【体験談】「おすわり」「伏せ」「待て」犬への基本的な指示の教え方

犬のしつけを行っていく上で、最も基本となるのが「おすわり」「伏せ」「待て」です。

家族に犬を迎えて、飼い主さんがまず愛犬に教えたいのはこの3つだと思います。

「芸」とは少しニュアンスが違い、飼い犬に必要なしつけの一種とも言えるでしょう。

例えば交通量の多い場所などで、愛犬が車に向かって飛び出して行っては大変です。

そんな時飼い主さんのそばで「お座り」「待て」の状態でいさせることで、危険から回避させることが出来ます。

また、この基本的な指示を愛犬が理解していれば、いろいろな場面で応用することができるのです。

今回は双子の姉妹犬を育てている動物ライターの私が、「おすわり」「伏せ」の基本の姿勢から「待て」までの指示の教え方を経験を交えてご紹介いたします。

おすわり

いちばん基本的な動作です。

みなさんご存知の通りお尻を地面につけて座っている状態のこと。

この「おすわり」の基本姿勢から「待て」や「伏せ」につながっていきます。

こんな時に役立つ!

「おすわり」はいろんな場面で役に立ちます。

お散歩時にリードを付ける際やブラッシング時などピョンピョン飛び跳ねられたら、とても苦労します。

そんな時「おすわり」していてもらえたらとてもスムーズです。

また、来客時など興奮して相手に飛び掛かってしまったらとても危険です。

小さいお子さんなどは転んでしまうかもしれません。

「おすわり」の姿勢さえ習得していれば、興奮を抑制し安全に触れ合うことができるようになります。

教え方

① 手にトリーツ(おやつ)をにぎる。
② その手を犬の鼻先に近づけ、頭の後ろの方へゆっくり移動させる。
③ 犬が自然と床にお尻をつく状態になるので、その瞬間に褒めてトリーツをあげる。
④ その工程になれてきたら、床にお尻がつく瞬間に「おすわり」と指示を入れて、できたら褒める。大げさに褒めると興奮して立ち上がってしまうので、穏やかに褒める。
⑤ ④を何度か繰り返して完璧に理解させる。

うまくいかない時は…

この教え方でお座りの姿勢にどうしても誘導できない場合は、愛犬のお尻を軽く押してあげると良いかもしれません。

我が家の愛犬もトリーツを後ろに持って行っても、後ずさりしてあっさりかわされてしまったので、最初はこちらのやり方で教えました。

強く押しすぎず、軽く優しく押してあげてください。

壁などを利用して後ずさりできないような場所で練習するのもおすすめです。

トリーツがないとおすわりできなくなってしまったらどうしよう、という心配もありますよね。犬が「おすわりの号令で座るといいことがある」と覚えること自体は良いことです。

トリーツはずっとおかしである必要はありません。たっぷり褒めてあげる、おもちゃを与えるなど、愛犬の喜ぶことをトリーツとして用意してあげましょう。バラエティ豊かなトリーツがあると、飽きずに練習を進められます。

家では上手におすわりできるようになった愛犬が、家の外だと急に上手にできなくなるケースもあるようです。家の外は、音や、車、人通りなど、犬の意識が集中しにくい環境だからです。そんな時は、徐々に外の雰囲気に慣らすようにしていくと良いかもしれません。

窓の周辺や玄関などから始め、人通りのない近所の道、家から離れた静かな公園と段階をふんで、最後に人通りのやや多い場所で仕上げの練習をしていきましょう。

伏せ

お腹全体を地面につけている状態、「スフィンクス」のような姿勢が「伏せ」です。

「おすわり」より遙かに難易度が高いので、「おすわり」を教えられても「伏せ」がどうしても教えられないという飼い主さんの声もよく耳にします。

「伏せ」を教えるには「おすわり」の姿勢が基本となるので、犬が「おすわり」を理解してから始めるのが良いと思います。

こんな時に役に立つ!

