犬や猫に理想的な部屋って?我が家のドッグ&キャットスペースを紹介します!
私が以前、実家で一緒に暮らしていた犬はゴールデンレトリーバーの混血でした。
股関節形成不全を発症して最終的には歩けなくなってしまった彼を、思うように介護してあげられない家で生活させていることが非常に辛く、看取った時には犬を迎えるには「介護まで見越した環境を作っておく必要があったんだ…」と深く後悔しました。
この経験から、次に犬を迎えるのは介護ができる家を建てからにしようと心に決め、現在はかつての反省点を活かしたドッグ&キャットスペースを設けた家でラブラドールレトリーバーと愛猫と共に暮らしています。
しかし現時点で良かったと思う点がある一方、今更ながら後悔している点も存在します。今回は家を建てる際に一番頭を悩ませたといっても過言ではない、我が家のドッグ&キャットスペースを紹介していきます。
1階部分:愛犬の居住スペース
愛犬の居住スペースでこだわったのは、床と壁です。それぞれ現在の建材を選んだポイントと反省点などを紹介していきます。
床材の選び方とおすすめポイント
特に床は大型犬であることから、先代犬と同じように股関節形成不全にならないよう、脚が滑りにくい床材を色々見て回って、通常はベランダやテラスといった屋外に使用する凹凸のあるタイルを使用することにしました。
建材のショールームに行くたびに恥を忍んで許可を取り、裸足で走り回ってどの床材が一番滑らないか試して決めたのですが、屋外用のタイルは掃除もしやすいためドッグスペースに使用するにはぴったりだったと感じます。
ただ夏場はひんやりとして気持ち良いのですが、冬は下から冷気があがってきてるのかと思うほど冷たくなることがあるため、我が家の愛犬のように寒さに強い犬種であれば問題ないのですが、チワワやイタリアングレーハウンドのように寒さに弱い子には不向きかもしれません。
あまり考えたくないのですが、現在の愛犬も高齢になった際には自力で立てなくなる可能性もあります。
その場合寝たまま排泄をすることも考えられるため、とにかくデッキブラシやモップでザっと掃除ができることもドッグスペースの床材に求める条件でした。
愛犬が寝たまま排泄をしてしまった際、都度しっかりと手早く掃除をしないと虫が湧いてしまい、最悪の場合愛犬の体に卵を産んでしまう恐れがあります。
先代犬の介護中にかかりつけの動物病院で教えてもらったのですが、犬の褥瘡(じょくそう・床ずれのこと)は人間の褥瘡と違い、同じ姿勢で寝ていたことが原因で皮膚が擦れるだけではなく、動けない状態で衛生環境が悪化すると蠅などに卵を産み付けられてしまい、この卵から孵った蛆虫はなんと宿主である動物の肉を餌に成長していくというのです。
聞くだけでゾッとする話ですが、当然生きたまま肉を食べられる犬や猫の痛みは想像を絶するものがあり、動物の介護で一番注意して欲しい点が衛生環境であると注意されました。
そのため水を大量にまいて掃除ができる床材を選んだのですが、我が家の愛犬の散歩仲間さんもリフォームなどでドッグスペースをつくったお宅は、コンクリートやタイルを使っていることが多いようです。
壁を食べる犬に適した壁材とは
お恥ずかしい話なのですが我が家の愛犬は5歳にもなって一向に落ち着く様子が見られず、怒られた後や自分だけ(正確には猫もいるのですが)が長時間留守番をさせられている時など、ストレスが溜まると壁を食べるという嫌がらせをしてきます。
見栄えや家の強度への影響はもちろん、壁を食べて愛犬に害が無いとは到底思えないため、ドッグスペースの壁は犬が食べられないものにしようと決めていました。
そして床同様に心置きなく水が掛けられて掃除がしやすいように、更に主人が見た目をとても気に入ったこともあり外壁用の石壁を使用しました。
担当してくださった建築士さんからは、消臭効果のある珪藻土を勧められたのですが、珪藻土の壁は我が家の愛犬の大好物なので使えなかったのです。
実際、部分的に珪藻土を使った場所は写真のように食べられています……補修しても補修しても食べられるので、もう断熱材が見えています。ドッグスペースは全て壁に石か木を使って食べられなくすればよかったと後悔しています。
愛犬のプライベートスペース
我が家で一番人気が高い場所が、この愛犬のおこもりスペースです。
近年は住宅メーカさんからも愛犬家住宅のモデル案が多く提示されており、カタログなどを見ると壁の一部をくり抜いてドッグスペースを作るアイディアも多く見られますよね。
3方が囲まれた洞窟のような居住スペースは犬にとって安心感を与えるとされていますが、我が家の愛犬も落ち着く様子で、昼夜問わず本当に眠くなった場合や好物の骨などをもらった場合は必ずここにこもります。
何故かこの場所は愛猫にも人気で、自分のベッドよりもここで寝ていることが多いです。また最近は娘がこの場所に愛犬と並んで座っていることもよくあるため、我が家では一番人口密度が高くなりがちな場所です。
