ペット保険はいらない?ペット先進国の保険事情と比較してわかること

寄り添う子犬と子猫
ウサギ

犬や猫を飼っている方は、「ペット保険」への加入を一度は検討したことがあるのではないでしょうか?

ペット保険とは、人の社会保障制度の一つである健康保険のペット版ともいえる民間医療保険です。

「病気やケガのために必要だよね」と思う方も多いかもしれませんが、実は現在の日本ではペット保険加入率は高くありません。

必要そう、便利そうに思われるペット保険がそれほど普及していないのはなぜなのか?

そして実際に加入した方がよいのかどうかを様々な視点から考えてみましょう。

ペット先進国のペット保険事情

ハスキーと女の子

ペット先進国とは、ペットを守るための法整備やペットが快適に暮らせる環境が整った国のことです。

「イギリス」「ドイツ」「スウェーデン」は、ペット先進国として聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

日本ではそれほど普及していないペット保険がペット先進国ではどのくらいの加入率なのか、気になりますよね。

ペットがより快適に暮らしていると思われる国のペット保険事情を知り、ペット保険の必要性を確認してみましょう。

ペット保険加入率について

世界で最もペット保険加入率の高い国はスウェーデンです。その加入率は約50%といわれており、犬の保険加入率だけを見ると約80%もあります。

そしてイギリスのペット保険加入率は、約25%です。

ところが、ドイツやアメリカのペット保険加入率はわずか数%程度です。(ただしドイツにおいては、ペットが他人に危害を加えたり物を壊したりした際の保険である「ペットの賠償責任保険」が浸透しています)

以上のことから、ペット先進国だからといって必ずしもペット保険加入率が高いわけではないということがわかります。

ペット保険に対する考え方

ペットのための法整備や快適な環境が整っているペット先進国の中でも、ペット保険加入率にこれほどの差があるのはなぜか、不思議に思いませんか?

その理由として、各国の「ペット保険の歴史」による違いが考えられます。

以下に各国のペット保険が提供され始めた年代をまとめてみました。

・1920年代 スウェーデン
・1940年代 イギリス
・1980年代 アメリカ、ドイツ
・1990年代 日本

最も加入率の高いスウェーデンは、ペット保険の歴史が約100年あります。

そしてイギリスには約80年の歴史があることを考えると、長い年月をかけて少しずつペット保険が国民に浸透していったと想像できます。

そうして浸透していった背景には、ペット保険会社による認知向上のための活動やペットのための法整備など、国民がペット保険を受け入れやすくする働きがあったのではないでしょうか。

日本のペット保険事情

盆栽と猫

それでは、日本のペット保険事情を確認してみましょう。

よく日本は「ペット後進国」と言われますが、動物を慈しみ可愛がる「動物愛護の精神」は非常に強い国です。

そんな日本では、ペット保険はどのように考えられているのでしょうか?

ペット保険加入率について

日本のペット保険加入率は、約10%です。

スウェーデンやイギリスに比べれば低いかもしれませんが、ドイツやアメリカと比べると同程度の加入率だとわかります。

ペット保険の認知度について

ペット保険は犬や猫をペットショップから迎え入れる際に勧められることが多いため、ほとんどの方が知っていると思います。

しかし保険料や実際の使い方、請求の方法、どのような場合に使えてどのような場合に使えないのかを知っている方は多くないのではないでしょうか?

人の保険も同様ですが、契約に必要な「重要事項説明」や「約款」は専門用語が多く理解するのに苦労します。

「ペット保険」という言葉は普及していますが、「よくわからないから」という理由で敬遠している方が多いはずです。

ペット保険はいらないといわれる理由

子犬と子猫を抱いた獣医師

日本のペット保険加入率10%という数字は、「いらない」と考えている方が多いことを表します。

考えられる理由について解説します。

保険料の負担が大きい

ペット保険を契約するには、毎月もしくは毎年保険料を支払わなくはいけません。

補償内容や動物種によって保険料は異なりますが、人の健康保険と同じ3割負担の場合、毎年およそ2万~4万円の保険料が必要になります。

また、ペット保険はペットが年齢を重ねるごとに保険料が上がるため、家計の大きな負担になるでしょう。

補償対象外の治療・病気がある

ペット保険には、特定の治療や病気に対して保険が使えない「補償対象外」の項目があります。

【多くの保険会社が補償対象外にしている項目の例】
・妊娠や出産に関わる費用
・「先天性疾患」と呼ばれる、生まれつき持つ身体の異常によって生じる病気
・混合ワクチンよって予防できる病気

この他にもペット保険によって細かな対象外項目があり、「それなら加入する必要はない」と考える飼い主もいるでしょう。

ペット保険を継続できないことがある

ペット保険は一年ごとに更新するものが多いです。

期限が近づくと更新をするかどうかの契約者の意思確認が求められますが、希望しても必ずしも継続契約ができるとは限りません。

保険会社は保険の使用状況を確認し審査をした上で、次年度の継続契約が可能か否かを判断します。

その判断により継続不可となった場合には、保険会社側から継続を断られるケースがまれに発生します。

まれとはいえ、大きな治療費が必要になるかもしれないのに継続契約できない可能性があると思うと、躊躇してしまう人もいるでしょう。

ペット保険はいらない、と決めたらやるべきこと

貯金箱と体温計と薬

加入率はペット保険の歴史が影響しており、日本は歴史の浅さからペット保険の認知度が低いことがわかります。

日本のペット保険はまだ発展途中だと考えると、今後は加入する人が増える可能性もあるでしょう。

一方で「今は加入をしない」と決めている場合は、何に気をつければよいのでしょうか?

ペットの健康管理

保険は病気やケガに備えるためのものです。

ペットが健康に過ごすことができれば、病院のお世話になる回数は抑えられ、費用の負担も減るでしょう。

日頃の食事を管理する、ワクチンを打つなど予防できる病気の対策をする、猫であれば室内飼育を徹底するなどをして、健康を守るための環境を整えましょう。

病気になったときを想定して考える

どんなに健康に気を遣っていても、病気やケガを完全に防ぐことはできません。

保険に入っていなければ治療費は100%自己負担となり、その費用は場合によって高額になることを覚えておきましょう。

例えば下痢は比較的よくみられる症状ですが、通院した場合は4,000~6,000円くらいの治療費がかかります。さらに検査をすることになれば、10,000~20,000円はかかるでしょう。

人の場合は健康保険によって3割負担で済むため動物病院の治療費が高く感じるかもしれませんが、特別に高い請求をされているわけではありません。

いざというときのための貯金をする

ペットの治療費は、保険に加入していなければ大きな金額を負担することになります。手術や入院となると、数十万円などさらに大きな費用が必要です。

そのときのためにも、「貯金」は必要です。

大切なペットのために、治療の選択ができるだけのお金を計画的に貯めておきましょう。

まとめ

猫を膝にのせる女性

ペット先進国でも、必ずしもペット保険の加入率が高いわけではありません。

そして今の日本ではペット保険の認知度と加入率が低く、多くの人が必要としていないのが現状です。

しかし、ペットが病気やケガをした場合、多額の費用がかかります。保険は、その「万が一に備える」ための手段です。

「保険に入っておけばよかった」と後悔しないよう、自分とペットにとって保険が必要なのか不要なのかよく考えてみてくださいね。