黒猫ネロ君の去勢手術レポート!猫の不妊手術について

みなさまこんにちは。
ReCheriライターのchiiです!

昨年の9月に車のボンネットの中から救出した「黒猫ネロ君」。

救出直後は猫風邪により目が腫れて鼻水もひどかったのですが、今ではスッカリ健康優良児となり、スクスクとオトナの階段をかけ上っております。

そんなオトナの階段の序盤には、女の子は「避妊手術」、男の子は「去勢手術」が待ち受けています。

子猫を望まないご家庭の方や地域猫ちゃんたちは、生後6ヶ月が過ぎると避妊&去勢手術を受けられるようになります。

ネロ君も2月で生後6ヶ月を迎えた頃なので、いよいよ先日去勢手術を受けてまいりました。

今回は「猫の不妊手術」について、実際にネロ君が去勢手術に臨んだレポートとともにご紹介します。

猫の不妊手術とは?

不妊手術とは、子猫を産まないようにするための手術です。

女の子の場合は妊娠しないようにする「避妊手術」、男の子には妊娠をさせないようにする「去勢手術」を行います。

オスとメスの体の作りの違いから違う名前の手術でその内容も違ってくるのですが、この2つを総合して「不妊手術」と呼ばれています。

女の子の避妊手術

避妊手術は妊娠するための臓器である子宮や卵巣を取り除く手術で、全身麻酔をしてお腹を開く手術となります。

手術時間は麻酔をかけてから覚めるまでだいたい1時間程度です。

避妊手術には卵巣のみを取り除く「卵巣摘出術(卵摘とも言われます)」と、子宮と卵巣の両方を摘出する「子宮卵巣摘出術(全摘とも言われます)」の2つの方法があります。

どちらを選ぶのかは動物病院の方針や、猫ちゃんの年齢や状態などによって異なります。

卵巣のみの卵摘手術は子宮を切断する手間がないため、傷口が小さく済み手術時間も短くなります。

しかし、ゆくゆく訪れるかもしれない子宮の病気を予防するためには全摘の方が良いとされています。

卵摘でも問題ないとする先生もいらっしゃるため、どちらが良いかの判断は先生にお任せする方が安心かと思います。

高齢になってから避妊手術をする女の子の場合は、既に子宮の病気にかかっていることがありますので、その場合は全摘を選ぶ先生が多いです。

男の子の去勢手術

男の子の去勢手術はお腹は開かず、睾丸(タマタマ)を摘出する手術になります。

お腹は開きませんがこちらも全身麻酔下での手術で、タマタマの袋を切って中の睾丸を摘出する手術です。

女の子の避妊手術と異なり、睾丸を取り出せる程度の傷で済む去勢手術は1針~3針程度の小さな傷で済み、手術時間も麻酔から覚める時間を入れても30分程度で終わります。

我が家の黒猫「ネロ君」を執刀してくれた先生は、手術自体は5分くらいで終わりましたとおっしゃっていました。

猫の睾丸は生後2ヶ月くらい経つとお腹からオマタの部分に移動して下りてきます。しかし、その時期になっても睾丸が下りてこずお腹に留まってしまうことがあります。この場合の去勢手術はお腹を開ける必要がありますので、手術時間や費用などが変わってきます。

病院や先生によっても異なりますが、去勢手術では切った部分を糸で縫わないこともあります。

3年前に去勢手術を受けた我が家の茶トラボーイ「オム君」は糸で縫いましたが、最近違う病院で去勢手術をした黒猫「ネロ君」は糸で縫ってはいませんでした。

去勢手術時に糸で縫わなくても大丈夫なの?

