乳歯が生えてきた
まずは子猫に離乳食を与えるタイミング、つまり「ミルクを卒業するタイミング」について解説します。
子猫の小さな乳歯が生えるのは、生後2~3週間後からです。生後2ヵ月頃を目途に上下で計26本の乳歯が生え揃い、生後7ヵ月頃までに永久歯に生えかわります。
この「乳歯の生え始め」が離乳食開始の合図です。
自力で排泄ができるようになった
猫は生まれてすぐは自力でうんちやおしっこができません。母猫にお尻を舐めてもらうことで刺激が促され、排泄を行います。
生後3~4週間程経過すると自力で排泄ができるようになるため、乳歯が生える時期と併せ、この時期を離乳食開始のタイミングと考えましょう。
排泄ができる頃には、生まれたての時期と比べて視力や聴力がしっかりとしてきます。自力でヨチヨチと歩けるようになり、活動範囲も広がるでしょう。
生後12ヵ月を目途に成猫用フードに
以上から、ミルクを卒業して離乳食を開始するタイミングは、平均して生後3週間頃といえます。
その後は生後8週間程を目途に離乳食から子猫用フードに徐々に切りかえ、生後12ヵ月を目途に成猫用フードに移行するステップが一般的です。
離乳食から子猫用フード、成猫用フードに切りかえる際には「ある日突然、違うフードに変える」のではなく、現在与えているものに少しずつ新しいフードを混ぜ、日数をかけながら混ぜる分量を増やしていきましょう。
離乳食切りかえの具体的な方法
ここでは、離乳食を切りかえるときの具体的なステップをご紹介します。
生後3~5週
この時期の給餌回数は、1日4~5回です。
最初はミルクを半分の量にして、のこりを大目のお湯に混ぜます。ハチミツくらいの硬さになるまで練り、「練りミルク」にして与えます。
練りミルクに慣れてきたら、「ミルク+ペーストの離乳食」に切りかえましょう。
市販のペーストをミルクに混ぜて与えます。全体の質感は、まだ液状に近い状態です。
ミルクの量は1~2週間を目途に少しずつ減らし、ペーストの量を増やしてください。
ペーストは肉タイプと魚タイプのどちらも平等に与えると、偏食防止になります。
生後1ヵ月半
この時期の給餌回数は、1日3~4回です。
「ペーストの離乳食+子猫用ドライフード」を「1対1」の割合で混ぜて与えます。
ドライフードは水やお湯でふやかし、硬さが残らないようにしてください。
生後2ヵ月
この時期の体重の目安は約1kg、給餌回数はまだ1日3~4回です。
「ペーストの離乳食+子猫用ドライフード」を与えることは変わりませんが、この時期からはふやかさない状態のドライフードを混ぜはじめます。
徐々にペーストを減らしていき、1~2週間を目途にドライフードのみに切りかえてください。
ドライフードのみで食べられるようになったら、離乳食の時期は終了です。
生後2ヵ月を過ぎたら、生後12ヵ月までは「子猫用ドライフード」を1日3回与えましょう。
子猫の離乳食に必要な要素
柔らかくて飲み込みやすい
子猫の離乳食は、「柔らかくて飲み込みやすいこと」が大切です。
乳歯がやっと生えてきた段階であるため、硬いフードは嚙みきれません。また、胃腸も固形物に慣れていないため、咀嚼ができないまま飲み込むとお腹を壊してしまう可能性もあります。
離乳食期の子猫は、それまで液体のミルクや母猫の母乳のみで栄養を摂取していた子たちです。
まずはペースト状から始めて「液状以外の食べ物」に慣れさせながら、徐々に硬さを増していきましょう。
総合栄養食である
子猫用の離乳食として販売をされているものには、大きく分けて「総合栄養食」「一般食」「食事療法食」の3種類があります。
この中で子猫に与えるべき種類は「総合栄養食」です。
総合栄養食には成長に必要な栄養素がバランスよく配合されているため、子猫の頃から主食にするべきごはんだといえます。
「一般食」は、いわゆる「おかず」です。一般食のみを与えていると栄養バランスが崩れてしまいますが、総合栄養食の食いつきが悪いときのトッピングとしておすすめです。
「食事療法食」は、特定の病気を改善するためのサポート食といえます。基本的には自己判断で与えるものではなく、獣医師さんと相談をしながら適したものを選択します。
味のタイプが複数ある
猫は他のペットと比べるとグルメな子が多く、個体によって好き嫌いはさまざまです。しかし、子猫の頃からバリエーションに富んだ味を覚えさせることで、成猫に成長した後の偏食を防止できる可能性があります。