クレートに入るのが好きな子であれば、こういったドッグスペースは喜ぶ可能性が高いのかなと感じます。
内部の壁や天井部分にはメラミン材を使用していますが、水拭きでも汚れが落ちるためペットスペースにおすすめです。
2階部分:愛猫の居住スペース
猫のためにこんな作りにしたんでしょう?と聞かれることが多いのですが、家を建てた時は猫を迎える予定は全く無かったため、たまたま愛猫の居住スペースとなったのが2階部分です。
元々このスペースは横の本棚のものを気軽に読むための読書スペースの予定であり、特に主人はここで横になって本を読むことを楽しみにしていました。
しかし家が完成する直前に家族に猫が加わったため、このスペースはやむを得ず猫用のケージを置く場所になりました。
愛犬が届かないところに愛猫の食器やトイレを置くことができるためキャットスペースに適していたようで、愛猫はとても満足しているようです。
猫は高いところにいる程偉いと感じる習性があるそうなので、恐らく犬より高い場所にいることが嬉しいのだと思います。
我が家の愛犬は上下関係をあまり気にしない大雑把な性格なので、猫が自分の部屋の2階で生活していることを何とも思っていないようなのですが、神経質な子であればプライベートスペースの上を他の動物がウロウロしている状況がストレスになってしまうかもしれません。
ちなみにここから天井部分までは消臭効果を狙って珪藻土を壁に使用しましたが、はっきり言って大型犬の獣臭さの前に珪藻土は無力だと感じています。
もし大型犬と暮らしていたり犬や猫を多頭飼いしていて、消臭効果に期待して壁や天井に珪藻土を使おうと考えている方がいらっしゃったら、あまり効果は期待しない方が良いと申し上げたいです…。
3階部分:愛猫の運動スペース
2階以上に猫とは関係なく作ったと言うと驚かれるのが、この3階部分です。
図面を見ていた主人が「ここ、へこませられるんじゃないですか?」と建築士さんに尋ねたことで建築中に無意味に生まれたのがこのスペースで、当時は収納に使うにしても物の出し入れがしづらくて不便だし一体何に使ったらよいのだろうと悩みました。
しかし主人と建築士さんは「家にはこういう用途が無いスペースがあると、余裕が感じられて良い」などど満足気で、その直後にやって来た愛猫は自分のゲージを足場に登れるこの場所が大のお気に入りで、下々の者を見下ろしてとてもご満悦です。
また我が家の愛猫はとても臆病な性格をしており来客があるとすぐに逃げるのですが、避難先の定番でもあるのがこの場所で、自分の姿は見せずに相手の動向が探れるので安心できるようです。
娘のヘアピンや私のアクセサリーをここに持ち込んで隠してしまうので飼い主としては面倒くさいのですが、周辺の交通量などから愛猫を完全室内飼いにしている我が家では、自分しか入れない場所を持つことで運動不足やストレスの解消になってくれれば良いなと思っています。
天井部分
ドッグ&キャットスペースで一番失敗したな、と感じるのが天井です。
換気に役立つかとファンを付けたのですが、これをオンにすることで獣臭や猫のトイレのにおいがリビング中に拡散されてしまうため使うことがありません。
またオンにすると愛猫がドッグ&キャットスペースの3階部分に走って行って作動中のファンに飛び掛かろうとするので非常に危険です。
更にドッグ&キャットスペースににおいがこもらないよう、家の2階との間に通気口をつくったのですが、このせいで猫がお腹を壊した際などは2階の寝室にまで悪臭が漂ってくるという始末。
また愛犬の様子がこっそり見えたら癒されるかと思って2階に覗き窓も付けたのですが、2階を掃除していると下から愛犬に睨まれたり吠えられたりと監視されている感覚が強いので、どこにいても愛犬の気配を感じたいというのは我が家には向かなかったと後悔しています。
まとめ
我が家ではドッグ&キャットスペースをつくる際に、こういった書籍も参考にしました。
特に向かって左に写っている建築士の金巻とも子さんの「犬・猫の気持ちで住まいの工夫」という本は、これからペット対応住宅を建てようと考えている方にも、現在の住まいにペットスペースを設けたいと考えている方にも是非手に取って欲しい、おすすめの1冊です。
犬種別に適した床材の一覧も掲載されていたりと参考になることが多く、DIYでできることや悩み別の対処法も細かく掲載されているので今でも読み返しています。
posted with カエレバ
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我が家では介護で苦労させられるくらい長生きして欲しい、という願いもこめてドッグ&キャットスペースにはこだわりを詰め込みました。
犬や猫にどう思っているのか聞くことはできないので、人間の自己満足の部分もあるのだろうなとも思います。しかし自力で外出することができない動物たちが、少しでも自分の家を気に入ってくれていたら嬉しいですよね。