【闘病記】愛うさぎ「ぴの」の斜頸・介護体験談|飼い主がそばでできることとは

ネザーランドドワーフの「ぴの」
ウサギ

2015年の年末、我が家にネザーランドドワーフの男の子をお迎えしました。

私の大好きなアイスクリームから「ぴの」と命名。

抱っこが嫌いですぐに足ダン(後ろ足を強く踏み鳴らすこと)をするような子なのに、へやんぽ(室内に出してあげること)では私の周りをぴょんぴょん飛び跳ねるような、なんとも憎めない性格の子です。

そんなぴのが5歳半のときに斜頸(しゃけい)になりました。

今回は、ぴのと私が経験した斜頸と介護の体験をお話します。

ぴのの様子が変!よろける、回る…

2021年6月、朝起きるとぴのの様子が変でした。

いつも朝ごはんを催促するときには、うたっち(後ろ足で立ち上がること)をしたり足ダンをしたりして非常に元気な様子を見せるのに、その日はよろめいていたのです。

よろめく姿を見て「これはおかしい!」と感じました。

急いで病院に連れて行こうと、キャリーに入れたのですが、そのとき首が右側に傾いていることに気が付きました。

首が右に傾いているうさぎ
■首が右側に傾いている、ぴの

ハウスの中にいるときには気づけませんでした。

よくよく考えてみると、最近妙にじっとしている時間が長かったり、ケージから部屋に降りる段差に躊躇している様子が見られたりといったこともありました。

それほど気に留めていなかったのですが、もしかしたら斜頸の兆候だったのかもしれません。

病院での診断はやはり「斜頸」でした。

獣医師からは「今後症状がひどくなるか、改善するかは現段階ではわからない。横向きに回転するローリングを起こすことがあるので、けがをしないようケージ内を整えてあげて」とのことでした。

斜頸診断後の【数日間】つきっきりでお世話と観察

斜頸と診断されてから数日間は、つきっきりでお世話をすることにしました。

また、ぴのが楽に過ごせるケージ内のレイアウトを探るために、ぴのの様子を観察することにしました。

まずはケージ内のレイアウトを変更

帰宅後、まずケージからぴのが転がり落ちないように扉を設置しました。

そして、給水ボトルや牧草入れの位置を低くして、ぴのが座った状態でも使えるようにしました。

ハウスも撤去しました。

しかしハウスの撤去後、ぴのは落ち着かない様子を見せました。

今まであったものがなくなり不安になったのかもしれないと感じたため、ハウスは戻して様子を見ることにしました。

当初トイレはそのまま置いていたのですが、段差でよろけてしまうようなのでトイレも撤去することにし、ケージの床全面にトイレシートを敷くことで対応しました。

好きな野菜で食欲回復を願う

身体の調子が悪いことで、ぴのの食欲は激減していました。

ペレットや牧草を口に近づけても、それほど食べてくれません。

うさぎの場合、食べられないことは命取りです。

どうにか食べてもらいたいと思い、ぴのが好きなキャベツや人参をあげることにしました。

こまめにペレットや牧草、野菜を口に近づけ、食欲が回復することを祈るばかりでした。

自力で起きられない……

斜頸になって数日間は、ごろんと横になったまま足をつっぱったり、起き上がろうとして足をバタバタさせたりと自力で起き上がれない状態でした。

横になったまま排泄するので、お尻周りの被毛が汚れてしまいます。

トイレシートを足にはさんでみたのですが、起き上がろうと足をバタバタさせるため、トイレシートがずれてしまいうまく対処できません。

結局、こまめにお尻周りの汚れを拭き取ってあげることしかできませんでした。

ぴのの様子に変化が……!

そんな状態がしばらく続きましたが、3~4日たつとぴのの様子に変化がありました!

