子猫の保護は突然に。里親募集の体験談

我が家では過去に2回、子猫を保護して里親募集をしたことがあります。

1回目は4年前に今の愛猫と、その兄猫。2回目は昨年、ザリガニ釣りに行った公園で目も開いていない子猫を1匹。

2回ともネットや動物病院を通じて里親募集を行い、我が家で暮らすことになった1匹以外は無事に素晴らしいお家へと迎えてもらいました。

今回はそれまで猫を拾うなんてフィクションの出来事程度に考えていた私の、子猫の保護と里親募集の体験談についてお伝えします。

子猫を保護したらまず病院!

我が家で保護をした子猫たちは皆、痩せこけて目ヤニがついた、いかにも病気です!という状態であったため、まずは動物病院に連れて行きました。

結果は3匹とも猫カゼの上に、ダニやノミに寄生されている可能性があるとのことで、早速治療が開始されることになりました。

もともと我が家の愛犬のかかりつけ病院であったこともあり、「分からないことや症状が急変すること等があったら、診察が終了している時間でもいいから電話するように」と声を掛けて頂けたので、とても心強かったです。

また、猫と暮らしている看護師さんから、飼育に必要なものやおすすめのフードも色々教えて頂いたので、猫を飼ったことのなかった私には、とても勉強になりました。

今後も子猫を保護することがあったら、健康状態や月齢にかかわらず、まずは動物病院に連れて行くと思います。

ちなみに2回とも我が家の愛犬(ラブラドールレトリバー)が子猫を見つけたのですが、獣医さんから「大型犬の飼い主さんは定期的に子猫を拾ってくる」と笑われました。

一瞬「うちの犬が優しいってこと?」と思ったのですが、単に歩く距離が長い、荒天の日でも出掛ける、人が少ない草深い場所を歩き回ることが多い、といった大型犬特有の散歩事情によるものでしょう。

まさに犬も歩けば棒に当たるです。しかし我が家の愛犬は自分にはレスキューの才能があると勘違いしてしまった様子で、散歩に出るたびに草むらや車の下を覗いて猫を探すようになってしまいました……野良猫にとってはいい迷惑ですよね。(^^;

元気になったら里親募集!初めての募集の反省点

私の主人は猫アレルギーを持っているために、我が家では猫を飼えません。そのため保護当初から猫カゼの治療が終わり次第、里親募集をするつもりでいました。

そして1回目に保護した子猫たちは外見こそ似ていませんでしたが、仲睦まじい様子から兄妹猫であることが想像できたため、最初は2匹同時に迎えてくれるおうちを探すことにしました。

しかし、2匹一緒にお迎えしてくれる方、という旨を募集要項に入れると驚く程応募がありません。手が掛かる月齢の猫を2匹同時に迎えるというのは、余程ベテランの猫飼いさんで、たまたま今は動物と暮らしていない、というような方でもない限りハードルが高い行為です。

この時、自分が考える子猫にとっての幸せに縛られ過ぎると、良縁を逃がしてしまうのではないか、と思いました。

そこで、まず自分が譲れないと思う点を書き出してみました。

・ペット可の住居に住んでいること
・ワクチンの接種や避妊手術など、適切な医療を受けさせられること
・成長するまでは3時間おきに食事を与えられること
・生涯可愛がってくれること

改めて考えてみると、このくらいしか条件が浮かびません。

しかしこれで本当に大丈夫なのか、気になったのでネットで調べてみることにしました。

そして私が里親募集で悩んでいる間に、保護した子猫のうち妹猫だけが、いつの間にか我が家の愛犬と一緒に寝る程仲良しになっていたのでした。

里親詐欺ってなに!?保護ボランティアさんにアドバイスを求めて怒られる

里親詐欺

自分の里親希望者さんへの条件がおかしくないか?参考にしようとネットで他の方が出している里親募集を眺めていたところ、気になる文言を見つけました。

それは「里親詐欺」という単語です。沢山の応募条件が並べられた上で、「厳しい条件ですが里親詐欺を防ぐための措置です」といった文言が入っている募集が多いのです。

調べてみると里親詐欺というのは、可愛がると偽って虐待や実験施設に売り飛ばすために動物を手に入れる、という考えられないほど残酷な行為が主でした。

実際に譲渡した子猫が殺害されたことで裁判に発展した例もあり、これを警戒して皆さんは里親募集に条件を付けているのだと分かりました。

里親詐欺の存在にすっかり怖気づいてしまった私は、近隣で猫の保護活動をしているボランティアさんを調べ、里親募集について教えて欲しいとアドバイスを求めることにしました。

