【ペット霊園スタッフによる解説】ペットの法要、初めての方でも安心して執行するための手順
「ペットの法要」をご存知でしょうか?
おそらく多くの方が「わからない」「聞いたことはあるけれど、執り行ったことはない」と答えるでしょう。
それはペットの法要の認知度の低さもありますが、「何をするのかよくわからないから不安」といった心理が影響しているようです。
亡くなったペットは共に過ごした家族をあの世から見守ってくれる、いわば大切な守り神とも考えられます。
感謝の気持ちを「供養」という形にして、ペットの法要を執行してみてはいかがでしょうか?
ペットの法要が初めてという方のために、「いつ」「どこで」「どのように」すればよいのかを解説します。
ペットの法要をする前に知っておきたいこと
法要とは、亡くなった霊に対して冥福を祈る供養の行事です。
現在、人だけでなく、ペットが亡くなったときにも法要をしてあげたいという考え方が広まってきています。
とはいえ、まだあまりよく知られていないのが現状です。どのタイミングで法要を行うべきかわからない方も多いと思います。
法要の節目についてお伝えしますので、ペットの法要をいつ行えばよいのか考えてみましょう。
忌日法要
忌日法要(きにちほうよう・きじつほうよう)とは、ペットが亡くなった日を1日目とし、そこから数えて7日ごとに行う法要のことです。
・初七日(しょなのか)
・二七日(ふたなのか)
・三七日(みなのか)
・四七日(よなのか)
・五七日(いつなのか)
・六七日(むなのか)
・七七日(なななのか、しちしちにち)=四十九日
・百か日(ひゃっかにち)
以上が、百か日も含めた忌日法要となります。
この中では特に「七七日」、つまり「四十九日」を大事な日と認識している方も多いのではないでしょうか。
「四十九日」は、魂がこの世を離れ、あの世へ旅立つとされている日です。四十九日法要はできる限り執り行ったほうがよいでしょう。
ちなみに初七日~六七日に関しては法要をせず、お焼香やお参りをする方がほとんどです。
回忌法要
回忌法要(かいきほうよう)は、「一周忌」「三回忌」「七回忌」などの年単位で行われる法要です。
・一周忌:亡くなった日から数えて1年後にあたる日
・三回忌:満2年目の命日(命日から2年後にあたる日)
・七回忌:満6年目の命日
・十三回忌:満12年目の命日
・十七回忌:満16年目の命日
・二十三回忌:満22年目の命日
・二十七回忌:満26年目の命日
・三十三回忌:満32年目の命日
回忌法要は、「一周忌」もしくは「三回忌」まで行う方が多いです。
どこまで行うべきなのかは、のちほど「ペットの法要の疑問」の中でお伝えします。
盆・彼岸の法要
盆と彼岸に行われる法要には、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」「彼岸会(ひがんえ)」と呼ばれるものがあります。
盆は8月13日~8月16日の期間を指すことが一般的で、地域によっては7月13日~16日を盆期間とするところもあります。
特にペットが亡くなり四十九日を過ぎて初めて迎える盆は、「新盆」「初盆」と呼ばれる大切な供養行事です。
また、彼岸には「春彼岸」と「秋彼岸」があり、それぞれ「春分の日」「秋分の日」を中心にした前後3日間の期間を指します。
忌日法要、回忌法要と同様にペット霊園などで行われるところも多いので、まずは問い合わせてみるとよいでしょう。
日取りについて
法要を執り行う日取りについて、大切なことが2つあります。
1つ目は、「大安」「仏滅」といった「六曜」を気にしなくてよいということです。
法要は仏教にまつわる行事であり、六曜と仏教は関係がありません。
2つ目は、法要を行うべき節目の日を過ぎないようにすることです。
仏教における行事は先延ばしにしないのが慣例です。日取りを決める際には前倒しで予定日を決めましょう。
家族で法要を執り行うことを踏まえ、事前に一人ひとりのスケジュールを確認しておくことも大切です。
ペットの法要依頼をする
