先住犬のいる家庭に保護犬を迎える場合の大事なポイント~我が家の保護犬飼育体験談~
私の家には2頭の犬がいます。
1頭目は、家族で「犬を飼いたい」と話がまとまったあとに、ペットショップで一目惚れしたミックス犬(4ヶ月)。
2頭目は少し特殊な経緯で我が家にやってきた、保護犬のチワワです。
今回は、保護犬の臆病なチワワが私の家族の一員になるまでのヒストリーを、ご紹介します。
保護犬を迎えたきっかけ
なんらかの事情を抱えて飼育が困難になった犬は、愛護団体や里親に出されることがあります。
家族としてお迎えした以上は、最期まで生活を共にする覚悟をしなくてはいけないものだと私は思います。
しかし、それ以上の事情があったことで、再度「家族になってくれる人」を探している犬は少なくありません。
私の家にきたチワワは、顔見知りの方からの保護依頼からでした。
前の家庭で多頭飼育をしていたが先住犬との折り合いがつかず、1年ほど試行錯誤したものの飼い主さんもノイローゼになってしまったようでした。
私はその飼い主さんの様子を見て「このままでは先住犬のお世話も危うくなる」と感じ、お試し期間として数週間を私の家で預かり、相性が良ければ引き取ることにしました。
お試し期間中は先住犬と喧嘩ばかりの保護犬
■勝手にチワワのケージに入る先住犬
最初のお試し期間は、数週間。
使い慣れたケージやキャリーバッグ、一通りのお世話用品の搬入を終えて多頭飼育のお試しが始まりました。
もともとの気質も手伝ってか、かなりの臆病なチワワ。
ケージから一歩も出てきません。
それに対して、ミックスの先住犬は「遊ぼうよ!」と興味津々。
勝手にチワワのケージに入ってしまったり、しつこくすることでさらに険悪なムードに。
「遊びたいのに受け入れてもらえない」先住犬は、ここで下痢をするなどの体調不良に見舞われました。
チワワの、歯肉まで見えるほどの威嚇や噛みつくような様子に私も四苦八苦でした。
当初考えていたお試し期間より短い期間でチワワにはいったん元のお家に戻ってもらい、しばらく期間をあけてからまた試すことにしました。
約2ヶ月期間をあけましたが、その間も私は保護依頼のあった家庭へ出向き、チワワと対面して信頼関係を築くようにしていました。
2回目は前回学んだ保護犬の性格を考慮して飼育
■一緒におやつを食べる先住犬と保護犬
一般的に多頭飼育の際は、1頭に1つずつのケージやキャリーが必要になります。
犬それぞれのテリトリーを明確にし、落ち着く空間を提供するためです。
しかし、今回保護したチワワはケージを置いてしまうと、一向に出てきません。
排泄をすることもままならず、いわば「引きこもり」になってしまうのです。
もともと前の家庭でも先住犬との折り合いがつかず、1日をケージやクッションの上で過ごし、散歩もままならない状況でした。
その結果、肥満になり「このままだと心臓も悪くなる」と獣医に指摘されていたそうです。
私は在宅ワークで常に2頭の様子を見ることができるので、今回はケージを取っ払う作戦を決行してみました。
初日は、部屋の真ん中にチワワがいるキャリーを置いて、先住犬とお見合いをさせます。
そして、先住犬の興奮が治ったころにキャリーの窓を開けておきました。
2時間ほど経過した頃でしょうか。
なんと、自分からキャリーから出てくるようになったチワワの姿がありました。
■先住犬と肩を並べて寝ることも多くなりました。
チワワはそのまま部屋を散策し、最初の2日から3日は先住犬との順位争いをしていましたが、次第に尻尾を振って、戯れて遊ぶようになりました。
トイレシートは先住犬のものとは別に、前の家庭からもらったチワワ専用のもので問題なくクリア。
年齢が近いことや、思い切り遊べるようになったことで先住犬もチワワと仲良く遊んで、2頭で仲良く寝る姿も多く見るようになりました。
2頭でお散歩に行けば、すり寄って歩く姿も見られました。
保護犬を引き取るときに大事なポイント
なんらかの事情で飼育困難になった犬は、その性格に支障が出てしまうこともあります。
ペットの飼育本を参考にすることはとても大事ですが、その子の個性をきちんと把握したうえでの対策も必要でしょう。
私の家庭の場合では、引き取ったチワワは食べるのが遅く、先住犬は「自分のご飯がとられる」と思うのか、早食いをする様子が見られました。
■ベビーゲートをペットゲートとして利用
そのためベビーゲートをペットゲートとして利用して、ご飯を食べているときやおやつをあげるときの区切りとして活用することにしました。
ケージよりもスペースを大きく区切ることができるので、距離感をあけつつチワワに運動をしてもらうこともできます。
興奮しすぎて噛みつこうとしていたり、2頭がそれぞれクールダウンの時間をとるときも、このペットゲートを利用して分れさせています。
お散歩もリードを分けて、それぞれがゆったりと歩けるように工夫をしています。
水飲みや餌皿も別々。
与えるときは順位争いで先住犬が優位になったようなので、先住犬から与えるようにしています。
犬同士の順位は、犬が決めること。先住犬でも、後からきた犬に負けることもあります。
私の家庭では、先住犬が優位になったようですが、本人たちが決めたことに人間が「先住犬だから」と押し付けることは好ましくありません。
散歩のときにどちらかが先に歩き始めるか、普段のじゃれあいでどちらが先に体を屈めてギブアップをはかるのか、よく観察すると優位になった犬が理解できます。
このように順位争いや犬同士の戯れあいは、見守る勇気も必要になります。
飼い主が「保護犬だから」と特別視し擁護することは、先住犬からしたら少し寂しくも映るものです。
必要なところは人間の手によってサポートし、あとは犬同士に任せる勇気も必要です。
私の家庭では、ある程度の戯れあいは見守り、「この喧嘩は激しいぞ。いったん離そうかな」と思ったら、チワワをキャリーバッグに入れて別室にうつすなどの対策をとっています。
保護犬のそのあと
■私の家にきてからドッグランにもデビュー
来たばかりの頃は、散歩もできなかった保護犬チワワ。
今は先住犬と一緒にどこまでも歩きます。
ドッグランでも、自ら散策しにいき、先住犬の真似をして遊びます。
その結果、チワワ本来の体重にまで減量に成功。
軽々とした足取りに、本人も嬉しそうです。
コマンドを覚えさせて、飼い主の指示を聞くようになりました。
そのおかげで「ゴー」と言えば、見知らぬ道でも歩けます。
また、2頭で寝転ぶ姿は、飼い主から見ても、とても愛らしいもの。
今となれば「実は保護した犬なんです」と私が言わなければ、誰もが兄弟と間違える2頭になりました。
まとめ
■先輩の方が後輩が大好きでいつも一緒です。
私たちの人間関係も距離感が大事なことがあります。
その人それぞれの性格によって、コミュニケーションの取り方を変えることもありますよね。
生活リズムや、趣味も人それぞれです。
「犬も同じことが言える」と私は思うのです。
その個性を楽しみつつ、うまく人とも犬とも共存できる道を模索することも、大事な飼い主の役割なのかもしれません。
保護犬は、手がかかるのは事実です。
しかし、決して「かわいそう」ではありません。
もし「保護犬だから?」と思ってしまうことがあったら、その保護犬の心の声に耳を傾けてみてくださいね。
「ほんとうは、どうしたいのかな?」と考察することで、きっと見えてくることがありますよ。