私がそっと起こしてあげると、数秒程度ですが座った状態を保てるようになったのです。

この頃には食欲も出てきて少し元気そうに見えたので、お尻周りだけぬるま湯で洗ってあげることもありました。

その後、ぴのが自力で座れる時間は少しずつ伸びていき、10日後くらいには元のように座れるようになりました。

「とにかく峠は越した!」と、ひと安心したことを覚えています。

斜頸診断後から【1か月後】斜頸が目立たないくらいに

斜頸が目立たなくなったうさぎ
■斜頸が目立たなくなった、ぴの

そのまま順調に回復し、1か月後には斜頸も目立たないくらいになりました。

ぴの自身が首の傾きに慣れてきたのかもしれません。

ごはんも今まで通り食べられるようになり、うたっちもできるようになりました。

ただ、いくつか以前と変わったことがありました。

そのひとつが、段差でよろけることです。

数cmの段差でさえよろけてしまうため、トイレの設置はあきらめました。

またケージの扉を開けても、段差を降りるのが怖いのか、自分から部屋に降りることはなくなりました。

そのほか、左側のグルーミングがうまくできなくなったようでした。

左目に目やにがついたままになっていたり、左側の被毛がボサボサになっていたりといったことも多くなりました。

換毛期はとくに、今まで以上の念入りなブラッシングが欠かせなくなりました。

これらは単に斜頸によるものだけではなく、年齢による影響もあったのかもしれません。

とはいえ、斜頸をきっかけにぴのの生活やお世話に変化があったのは確かです。

斜頸診断後から【半年後】平穏な暮らしから突然……

元気を取り戻したぴのは、窓辺でひなたぼっこをしたり、こたつにもぐったりと、平穏に暮らしていました。

しかしそんな穏やかな生活がある日一変します。

2021年12月29日朝、ぴのが横になったまま起きられなくなってしまったのです。

前日まで普通にごはんも食べていたし、とくに変わった様子も見られなかったので本当にびっくりしました。

発見したときのぴのは、息をするのもつらそうで、かなりぐったりとした状態でした。

年末の診察最終日、混み合う動物病院に飛び込み、診察をお願いしました。

生後1か月からずっとぴのをみてきてくださった獣医師も「だいぶしんどそうですね。なんとかがんばってほしいけれど…」と。

その様子から私は覚悟が必要なことを悟りましたが、あとどれくらい一緒にいられるのかは、怖くて聞けませんでした。

ただ残りの時間をずっと一緒に過ごそうと決めました。

【最期の11日間】ぴのがくれた愛おしい時間

寝ている、ぴの
■寝ている、ぴの

ぴのと私の最期の11日間は、私にとってはじめてのことばかりの日々でした。

ぴのが少しでもつらくないように、私なりに精いっぱい介護しました。

おむつを作って被毛が汚れないように

2021年12月29日以降、ぴのはぐったりと横になったままほぼ動きません。

その姿勢のまま排泄するので、お尻周りが汚れてしまいます。

以前もやったように、適当な大きさに切ったトイレシートを折りたたみ、足にはさむかたちでおむつにしました。

しっぽを持ち上げ、その下にトイレシートを入れ込むと、うんちもキャッチできます。

今回ぴのはほとんど動かない状態だったので、この簡易おむつで対応できました。

おむつは頻繁にチェックして、おしっこやうんちが出ていたらすぐに変えてあげるようにしたので、被毛が汚れることも少なかったです。

おむつに盲腸便を発見したらすぐに口元に近づけ、できる限り食糞できるようにしました。

ペレットをふやかして食べやすいように

ぴのは食欲もなかったので、少しでも食べやすくなるように、ペレットを水でふやかすことにしました。

水でふやかしたものを口に近づけただけではなかなか食べてくれなかったので、シリンジを使用。

シリンジからだと食べやすいのか、少しずつ食べてくれました。

1時間半~2時間おきのぴのの食事タイムは、ぴのが生きていることを確認できる、私にとって幸せな時間でした。

大好きなバナナなら食べてくれた!

最初の3日くらいは、ふやかしたペレットを口元に近づけると自分から食べてくれていました。

しかし、そのうち口元にふやかしたペレットを近づけても、口をまったく開かなくなりました。

強制給餌をすると少しはもぐもぐしてくれましたが、それほど量は食べてくれません。

それに私自身「強制給餌は見ていてつらいな……」とも感じました。

そこで、普段は控えていたバナナをあげることにしました。

ぴのはバナナが大好きでした。

バナナをあげると、大興奮してうさジャンプを見せるほど大好きだったのです。

ぴのの口元に薄く切ったバナナを近づけると、自分から食べてくれました。

このとき、「自分から食べてくれている!ぴのは生きようとしてくれているんだ!」と、涙が出るほどうれしかったです。

私は「残りの時間、ぴのに好きなものを食べさせてあげたい!」と思い、バナナとふやかしたペレットをまぜたものを中心に食べさせてあげることにしました。

30分間鳴き続け……

2022年1月7日夜、ぴのの様子があまりにも弱々しかったため、ひと晩中つきっきりで様子を見ることにしました。

うとうとしていた私がはっと目が覚ましたのは翌日午前4時過ぎ。

ぴのの鼓動があまりに小さく、死んでしまったのかと思うほどでした。

抱きしめようとしたとき、ぴのの耳がピクッと動きました。

私に「生きてるよ」と教えてくれた気がしました。

しばらく静かに時が流れ、6時半過ぎ。

突然「キィ……」と声が聞こえました。

ふとぴのを見ると、今までうつろだったぴのが、大きな目でこちらを見ながら「キィ……キィ……」と鳴いていたのです。

こんなに大きな声を聞くのは初めてだったのでびっくりしましたが、同時にぴのの最期を感じました。

ぴのは、体中の力を振り絞るように30分間鳴き続けました。

だんだん声にならない声が増えてきて、ぴのはそのまま眠るように私の腕の中で息を引き取りました。

最後に鳴き続けた30分間……何を伝えたかったのかな……。

まとめ

元気だったころのうさぎ
■元気だったころの、ぴの

ぴのは6歳1か月で旅立ちました。

若いころはまったく抱っこをさせてくれない子でしたが、斜頸になってからはたくさん抱っこやお世話をさせてくれるようになりました。

私にとって、抱っこできる時間は実はとてもうれしい時間でした。

ぴのは最期にステキな11日間をくれました。

ぴのと過ごせた時間は短かったけれど、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

私とぴのが経験した斜頸と介護の体験が、多くのうさぎさんと飼い主さんの役に立ちますようにと祈っています。