ペットの遺骨を自宅で供養する「手元供養」とは?考え方や方法を徹底解説!
ペット火葬をした方の中で、骨を返してもらう「返骨」を希望する割合は7~8割といったデータ があります。
これはペットを亡くした多くの方が自宅で供養をする「手元供養」を望んでいるということになります。
なぜこれだけ多くの方が手元供養を望んでいるのでしょうか?
そして手元供養とは、どのように行えばよいのでしょうか?
気をつけなければいけない点も考慮しつつ、自宅でペットを供養する方法をお伝えします。
手元供養の考え方
手元供養とは、ペットの遺骨を骨壺に入れて自宅に保管したりペンダントやキーホルダーにして身に着けたりして身近で供養することです。
大切なペットとの別れは辛いため、「納骨のことはまだ考えられない」「少しでも近くに感じていたい」という気持ちから、手元供養を選択する方が多いのでしょう。
また、近年のお墓の継承問題や供養の考え方そのものの変化も、ペットの手元供養が増えていることに少なからず影響を与えているのかもしれません。
ペットの手元供養は一般的になりつつありますが、あらかじめメリットとデメリットを確認しておくことをおすすめします。
ペットの手元供養のメリット
手元供養のメリットは、亡くなったペットを身近に感じていたい人にとって、気持ちに寄り添った供養方法だということです。
供養は「亡くなったペットのあの世での幸せを祈るもの」であり、「ポッカリ空いた心の穴を埋めること」でもあります。自分に合った供養方法を選ぶのが一番です。
もう一つのメリットとして、遺骨を手元に置くことで後悔が少なくなる点があげられます。
ペットの場合、手元供養をしないときの納骨先は「合同墓」であることが多いです。
合同墓では他のペットと一緒に埋葬されるため、納骨してしまうと遺骨を取り出すことができなくなります。
手元供養をすることで、その後の納骨方法の選択肢が広がり、後悔が少なくなるといえます。
ペットの手元供養のデメリット
デメリットは、手元供養をすることで気持ちの整理がつきにくくなる人もいるということです。
いつまでもペットへの気持ちを引きずってしまうことは辛いことですが、決して悪いことではありません。
気持ちの整理ができ、前向きな気持ちで日常を送れるようになるまでの供養方法と考えましょう。
もう一つのデメリットは、周りの人の理解を得られない可能性があるということです。
「亡くなったらお墓に入るもの」と考えている家族や知人には、認めてもらえないかもしれません。
供養にはその人その人の考え方があると理解しておきましょう。
手元供養の方法
手元供養をしようと思った場合、遺骨の安置方法を考えなければいけません。
火葬が終わると骨壷に入った状態で手元に残ります。
そのまま自宅に安置しておく方法の他に、遺骨の一部を取り分ける「分骨」という方法もあります。
手元供養には様々な方法があるため、その中から選ばれることが多いものをいくつか紹介します。
全骨安置
ペットの遺骨をすべて納めることを「全骨」、その骨壷を自宅で安置し供養する方法を「全骨安置」といいます。
大型犬など大きなペットの場合は大きな骨壷になりますが、小型~中型犬や猫の場合は小さめの骨壷に納まります。自宅に安置するときも場所を取らず目立ちません。
骨壷のカバーである「骨袋」は、色や柄、形も多数あり、自分好みのものに変更することができます。仏壇などを用意せずにそのまま安置する人も多いでしょう。
分骨安置
遺骨の一部を取り分けることを「分骨」、分骨専用の骨壷に納めて安置する方法を「分骨安置」といいます。
分骨を希望する場合は、火葬後に遺骨を骨壺に納める「拾骨」の際に伝えましょう。その場で分けてもらうことができます。
分骨用の入れ物は火葬業者から購入してもよいですし、自分で用意しておいて拾骨の際に入れてもらうようにしてもよいでしょう。
