ペットが死んだらどうしたらいい?遺体の安置から埋葬、届け出までを元ペット霊園スタッフが徹底解説

人間であっても、ペットであっても、生きている者に等しく訪れる「死」というお別れは、すぐには受け入れがたい辛く悲しい現実です。
ましてや初めてペットの死を目の当たりにする方は、悲しみと不安でどうすればよいのか分からないかもしれません。
そんな中でもお見送りをすることは、飼い主として最後の責任です。
今回は、ペットが亡くなったら何をしなければいけないのか、どのような手順を踏めばよいのかを徹底解説いたします。
ペットが亡くなったらやるべきこと
ペットが亡くなった場合、やらなければならないことの手順は以下のようになります。
1. ペットの遺体を安置する
2. 埋葬の仕方を決め、埋葬する
3. 犬の場合、死亡届を提出する
4. 供養の仕方を考える
人が亡くなった時ほど複雑ではありませんから、一つずつゆっくりやっていきましょう。
大まかな流れが把握できましたら、一つ一つ説明していきます。
ペットの遺体を安置する
なによりも先にしなければならないのが、「安置」です。
遺体は時間の経過とともに腐敗が進んでしまいます。
きれいな姿のまま見送るためにも、亡くなったらすぐに対処しましょう。
死後硬直に備える
死後硬直とは、亡くなってから2~3時間で始まる全身の筋肉が固まっていく現象のことです。
目が開いたまま、手足が伸びたまま死後硬直が進んでしまいますと、簡単には動かせなくなります。
できればそっと目を閉じてあげ、手足は自然な寝姿になるようやさしく曲げてあげましょう。
もしすでに死後硬直が進んでしまっている場合には、無理にする必要はありません。
安置に必要なものを用意する
安置には以下の3つが必要です。
・棺として使う箱(ダンボールや発泡スチロールなど)
・棺の中に敷くもの(タオル、ペットシーツ、新聞紙)
・保冷剤もしくはドライアイス
ドライアイスは氷を扱う業者が販売しています。「氷屋」とネット検索し、近くにあればそちらで購入できます。
棺にペットの遺体を寝かせる
必要なものが用意できましたら、棺として使う箱の中にタオルを敷き、さらにその上に新聞紙もしくはペットシーツを広げます。
そこに、遺体を寝かせましょう。
もし遺体の口や鼻、肛門から血液や体液が出ることがありましたら、新聞紙もしくはペットシーツを取り替えて、清潔にしてあげてください。
最後に、保冷剤もしくはドライアイスをタオルで包んだ上で、背中やお腹の部分を中心にしっかり冷やしてください。
夏場は保冷剤がすぐに溶けてしまいますので、こまめに交換をしてあげましょう。
安置する
棺を置く場所は、静かで涼しい場所にしてください。
もしくはその子が大好きだった場所でもいいですね。
夏場であればエアコンを効かせ、冬場であれば暖房を効かせすぎないように室温に気を配ってください。
あるいは外で飼われていて、部屋の中に入れるのが難しい場合には玄関でも良いでしょう。
外は雨風や、鳥、ノミ・ダニなどにより遺体の損傷につながるので避けてください。
季節や遺体の状態により変わりますが、「2~4日間」と覚えておきましょう。
どうしてもそれ以上安置するのであれば、保冷安置できるペット霊園などに一時的に預かってもらう方法もあります。
埋葬の仕方を決め、埋葬する
安置ができたら、遺体を火葬するのか、もしくは直接庭などに埋める(土葬する)のかを考えることになります。
基本は火葬です。
火葬の依頼先は、「葬儀社」もしくは「自治体」のどちらかになります。
両者の違いは「費用」と「手厚いご供養の有無」です。
ハムスターや小さな鳥であれば土葬を考えてもよいかもしれません。
火葬する場合(葬儀社に依頼)
葬儀社に火葬を依頼する場合、「合同火葬・個別一任火葬・立会火葬・訪問火葬」のいずれかから選択することになります。
合同火葬
他の家で飼われていたペットたちと一緒に火葬することになりますので、遺骨を返してもらうことはできません。
後悔のないように慎重に決めてください。
個別一任火葬
合同火葬とは違い、個別に火葬を執り行います。
遺体を火葬業者が一旦預かり、責任をもって火葬と骨上げを行います。
返骨してもらうことも可能ですが、念の為、問い合わせて確認しておきましょう。
