高齢猫が痩せるのは老化?それとも病気?原因や対策を徹底解説!
長年一緒に暮らしてきた高齢猫が痩せてきたら、飼い主さんは「もう高齢だからしかたない」と思うかもしれません。
その考えが正しい場合もありますが、病気が潜んでいる可能性もあります。
今回は、高齢猫が痩せる原因と体重を維持するために飼い主さんができる対策についてお伝えします。
愛猫の健やかな余生のため、高齢猫の健康管理について理解を深めましょう!
高齢猫が痩せる原因
高齢猫が痩せる原因はさまざまですが、健康上問題ない場合と疾患などが隠れている場合とがあります。
後者の場合、放っておくと命にかかわる危険があるので注意が必要です。
どんな原因があるのか確認してみましょう。
加齢に伴う体重の減少
猫も人間と同じように、歳を取るにつれて痩せていく傾向にあります。
高齢になると基礎代謝が落ち、寝ている時間が増えます。消費カロリーが少なくなり、若いころと同じ食事量を必要としなくなるからです。
また、嗅覚や消化吸収の能力が衰えることも、食事量が減り痩せる原因の一つです。
これらは自然な老化現象なので、特段心配することはありません。
必要に応じてフードの量や種類を見直してみましょう。
筋肉の衰え
高齢になると体力の低下や関節の痛みを抱える猫が多く、若いころのように高いところへ上ったり、活発に走り回ったりすることが少なくなります。
運動量が減ることで筋肉量が減り、痩せて見えるでしょう。
食欲があるのに痩せるとき
高齢猫に食欲があるにもかかわらず、体重が減ってしまうことがあります。
その場合は、甲状腺機能亢進症や初期の糖尿病などの疾病が考えられます。
甲状腺機能亢進症は甲状腺からホルモンが過剰に分泌されることにより、代謝が異常なほど活性化してしまう疾病です。
猫が活発になるため健康だと誤解されやすいですが、代謝が上がりすぎることにより猫の体には大きな負担がかかっている状態です。
放置すると全身に影響が及び、死を早めてしまうことになるでしょう。
糖尿病は膵臓(ひぞう)からのインスリンの分泌量の低下や、体がインスリンを利用する機能の低下がおこる病気です。
糖の吸収が減るため、初期症状としてたくさん食べても痩せていくということや、多飲多尿がみられます。
尿から甘いにおいがする場合もあるのでチェックしてみてください。
食べているにもかかわらず痩せるのは、異常な状態と考えられます。必ず動物病院を受診するようにしましょう。
食欲がなく痩せるとき
食欲がなく痩せる場合は、すでに何かしらの異常をきたしているかもしれません。
考えられる主な原因をご紹介します。
疾患による場合
高齢猫が痩せていく疾病として考えられるのは、慢性腎不全やガンなどです。
特に慢性腎不全は高齢猫によくみられます。
猫の祖先は砂漠に住んでいたため、飲水量が少なくても生きられるよう腎臓が働くつくりになっていますが、高齢になり機能が低下すると負荷が増し慢性腎不全を発症しやすくなります。
本来体に取り込まれるべきたんぱく質や水分が尿とともに排出されるため、初期症状として多飲多尿がみられ痩せていきます。
さらに進行すると、体内の老廃物を排泄できなくなることから尿毒症を発症し、嘔吐や食欲不振、元気の消失などがみられるようになります。
ガンの場合も、元気がなくなり痩せるといった症状があげられます。
口腔疾患による食欲不振の場合
高齢になると、口内炎や歯周病などの口腔疾患も発生しやすくなります。
口内炎、歯周病のいずれの場合も口腔内に激しい痛みを伴うことが多く、食べることが困難になり痩せていきます。
以下のような症状があるときは、口内疾患を疑ってみてください。
・食べこぼす
・やよだれが増える
・口臭がする
・口元を掻きむしる
急激に痩せるときは?
猫が短期間で急激に痩せるようなら、一刻も早く動物病院を受診してください。
1週間で2%以上、もしくは1か月で4~5%体重の減少を目安にするとよいでしょう。
猫の適正体重とは?