ちなみに分骨した場合、残った遺骨はお寺やペット霊園に納骨されますが、遺骨を粉末状に砕く「粉骨」をしてから海や空に散骨する人もいます。
メモリアルボトルなどに入れて身近に置く
自宅に安置する以外に、分骨した少量の遺骨を専用のボトルに入れて携帯する方法もあります。
ボトル以外にも、粉骨をしてペンダントやネックレスに納めてくれるサービスなどもあるため、自分に合った形を探すのもよいですね。
ただし、小さいので紛失にはくれぐれも気をつけてください。
埋葬する
埋葬とは、遺骨を自宅の庭などに埋めることです。
ペット火葬が一般的になってきた現代では、遺体を火葬せずにそのまま埋葬することはほとんどなくなりました。
埋葬場所は庭が多いですが、マンションなど庭のない住まいではプランターなどを活用する方法もあります。
遺骨を埋葬したプランターで好きな花や植物を育てるのは、現代らしい供養の形ではないでしょうか。
また、プランターや植木鉢に埋葬する場合は、粉骨をすることがおすすめです。
火葬した遺骨は基本的に土に還らないため、骨そのものの形に抵抗を感じる人もいるかもしれないからです。
プランターや植木鉢では、うっかり倒してしまったなど小さなきっかけで遺骨が露出する可能性があります。
粉骨をしておくことで防げるため、検討してみてくださいね。
手元供養で用意する仏具をご紹介
ペットの手元供養には様々な方法がありますが、骨壷のまま安置し供養する人が多いです。
手元供養に仏具は必ずしも必要なものではありませんが、揃えることにより供養が身近に感じられることはあるでしょう。
何を選べばよいのかわからない方のために、代表的な仏具をご紹介します。
仏壇・ステージ仏壇
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仏壇というと少し仰々しく感じるかもしれませんが、それは昔ながらの立派で大きな仏壇をイメージしているからかもしれません。
ペット用の仏壇はコンパクトでかわいらしいものから、小さいながらも荘厳さを感じるものまで幅広くあります。
また、「ステージ仏壇」と呼ばれるインテリアにもなるおしゃれな仏壇もあり、部屋の雰囲気に合ったものが選べます。
位牌とは、亡くなったペットの名前や命日、飼い主である施主名などが記された木の牌のことです。
位牌は亡くなったペットの霊の依代となるものです。
飼い主とその家族の気持ちに応えるもの、あるいはペットの霊があの世から戻って来たときのための仮の住まいと考えてよいでしょう。
ペット霊園やネット通販などで注文可能ですが、いずれにしても「開眼供養」が必要になります。
開眼供養は僧侶によって執り行われるもので、単なる木の牌であった位牌に亡くなったペットの霊魂を入れる儀式です。
位牌を用意したい場合は、ペット霊園や火葬業者に依頼してみてください。
焼香セット
仏壇に線香をあげておりんを鳴らす一連の行為は、手元供養の一つの形です。
香を焚くことを「焼香」といい、亡くなったペットのあの世での幸せを祈るために行います。
焼香セットには、香炉やロウソク立て、おりん、線香、水入れ、供物皿などが含まれています。
線香には様々な香りがあるため、ペットが喜びそうな香りを探してみるとよいかもしれません。
墓標
自宅の庭に遺骨を埋葬したいと考えている場合は、墓標も用意するとよいでしょう。
墓標には名前や命日が記されており、埋葬したペットが眠っている場所を示してくれます。
小さな墓石を用意してもよいですし、好みの樹木を植えるのもよいですね。
まとめ
様々な想いで大切なペットとお別れをし、なかなか心の整理ができずに過ごしている方も多いでしょう。
手元供養は、自宅でゆっくりと時間をかけながら自分の気持ちを亡きペットに伝えられる供養方法です。
多くの方が手元供養を選ぶということは、亡くなったあともペットを身近に感じていたい人が多いのでしょう。