ボランティアさんに問合せ

メールで問い合わせてみると早速電話をくださったのですが、開口一番

「うちでは猫の預かりはできませんよ。相談には乗りますが丸投げはしないでください。あと一度拾った猫を責任が取れないからと捨てるのは犯罪ですからね!」

と、まくし立てられて、驚いた記憶があります。「なんで怒っているんだろう?」と最初は疑問に思ったのですが、ボランティアさんと話しているうちに理由が分かりました。

どうやら子猫を拾った人の中には、「ボランティアに面倒を見てもらえばいい、拾っただけでも自分は良いことをしたのだからお金も労力も出したくない」という方がいるようで、里親募集の件でボランティアさんに相談をしてくる人の大半がこのような丸投げを希望しているそうなのです。

ボランティアさんからのアドバイス

きちんと自分で里親募集をするし病院にも連れて行っています、ただ初めてなので里親詐欺にあわないための対策を教えて欲しいのです、と再度伝えたところ、信用して頂けたようで幾つかアドバイスをもらいました。

①まずはこちらの住所を明かす
まず子猫との対面はこちらの家で行い、譲渡は里親さんの家に送り届ける形で行うこと。決してコンビニの駐車場や駅と言った場所で猫のやりとりをしないこと。
相手方の住所や居住環境(ペット不可の住居ではないか)を確認することは里親詐欺対策でとても必要なことですが、初対面の人から一方的に住所を教えてください!と言われたら誰だって嫌ですよね。
特に1人暮らしの女性の場合は、知らない人が家に来るなんて恐怖でしょう。そのため、まずこちらの住所を明らかにして安心してもらうことが大切なのだそうです。

②医療費を負担して頂く
すでに摂取したワクチン代のみ請求するなど必要な医療費を領収書と交換で頂く、というのも里親詐欺を遠ざけるのに有効だとアドバイスをもらいました。

③1人暮らしの男性をNGとしない
里親詐欺をする人間に独身の男性が多い、という理由で1人暮らしの男性をNGとするボランティア団体もあるけれど、それはナンセンスだということ。
確かに低月齢の子猫は3時間おきにミルクを飲ませる必要があるなど、働きながら面倒を見るのは難しいですが、自営業や在宅勤務の人なら話は別です。
実際、私は2回目に保護した子猫を在宅勤務の1人暮らしの男性に迎えて頂いたのですが、たまにくるメールでは毎回とんでもない親バカっぷりに笑わせてもらっています。

④高齢者のみの世帯や子供からの問い合わせはお断りする
反対にお断りをしなければいけないのは、高齢者のみの世帯や子供からの問い合わせ。
高齢者の方はいくら健康であっても、月齢の低い、まだ夜中に暴れる可能性が高い子猫の世話をするのは難しいと思うとのことで、これは実際ボランティアさん自身がご自分の年齢に照らし合わせて、一時的な預かりならともかく子猫の飼育は不可能だと感じられてるからだそうです。
また、子供からの問い合わせは親の承諾を得ていないものが多いため、とにかく親から連絡をしてもらわないと対応ができない、と伝えて子供とはやりとりしないように注意されました。

このように参考になることを教えてもらい、最終的にはボランティアさんとの電話も和やかに終了したのですが、最後に「あなたが1匹でもいいから子猫をそのまま飼ってくれるのが一番良いんだけれど。でもワンちゃんと仲が良い子は居ついちゃうかもね」と言われてしまい、実際その通りになりました。

