愛犬の避妊手術はいつ受けるべき?費用や発情期の知識も総まとめ!
犬の避妊手術は性成熟にまつわる手術ですが、病気予防のメリットもあることをご存知でしょうか?
避妊手術は健康に問題がなければ年齢を問う手術ではありませんが、病気予防には受ける時期が重要になってきます。
今回は
・避妊手術を受けるメリットとリスク
・避妊手術を受ける年齢の目安
・犬の避妊手術の方法と費用
を解説いたします。
避妊手術を受けるメリット
避妊手術に適した年齢の前に、まずは避妊手術のメリットとリスクについて知っておきましょう。
特に、避妊手術のメリットは避妊手術を受ける年齢と関係があるのです。
避妊手術を受けるメリットは、下記のようなものが挙げられます。
病気を予防できる
避妊手術で予防できるメス犬の病気としては、
・子宮蓄膿症
・卵巣がん
・乳腺腫瘍
が挙げられます。子宮や卵巣を摘出する手術であれば、子宮蓄膿症や卵巣がんは100%予防できます。
乳腺腫瘍に関しても避妊手術によって発生率を軽減させることができますが、手術を受けるタイミングによってその発生率が変わってきます。
望まない交配の防止ができる
避妊をしておけば、望まない交配の防止ができます。
避妊せず、万が一子犬が産まれた場合、飼い主さんが責任もって飼うことができればよいですが、様々な事情で飼えない場合もありますよね。
里親がなかなか見つからない場合も考えられます。
飼い主さんが想定していない出産は、避けた方がよいでしょう。
偽妊娠を予防できる
偽妊娠とは、妊娠していないのに妊娠しているような状態になることです。
卵巣から分泌される性ホルモンの変化によって起こり、乳首の腫れ・乳房の張り・乳汁が出る・巣作り行動をする・ぬいぐるみやおもちゃなどを子犬のように扱う行動が見られます。
また、偽妊娠の状態になると食欲が低下することもあります。
避妊手術をしておけば、こういった状態を防ぐことができるでしょう。
発情によるストレスの軽減や他のわんちゃんとのトラブル防止
ヒート(犬の生理)中のメス犬のおしっこにはオス犬を惹きつけるフェロモンが含まれており、そのフェロモンにオス犬が誘発されると興奮してしまいます。
誘発されたオス犬だけでなく、ヒート中のメス犬自身も神経質になる傾向があります。
興奮したオス同士のケンカや、神経質になったヒート中のメス犬と他の犬とのトラブルを防ぐため、ドッグランのような公共施設ではヒート中のメス犬の利用を禁止しているところもあります。
フェロモンは数キロ離れていても感知できると言われているため、お散歩中も注意する必要があります。
避妊手術のリスク
避妊手術を受けるリスクは、下記のようなものが挙げられます。
・全身麻酔のリスク
・短頭種の呼吸器系トラブル
・術後肥満になりやすくなる
避妊手術後はエネルギー要求量が約20%減少するものの、食欲は変わりがないか増加する傾向があります。
そのため、避妊手術後は肥満になりやすいく食事量に注意が必要です。
もともと呼吸器系のトラブルが多い短頭種のわんちゃんは、麻酔覚醒時に気道が塞がってしまう危険がある子が多いです。
そのため、病院によっては軟口蓋過長部位の切除や鼻腔の拡大手術を同時に行う場合があります。
避妊手術を受ける年齢の目安
おすすめは「初回発情が訪れる前」
病気の予防を重要視する場合は、最低でも2回目の発情を迎える前に手術を受けることが推奨されています。
乳腺腫瘍の場合、初めての発情を迎える前の手術で発生率は0.05 %ですが、初回を迎えた後で8 %に、2回以上迎えた後では26 %に上がってしまうというデータがあります。
また、2歳半を過ぎると避妊手術による病気予防の効果がほとんどなくなるという意見もあります。
若くて体力があるうちに行う方が体への負担も軽減できるということもあり、早めの手術を検討することがおすすめです。
初めての発情期はいつ訪れる?
初めての発情は、小型犬で生後6ヶ月〜10ヶ月頃、大型犬の場合は小型犬よりも遅く訪れる傾向があり、生後10〜12ヶ月頃が目安です。
中には生後4ヶ月で訪れたり、1歳を超えてから訪れたりするなど個体差がありますので、その子の発育状態を踏まえてかかりつけの獣医さんと相談しながら避妊手術を計画していきましょう。
犬の生理は「発情期の始まり」のサイン
人間の生理は、妊娠が成立せず子宮内膜が剥がれる際に起こる出血のことです。
一方で、犬の生理は妊娠準備で子宮内膜が分厚くなって充血し滲み出るという出血です。
犬の生理は「発情出血」と呼ばれ、発情期の始まりのサインなのです。
犬の発情期のサイクル
発情期のサイクルは発情前期・発情期・発情休止期・無発情期の4つに分けられ、犬の生理は発情前期、偽妊娠は発情休止期に見られるものです。
犬の発情期は6〜10ヶ月周期で、季節に関係なく1年に1〜2回訪れます。小型犬の周期は大型犬よりも短い傾向があります。1年に1回、秋に発情を起こすバセンジーのような犬種もいます。
発情期の最中は手術ができないので注意
発情中は子宮の腫れ・出血量が多くなる・急激なホルモンバランスの乱れによる体調不良のリスクなどによって、避妊手術には向かないタイミングです。
発情から最低でも1ヶ月は空ける方が良いとされていますので、かかりつけの獣医さんと手術のタイミングをよく相談しましょう。
犬の避妊手術の方法と費用
手術の方法は2種類
避妊手術には「卵巣のみを摘出する」方法と「卵巣と子宮を両方摘出する」方法があります。
卵巣だけを摘出するメリットは、手術の跡が小さい・手術時の出血量が少なく済む・手術時間(麻酔時間)が短いなどです。
卵巣と子宮を摘出するメリットは、子宮にまつわる病気をほぼ予防できることですが、現在では卵巣だけの摘出でも発生を予防できると考えられています。
病院や獣医師の方針、およびに愛犬の身体の状態によって、どちらが選択されるのかは変わってきます。
犬の避妊手術にかかる費用の目安
避妊手術の費用は病院によっても違いますが、小型犬で4〜6万円、大型犬で6〜8万円程度が目安です。
手術前後の検査や処置・抜糸・入院費・身体の大きさによる麻酔量の違いなどによって変わってきます。
避妊手術はペット保険適用外になりますが、避妊手術によって予防できる病気もあるため、保険会社によっては避妊手術を受けていると保険料が安くなるという場合もあります。
まとめ
愛犬の健康状態に問題がなく発情中でなければ、避妊手術は何歳でも受けられる手術です。
しかし、病気予防の観点からは初回の発情を迎える前に受けることが推奨されています。
ヒート中の愛犬のフェロモンによって他のわんちゃんが興奮状態になってしまうことや、愛犬自身も神経質になりやすいことで、ヒート中はお出かけも制限されてしまいます。
犬種や個性によって初めての発情が訪れるタイミングは異なりますが、できれば初回の発情が起こる前に避妊手術を受けると良いでしょう。
愛犬が女の子であれば、避妊手術について獣医さんからお話があるかと思います。かかりつけの獣医さんと良く相談して、愛犬にとってベストな時期に避妊手術を計画してみてください。