愛猫がなつかない!原因は?仲良くなるにはどうすればいい?
「うちの猫が全然なついてくれない……」
「いつもそっけない態度だけど、嫌われてるのかな」
家族として迎えた愛猫がなついてくれないと、飼い主さんは不安になってしまいますよね。
今回は、猫がなつかない原因や仲良くなるための方法を解説します。
正しい距離感を理解し、愛猫も飼い主さんもストレスなく暮らしましょう。
猫が「なついている」とはどんな状態?
そもそも、猫が「なついている」とはどのような状態なのでしょうか。
「なつく」と聞くと、飼い主さんから片時も離れず、スリスリと甘える姿を想像する人が多いかもしれません。
甘えん坊なタイプの猫なら間違いではありませんが、あまり構われたくないツンデレなタイプの猫なら行動も違ってくるはずです。
気が向いたら近寄ってきてくれたり、飼い主さんの声掛けに鳴き声や視線で反応してくれたりするような状態であれば、十分なついているといえるでしょう。
猫の性格は、個体によって様々です。
飼い主さんに甘えることだけがなついている状態ではないので、安心してくださいね。
猫がなつかない原因
なつきかたは猫によって違いますが、飼い主さんを見ただけで威嚇したりどこかへ隠れてしまったりするような状態であれば、なついていないといえます。
猫がなつかない原因は何なのでしょうか。
警戒心の強さ
猫の特性として、警戒心の強さがあげられます。
猫の祖先といわれるリビアヤマネコは、砂漠で狩りをしながら外敵から身を守って暮らしているため、警戒心が強く慎重な性格をしています。
子孫である家猫にもその性質が受け継がれ、警戒心が強いのです。
社会化期の環境
「社会化期」をどう過ごしたかも影響します。
社会化期とは、猫の性格が形成されたり、他の猫や動物との関わり方を学んだりする重要な期間で、一般的に生後2~9週齢の間といわれています。
社会化期を人間と過ごした猫はフレンドリーになりやすく、人間と接点を持たなかった猫はなつきにくくなる傾向にあります。
保護猫・野良猫出身
保護猫や野良猫は、なつきにくいといわれています。
野良猫の場合、外で人間から虐待を受けたり、怖い目にあわされたりした経験を持つ猫も少なくありません。
人間を怖いものと認識してしまっているため、なつきにくくなります。
保護猫の場合、元の飼い主さんから愛情を注がれずに手放され、人間に心を閉ざしてしまっていることもあるでしょう。
実は飼い主さんが原因?猫に嫌われるNG行動
「愛猫がなついてくれない」と悩んでいる飼い主さんは、実は無意識に猫に嫌われてしまう行動をとっているのかもしれません。
ここでは、飼い主さんがついやりがちな「猫に嫌われるNG行動」を紹介します。
声が大きい
猫は騒がしさを好まないので、声や動作が大きい人が苦手です。
穏やかに、そしてやや高めのトーンで話しかけてあげましょう。
これは、猫自身が嬉しさや楽しさなど「プラスの感情」を表すときに高い声で鳴くためです。
反対に、低い声は注意が必要です。
猫は「ウーッ」と低いうなり声で威嚇をしますよね。威嚇を連想させる低い声は、猫に警戒されてしまいます。
猫と話すときは「猫なで声」を意識してみてくださいね。
動作が大きい
猫と接するときには、動作にも気をつけましょう。
自分より何倍も大きな人間がドタバタと大きな足音で近づいてきたら、猫は怖がってしまいます。
安心感を与えるには、腰を落とし、猫と目線の高さを近づけることが大切です。
なついていない状態の猫に近づくときは、低めの姿勢でゆっくりとした動作を特に意識してみてください。
猫の苦手なにおいがする
猫は嗅覚が優れており、においにとても敏感なため、苦手なにおいを発している人には近づこうとしません。
以下は猫が特に苦手とするにおいです。
・香水
・たばこ
・ハッカ(湿布など)
・柑橘系
このほか、アロマオイルや柔軟剤などには、猫にとって有害なエッセンシャルオイル(精油)が含まれているものが多いです。避けられるだけではなく猫の健康を損なう可能性があるため、使用を控えた方がよいでしょう。
猫を見つめすぎる
猫から飼い主さんに視線を合わせてきたとき、つい嬉しくなってジーッと見つめ返していませんか?
