都心の探鳥スポット・明治神宮でバードウォッチングに挑戦!
JR原宿駅からほど近くにある明治神宮は、言わずと知れた明治天皇、昭憲皇太后を祀った神社です。
年始には特に多くの参拝客が足を運ぶことで有名な明治神宮ですが、参道から外れた場所には広大な御苑があり、都内有数のバードサンクチュアリとなっています。
今回は都心にありながら、オオタカなどの猛禽類も生息しているという明治神宮御苑でのバードウォッチングについて、生息している鳥の生態や探鳥ポイントを絡めてご紹介します。
南地
約83,000㎡もある広大な敷地の中には多くの探鳥スポットがありますが、一番簡単に多くの鳥の姿を見つけられるのは、御苑中央にある巨大な池・南地です。
明治神宮御苑に入るには、入り口で御苑維持協力金として500円を支払う必要があります。
今回のバードウォッチングで、南地で見ることができた鳥の情報を紹介していきます。
カワウ(河鵜/川鵜)
南地で一際騒がしく動き回っている水鳥が、カワウです。
餌となる魚を探して水に潜ったり、池を縦横無尽に移動したりとせわしなく、目をひく存在です。
上の写真のように木の杭の上に留まって翼を広げている姿も、頻繁に見られます。
カワウを含むウ類の鳥は他の水鳥に比べて翼の油分が少なく、翼が水を吸収しやすいのだそうです。
そのため魚を捕るために潜水した後は大きな翼を広げて天日にさらし、乾かす必要があるのです。
私が訪れた際も、随分長い間翼を広げて日光浴をしていました。
アオサギ(蒼鷺)
カワウとは対照的に、ほとんど動かないのがアオサギです。
アオサギは繁殖期を除いて夕方から朝にかけて活動する習性があり、日中はほぼ同じ場所に留まって休息して過ごします。
私が滞在したのは13時~15時の間であったため、アオサギが活動する様子は見られませんでしたが、夕方過ぎに行くと南地から飛び立つ姿も見られるそうです。
コサギ(小鷺)
白鷺(しらさぎ)には大・中・小の3種類が存在し、どれも日本国内で姿が見られます。
大きさはダイサギが平均90cm~95cm、チュウサギが平均68cm、コサギが平均61cm。
遠方から姿を見た場合、大きさだけではコサギとチュウサギを見分けるのは難しいかもしれません。
コサギとチュウサギを見分ける場合は脚の色を見ると分かり易く、コサギは脚の指が黄色なのに対し、チュウサギは脚全体が黒いという違いが見られます。
また、コサギが水辺を好むのに対して、チュウサギは草むらを好むといった違いもあります。
南地にいるサギは歩いている時に見えた指が黄色かったため、コサギだと判断しました。
メジロ
すぐに飛び立ってしまったので写真を撮ることはできませんでしたが、南池の岸辺の葦原にはメジロも遊びに来ていました。
メジロの好物は花の蜜で、花にクチバシを刺して蜜を吸い上げるのですが、花の蜜を吸っている間は羽をばたつかせながらホバリング飛行をするそうです。
まるでハチドリみたいですよね。
この姿は梅や桜が開花する早春~春にかけて、よく見られるのだとか。
シジュウカラ(四十雀)
南池の葦原(あしはら)がガサガサ揺れているので覗いてみると、シジュウカラを発見しました。
シジュウカラは虫が好物なため、葦の茎の中に潜んでいるカイガラムシなどを採食していたのかもしれません。
南池の葦原には、メジロやシジュウカラ以外にもコガラやエナガが姿を見せることが多いようで、これらの小鳥たちは種類を越えて群れを作ることもあるそうです。
意外と穴場・トイレ付近
御苑内には公衆トイレがひとつあり、トイレの裏手は立ち入り禁止地区になっています。
観察していると、トイレ裏手の雑木林を目指して飛んでいく鳥が多いことに気づきました。
そして暫くトイレの前で鳥が現れるのを待っていたら、ノスリを見ることができました!