先生曰く、例えば人が腕や足などを切ってしまった場合、または女の子の避妊手術などの開腹手術の場合、お肉でパンッと張っている部分の傷は縫わないと傷が開いてしまうそうです。

しかし、タマタマの袋から睾丸を取り出すと袋に余裕ができ、しぼむ方向で治っていくそうで糸で縫わなくても傷が開きにくいとのことでした。

縫わない場合は余裕のできた皮をギュギュっと織り込んで固定するとのことでした。

糸で縫った場合、猫が縫った部分にある糸が気になって引っ張ってしまい、結局糸が取れて傷が開く場合があるので、糸で縫わない方が安心という意見もあるようです。

どちらを選ぶかは先生にお任せした方が良さそうですね。

不妊手術のメリット

犬も猫も、ご家庭で子猫を望まない場合は不妊手術が推奨されています。

その理由は大きく3つあります。

1.手術を受けることにより予防できる病気がある
2.ストレスが軽減し性格が穏やかになりやすく、問題行動も予防することができる
3.殺処分されてしまう猫を減らすことができる。

予防できる病気について

男の子は精巣(タマタマ)、女の子は卵巣や子宮を取り除くことで生殖器の病気を予防することができます。

《男の子が予防できる病気》
・スタッドテイル症(尾腺炎)…しっぽの付け根にある皮脂を出す腺の皮脂分泌が過剰になる病気
・前立腺の病気(前立腺肥大など)
・精巣腫瘍
・肛門周辺の腫瘍 など