猫の適正体重は品種や体格によって異なるため、一概に何kgとはいえません。
適正体重の判断方法として、「ボディコンディションスコア」があります。
ボディコンディションスコアとは、猫の体型を脂肪のつき具合で5段階に分け、標準体型、痩せ気味、太り気味を判断する基準のことです。
理想体型であるBCS3を基準としてBCS1、BCS2は痩せ気味、BCS4、BCS5は太り気味となります。
以下を参考にして、愛猫の痩せ具合を判断しましょう。
BCS1(痩せ)
・肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える
・首が細く、上から見て腰が深くくびれている
・横から見て腹部の吊り上がりが顕著
・脇腹のひだには脂肪がないが、ひだ自体がない
BCS2(やや痩せ)
・背骨と肋骨が容易に触れる
・上から見て腰のくびれは最小
・横から見て腹部の吊り上がりはわずか
BCS3(理想体型)
・肋骨は触れるが、見ることはできない
・上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがわずかに見られる
・横から見て腹部の吊り上がり、脇腹にひだがある
BCS4(やや肥満)
・肋骨の上に脂肪がわずかに沈着するが、肋骨は容易に触れる
・横から見て腹部の吊り上がりはやや丸くなり、脇腹は窪んでいる
・脇腹のひだは適量の脂肪で垂れ下がり、歩くと揺れるので気づく
BCS5(肥満)
・肋骨や背骨は厚い脂肪におおわれて容易に触れない
・横から見て腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない
・脇腹のひだが目立ち、歩くと盛んに揺れる
適切な対策で体重維持を
痩せる原因が老化現象の場合、食事や健康管理が重要になります。
愛猫の体重を維持するための工夫をみていきましょう。
フードの切り替え
現在の健康と体重を維持するためには、年齢に合わせたフードを与えることが重要です。
高齢になると代謝機能が衰えたんぱく質の分解が難しくなるため、高たんぱくのフードを与え続けると腎臓に負担がかかってしまいます。
高齢猫用に調整された、消化性の高いたんぱく質を使用したフードもあります。ぜひ取り入れてみてください。
また、消化機能も衰えるため、炭水化物が少ないフードを与えるようにしましょう。
嗅覚が衰えて食欲低下がみられる場合は、与え方を工夫してみてください。
ドライフードは猫用のスープやぬるま湯でふやかしてから、ウェットフードは少しあたためてから与えると、香りがたつため食いつきがよくなることがあります。
高齢猫の食欲が落ちてきたら、すぐには切り替えず、まずはいつものフードで試してみてもよいでしょう。
日常的な体重チェック
猫の体重の変化に気づくためには、日常的に測って記録しておくことがおすすめです。
飼い主さんが猫を抱いて体重計に乗り、自分の体重を差し引けば簡単に測ることができます。
食事や排泄の前後で体重は変化するので、いつも決まったタイミングで測るようにしましょう。
体調管理
猫が痩せる疾患の初期症状として多いのは、多飲多尿です。
普段から飲水量やトイレの回数を記録しておくと、増減がわかり異常に気づきやすくなります。
猫の1日の飲水量は、食べているフードの種類がドライフードかウェットフードかにもよりますが、猫の体重1㎏につき40~60ml程度を目安にしましょう。
体重4kgの猫なら160~240mlという計算です。
1kgあたり60mlを超えた場合に「多飲」と判断してください。
トイレの回数には個体差がありますが、1日2~3回を目安とするとよいでしょう。
体重減少が止まらないときは病院へ!
不調の兆候が見られなくても体重の減少が止まらないときは、早めに動物病院を受診し、隠れた疾病がないかしっかりと診てもらいましょう。
どんな疾患も、早期発見・早期治療が重要です。
まとめ
高齢猫が痩せてきた場合、「もう歳だからしかたない」と放っておくのは危険です。
病気を見逃してしまわないよう、普段から愛猫をよく観察し、健康管理に努めましょう。
あなたの愛猫がたくさん食べて健康でいられますように!