ペットの樹木葬|大切なペットを緑豊かな場所で眠らせてあげる方法

花を眺める犬
ウサギ

大切なペットが亡くなったとき、「自然に囲まれた静かな場所で眠らせてあげたい」と思う方もいるでしょう。

そう願っている方は、ぜひ「樹木葬」を選択肢に入れてみてください。

ペット葬送の1つである「樹木葬」は、納得のいくペットの見送り方を提供できるかもしれません。

今回は、ペットの樹木葬、つまり樹木や草花を墓標とするペットの埋葬方法について解説します。

樹木葬への理解を深めることで、ペットの見送り方について考えるきっかけになるでしょう。

ペットの樹木葬とは?

青空と大樹

ペットの樹木葬とは、遺骨を埋葬した場所に墓石を建てるのではなく、樹木や草花を植える埋葬方法です。

この埋葬方法には「遺骨を自然に還す」という考え方が根本にあり、自然葬の1つといえます。

とはいえ、ペットの遺骨を許可なく山や空き地に埋葬するわけにはいきません。

火葬業者やペット霊園などに依頼し、然るべき場所に埋葬しましょう。

樹木葬のメリットとデメリットをお伝えしますので、お墓へ埋葬することとの違いについて考えてみてくださいね。

【メリット1】自然豊かな環境にある

木々と木漏れ日

樹木葬を扱う墓地や霊園は、自然豊かで比較的静かな場所にあることが多いです。

お参りをするときは、亡くなったペットの冥福を祈ったり自身の近況を伝えたり、様々なことに思いを馳せるでしょう。

緑が多く穏やかに過ごせる場所であれば、よいお参りができそうですね。

【メリット2】人とペットが一緒に入れるお墓もある

近年、「将来はペットと同じお墓に入りたい」と思う人が増えています。

しかし従来の墓地では対応してもらうことが難しく、なかなか希望通りのお墓が見つからないのが現状です。

その点、樹木葬は宗教観が薄く、人とペットが同じお墓に入ることに寛容な墓地や霊園が多いです。同じお墓に入りたいと考えている家族には、よい選択かもしれません。

【デメリット1】遺骨を取り出せない

舞い散る葉と猫

樹木葬では、埋葬した後に遺骨を取り出すことはできません。

「将来引っ越すことになったら一緒に遺骨を持っていきたい」と考える方には、樹木葬は不向きでしょう。

また、いずれ埋葬先を変更する可能性がある場合も同様です。

樹木葬で埋葬することは、自然に還すことを意味します。「遺骨を移動する」という考え方はないものと思ってください。

【デメリット2】樹木葬の数が少ない

日本で初めて樹木葬が行われたのは、1999年の岩手県が初めてとされています。

それから徐々に注目されてきたため、その数がまだまだ少ないのが現状です。

希望通りの場所や費用、空き状況などを考えると、探すのに苦労するかもしれません。

樹木葬の形態

初夏の里山の風景

樹木葬は、遺骨をどのような場所に埋葬するかによって、2つのタイプにわかれます。

里山型樹木葬

最初に誕生した樹木葬は、里山型でした。

山の中の管理された区画に、カロート(納骨室)や骨壺などの人工物を用いず直接土の中へ遺骨を埋葬するのが里山型です。

埋葬先が自然の山であるため、都市部ではなく自然豊かな地方に多いでしょう。

都市型樹木葬

墓地や霊園が樹木葬専用の区画を設置し、樹木や草花を植え遺骨を管理することを都市型樹木葬といいます。

今ある樹木葬の多くが、こちらのタイプです。

里山型のような山の中に埋葬先があるのではなく、人の手によって整備された場所に遺骨を埋葬します。

樹木葬の埋葬方法

里山型樹木葬と都市型樹木葬のどちらにも、「個別型」と「合祀型」の2種類の埋葬方法があります。

どちらの埋葬方法になるかは墓地や霊園次第のため、探す際はしっかり確認しておきましょう。

個別型樹木葬

個別型は、人のお墓と同じくペット1霊ごとに埋葬するための区画が用意されます。

