猫の服について考えよう~猫に服を着せる理由~

猫は、先祖であるリビアヤマ猫が砂漠地帯に住んでいたことから、基本的に水が苦手で、一生シャンプーをしなくても毛づくろい(グルーミング)をして皮膚や被毛をきれいに保ち、不快な体臭もしない動物です。

我が家の愛猫も、シャンプーなしで14年間過ごしました。

猫の皮膚と被毛には病原体や有害物質の侵入を防ぐバリア機能と、保湿・保温など体温調節の役割があります。ですので、本来ならば服を着せることは猫本来の体の機能を損ねる可能性があるために避けたいところですが、いくつかの理由で服を着せることがよい場合があります。
今回は、服を着せる理由と、着せる服の種類と選び方について紹介します。

猫に服を着せる理由は?

術後のなめ壊しの予防


私の愛猫は不妊手術と腸内に腫瘍ができる病気で2度手術を経験しました。不妊手術は多くのメス猫が経験する手術です。
手術の後は切り口にかさぶたができ、キズがふさがるまではかゆがります。なめて傷口が開いてしまわないように、かさぶたが取れるまでエリザベスカラーを使うとよいと思います。
猫は繊細な動物なので、体に窮屈なものや音がするもの、素材がザラザラしているものは嫌がって外したがる傾向があります。1回でその猫に合えばよいのですが、気に入らないようであればいくつか試してみることが大切です。

アレルギー体質

猫がアレルギー体質から毛づくろいが過度になって、自分の皮膚を赤くむけるまでなめてしまう(なめ壊し)場合があります。我が家の愛猫は、若いうちはそれほどではなかったのですが、10歳を超えるあたりから体質が変わってしまったのか、なめ壊しをするようになってしまいました。
原因は正確にはわからなかったのですが、ハウスダストや花粉、食物などのアレルギーか、あるいはいろいろなストレスから来るイライラでしょう。なめ壊した皮膚にはステロイド系の軟膏を塗ることがありますのでなめないようにと、普段からのなめ壊しの予防には猫用の服を着させることがよいと思います。

コスプレとして

季節ごとのイベントに、被り物などのいわゆる「コスプレ」を愛猫にさせたいという人間の願望があります。
正月の晴れ着・鏡餅から、5月の兜、10月のハロウィンのコウモリ・ヴァンパイアマント、12月のサンタ帽子・クリスマスツリー・トナカイ、その他季節に関係なく、海賊、動物のウサギ、ライオン、いちご、マヨネーズ、かき氷、生ビール、富士山(!)までいろいろな被り物があります。
猫が着けてみた画像をみるとほほえましいものが多くありますが、中には明らかに不機嫌な表情の猫もいて、猫にとってはいい迷惑かもしれないと思ってしまいます。猫の様子を見ながら過度なストレスにならないように楽しみましょう。

猫用の服にはどんなものがあるの?

エリザベスカラー

エリザベスカラーとは、イギリスの昔の女王様が襟(カラー)を立てた服に身を包んだ肖像画にあるような、猫が傷口をなめないように予防するラッパ状のカラーを言います。

素材としては、プラスチック製、布製、紙製のものがあり、止め方としては、マジックテープ、マジックボタン、ひもで結ぶものがあります。選ぶポイントは、軽くて耐久性があり、付けていて猫がストレスに感じないことです。

我が家の愛猫は始め、獣医師の先生から勧められたプラスチック(PVC、ポリ塩化ビニル)製のカラーを使っていました。プラスチック製は軽く、見通しがよく、耐久性はよいのですが、家の中を歩くうちにコツコツと家具にぶつかり、ストレスになってイライラしている様子が感じられました。

そこで獣医師の先生に相談したところ、アメリカ製の紙製のカラーを紹介してくださいました。紙と言っても不織布ですので繊維が編み込まれ破れにくく、布で縁取りがされていて肌への当たりは柔らかく、首のところでひもを結ぶようになっています。使ってみるとコツコツと家具に当たることもなくなり、愛猫もストレスを感じなくなったようです。耐久性ではプラスチック製には劣りますが、適度に硬く十分機能は果たしてくれます。使い捨てと考え何枚か用意し、傷口を守るという用途を果たさなくなったり、汚れたりやぶれ切れたりしたら変えてあげるとよいと思います。

猫用の服

猫用の服について「猫用術後服」でネット検索すると、非常にたくさん見つかります。私がかつて調べた時よりも最近では種類もデザインも色も豊富になっています。
自宅で作っている人もいて、猫の体長を測って伝えるとそれに応じてオーダーメイドしてくれるものもあります。素材や肌触りは取り寄せてみないと分かりづらいですが、あらかじめ質問してみると丁寧に答えてくれます。
猫によって好みが違いますので、いくつか試してみるようにしてお気に入りの服を見つけてあげてください。あまり好き嫌いのなさそうな我が家の愛猫でも3種類注文して気に入ったものを選びました。結局、暖かくしっとりとしたコットン素材のものが好みでした。服を着ていてもどうしてもかじって破れや穴が開くことがあります。気に入ったものが見つかったら少なくとも2着は用意して、破れたり汚れたりしたら替えてあげるとよいと思います。

まとめ

はじめはペットに服を着せるなんて、と思っていた私ですが、場合によっては服を着た方が猫の快適な生活の助けになることもあります。
できるだけ猫の立場になって考え、猫と飼い主がともに快適な暮らしができるとよいですね。