主人は今でも猫を可愛がるとくしゃみと鼻水が止まらなくなるのですが、とにかく愛犬に甘いので、引き離すのは可哀想に思ったようです。

最終的には「1匹だけならいいよ」と言ってくれました。

再度里親募集~お見合いまで

保護ボランティアさんのアドバイスを受けて、里親募集の条件を以下のように変更して再度募集を掲載しました。

・ペット可の住居に住んでいること
・ワクチンの接種や避妊手術など、適切な医療を受けさせられること
・成長するまでは3時間おきに食事を与えられること。この点がクリアできれば、一人暮らしの方も歓迎です!
・同棲中のカップル、20歳未満の未成年の方にはお渡し致しかねます。また※トキソプラズマに感染している可能性があるため、ご家族に妊娠中の方がいらっしゃる場合もご遠慮ください。
・まだまだ手がかかる月齢の子猫ですので、70歳以上の方のみのご家庭はご遠慮ください。
・近日中に1回目のワクチンの接種を行う予定です。ワクチン証明書をお渡ししますので、ワクチンの費用だけご負担ください。その他、猫カゼの治療費や飼育費用は一切ご請求いたしません。
・一度、私どもの家に子猫を見に来てくださる方。実際会って子猫を迎えたいと思ってくださった場合は、里親様のご自宅まで子猫をお届けに伺います。
・家族の一員として生涯可愛がってあげてください。万が一、ご家族に猫アレルギーが発症したなどで飼育が困難になった場合は連絡をください。引き取りに伺います。※トキソプラズマは、特に妊娠初期に妊婦さんが感染してしまうと胎児の脳に障害を及ぼす可能性がある寄生虫です。トカゲや蛙などを食べる野良猫がトキソプラズマの宿主になっていることが多く、その母乳を飲んだ子猫もトキソプラズマに感染している可能性が高いそうです。
トキソプラズマに寄生されている猫の排泄物を経口摂取することで人間も感染します。そのため、妊娠中の女性が野良猫や野良猫の子猫を家に迎えるのは避けた方が良いとされます。

長いな~と我ながら思ったのですが、思い切って投稿してみると、すぐにあるご家族からメールを頂きました。

初回のメールから人柄が想像できる丁寧な内容であったため、主人にもメールを確認してもらった後、次の週末には子猫を見て頂くことにしました。

それからは今まで悩んでいたことが嘘のようにとんとん拍子にお迎えの日が決まって、あっという間に兄猫は幸せな暮らしを手に入れて、我が家を後にしていきました。

その後、兄猫がいなくなった妹猫は、寂しさからかいっそう我が家の愛犬にべったりくっつくようになりました。

あまりに離すのが可哀想であったため、これが決め手で我が家に残留することになったのです。

実は妹猫にも、かかりつけの動物病院経由で素敵なご夫婦とのお見合いの話を頂いていたのですが、こちらからお電話をして犬と離すのが可哀想になってしまった、という旨をお伝えしたところ、笑って「幸せそうでなによりですよ。子猫ちゃん、よかったですね」とおっしゃってくださいました。

今頃は他の猫ちゃんを迎えていらっしゃるのかな、あのご夫婦の家族になれる子は幸せだろうな、と時折思います。

同じ条件の募集で、2回目に保護した子猫も里親さんがあっという間に決まって幸せを手に入れて行きました。

2回目の里親募集で応募してくださった独身男性の「まさか独身男性でもいいっていう保護主さんがいるとは思わなかった。我々独身男性は子猫に会わせてもらえるだけでも奇跡ですよ。」という言葉には、何の落ち度もない猫好きの方が、里親詐欺を避けるためとはいえ無下に扱われている、という事実に胸が痛くなりました。

そして心無い門前払いを受けても里親募集で猫を迎えることを諦めないでくれたお陰で、我が家で保護した子猫は幸せになれたのだと思うと、縁というのは不思議なものだとつくづく感じたものです。

まとめ

私は過去に2回、近所で産まれた子犬を譲っていただいたことがあるのですが、両方ともペットショップの店頭の「子犬譲ります」の張り紙を見て、親に相談して即電話、そこから子犬に会わせてもらって、数日後に子犬を迎えるという昔ながらの方法でした。もう15年以上前の話です。

そこには双方条件などなく、お礼と言えば菓子折り程度。私達家族が全員で子犬に会いに来て、世間話から住んでいる場所や私達子供が通う学校名なども伝えて身元が明らかだったから安心してくれたというのもあるかもしれません。

私も利用しましたが、ネットでの里親募集が主流となっている昨今は、猫を譲渡したい側も猫を迎えたい側も、人間の属性や猫の外見といった条件が一番になりがちな気がします。

ご近所であってもネットからのお付き合いであっても、お互いの属性ではなく人間性を見て動物の里親募集、応募ができるようになったら良いのにと願わずにはいられません。

たった2回の経験ではありますが、子猫の保護は私たち家族にとっては貴重な経験でした。今後子猫を保護された方、また里親なりたいと考えている方に少しでもこの記事を参考にしていただければ幸いです。