離乳食を始める段階で既に好き嫌いのある子もいますが、肉タイプや魚タイプなど、できるだけ多くの味を食べさせましょう。
子猫に離乳食を与えるときのポイント
粉ミルクを混ぜる
離乳食への食いつきが悪い場合は、猫用の粉ミルクを振りかけたり混ぜ込んだりしてあげましょう。
離乳食に慣れるまでは、子猫にとっては「ミルクの臭い=ごはんのサイン」です。
ときにはミルクの力を借り、離乳食が食べ物であるという認識を与えてあげましょう。
最初は極少量から始めて慣れさせる
ミルクを飲んで育ってきた子猫にとっては、そもそも「食べる」「噛む」という行為自体が未知のものです。ペースト状から始めても、離乳食そのものに不安やストレスを感じることもあるでしょう。
口を付けない場合は無理に食べさせず、極少量から始めて「食べ物を食べること」に慣れさせてあげてくださいね。
1回分を数回に分けて与える
子猫はまだ胃が小さく成長途中であるため、1回の食事で適量を食べることができません。食欲がある子の場合でも、一度に食べすぎると嘔吐や下痢の原因になります。
基本は1回分を数回に分けて与え、様子を見ながら回数を減らしていきましょう。
まずは1日4回、少食の子は最大8回程度まで増やして構いません。
数か所に水飲み場を用意する
離乳食が始まる前の子猫は、ミルクだけで「水分+栄養素」を補っていました。そのため「水を飲む」という習慣に疎い子もいます。
離乳食を与える際は水飲み場を数か所セットし、猫がストレスなく水を飲める環境を用意してあげてください。
与える量は体重と月齢に合わせる
市販の離乳食には、パッケージの裏側か側面に「体重と給餌量の比較表」が記載されています。日々子猫の体重を測定しながら、ベストな量を与えるように心がけてください。
猫の大きさには個体差があるため、月齢と目安の体重に差がある場合は獣医師さんに相談すると安心です。
低い器+汚れてもよい場所で与える
子猫はまだ固形物を食べることに慣れておらず、器からごはんをこぼしがちです。
離乳食を与えるときは猫が食べやすい低めの器を用意し、床に汚れてもよいタオルやブランケットを敷きましょう。
ペーストやふやかしたフードなど水分量が多いごはんの場合は、ペット用のトイレシートを敷く方法もおすすめです。
食べないときはシリンジを試してみよう
なかなか離乳食を食べてくれないときは、シリンジ(注射針がついていない注射筒)を利用しましょう。
ペーストの場合はそのままで、固形物が残っている場合はミキサーで粉砕して液状にし、シリンジの中に入れます。少しずつ中身を押しだし、ペロペロと舐めさせてみましょう。
自分で作れる!子猫の離乳食おすすめレシピ
YouTubeにある子猫の離乳食におすすめのレシピを2つご紹介します。
今回は、「完全手作りごはん」と「市販のフードを利用したごはん」の2種類をご紹介するため、不安な方は市販品を利用したレシピのみをご参考ください。手作りは愛情を感じられるものですが、信頼できる会社が作ったキャットフードをそのまま与えるだけでも子猫の健康を十分に守れますよ。
鶏と野菜のヘルシーごはん
引用元:nao mi
新鮮な鶏のササミ、スプラウト、エノキ、オクラ、カボチャの種、ウズラの卵黄、鶏ガラスープを使った猫用離乳食レシピです。
カリカリで作れる簡単ミルクごはん
引用元:nao mi
子猫用ミルクとカリカリ、どちらも市販品を使った離乳食レシピです。スプーンで潰し、混ぜるだけなので簡単です。
猫の好みや性格に柔軟に対応してあげよう
人間と同じように、猫の食事の好みも千差万別です。
マグロ味しか食べない子、ミルクをかけると食べなくなる子、ふやかしたドライフードが嫌いな子、一般食が出てくるまで空腹でも待っている子、ビーフは食べるのにチキンは食べない子……。猫の数だけ性格も味の好みも違います。
飼い主さんの責務は、正しい知識を身につけて栄養バランスのよい食事を与えることです。その上で、猫の好みや性格に対応するための柔軟性も求められます。
少食な子には違うタイプのごはんをあげてみたり、ときには猫用ふりかけや鰹節などのトッピングを付けてみたり。人も猫もストレスなくごはんタイムを楽しめるように、日々の食事を工夫してあげてくださいね。
まとめ
今回は、猫の離乳食の与え方やポイントなどをご紹介しました。
猫は生まれてから12ヵ月をかけて、成猫とほとんど同じ大きさに成長します。離乳食は、赤ちゃんから子猫に成長するまでの大事なステップだといえるでしょう。
栄養満点の離乳食を正しい分量で与え、健康的な体をサポートしてあげてくださいね。