《女の子が予防できる病気》
・子宮蓄膿症
・子宮がん
・子宮炎
・卵巣がん
・乳がん など

ストレスの軽減、問題行動の予防

はっきりとした発情期は女の子にのみ現れます。

男の子は体が大人になればいつでも交尾をすることができますが、女の子の発情期の行動に誘発されて生殖の体勢となるのです。

女の子の発情期はだいたい2月~9月の間に現れ、発情期には「発情前期」「発情期」「発情後期」の3段階あり、全体の期間は約2週間~20日です。

その全体の期間のうち4日~10日ほどの「発情期」で本格的にオスを受け入れる状態となります。

《女の子の発情期の様子》
・人間の赤ちゃんのような独特の大きな声で鳴き続ける
・おしりを高く上げ、交尾の体勢で構えている
・地面に体をこすりつける など

この3段階の発情期の後は「発情休止期」というお休み期間に入り、次の発情期まで男の子に興味を示さなくなります。

猫の女の子の妊娠確率は約90%と高いため、この発情休止期の間は妊娠から出産、子育てのための期間と言われています。

男の子の発情期には、以下のような特徴があります。

《男の子の発情した時の行動の特徴》
・大きな声で鳴き続ける
・スプレー行為をする
・攻撃的な性格になる など

スプレー行為とは、臭いの強いオシッコをあちこちにかけてマーキングすることです。普通のオシッコと違い立ったままの姿勢でかけることもあります。

このように、発情期を迎えた猫は行動がいつもとは違うようになります。

大きな声で鳴き続けたり、家の中にオシッコをかけまくってしまうと飼い主さんも大変になります。

避妊手術を受けると生殖への欲求が無くなるため、大きな声で鳴き続けたり、スプレー行為をしたりといった問題行動を予防することができます。

しかし、特に男の子のスプレー行為は始まってしまってから去勢手術をしても改善しにくいという意見もあります。

また、性格についても個体差があるものなので、絶対穏やかになるとも言い切れません。

動物の精の欲求はとても強いもので、神経がとても過敏になります。欲求が満たされないことでストレスもたまり、攻撃的な性格になってしまうこともあります。

不妊手術をすることでこうしたストレスもなくなりますので、心穏やかに過ごすことができるのです。

また、精の欲求から解放され心穏やかになることでお外への欲求も軽減しますので、脱走しにくくなることもあります。

殺処分される猫を減らすことができる

特にお外にも行き来できる猫ちゃんの場合、野良猫の女の子を妊娠させてしまう男の子が増えてしまうと地域にたくさんの野良子猫が生まれてしまいます。

また、どこかで妊娠してきてしまう女の子の場合、全員飼えるなら良いのですが、飼いきれない時は困ってしまいますよね。

そうして管理できないところで子猫が増えすぎてしまうと、どうしても殺処分されてしまう子も増えてしまいます。

また、地域には猫が好きな方ばかりではなく猫が苦手な方もお住まいです。

地域の方の迷惑になってしまいますので、お外に出る子はマナーとして不妊手術を受けた方が良いと思います。

地域猫に広がる「桜カット」

最近では、野良猫を地域住民みんなで管理する「地域猫」という考えが広がってきています。

地域の広場に住処や水飲み場を設け、地域の方がごはんを与えるというしっかりとした地域猫の取り組みもニュースで目にするようになりました。

そして、野良猫が増えすぎないように地域のボランティアや市の団体が野良猫の不妊手術を施すことも一般的になりました。

「桜カット」とは、そんな不妊手術を受けた野良猫がその証として、耳を桜の花びらのようにカットするものです。

避妊手術で麻酔をかけている間に、この写真のように耳を桜の花びらのようにカットします。

これを見れば、その子が避妊手術を受けている野良猫なのかどうかが分かるというメリットがあります。

私は「桜カット」という意味を知らなかったため、ずっとケンカか何かで耳がちぎれてしまっているのかと思っておりました(;’∀’)

この耳は地域の方の優しさの桜だったのですね!

黒猫ネロ君の去勢手術レポート

我が家の黒猫「ネロ君」もついに、先月末に去勢手術を受けてきました。そんなネロ君の去勢手術の体験談をまとめてみました。

病院や先生によって処置の方法が変わってくるかと思いますが、これから手術を控えている猫ちゃんと飼い主さんのご参考になれば幸いです。

去勢手術前日

手術では麻酔をかけるため、胃の中を空っぽにする必要があります。

ネロ君の場合、手術前日の21:00までに夜ごはんを済ませてください、とのことでした。

ごはんの時間がなによりの楽しみであるネロ君のことを思うと切なくなってしまったので、時間ギリギリの20:30にごはんを済ませました。

何も知らないネロ君はモリモリとごはんを食べ、スヤスヤと眠っていました。

体調も問題なさそうなので、明日の手術も予定通り受けられそうだと安心しました。

去勢手術当日

手術当日の朝ごはんはなしの絶食となります。

お水も朝7時までとのことだったので、他にも犬や猫がいて水場が共有の我が家ということもあり、7時を過ぎるとネロ君だけケージの中に隔離しました。

何も知らないネロ君は「どうしてボクだけ朝ごはんがないのですか!?」という悲痛の叫びでギャーギャー鳴いていました。

心を鬼にして、グッとガマン…

この瞬間は他の子の手術の時も経験していますが、何回経験してもかわいそうで涙が出そうになります。言葉でちゃんと説明できたら良いのに、と毎回思います。

「手術当日は10時までに病院に連れて来てください」とのことでしたので、身支度を整えネロ君をキャリーに入れて出発しました。

猫をキャリーに入れるのに毎回手間取ってしまうので、病院へ行く日は毎回時間に余裕を持って出発の準備をするよう心がけています。

血液検査

病院に着き、先生がネロ君の体調を確認してから血液検査に入ります。

この血液検査で問題がなければ手術を受けることができるとのことでした。

ネロ君は初めてちゃんとした血液検査を受けるのでドキドキしましたが、検査結果に異状はなくホッとしました。

その後、手術に移行するため病院のカゴの中に移り奥の部屋へと消えていきました。

いくら簡単な手術とはいえ、麻酔をする以上何があるか分かりません。後ろ髪引かれる思いでしたが、後は先生にすべて託して私はいったん帰宅しました。

お迎え

「何も問題がなければこちらからお電話はいたしません。何かあった場合のみお電話しますので、15時まではできるだけお電話に出られるようにしていてください。16時を過ぎたら、飼い主さんから一度お迎えのご連絡としてお電話ください」