墓標となる樹木や草花を区画ごとに(個々のペットに対して)植えるのか、シンボルツリーのような大樹がありその周囲に区画が用意されるのか、若干の違いはあります。

また、ペット専用の個別型樹木葬はあまりなく、人とペットの共葬墓とするところが多いでしょう。

合祀型樹木葬

ペット樹木葬の場合、どの墓地や霊園でもみられるのが合祀型です。

合祀とは、1つのお墓に他のペットたちと一緒に埋葬することをいいます。

多くのペットが同じ場所で眠ることになるため、「寂しがりの子だった」「他の子と遊ぶのが好きだった」との理由から選ぶ方が多いです。

シンボルツリーが墓標となり、その周りに埋葬されます。

ペット樹木葬における費用の目安とその内訳

土から出た芽とコイン

費用を少しでも抑えたいときは、火葬業者が埋葬先として樹木葬と提携しているか確認するとよいでしょう。

火葬済みで埋葬だけお願いしたい場合に、追加で費用が発生することが多いからです。

また、埋葬方法が個別型か合祀型かによって必要な費用が変わるため、確認しておくとよいでしょう。

永代使用料

永代使用料とは、埋葬する区画を使用するために必要な費用です。合祀型樹木葬の場合は、発生しないことが多いでしょう。

個別型樹木葬を選ぶ場合に最も大きな費用となりますが、1度きりの支払いで済みます。

人とペットの共葬墓の場合、費用の目安は20万~100万円ほどです。その土地の地価相場により大きく異なります。

ペット専用の個別型樹木葬は数が少ないですが、数万~40万円程度と考えておけばよいでしょう。

年間管理費

合祀型樹木葬の場合、年間管理費を不要とする墓地や霊園が多いです。

逆に個別型樹木葬では樹木の管理費や清掃費として支払う必要があり、毎年費用が発生します。

目安として、年間1万円程度と考えておけばよいでしょう。

納骨料

納骨料は、埋葬するための事務手数料や作業料として支払う必要があります。

費用の目安は、1霊につき1万~2万円です。

プレート代

樹木や草花とは別に、ペットの名前を彫った石材プレートを用意する墓地や霊園もあります。

費用は石材やデザイン性によって差がありますが、目安として1万~3万円程度と考えておけばよいでしょう。

ペット樹木葬の選び方

木の入った球体を包み込む手

樹木葬を契約できる場所は、以下の3箇所です。

・火葬場を併設するペット霊園
・納骨・埋葬専用のペット霊園
・ペットの納骨・埋葬も受け入れている人の墓地や霊園

樹木葬の区画を設けているかについては問い合わせてみなければわかりませんが、今のところ樹木葬のある墓地、霊園はそれほど多くありません。

理由は、樹木葬の歴史が新しく、希望する人の需要に設置が追いついていないためです。

少ない中から何を基準に墓地や霊園を選べばよいのか迷うときは、以下を参考にしてみてください。

【ペット樹木葬を選ぶときのポイント】
・宗教観:樹木葬における宗教観は薄いため、先祖代々のお墓のある菩提寺がある場合は確認しておいた方がよい。
・アクセス:里山型樹木葬の場合は冬に積雪する可能性があり、お参りできないこともある。
・スタッフの人柄:大切なペットが眠る場所のため、安心して管理を任せられるスタッフがいることは重要。
・料金:かかる費用は形態や埋葬方法によってさまざま。対応や清掃管理が行き届いていないこともあり、安ければよいというわけではない。

まとめ

花と戯れる犬

樹木や草花などの自然は、人に癒やしを与えてくれます。

また、ペットも人と同じように自然に魅力を感じるものです。

樹木葬に興味を持った方は、近くにあるか調べてみて、一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

ペットの樹木葬という選択肢を含め、ペットの見送り方について考えてみてくださいね。