立会火葬
こちらも個別で火葬する点では同じですが、火葬の火入れと骨上げにご家族が立ち会うことになります。
その後の返骨ももちろん可能です。
火葬プランの中で最も丁重なお別れ方法です。
訪問火葬
火葬炉を積んだ特別な車が自宅まで訪問し火葬します。
訪問火葬の場合、大型犬は火葬炉に入らないケースが多く受けてもらない可能性があるので注意してください。
大型犬を亡くした方は、訪問火葬ではなく火葬施設を持つ霊園などを探すことになります。
以上が葬儀社に依頼する場合の火葬方法になりますが、葬儀社ごとに用意している火葬プランは異なります。
どのような葬儀社があり、どのような火葬プランに対応しているのか事前に調べておくとよいでしょう。
火葬の費用
火葬の費用についてですが、葬儀業者や地域性、火葬方法、遺体の大きさによりかなりのバラつきが見られます。
同じ猫であっても、合同火葬と立会火葬では1万円近く差が出ることもありますので、覚えておくとよいでしょう。
猫(うさぎ、フェレットなど) | 約25,000円(±1万円) |
小型犬 | 約30,000円(±1万円) |
中型犬 | 約35,000円(±1万円) |
大型犬 | 約50,000円(±1万円) |
これらは相場の参考としてご覧いただき、実際のご費用は依頼先に必ず確認しましょう。
火葬する場合(自治体に依頼)
もう一つの火葬方法として、自治体にお願いする選択肢があります。
こちらはかなりの低費用(数千円単位)でお願いできますが、火葬に立会うこともできず、返骨もされません。
残念ながら丁重なご供養をしている自治体はほぼないため、あまりおすすめはしません。
土葬する場合
もう一つのお別れの方法として、土葬があります。
文字通り土に埋めるわけですが、公園や山などの公有もしくは私有地に埋めることは法律違反となりますのでご注意ください。
ご自宅の庭に埋めることになります。
ただ費用はかかりませんし、亡くなった子をすぐ近くに感じることができるといった点で選択する方もいます。
土に埋める際はタオルなどの腐敗するものに遺体を包み、1m以上深く穴を掘って埋葬してください。猫などに掘り返されないようにするためです。
またほかにも注意点がいくつかあります。
まず、土葬した遺体は数年単位でその場にそのままの姿で残ることがあります。
つまり思っている以上に、遺体の腐敗は進まず土に還らないということです。
そしてもう一つ。
におい、です。
長い時間をかけてゆっくりと腐敗が進んでいくため、場合によっては腐敗臭がするかもしれません。
ご近所から苦情がくるといったケースも考えられるため、ハムスターや小鳥のような小さい子以外は避けたほうが良さそうです。
犬の場合、死亡届を提出する
犬が亡くなった場合には、各自治体への死亡届を30日以内に行わなければなりません。
窓口は自治体によって異なりますので、役所に問い合わせましょう。
その際には、鑑札及び狂犬病予防注射済票を返す必要があります。
もし手続きをしない場合、お住まいの役所から狂犬病ワクチン接種の案内ハガキが送付されることになり、放置していると接種していないとみなされますのでご注意ください。
供養の仕方を考える
「死んだらどうなるのか」
誰でも一度は考えたことがあると思います。
しかし残念ながら、この世を生きる私たちにそれを知る術はありません。
時々こんなふうに思ったりしませんか?
「旅立ったあの子は今頃どうしているかな?」
そんな時は埋葬、ご納骨先におもむき手を合わせましょう。
遠方であれば、その子を想い手を合わせましょう。
心配せずとも、その子は私たちとは別の世界で元気に暮らしているはずです。
ご縁があったことに感謝し、あなたが元気に過ごしていることを伝えてあげれば、きっと喜んでくれるでしょう。
また、より丁重にご供養したい方は法要をおすすめします。
四十九日法要、一周忌法要、三回忌法要といった年忌法要は、ペット霊園などで対応してくれますので問い合わせてみてください。
まとめ
お別れはペットの数だけ存在します。
どんなお見送りをするかは、自分の素直な気持ちで決めましょう。
亡くなった子とのお別れは一度きりですから、後悔のないように、この記事が少しでも参考になれば幸いです。