と言われたので、15時頃までスマホが気になってしかたがありませんでした。

しかし15時を過ぎても連絡がなかったので、スマホの時計とにらめっこして16時キッカリになった瞬間に電話しました。

「手術は無事終わりました。ネロ君は麻酔から上手に覚めてくれましたよ。もうお迎え大丈夫です!」

と言ってくださり、ようやく安心することができました。

「帰宅後に体調が悪くなることもあるため、できるだけ早めのお迎えをお願いします。」

とのことでしたので、私はすぐ病院へ向かいました。

エリザベスカラーなしでの帰還

カゴに入って診察室へ戻ってきたネロ君は、術後だからか少しウットリしていました。


■目が少しくぼんでしまっていて、ゲッソリ困り顔(笑)本当に本当に、お疲れさまでした。

ネロ君はエリザベスカラーをしていませんでした。

エリザベスカラーとは犬や猫の首周りに付ける、患部を舐めないようにガードするパラボラアンテナのようなもののことです。


■こちらがエリザベスカラーです。

我が家のセンパイ猫のレディさんもオム君もパラボラ化して帰ってきた記憶があるので、私はてっきりネロ君もパラボラ化するものだとばかり思ってしましたが、この病院ではめったにエリザベスカラーは付けないとのことでした。

【エリザベスカラーなしで大丈夫?】

エリザベスカラーを付けると歩く時に家具にぶつかりやすく、ごはんを上手く食べられなくなります。

患部を舐めてしまうことよりも、このエリザベスカラーによるストレスの方が問題だとする病院の考えのようです。

お友達のワンちゃんは、エリザベスカラーを付けた後オシッコを粗相してしまうようになったと聞き、やはり相当なストレスなんだなぁと思いました。

また、動物はニオイに頼って生きているので、病院のニオイになってエリザベスカラーまで付けてしまったら、おうちにいる他の子がネロ君であることが分からなくなってしまうかもしれない、ということもエリザベスカラーをしない理由の1つでした。

我が家のように多頭飼いしているご家庭は、他の猫ちゃんへのストレスにも気を遣ってあげる必要があります。

ですので

「家に着いたらひとまずネロ君をゲージの中に入れておいて、病院のニオイからおうちのニオイに戻してからみんなと接触させた方が安心ですよ」

と先生がアドバイスしてくださいました。

「病院は動物にとって嫌なことでしかありません。病院のニオイで他の子も嫌な気持ちになって、ネロ君を攻撃しては大変ですからね。」

と、他の猫にまで気を遣ってくれる先生で本当に良かったなと思いました。

去勢手術は糸で縫わないと聞き、エリザベスカラーなしで患部を舐めてしまったら傷が開いてしまうのではないかと若干心配ではありましたが、ストレスがかかる方がかわいそうだと私も思ったので、先生の考えに賛成してエリザベスカラーなしでの帰還となりました。

手術を終えた夜

先生が「糸で縫ってはいません」と言っていたので、傷口がどうなっているのか少し心配でした。しかし、見たところ傷口がどこなのかも分からないほどで安心しました。

タマタマの部分は手術のために毛が剃られています。毛を剃ったこともありますが、ネロ君は結構タマタマがふっくらと目立っていたので、手術後のふっくら感の減少も目で見て分かりました。

エリザベスカラーなしでの帰還だったのでやはり患部を舐めてしまっていますが、今のところ出血なども見られず安定しています。

動物の自然治癒力ってすごいですね!(^^)!

1週間後、念のため傷口の再診があります。それが終わると、ようやくネロ君はオトナの階段を一段上がることになります。

まとめ

今回は猫の避妊&去勢手術について、実際のネロ君の去勢手術のレポートとともにご紹介いたしました。

手術を受けるということは、飼い主さんにとってとても不安なことだと思います。ましてや、病気でもないのに体にメスを入れるということに抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。

不妊手術では全身麻酔もかけますので、どうしてもリスクがつきものです。

しかし、もしみなさんの猫ちゃんに子猫を望まないとしたら、発情による欲求が満たされないままでいることも猫ちゃんにとっては大きなストレスとなります。

また、不妊手術を受けることで重大な病気を予防できるため、今後のことを考えると受けた方が安心かと思います。

そして、もしお外を行き来するメス猫ちゃんがどこかで子猫を身ごもってしまった時、その子猫を全員飼うという責任も生まれてしまいます。

たとえオス猫ちゃんだったとしても、地域に野良猫が増やさないためのマナーとして手術について考える必要があります。

これから初めて猫の避妊&去勢手術を迎える飼い主さんたちの不安に、私とネロ君の体験談が少しでもご参考になれば幸いです。

これから手術に挑むすべてのニャンコたち、頑張って元気に帰ってきてね!