ノスリ(鵟)
今回私はオオタカを狙って明治神宮の御苑を訪れたのですが、その姿を見ることはできませんでした。
しかしその代わりと言うと失礼かもしれませんが、猛禽類のノスリを見つけることができました。
枝に留まっている姿を見つけた直後に飛び立ってしまったため、じっくりと観察する余裕が無かったのが悔やまれますが、やはり野生の猛禽類を見ると興奮してしまいます。
これだけでも、トイレの前にずっと立っていた甲斐がありました。
南地~菖蒲田への道
南地から菖蒲田への舗装された道の植え込みを覗いてみると、アオジがいました。
明治神宮御苑に棲んでいるアオジやヤマジの中には、人に馴れている個体もいるようで、人間の足元のすぐ近くまで来るものもいます。
アオジ(青鵐/蒿鵐/蒿雀)
アオジは一見、スズメと混同してしまうような外見の持ち主です。
大きさもほとんど同じなのですが、腹の部分が黄緑色なのがアオジ、白がスズメといった見分け方ができます。
繁殖期以外は薄暗い場所を好み、地面を歩いて移動することも多いため、明治神宮御苑の中では比較的姿を見つけやすい鳥です。
他に近種のクロジも御苑内にいるそうですが、今回は姿が見えませんでした。
パワースポット・清正の井戸
明治神宮御苑の奥には東京屈指のパワースポットと言われる「清正の井戸」があります。
名前からも想像がつく通り、加藤清正が堀った井戸とも言われていますが、実際は誰がどのような目的で堀った井戸なのか分かっていないそうです。
TVで取り上げられたことから一時期は観光客が詰めかけたそうですが、現在は訪れる人もまばらで、とても静かな場所です。
ちなみに私が訪れたのは2月の晴天の日曜日でしたが、外国人の観光客が2組いただけでした。
ネットなどではパワースポットとしてはご利益が無いとも言われている様子ですが、湧水を飲みにヤマガラなどが訪れることもあるそうなので、探鳥スポットとしても立ち寄っておきたい場所です。
隔雲亭裏~北門
南池を臨む、小高い丘のようになっている場所に建てられた隔雲亭は天皇・皇后両陛下のご休息所であった場所です。
この隔雲亭の裏を通って北門に向かう道は、あまり手入れのされていない林地となっているため、鳥の声が一際激しく聞こえる場所でもあります。
鳥が姿を隠せる場所も多いため、じっくり時間をかけた探鳥がおすすめです。
トラツグミ(虎鶫)
あまり観光客の通らない、枯れ草が積み上げられた道でトラツグミの姿を見ました。
といっても、すぐに草むらの中に走って行ってしまったため、姿が見られたのは僅かな時間です。
長い尾羽と鱗模様の背中しか見えなかったため、最初は雉(きじ)の雌かと思ったのですが、近くで探鳥をしていた方にトラツグミだと教えて頂きました。
そもそも現在の明治神宮御苑には、雉は生息していないのだそうです。
トラツグミの鳴き声は不気味で、かつては鵺(ぬえ)と呼ばれて恐れられていたといいます。
地中の幼虫などを食べることから、地上を歩き回っていることが多いようです。
ヤマガラ(山雀)
御苑内の整備をしている方によるとヤマガラに限らず野鳥への餌付けは禁止しているため、見掛けた際には注意しているものの、やめてもらうのが難しいのだそうです。
とても可愛い小鳥なので、触れ合いたいという気持ちは痛いほど分かるのですが、野鳥の生活に人間が干渉しすぎるのはあまり良いことではないのでしょう。
ヒヨドリ(鵯)
日本国内ではどこででも見られるヒヨドリ。しかしアジア地域にのみ生息する鳥のため、海外のバードウォッチャーからは珍しがられる存在なのだそうです。
ヒヨドリは何でも食べることから、農作物を荒らす害鳥として扱われることもあります。そんなヒヨドリをわざわざ見に来る海外の鳥好きさんがいる、と聞くと不思議な気持ちになりますよね。
まとめ
今回私が訪れたのは御苑だけですが、明治神宮にはもうひとつ「北池」という探鳥スポットがあり、こちらではカルガモやオシドリの姿を見ることができます。
カワセミやルリビタキといった美しい鳥を見ることができることから、北池も人気の場所です。
お近くの方は是非足を運んでみてはいかがでしょうか?
喧騒を離れて野鳥の姿を眺めることで、きっとリフレッシュができますよ。