一見「おすわり」さえ覚えせれば「伏せ」は必要ないと思うかもしれません。

しかし「伏せ」は「待て」にも繋がっていく、とても重要な行為です。

「伏せ」を教えることで「待て」の指示が教えやすくなります。

また、犬にとって伏せている状態は、座っている姿勢よりはるかに楽な姿勢です。

長時間待たせる場合など「伏せ」で待たせている方が、犬にとってもリラックスできる姿勢なのです。

興奮時に犬が最も落ち着く姿勢が「伏せ」だとも言われています。

興奮している犬を落ち着かせるのに「伏せ」はとても役に立つのです。

犬が伏せをする意味を知ろう

犬がもっとも落ち着く姿勢「伏せ」。特に命じたわけでもないのに、犬が自主的に伏せをすることがありませんか?

伏せは、「カーミングシグナル」「喜びを落ち着かせる」「退屈している」などのサインでもあります。

「カーミングシグナル」とは、犬が自ら気持ちを落ち着かせようとしてする行動のことです。犬同士が出会ったときに、伏せをすることがありますよね。これは喧嘩を避けて、仲良くしたい合図です。

似た意味での伏せに、喜びを落ち着かせるための伏せがあります。目の前におやつなどほしいものがあるとき、追いかけっこが楽しいとき…、興奮が高まってきてはしゃぎすぎるとよくないと犬自身が判断したとき、伏せをする子もいます。

またなにかが期待外れだったときにも、伏せをしていることがあります。遊びを中断されたり、叱られてしまったりと、したいことができなかったときに「つまらないなぁ」と伏せる犬もいるようです。

教え方

① 「おすわり」の状態で手にトリーツを握り、犬の鼻先に近づけます。
② その手を地面に向かってゆっくり移動させ、犬の鼻先を誘導します。
③ 腕が地面に着く状態になったら、お尻が下がってお腹全体が地面につくのを待ち、その瞬間にトリーツをあげて褒めます。
④ ③の工程を繰り返し、「おすわり」から「伏せ」の状態になることに慣れさせます。
⑤ 慣れてきたら、今度は「伏せ」の状態になった瞬間に「伏せ」と言い、褒めてやります。
⑥ 何度も繰り返すことで犬は「伏せ=伏せた状態」と理解します。

うまくいかない時は…

「おすわり」とは違いなかなか「伏せ」の状態に誘導できないかもしれません。

その時は、優しく伏せの姿勢を作ってあげ、その体勢に慣れさせることから始めましょう。

待て

「おすわり」と「伏せ」の基本姿勢を教えることができたら「待て」のトレーニングに入ります。

犬を座らせて、あるいは伏せた状態を維持し、「よし」の合図が出るまで待たせることです。

こちらも少し難易度は上がりますが、犬に理解させておくことで犬の安全にもつながっていきます。

こんな時に役立つ!

「待て」はあらゆる生活の面で役に立ちます。

まずは食事やおやつの際。

ドッグカフェなどでも最低限のマナーではないでしょうか。

外出時やお散歩時など、他の見知らぬ犬に出くわした時など興奮してしまう愛犬もいます。

そんな時「待て」をさせることで、興奮を抑え、相手の犬に対しても刺激せずに済みます。

また、車やバイクに向かって飛び出しそうになった場合も「待て」を教えることで、それを未然に防ぐことができます。

犬の興奮や突発的な行動、欲求を抑える最も有効な方法です。

教え方

① おすわりか伏せの状態で犬にトリーツ又は食事を見せます。
② 「待て」と犬の顔の前に手のひらを見せ指示します。
③ 犬が食べそうになったら、また「待て」と言い手のひらで遮ります。
④ 犬が少しの間待つことができたら「よし」と言い食べさせます。
⑤ これを何度か繰り返すことで、犬は「待て」の意味を理解してくれます。

うまくいかない時は…

最初は待たせる時間をほんの数秒から始めるとうまくいくと思います。

毎日少しずつ、待たせる時間を伸ばしていくのがポイントです。

まとめ

お手をする犬

愛犬と楽しく生活、社会と共生していく上で基本となる「おすわり」「伏せ」「待て」。

私達人間にとってもメリットですが、愛犬にとっても、とても大事です。

犬によって覚えるスピードや、教え方は様々です。

焦らず楽しく、時間がかかったとしても前向きにトレーニングしてくことが成功へとつながるのではないでしょうか。

公開日:2018/12/12  最終更新日:2021/07/15