猫はなぜ高いところが好き?様々な理由からわかる猫の本能とは?
「視線を感じる気がする……」
ふと顔を上げると、高いところから愛猫に見下ろされていた、という経験はありませんか?
家具や家電の上、キャットタワー、中にはカーテンレールにのぼる猫もいますよね。
なぜ猫は高いところを好むのでしょうか?
今回は、その理由をご紹介します。
猫が高いところが好きな理由とは
猫が高いところを好むのは、野生時代の習性が関係しています。
猫の祖先・リビアヤマネコは厳しい環境の中、高いところをうまく利用して暮らしていました。
子孫である猫が受け継いだ「高いところへのぼる理由」には、どのようなものがあるでしょうか。
身の安全が確保できる
リビアヤマネコは被捕食動物のため、地上には外敵がたくさんいます。
木の上など高いところに身を置けば、のぼれない動物には襲われません。
身の安全を確保するため、自然と高いところで過ごすようになったのでしょう。
自分のテリトリーを見渡せる
高いところで過ごすことには、メリットがもう一つあります。
高いところからは自分のテリトリーを広く見渡せるため、外敵の接近をいち早く察知することができます。
子孫である猫もこの習性を受け継ぎ、高いところから自分のテリトリーに異常がないかいつもチェックしているのです。
自分を優位に見せられる
猫は立場の優劣を身を置く場所の高さで決めるといわれています。
相手よりも高い場所にのぼることで、自分を優位に見せるのです。
飼い主さんを高い位置から見下ろしている猫は、もしかしたら飼い主さんのことを下に見ているのかもしれません……。
気ままに振る舞う愛猫の姿に魅了され、「それでもいいの、幸せだから!」と思っている飼い主さんも多いことでしょう。
ノミ・ダニなどの害虫が少ない
高いところで過ごすことには、ノミやダニから身を守る効果もあります。
ノミやダニは、屋外では主に草むらに、室内では床にたまったホコリの中などに生息する生き物です。
高いところで過ごしていれば、自然と寄生される確率が低くなります。
待ち伏せできる
木の上などの高いところからは、地上の外敵だけでなく、食料となる動物の接近にもいち早く気づくことができます。
木にのぼってくる小動物を待ち伏せして捕らえ、そのまま安全に食べることも可能です。
家猫の場合、飼い主さんや同居猫との遊びの中で高いところで待ち伏せし、ちょっかいをかけるタイミングをうかがっているのかもしれませんね。
リラックスできる
高いところにいれば、自分のテリトリーを広く見渡すことができます。
自分が安全な状況下にあると認識しやすく、リラックスして過ごすことができます。
家猫の場合、飼い主さんの手の届かない場所でひとりの時間を満喫しているのかもしれません。
より快適に過ごせる
猫は快適な場所を見つけるのが得意です。
窓辺にキャットタワーを設置している場合、より日当たりのよい高い位置でくつろいでいることはありませんか?
夏場はクーラーに近くひんやりとしていること、冬場は暖気がたまってポカポカしていることから、高いところは一年を通して快適だと猫たちは経験から知っているのです。
こわいものから避難できる
猫は不安感が強いときにも高いところへのぼります。
例えば来客があったときなど、知らない人が苦手な猫は高いところへ避難します。
相手の動向をうかがい、危険な目に遭わないようにしているのでしょう。
来客が帰るなど不安の原因が取り除かれるまでは、そっとしておいてあげてくださいね。
実は高いところから降りるのは苦手?
高いところに簡単にのぼってしまう猫ですが、実は降りるのは苦手なことをご存じでしょうか?
猫の爪はフックのように丸まっており、のぼるときに引っ掛けやすい形状になっています。
降りるときはその形状が仇となり、スムーズに降りられません。
ジャンプするか、のぼったときと同じ体の向きでおしりからずり落ちる必要があり、少々不格好になってしまいます。
勢いでのぼったものの、高すぎて降りられなくなり飼い主さんに助けを求める猫が多いのはこのためです。
高いところからの転落を防止するには?
元気な若い猫は高いところへ簡単にのぼってしまいますが、体力の衰えたシニア猫はそうもいきません。
動作が緩慢になっているため、高いところからの転落により大けがを負ってしまう可能性があります。
愛猫がシニア期に入ったら、今まで使用していたキャットタワーの高さを一段低くしたり、上り下りしやすいようにステップを設置したりしてあげましょう。
猫を高いところにのぼらせないための対策
猫には上下運動が必須ですが、大切な家具などのぼってほしくない場所もありますよね。
「のぼってはダメ!」と注意しても、猫はどこ吹く風でしょう。
ここでは、猫を高いところにのぼらせないための対策をご紹介します。
キャットタワーなどを設置する
高いところへのぼれないよう制限するだけでは、猫はストレスを溜めてしまいます。
キャットタワーを設置するなどして、自由にのぼれる場所を作ってあげましょう。
ある程度自由の利く住居なら、キャットウォークを設置して高いところを自由に動き回れるようにしてあげてもよいかもしれません。
設置の際は、窓の近くなど外を見られる場所にするのがおすすめです。
高いところから室内を見渡せるほか、屋外からの侵入者がいないか監視できるようにすれば、縄張り意識の強い猫の欲求も満たせるでしょう。
家具の配置を見直す
高いところにのぼってほしくない場合、家具の配置を見直すことも検討してみてください。
のぼるのが得意な猫でも、ジャンプ一発でのぼれるわけではありません。
いちばん高いところに到達するまでに、階段をのぼるようにいくつか家具を通過するはずです。
可能であれば家具の配置を変えて、物理的にのぼれなくしてみましょう。
障害物を置く
猫が家具に飛び乗る際、踏み切る位置に障害物を置いてしまえば、乗るのをあきらめるほかないでしょう。
飛び乗れないように、家具の前にパーテーションを設置するのも効果的です。
対策グッズを使う
猫の苦手な臭いを利用したいたずら防止グッズも販売されています。
いたずらされたくない場所にシュっとスプレーするだけなので、のぼられては困る家具などで試してみてはいかがでしょうか?
商品説明をしっかり確認してから使用してくださいね。
猫にとって安全な場所に作り替える
家具の配置を見直すなどの対策ができない場合、発想の転換をして猫にとって安全な場所に作り替えてみてはいかがでしょうか?
のぼってほしくない理由が「危険な物がおいてある」や「猫に荒らされたくない物がある」などの場合、それらを別の場所に片づけてしまいましょう。
のぼりたい愛猫とのぼってほしくない飼い主さんのお互いのストレスが解消されてよいかもしれません。
高いところからの脱走に注意
猫の脱走対策をしている飼い主さんは多いと思いますが、高窓など高い位置にある小さな隙間は意外と見落としやすいものです。
直接のぼれる高さではないからと油断することは禁物です。
猫はある程度の高さまでのぼれば、驚異のジャンプ力で飛び移ることができます。
飼い主さんが「これだけ離れていれば大丈夫」と思っていた場所からも、猫は飛び移って脱走してしまう可能性があるのです。
家具の配置を見直すほか、窓を開放する際は、ネットを貼るなどして猫が出られないよう対策をとりましょう。
まとめ
猫が高いところを好むのには、先祖から受け継いだ本能が関係していました。
身の安全を守るためのほか、自分を優位に見せるために高いところへのぼっていたなんて、興味深いですよね。
猫が高いところへのぼることは止められません。
時には困りものですが、適切な対策をとれば防ぐことができます。
同時に、高いところからの脱走対策も忘れないようにしてくださいね!