実は、猫にとって「正面から目線を合わせること」は威嚇を意味します。
目が合ってもさりげなく逸らしてあげると、「あなたに敵意はありません」という意思表示になります。
猫を構いすぎる
猫を構いすぎるのもNGです。
休息中に起こしたり、むやみに抱っこしたりしていると、猫に「面倒な人だ」と認識されてしまいます。
猫は基本的に気まぐれな性格なので、構ってほしいときにだけ構ってくれる人を好みます。
適度な距離感を保つ方が、お互いにとってメリットが大きいでしょう。
猫のパーソナルスペースに踏み入る
「パーソナルスペース」とは、猫が他の猫や人に近づかれると不快に感じる空間のことです。
猫のパーソナルスペースは、「個体距離」・「社会的距離」・「臨界距離」・「逃走距離」の4つに分けられます。
「個体距離」とは、猫と最も距離が近く、親しい相手だけが入ることを許される距離です。
個体距離に入ることを許されると、体に触れさせてくれるほか、飼い主さんの膝に乗ってくる、おなかの上で寝るといった行動が見られます。
「社会距離」は個体距離よりも少し広く、敵意のない相手が入っても大丈夫な距離です。
「臨界距離」は、馴染みのない相手が入ってくると、威嚇や攻撃などの防衛行動をとる距離です。
「逃走距離」は、馴染みのない相手に踏み入られると逃走する距離で、2m程度といわれています。
4つの距離感は猫によって異なるため、愛猫に近づいたときの反応を注意深く観察しましょう。
「シャーッ」「ウーッ」などと威嚇をしたり、逃げ出すそぶりを見せたりする場合は、まだ距離が近すぎるというサインです。
愛猫の様子を見つつ、ゆっくり距離を縮めていってくださいね。
なつかない猫と距離を縮める方法
ここまで猫に嫌われるNG行動を紹介しましたが、行動を改める以外に猫と距離を縮める方法はあるのでしょうか?
無関心を装ってみる
猫は適度な距離感を保ってくれる人に対して安心感を抱きやすいので、あえて無関心を装ってみるのもひとつの手です。
「構われるのは嫌だけど、関心を持たれないのは嫌」という一面もあるため、無関心な態度をとっていると、「なんかこの人、気になるな」と猫から何かしらのアクションがあるかもしれません。
食べ物で「いい人」になる
食べ物を与えることが、距離を縮めるきっかけになる場合もあります。
猫に許される範囲までそっと近づき、おやつなどを置いて離れたところから様子を見ましょう。
そして、徐々に距離を縮めていくのです。
「おいしい食べ物をくれる人」と認識され、少しずつ距離が縮まれば、手から食べてくれるようになるかもしれません。
根気が必要ですが、試してみる価値はあるでしょう。
時間が解決してくれることも
「なかなかなついてくれなかった愛猫が、7年経って初めて触れさせてくれた」という話を聞いたことがあります。
全然進歩がないように思えても、7年かけて少しずつ心の距離が縮まっていたのでしょう。
性格も感覚も、猫それぞれです。なかなかなついてくれなくても、焦らずじっくり愛猫と向き合ってあげてくださいね。
愛猫の個性と受け入れることも大切
猫が心を開いてくれるまでにどのくらいの時間がかかるのか、誰にもわかりません。
もしかしたら、一生なついてくれないかもしれません。
家族として迎えたのが老猫だった場合、なついてくれる前に天寿を全うする可能性もあります。
例えなついてくれなくても、縁あって家族となった愛猫です。
「これも愛猫の個性」と受け入れ、最後までお世話をしてあげてくださいね。
なついていた猫が急になつかなくなった場合
なついていた愛猫が急にそっけなくなった場合、具合が悪い可能性があります。
猫は具合が悪くなると、外敵から襲われないように身を隠して養生する習性があります。
愛猫がいつもと違ってそっけなく、ひとつの場所でじっとしているような場合は、病院に相談することをおすすめします。
まとめ
猫がなつかない原因は、育った環境や生活環境など様々です。
距離を縮める努力は必要ですが、まずは愛猫の個性として受け入れてあげましょう。
愛猫との適切な距離感をみつけ、うまく付き合っていってくださいね。