法要を執り行うことが決まったら、早めに依頼をしましょう。
依頼先によって、いつでも法要を執行できるところもあれば、特定の日時にしか執行できないところもあります。
第一希望日が叶わなければ日程調整をすることになるため、早めに連絡をとるようにしてくださいね。
依頼先
法要をお願いする依頼先は、一般的には納骨先の業者やお寺、ペット霊園となります。
自宅で供養されている場合は、自宅に僧侶を呼んで法要を行うことも可能です。
合同法要と個別法要の選択
法要の依頼をする際、「合同法要」か「個別法要」を選ぶ必要があります。
複数の家族の方が集まって法要を行うのが「合同法要」で、一家族のみで法要を行うのが「個別法要」です。
依頼先によっては合同法要しか受け付けていない場合もあるため、確認してみましょう。
ペットの法要当日の準備
法要当日になって慌てないよう、準備はしっかりしておきましょう。
とはいえ、準備するものは多くないため安心してくださいね。
服装
服装は、落ち着いた色であれば普段着で問題ありません。
合同法要では多くの方が集まるため、他の方から見て不快に思われないような服装を意識するとよいでしょう。
持ち物
持ち物として準備しておきたいものは「数珠」です。
数珠は仏具の一つで、手に持ち念を込めて合掌をすれば功徳(くどく=良い行いのこと)を得られるといわれています。
ペットだけでなく人の葬儀・法要でも必要になるため、一つは持っておきたいですね。
また、他に必要なものがあるかどうか、依頼をする際に聞いておくとよいでしょう。
ペットの法要の疑問
法要などの仏事は、日常生活とは縁のないものです。よくわからないことも多いでしょう。
ペット霊園職員である私が実際によく聞かれる質問、そして多くの方が気になっていそうな疑問にお答えします。
ペットの法要をする人は多い?少ない?
現状では、ペット法要を執り行う方は少数派です。
ペット火葬がお別れ方法として少しずつ広まってきたように、ペット法要もこれから浸透していくものと考えられます。
ペットと家族同然で過ごしてきた方が増え、丁重に供養をしたいと考えるようになれば、ペットの法要を希望する方も増えていくでしょう。
回忌法要はいつまでするのか?
人の場合は三十三回忌や五十回忌を「弔い上げ」、つまり最後の回忌法要とすることが多いですが、ペットの場合はどのタイミングで弔い上げとするかは家族次第です。
というのも、人の弔い上げは寿命に関係しているといわれていますが、ペットの寿命は動物種によってかなり違いがあるからです。
四九日法要をもって弔い上げとする家族もいるでしょうし、七回忌をもって弔い上げとする家族もいるでしょう。
いつまですべきだという決まりはありません。家族で話し合って決めるのが一番です。
ペットの法要に布施は必要?
ペットの法要に布施は必要ありません。
なぜなら、法要料として納める費用の中に布施も含まれているからです。
それでも気持ちとして渡したい方は、法要料とは別に3,000~5,000円くらい用意するとよいでしょう。
人の法要との違いはある?
ペットの法要の場合、亡くなったペットの家族のみで執り行うことがほとんどです。
他の家族が何組か集まって行う「合同法要」と一家族のみで行う「個別法要」がありますが、いずれの場合でも多くの親族が集まることはないでしょう。
また、読経に関しては、宗派によって読むお経の違いがあるものの、お経そのものは人の法要で読まれるものと同じです。
人数や法要にかかる時間など、人の法要と比べ規模は小さいですが、その他は大きな違いはありません。
まとめ
法要について日常生活で知る機会はかなり少ないため、「やってあげたいけど、どうすればいいのだろう?」と不安や疑問があったかもしれません。
今回、「いつ」「どこで」「どのように」するのかがはっきりわかっただけでも、心構えができモヤモヤが晴れたのではないでしょうか?
亡くなったペットのために供養を続けたいと考えている方は、その気持ちを大切にし、ペットの法要を行ってあげてくださいね。